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スズサキ*  作者: さより
意識
48/63

*48

 本当のこと言うと、鳥飼くんってかっこいいから何でも似合っちゃって、あんまり参考になんない気もするよねっ。

 自分で作ったのつけてもらっといてなんだけど、めっちゃかっこよかったっ!

 細いピンとかも作ってポンパにするのもありだよね? あと、横をがっ、てあげちゃって、ばってんピンで留めるっていうのもよさそうじゃないっ?

 ちょっと想像してみて、どきどきする。

 やだっ! ぜったい似合うっ! かっこいいっ!

「何想像してんの? 気持ち悪い顔になってる」

「ち、ちがうもんっ! ちょっと、他のも思いついたから、どうかなっ? て、思っただけだもんっ!」

「どーだか?」

 少しして、紅実ちゃんがお茶とお菓子を持ってくると言うので手伝うためにキッチンについて行くと、悠仁くんがダイニングテーブルに座って勉強をしていた。

「こんにちは」

「あ、咲妃先輩。久しぶり」

 言って、悠仁くんが椅子から立ち上がる。

「あれ? また背伸びたっ?」

「どうかな? まだ姉ちゃんより低いし」

「そっか。でも、そんなに変わんないよ?」

「そう?」

「うんっ」

 紅実ちゃんがキッチンでお湯を沸かして、さっき鳥飼くんが持って来たお菓子を準備している。

 手伝おうと思って紅実ちゃんのそばに行こうとすると、悠仁くんに引き止められる。

 そして、小声できかれた。

「玄関にでかい靴あったけど、男も

も来てんの? もしかして………」

「違うよ? えと……ね? あたしの、か、彼氏」

 ま、まだ、こういうこと言うの、はずかしいなっ。

「え? 咲妃先輩の?」

 紅実ちゃんからきいてるよね? けっこう話してるみたいだもんね?

「う、うんっ。今日はねっ、か、彼の従姉妹の子とカチューシャ作ろうってなって………」

「あ、そう言えば、母さんと話してた気がする。ちっさい子来るからって」

「うん。そう」

「そっか……………」

 悠仁くん、お姉ちゃんっ子だもんな。わかるけど。

 紅実ちゃんに彼氏とかできたら、さびしかったりしちゃうんだろうな。

 あたしもお姉ちゃんが大学行くのに出て行くってきいたときは、あ〜、せいせいするっ! て、思ってたけど、実際に出て行った後はちょっと寂しかったし。

 悠仁くんは紅実ちゃんが中学の頃付き合ってたのとか知ってるのかな?

 あたしには言ってくれなかったけど、一緒に住んでるもんね? 出かけたりとか、もしかしたら家来たこととかあったかもしれないし。

「どんな奴?」

「あ、か、彼氏?」

「うん。咲妃先輩の」

「えっとね、か、かっこいいの。それもねっ………なんであたしと付き合ってくれてるんだろ? って、くらい」

 ひゃー一一っ、てれるっ………。

「あ、外見の感想はいいや。咲妃先輩の格好いいって、よくわかんないし」

 笑いながら遠慮される。

「な、なんでっ?」

「あんたの格好いい、は信用できないってことでしょ?」

 紅実ちゃんが、あたしと悠仁くんの話しているところに入ってくる。

「なんでよーーっ? だって、中身のかっこよさがにじみ出てちゃってるよねっ?」

 言っても、紅実ちゃんはしらっとしてるし、悠仁くんは笑ってる。もうっ!

 すでに準備のできたお菓子とお茶がお盆に乗せられてダイニングテーブルに準備されていた。

「中身重視ってとこは姉ちゃんにも見習ってほしいけどね?」

「何言ってんのよ? 見た目も重要でしょ?」

「そりゃ、まったく、とは言わないけどさ。姉ちゃんの場合、変な奴に好かれやすいじゃん? ぼっちだったり、頼りなかったりさ。困ってるからって何でもかんでも手貸して、ストーカーとかなられたらどうすんの?」

「うるっさいな。そんな人いないでしょ?」

「今のところは、だろ?」

 ふふっ。悠仁くんもお姉ちゃんのこと心配なんだ?

 でも、確かに紅実ちゃんもてるもんなっ。特に下級生から。

 部活のときとかお昼に、ちゃんとした理由なく「先行ってて」って、言われたときはだいたいそうだと思ってる。

 たぶん今年になってからも2回はあったはず。

「それに、最近咲妃先輩とあんまり遊べないって寂しそうじゃん?」

 え?

「そんなことないわよっ! バカじゃないの⁈」

 そ、そうなんだ? あたしの中では、変わりなく遊んでるつもりだったけど………確かに、この前は久々に一緒に買い物行くなって、思ったけど。

「咲妃。行くよ? そっち持って来て」

 言って、お菓子ののったお盆を指さされる。

「あ、うん」

「あと、残ったのそこ置いてるから、あんたも食べたら?」

「あ、さんきゅ」

 今ケンカしてたのに。仲いいなぁ。


     *♠︎*♠︎*♠︎*


「すずにいちゃんって、さきちゃんに好きって言うの?」

 海原さんと別れて、電車を待っている時にりんごが訊いてくる。

 女子の方がませてるとはよく言うけど、未就学児に訊かれるとは思ってなくて、思わず狼狽えてしまう。

「ま、まあ………うん」

 言った、よな? 確か。

「毎日?」

「ま、毎日?」

「言わないの?」

「言わないよ」

「恋人同士って、毎日愛を確かめ合うんじゃないの?」

「た、確かめ……って……………」

 ここまで突っ込んだこと訊いてくるのか?

「じゃ、ちゅーとかは?」

 …………こういうのって、どうやって答えれば? 事実を話せばいいのか? でも、こんな公共の場所で?

 でも、答えないとうるさいんだろうな。

 目を爛々とさせて僕から目を離さない。

 やんわりと。周りを気にして小声で答える。

「あのね? そういうのはお互いの関係性とか…………………兄ちゃん達はまだ、そういう関係じゃないからね?」

 この前、やっと手を繋いだくらいなのに。しかも、多分1分くらい。

「でも、ちゅーもしなかったら、どうやって確認するの?」

 周りのことはお構いなしに、わざわざこっちが小声で話している意図が伝わらないのは、子供だからなのか?

「そういうのは最初に…………………」

 そこで、はっとする。

「最初だけなの?」

 そう、だよな? 別れたりするのって、価値観の違いって言うけど、そういうことが確認できなくなるのも……………何となく不安に思って、とか?

 多分だけど。

「た、たまに? かな?」

 分からないけど、不安にならない程度には必要、なのかもしれない。

「そっか。やっぱり、たまにくらいなんだ?」

「うん。毎日っていうのは、難しいんじゃないかな?」

 そうだよな? 毎日思ってたとしても、それを毎日伝えるっていうのはさすがに……………。

「でも、パパとママ毎日ちゅーしてるよ?」

「ま、毎日?」

 こ、これ、僕が聞いてもいい話なのか?

「そう。こっそりしてるつもりみたいだけど、ばればれだもん」

 バレバレ……………。

「でね? 好きっていうのも、よく言ってるよ」

「ま、まあ、でも、そういうのは、人それぞれだからね?」

「でもね、いいなーーって、思うよ? パパとママなかよしだなー、って。あたしもね、そういうのしてくれる人がいいなって思うよ?」

「そ、そっか」

 そして、いきなりりんごが誇らしげに立ち上がる。

「だからね、さきちゃんかわいいし、すずにいちゃんも毎日ちゅーしてあげた方がいいと思うよ?」

「だ、だからね、それは結婚したりとかしてもっと仲よくなったらで…………」

 海原さんとできるかは分からないけど! 考えるのもおこがましいとは思うけど!

 こんなの、どうやって説明してるんだよ?

 叔父さんも! ちかちゃんもだけど!


 ただ、僕もそう思ったのは事実だった。たまにしか見ないけど、叔父さんもちかちゃんも仲良さそうだし、幸せそうだよな、と…………。


     *♡*♡*♡*


「海原さん、ここ違ってない?」

「え?」

「計算ミスしてる」

「あ、ほんとだっ」

 慌てて計算しなおして、鳥飼くんの答えと一緒になったのを確認して安心する。

 だいぶ暑さも落ち着いてきて、今日は公園でお勉強デート。

 数学苦手だけど、鳥飼くんの説明わかりやすいし、ちょっと成績も上がってきてる。

 理系クラスだから数学の授業多いし、がんばらないとねっ。あんまりおばかだと思われたら愛想尽かされちゃうかもしれないし。

 それに課外授業は学力別だから同じクラスになれたらな、とか思うし。英語はなんとか一緒のクラスだけど。

「そろそろ休憩する?」

「うん。あのねっ、これも作ったのっ。どうっ?」

 きらきら。黒とネイビーのラインストーンを使ったヘアピン。あと、シルバーとネイビーの組み合わせも似合うと思うんだよねっ。

「きれいだね?」

「ありがとうっ! つけてみてっ?」

「ここで?」

 ふふっ。てれてるっ。こういうのもかわいいよねっ?

「僕、前のももらったけど………こういうのはつけないよ?」

 あ、てれてるんじゃなくって、ほんとにいやだったっ?

「あ、で、でもねっ? これっ、こういうふうにねっ、プリント留められるし、ブックマークにもなるからっ!」

 慌てて、ヘアピンでノートの端を留めてみせる。

「…………ブックマークは、ちょっと厚みがあって使いにくいかもだけど、プリント留めるのにはいいね? 前にもらったのも使わせてもらってるけど」

 ラインストーンがねっ………本傷んじゃうかもだねっ。ちょっと無理だったねっ?

 でも、プリントなら大丈夫だよねっ? もしかしたら、いつか気が向いたら使ってくれるかもしれないしっ。

「前にもらったのって、オオルリの?」

「うん。落としたり汚れたりしたら嫌だから家で使ってるけど」

 え? うれしいっ! そんな大事にしてくれてるんだっ?

「いいよっ! 落としたり汚れたりしたらまた作るしっ、失くさなくってもまたつくるよっ?」

「い、いいよ。僕もらってばっかりだし……………お返しできてないし」

「いらないよっ? あ、でもっ…………」

 手つなぎたいっ! とか言ったら、やっぱりいやって言われるかな?

 この前、もう無理って言われちゃったし………。

「何か欲しいものあった?」

「う、ううんっ。ないよっ」

 うん。でも、そのうち、勝手につないじゃったりとか…………も、いやかな? 作戦考えなきゃ、だねっ。

 ぬめってしてる、って、言ったのがよくなかったんだもんねっ? もっとかわいい言い方だったらいいんだよねっ?

 ぬめってしてて、ひんやりしてて…………かえるさんみたいだね? とか? かわいいこと言うな? とか思われて、まいっか、とかなんないかな? かえる……………や、やっぱり、ちょっといやかなっ?

 でもたぶん、1回つないじゃってるし、たまにじゃれあうみたいにしてつないじゃったりとかして、そういうのが増えてきたら気にならなくなるんじゃないっ?

 うんっ! こっちのほうがよさそうだよねっ?

「飲み物買ってくるけど、一緒に行く?」

「あ、うんっ! あたしのも、なくなってるからっ………」

 って、これ、たぶんあたしの買ってきてくれようとしてるっ!

 だって、鳥飼くんのまだいっぱい入ってるしっ! だいたいいつも水筒にコーヒーと水持ってるもんねっ? そんなすぐになくなんないよね?

 あたしは、重くなっちゃうから水筒1個しか持って来てないけど。

「海原さんには、さっきクリップ? もらったから僕が出すよ」

「いいよ。ちょっと無理矢理だったしっ」

 最近、鳥飼くんのやさしさがさりげなくって、気づかないうちにあまやかされまくってる。

 気がついたら道路側鳥飼くんが歩いてくれてたり、お店のドアとか開けてくれたり、重い物も持ってくれてたりとか。

 あたしがお弁当持ってくる時、スープ用意してくれるけど、いっつもあったかいのと冷たいの持って来てくれてる。つまり、熱いお湯と冷たいお水持って来てくれてるんだよ? しかもそれぞれぬるくならないように水筒に入れて。自分の飲み物も持って来てるのにっ。そのうえお弁当まで持ってくれるし…………いっつも涼しい顔してるから気にしてなかったけど、かなり重かったよねっ?

「家でもキャラメルラテ?」

「ううん。キャラメルラテはたま〜に。いつもはカフェオレ」

「家では飲まないの?」

「うん。やっぱりね、お店のは違うの」

「そうなの?」

「特にスタカフェのキャラメルラテがすきなんだけどっ、家で作っても甘いだけだったりするの。キャラメルっぽさがいまいちで。いろいろ試してるんだけど、なかなかあの味になんない」

「へぇ? 違うんだね?」

「うんっ。だからね、外で飲む時のお楽しみなのっ」

「そうなんだ?」

「天気のいい日はテラス席とかでキャラメルラテとスコーンにジャムとかクロテッドクリームとかつけてまったり朝ごはんしたいって思う。優雅で大人な感じしない?」

「よく分かんないけど、海原さんとなら楽しそうだよね?」

 言って、すっごいやさしい顔で笑う。

「え? あ、う、うんっ」

 一緒に紅実ちゃんのとこ行った後くらいから、ちょいちょいこういうこと言うし、こういう顔で笑う。

 だって、朝ごはん一緒に食べるって………なんか特別な感じしないっ?

 それに………………。

「あっち行く?」

「う、うんっ」

 池にカワウっていう黒っぽい色の鳥がいて、見える場所に座った。

 鳥飼くんの説明を聴きながら、さっき買ったキャラメルラテを飲みはじめる。

 たぶん、あたし結構鳥について詳しくなってる。今までは、よく見かけるのって、すずめとつばめとカラスくらい、とか思ってたけど、結構いろんな鳥がいるのに気づくようになった。

 世界が広がった感じ。

 不思議だな。名前を知るってだけで、こんな気がするとか。しかも、鳥って色がきれいだし、羽のツヤ感とか。見てると創作意欲がわいてくる感じ。鳥飼くんほどのめり込む、ってことはないけど、新しい世界を知るって、新鮮で楽しい。

 欲を言うと、やっぱりそういうところに手をつないで行きたいな、とは思うわけだけど…………。

 ……………やっぱり、手………………もうつながないかな?

 隣に鳥飼くんが座ってて、あたしの近くに手をついてる。たぶん、ちょっと手を伸ばすだけで届くと思う。

 鳥飼くんって、手おっきい………指が長いんだよねっ。骨ばってるから余計に長く見えるのかなっ? 血管とかも浮いてるしっ。爪の形とか、いいよねっ?

 ……………つながなかったらいいかな? ちょっとくらい…………彼女だし………。

 近くにあった鳥飼くんの左手の人差し指の爪を、指でこすってみる。

 当たり前だけど、鳥飼くんはそれに気づいてこっちを向いてくれる。

「…………何してるの?」

 何となく恥ずかしくなって、こするのをやめる。

「あ……んと…………手、つなぐのいやって言ってたけど…………このくらいはいいかなっ? て……………ご、ごめんねっ、もうしな…………」

 しない、って言うよりも早く、鳥飼くんが手を引っ込める。

 あーーん。やっぱり、いやだったんだ? 変なことしなきゃよかったっ!

 あたしも、手を引っ込めようとすると、鳥飼くんが手の甲であたしの手の甲を押さえてくる。

「え?」

 な、なにっ?

「こっちなら、そんなに気持ち悪くないと思うから」

 しかも、ちょっとこすこすしてくる………。

 な、なんかっ! こ、これはこれでっ…………う、うれしいんだけどっ、ちょっとじれったいというか…………なんか…………ふつう、こんなさわりかたしない気するし…………余計どきどきするっていうか…………変な気分になっちゃう。

 近くを子どもが走って行って、鳥飼くんが手をどけたけど、どきどきがとまんなかった。

「咲妃ちゃんに触りたくない訳じゃないから」

 ぼそっと、だめおし一一一一一っ!

 そうなんだよねっ。最近、たまに2人のときとか名前で呼んでくるのっ!

 まだまだ慣れないんだからねっ?

 顔あっついっ! あたしも顔見せらんないっ!


 最近、暖かくなってきたようで、まだ風は冷たかったりと、なかなか安定した暖かさではないかもしれませんが、なんとかエアコンをつけなくてもいいくらいの季節にはなってきたように思います。

 そうこうしているとすぐにまたエアコンが必要になってきますが^^;

 何よりも朝起きて明るい、夜帰宅する時間がまだ明るいとかがうれしいです。

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