NIGHT POOL
行ったことないですけど。
昏い水面に星を映せば
漂うぼくらは宇宙にいるみたい
つま先が届かない深さも ちっとも怖くなくて
波がさざめくたび儚い銀河が誕まれる
濡れた髪も気にしないで両腕で環をつくるきみが
ぼくの首に巻きついたら ふたりで木星になろう
浮かんでいくのも 沈んでいくのも
どっちだっていいよ 真夜中のランデヴー
悲しい藻屑にはならないようにと
祈りをこめては見上げるきみと 見渡すぼく
ふやけはじめてる指をほどいて
地上に戻ろうと囁く唇に
約束も結べないキスなら なんだかつらくなるね
波が鎮まりゆく 見知らぬ星座が揺れてた
濡れた髪がかわくころは両肘で距離をとるきみに
ぼくは かなた千光年 はぐれたガニメデになるよ
浮かんでられなきゃ 沈んでしまおう
どっちにしろここは ふたりきりのナイトプール
楽しい想い出は消えやしないけど
星のない闇に帰らぬきみと 還れぬぼく