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スズサキ*  作者: さより
意識
56/63

*56

 多分にーちゃん、紅実さんに話すよな?

 今日はおれが裏門で待ってると思うとか。

 この前逃げられてるけど、大丈夫だよな?

 …………もし、正門から帰られたら?

 裏門の見える位置で、なるべく目立たない場所で待つ。

 にーちゃんに言われたからじゃねーぞ? やっぱ、紅実さんも目立つこととか好きじゃねーかな? と思ったからだからな? あと、逃げらんねーよーに、とか…………。

 この前は必死だったけど、今になって不安になる。

 おれ、メーワクなんかな?

 …………情けねーとこ見られてっしな。覚えてないのはちょっとほっとしてたりもするけど…………おれなりに、がんばってきたとこはちょっとほめてほしかったりして……………。

「あー一一一一一一ーーっ!」

 思わず大きな声を出してしまって、周囲の人に振り向かれて変な顔をされる。

 くっそ。

 こーいうとこがガキとか言われんだよな⁉︎ おれがしてほしいことばっかじゃん?

 けど、今おれが紅実さんにできることとかねーもんな。しゃーねーよな。

 それに今日、ラインきいとかねーと今月はもう会えないからな。たぶん………。

 電車代かかるから、小遣いたんねーし。

 裏門から見える学校の時計が6時近くを指している。

 …………遅くね? 部活5時半までって言ってなかったか? 5時半ちょうどに終わって出てくるとしても、そろそろ…………もしかして、正門から帰ったとかねーよな?

 …………そこまでメーワクがられてねーよな?

 不安になって、正門に回ってみようかとうろうろしていると、フェンスの向こうに昇降口が見えた。

 手芸部っつったら、家庭科室とかそういうとこでやるんじゃね? したら、まだ帰ってなかったらここから出てくる?

 しかも靴箱に2ー1とか書いてあんじゃん? ここいたらいいじゃん!

 にーちゃん1組で、紅実さん隣のクラスっつってたよな? 出口は一緒だな?

 少しすると、紅実さんが咲妃さんと一緒に出てくる。

 うわっ。紅実さんだ。制服姿かっけー。

 裏門の方へ向かうのを確認しながら、おれも裏門へ回る。

 おれ待ってるって、きいてるだろうに裏門からってことは、迷惑がられてるわけじゃねーってことだよな♪


     *♢*♢*♢*


 咲妃が鳥飼君からラインの内容を教えてくれる。

 朝言ったように、「いや」っていうのは弟に伝えてくれたみたいだけど、家に帰って来ないし、帰ってくる様子もないから多分待ってる、ってことだった。

 もしいたら「迷惑なんだけど」って、言ってやろうと思って、普通に裏門から帰ろうと思ったけど、鳥飼君の弟はいなかった。

 ……………気にすることなかったな。

 ほっとしたけど、なんかちょっと拍子抜け。

「燕くん、いないね。残念?」

「そんなこと、ある訳ないでしょ? 何言ってんの?」

 いつも通りの口調で否定する。

 家遠いみたいだし、面倒臭くなったんでしょ。

 でも、ちょっとムカつく。あんな思わせぶりな態度取られて、乱された私の気持ちが落ち着かない。

 でも、そんなもんよね。久々に見たら思ったよりもブスだったとか………それもムカつくけど、多分そんな感じよ。思い出とか美化されてることがほとんどだし。

 そんな感じでイライラしていると、校門から少し離れたところで、手をつかまれる。

「紅実さん」

 げ、油断した。

「あ、咲妃さんも。こんにちは」

「う、うんっ。こんにちはっ。学校終わってきたのっ?」

「そうっす」

 まだ合服の長袖のカッターシャツを肘下迄捲り上げて、こめかみ辺りに汗が流れている。

 まだ暑いものね。どのくらい待ってたんだろ?

 …………………私には関係ないけどね!

「ちょっと、触んないでよ?」

 手を振りほどこうとしても、簡単には離してもらえない。

「逃げないって、約束してくれたら離してもいいです」

「逃げないわよ。そもそも、追いかけっこであんたに勝てる気しないしね」

 言ってるのに、離してくれようとはしない。

「離してくれるんじゃなかったの?」

「離してもいいって、言っただけで離すとは言ってないです。離さないとダメですか?」

 は? 何、コイツ。

「ダメに決まってるでしょ?」

「なんでですか?」

「私がイヤだから」

 きっ、と睨んでやるとふいっと目を逸らす。

「そんなに、見られると照れるんですけど」

「いや、睨んでんのわかんない? あんた、ほんとに鳥飼君の弟?」

「あ、はい。鳥飼燕って、言います。中3、14才です」

 名前は知ってたけど。

 咲妃が横で、顔を赤くしながら見てる。

 ドラマの告白シーンでも観ているような感じなんだろうか? そんなロマンチックな感じは一切ないって、わかってるのかな?

「紅実さんのも知りたいです」

「もう、知ってるでしょ?」

「本人から聴きたいんで」

 私は、仕方なく自己紹介する。

「坂上紅実。高2、17才」

「あ、もう17才ってことは誕生日来ちゃったんですね? いつなんすか?」

「8月……」

 私、何で誕生日まで言おうとしてんの?

「何日っすか?」

「いや、何でそこまで教えなきゃなんないの?」

「おれ、10月10日なんで。来月なんで紅実さんにお祝いとかしてもらいたいです」

「私にとっては不要な情報なんですけど?」

「でも、にーちゃんから今日、おれが裏門で待ってるってきいてなかったですか?」

「きいてたわよ。それが何?」

「避けずにこっちから出て来てくれるのって、おれのことイヤじゃないからですよね?」

「は?」

 こいつ、どんだけポジティブシンキングなの? 鳥飼君と2人足して割ったらちょうどいいくらいじゃない?

「何であんたから逃げるために遠回りしなきゃなんないの? そもそも、今日、もし会ったら迷惑だって、言おうと思っただけだけど?」

「それって、おれが待ち伏せするからですか?」

「わかってんだったらやめてくれない?」

「いいですよ。そのかわり、ライン教えてください」

「意味わかって言ってんの? 付きまとわれたくないってことなんだけど」

「あ、だから、ライン教えてくれたら、待ち合わせできるからこんなふうに待ってなくても会えるでしょ?」

 こいつ、バカなの?

 待ち合わせなんかする訳ないって、わかんないの?

 鳥飼君も、こんなのと毎日顔合わせてるとか、大変なんだろうな。初めて同情したわ。

「………………今日、スマホ持ってないから。帰って鳥飼君にでもきいてくんない?」

「いいんすか?」

 めちゃくちゃ嬉しそうな顔をする。ちょっと罪悪感はあるけど、仕方ない。

「いいわよ。だから、もう帰んなさいよ。遠いんでしょ? 遅くなるとお母さん心配するんじゃない?」

「わかりました。じゃ、また今度」

「はいはい」

「あ、紅実さん?」

「何?」

 返事をすると、へらっと笑う。

「ちょっと呼んでみただけです。返事してもらえてうれしいです!」

 じゃ、と、駅の方に走って行く。何度か振り返りながら。

「す、すごいね。燕くん。紅実ちゃん、愛されちゃってるね?」

 横で見ていた咲妃が、頬を赤くしている。

「どうだか?」

「でも、鳥飼くん、紅実ちゃんのライン知らないよね?」

「スマホ持ってないっていうのもウソだしね。それで、あきらめるでしょ?」


     *♣︎*♣︎*♣︎*


「にーちゃん、紅実さんのライン教えてくんね?」

「は? 何言ってんだ?」

 やっぱ、理由くらい話さねーと教えてくんねーよな?

「今日会えたんだけどさ、何かスマホ忘れてたらしくってさ、ラインはにーちゃんにきいてくれって言われたんだよ。ウソだと思うなら本人にきいてもらっていいからさ」

「……………………」

 すっげえ、疑われてんな。

 けど、本人に言われたんだからな。ウソじゃねーし。

 待っても、にーちゃんは教えてくれないどころか、スマホに触ろうともしない。

 何やってんだよ? こっちは準備万端なのに…………。

 おれの手にはスマホがにぎられていて、プロフィールを送ってもらえればすぐに確認できるようになっている。

 にーちゃんは大きなため息をついて、おれを見る。

「お前、迷惑がられてるんじゃないのか? そもそも、今日昼間ライン送ったろ? 坂上さん嫌がってるって」

 そーだったな。

「けど、今日時間なかったからとかだろ? ラインはにーちゃんにきいてくれってことなんだからさ、時間あるときならいいってことじゃね?」

 にーちゃんはまたでかいため息をついて、言う。

「坂上さんのラインは知らないよ」

「は? 何で知んねーんだよ?」

「必要ないし?」

「いや、けど、彼女の友だちって言ったら友だちじゃねーのかよ?」

「それは、違うだろ? ラインで連絡取り合うような仲ではないし。咲妃ちゃんとよく一緒にいるから他の女子よりは話すくらいで」

 いや、そのうち必要になるかもしんねーじゃん? たとえば……………………あ、思いつかねーや。

 確かに必要ねーかも。

「いや、でも、紅実さん、にーちゃんにきいてって言ってた」

「迷惑がられてるんじゃないのか? 待ち伏せとか」

「だから、そういうことしなくていいようにライン教えてくれるってことじゃねーの?」

「いい加減にしろよ? 昨日、待ち伏せしてたのもかなり噂になってたぞ? 控えめにしてても、目立つって分かってんのか?」

「じゃ、にーちゃんは咲妃さんと会えないからって、あきらめきれんのかよ?」

「……………咲妃ちゃんは多分、迷惑とか思わないから、いいんだよ。坂上さんは違うだろ?」

 はー、言うようになったもんだな。勢いで、ってのはあるんだろーけど、実際そーなんだろーな。咲妃さんって、にーちゃんのことちゃんと好きっぽいもんな。いーよな…………。

「けど、なんかおさまんねんだよな。今までずっと気になってたしさ…………向こうは忘れてるっぽいけど…………」

「何があったんだよ?」

「…………そんなん言えるわけねーだろっ!」

 にーちゃんの部屋のドアを思いっきり閉めて、自分の部屋に戻る。

 もういい! やっぱ、直接きくしかねーよな? うん。そっちのが確実だろ?

 昨日、学校から出て来たの6時前くらいだったよな? もしかしてチャリだったら、間に合うか?

 平日も健康のためと思い、10000歩を超えるように努力はしているつもりなのですが、平日はギリギリ足りず、休日は何もぜずにダラダラとか、家の中のことをしているとあっという間で、なかなか難しい日も多いように思います。

 えいっ! と家から出てしまうと意外と歩けたりするきもするのですが。

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