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第93夜 誰も持ち帰らないし着いていかない

「そんな昔なことは 置いておいて

 ほんとに矢田には 迷惑を掛け続けた 栄子ちゃんと一緒になって解った

 式は迷惑を掛けれない 栄子ちゃんに祝儀だけ持っていて貰う」大円


「栄子ちゃんなら 席を用意するが」


「ダメだ 栄子ちゃんも 由美子さんの世界に行く そんなのが座ったら

 色々 迷惑 涼子さんで 止まってくれれば だったけど

 あまりに焦って悩んで困ってたから 見せちゃったからなぁ」


涼子さんが「矢田 起きてる」と入ってくる


「大円くんも 居るんだ 丁度いいわ 栄子ちゃんが 大円くんを目指す

 これは知ってるわよね 今 由美子さんの指示で 私までで抑えてる」


「涼子さん 今大円に聞いたけど 栄子ちゃんは由美子さんの世界に行く

 涼子さんの先に行く そこに何が問題があるのか 教えて欲しい」矢田


「人の限界の手前が私 由美子さんが人の限界 その先は仏の世界」涼子さん


「そうでもないよ 声を聞けばいい そうすれば助けてくれる」大円


「そんなの 仏様の世界 地獄の上に成り立つ 天界の仏様」涼子さん


「そうなんだ 明日 見てみて」超軽い大円


「そうするわ」涼子さん


二人とも 部屋に戻っていき


一人となった矢田 明日の午後にはバスに乗って 名古屋に戻る

お茶は理解らないが 今の大円を多角度から見ておくのが正解

クソ坊主の戯言ではなく 本気の『仏罰を下す』お墨付きを頂く男の茶

スキー並みに斜め上方向に滑るだろうけどな


涼子さんも 由美子さんに緊急招集の電話を掛けている


翌朝 朝食後 皆で三軒隣の旅館の炉の切ってある部屋に向かう

「まいど 借りるね」軽い大円


「どうぞ 湯も沸かして お菓子もあるから」女将さん


「お茶の お仲間なの?」涼子さん


「違うよ ここ観光協会のえらいさん

 昨シーズンがさ 皆来てくれると思い込んで 遠見をガッツリ抑えたけど

 来てくれたのが 栄子ちゃんと矢田だけ

 土日なんか 俺とマッシモ達の三人

  

 来たはいいけどあぶれた人の緊急受け入れ先で 遠見に来て貰ってたから

 今年も それでの受け入れもしてるから 女将さんも優しい」


そりゃ ペンションを1軒丸ごと一ヶ月とか20日間とか借り切る優良顧客で

ダブルブッキングとか困った時には 部屋を空けてくれる

観光協会のえらいさんなら 此の対応になるわな と一同


栄子ちゃんと涼子さん美香さんが お客として座り 大円は手前座

布巾を畳んだり 棗の位置も 柄杓の位置も クソいい加減


「じゃぁ お湯もいい具合だし 粉も準備できた シャカシャカも行ける

 こんなん? こんなん? こんなん?」

椀を温め シャカシャカも濡らし 布巾で拭き 粉を入れ 湯を入れ シャカシャカ

一つづつ 声を聞きながら


椀の向きは「こっちか」と 「はいどうぞ」と振る舞う


頂いた後 椀を返して 黙り込む栄子ちゃん


同じ様に 涼子さんに振る舞う 黙る涼子さん

美香さんも黙り込む


「間に合った 私にも」と由美子さんが入ってくる


「はい どうぞ」と振る舞う大円


作法はかなりアウトな自由な手前

でも総てが流れるように繋がり 何処にも破綻がない


由美子さんが「私のお茶を」と手前座を変わる


出される 由美子さんの持ち込んだ椀 亭主の由美子さんの置いた位置を無視して

「どっちだ ここか」と頂く大円


「鏡智 頂く位置が間違ってる 正面ではダメ そこから少しずらして」

と栄子ちゃんが言ってくるが


「でも この椀を作った人は ここで飲んでって書き込んでる だから『ここ』」


「はい??」となる三人 と 後で見てる一同


「うちの流派 兄が継ぐはずが 夭逝してな その兄の遺作の椀

 箱の中に 椀の絵と ここで頂く様に との指示書があった

 普通のお作法の ここが正面だから少しずらすではなく 逆の発想だ

 意味不明の裏のありまくる椀だ


 陶芸家でもあった兄がスキルス胃がんで余命三ヶ月 

 余命と技術を全部ぶち込んだ 悪戯の椀

 普通は栄子の言った通り外す位置 レントゲン画像で浮かび上がる文字

 それだと 指示書の位置で 大円くんの位置だ」


「そうなんだ お前 引っ掛けの椀だな」と言いながら椀の拝見をする大円


「なんて描いてあったんですか」栄子ちゃん


「『ここ』 もうあれこれ悩んで 文化財をレントゲン写真で見るってのを見て

 此の椀も撮ってみたら 『ここ』と書いてある 爆笑の悪戯椀」由美子さん


「栄子 大円くんの領域は 此の椀の悪戯を一撃で見抜けないとな

 それと 仏様の教えでパンチパーマにならないといけない

 頂いた茶も 所作・作法はダメだが 流れるような手前で破綻がない

 そして美味しいの一言 湯粉茶筅 総てが調和していた

 私の所で我慢しておきなさい」由美子さん


「あ 『ここ』にカマされた 引っ掛かった ヌケサクと椀に笑われた 

 頂くのに 位置なんか気にするな どこでもいい 美味しく頂けって」大円


ぞっとする由美子さん

兄が今際の際に此の椀を差し出し発した言葉 そのものが 大円の口から出た

流派としては言えない 聞いたのは父と私の二人のみで椀と共に封印された言葉

本気で 万物のことわりと会話している


「そうは言ってもさ 椀にだって 表もあれば裏もある 大体の椀は絵で理解る

 作る人も正面と絵を合わせて 手前座の人が勧める位置を正面として

 そこからずらして頂く こんな カマしてくる椀は珍しいよね

 みんなも由美子さんのお茶を 此の椀だと何処で飲んでもいいらしいから気楽に」


矢田池田にジョルジェット達もヤマハも 皆 困惑してる

茶を頂くハードル 椀の位置に制限がなくなれば 頂く方も負担が減るので

助かるがと言う思いと いいのか言う思いの皆


由美子さんが

「椀にヌケサクと笑われた大円くんの言うとおりで」

と勧めていくので 皆で 並んで頂く 栄子ちゃんも涼子さんも頂く


一通り終わる頃に 女将さんが

「ちょっと速いけどご飯を用意したから 食べてバスに乗れる時間よ」


「頂きますか」栄子ちゃん


「そうしますか」と皆


お昼を頂き ペンション遠見に戻り 矢田と池田と涼子さんはバスへ

栗田さんはパトロールに復帰

由美子さんと栄子ちゃんと三人で コーヒーを頂き雑談タイム


矢田と池田と涼子さんはバスの中で会話


「大円 やっぱりスキー並みに斜め上に行ったな」矢田


「由美子さんが作法はダメだが の前置きはあっても 納得するお点前

 私なんて 三回しか言われてないのに いきなりで 認められる

 挙句に封印の椀を使われ 謎を一撃で見抜く 完全に斜め上」涼子さん


「そりゃ 神様しか出来ない技を 連発するんだ 斜め上に行くだろ」池田


「最終日が見たいな 何処まで行くか 板の選定も進んでるだろうし

 あいつ バイクやダート車と同じで ラスト一本は 全部を込めて滑るだろうし

 日帰りでキツイけど パートさんに任して来るか

 マキシアイスも履いたし チェーンより格段に楽だ」矢田


「私も乗せてきてね」涼子さん


大円達は皆で コーヒーとクッキーを頂きながら リビングでまったりとしながら


「由美子さんて凄いね 人の感覚だけで 湯も粉もシャカシャカも

 調和させて 栄子ちゃんの目標だわ

 俺なんか教えて貰って助けて貰わないと無理だしね」


そんな 万物に教えて貰う助けて貰う方が凄いのだけど と思う栄子ちゃん


上手い 栄子の向きと目標を変えてきた 私を目指すなら人の領域 由美子さん


「栄子は まずは 私を目指す 大円くんを目指す領域にまで達していない

 パンチパーマにも出来てないし 人気者にも成れないな

 人の出来ることを キチンとやること」由美子さん


「今日の由美子さんのお茶 心が揺れていても立て直す 安定感」

 言葉と別の思いが巡る

 『それって神様にも仏様にもそこらじゅうにも担がれカマされる

  ある意味 純真 透き通った心 パンチパーマで人気者って河合くんよね』

  行きたいけど 行きたくないが勝ち始めた 栄子ちゃん


「そりゃ 揺れるわ 兄の悪戯椀 見事に裏の裏まで見抜かれた」由美子さん


「よし 滑って来る マッシモ達も ヤマハワークスも行くよ」

皆で ゲレンデに向かう 


由美子さんは やてみたいと言っていたスノーシューでコブの下まで来た

栄子ちゃんやヤマハと揃って見てる


三人でトレイン 大円だけ技が 一桁違うレベルで 飛んでくる

到着した ヤマハのマーケ担当 2本見て

「マッシモさんかジョルジェットさんで 大円さんはCGと言われる」


そうは言っても 公開ゲレンデ 大円達が飛んでるは皆見ていて噂になっている

まだ数少ないモグラ達が五竜に集まってきていて トレインに混じってくる

「ヤマハの板?」とリフトで隣り合ったモグラ


「そう 試作板 これはねぇ ワークス ジョルジェットのが市販レーサー」


「履いてみたい」モグラ


「下にヤマハワークスが居るから 頼んでみますか」


15人位でトレイン 飛んでいく 5人コケた

下で集まり 「一番おとなしい板の貸出出来る?」


「それ 最初に履いただけ 試乗会をやりますか 持ってきます」ヤマハ


ロガーを交換してると「最初の市販予定とか4タイプで各3本 順番で」

難点は ビンディング LookもMarKerも スライド機能がない

大円・マッシモ・ジョルジェットのブーツのソールが同じサイズの

モグラしか履けない こと


履けたモグラは 年齢 スキー歴 体重などアンケート

連絡先を書いた子には ヤマハからの案内状を出すとの事で皆書いていく


モグラもセンサー山盛りのロガー付きのヤマハを履いて コブで飛んでくる

まだ 技が出来る子が少なく 出来てもイーグルとかヘリコとか簡単なのが多い

着地点がフラットなラストのコブでヘリコとか単発の技は入れてくる


「明日も居る人は 13時半 ここに集合でお願いします

 あと 15時半から 筋力とかの測定も協力願います」ヤマハ


「はいっ??」となるモグラ達


「そんなの 背筋とスクワットでの筋力 これに身長 体重 スキー歴

 出身地 ジモティで小学生から板履いてた 今もスキー場まで5分

 社会人になってから 100日/年 とか 色々なデータが欲しい

 板のロガーデータでは見えてこない 世界がある 協力を」開発の神田さん

  

皆 テストスキーヤーになった カッコいいと思ってくれて「諾」


神田さんも「人外のデータばかりで 市販に活かせない」と溢す


「はいっ?? 人外のデータ?? マッシモの事?」大円


「拙者は ホモサピエンスなので 人です」マッシモ


「マッシモさんは人 あの技ならCMに使える

 コブで技がダブるは当たり前でバックフリップに720度カマして

 計算中ですが距離で60m 上に20mは飛んで30m以上は落下の技

 なのに着地Gがほぼ掛かっていない

 そもそも 此のバーンで四発のダブるの技 ほぼ飛んで降りてくる 人外」


モグラ達も由美子さんと栄子ちゃんも ウンウン と頷く


「え スキーで滑ってれば 滑らないはずなのに」と溢す大円

 

爆笑される大円


ペンションに戻り ビールからスタート

由美子さんに システムを説明してる栄子ちゃん

皆 自分で冷凍庫からジョッキを出してサーバから注ぐ


「今日のツマミは 桜 と レバ刺しに心臓刺し 生肉シリーズ」

そう 此の異世界 コバルト60での殺菌がされた生肉があり食べれるんだ


つまんでビールを呑んで ご飯を食べて 一服中


「まぁ 凄いとは聞いてたけど すっごい」由美子さん凄いしか言ってない


「拙者も 敵わぬ大円なので」マッシモ


「神様しかできない技を連発ですから

 あのバーン滑走距離:500mmで半分は空を飛んでて

 残り半分も滑ってるように見えて コブを蹴ってほぼ接地してない」

 開発の神田さん


由美子さんも 「はぁ〜」と納得して

「神様にも仏様にも 担がれる仲 茶の出来は楽勝だし 作法を覚えれば 

 ダメだな 門下の指導が出来ない 簡単に聞けばいいで済ますだろうし」


「え、指導が出来ないって そうだね 声を聞くだけだよ と言っちゃうだろうし

 皆に助けて貰ってと教えても 現し世の教え鍛えでは無理だろうし」大円


「その通り 現し世の人の出来ることで 教えないと」由美子さん


「こればっかはね パンチにしないと仏様も 無茶 って言うと思う

 無理が主観で無茶が客観 栄子ちゃん無理じゃない 無茶だよ」大円


「でも 鏡智だって『憧れのお局様』も『トイレ』も無茶をした」栄子ちゃん


「『トイレ』は長野親父発 栗田さんも廻りました」とハモるマッシモ夫妻


「真希はノータイムの『憧れのお局様』は『良縁の言葉』だと」笑う由美子さん


栄子ちゃん 考える

『由美子さんまで廻った 鏡智の力技はスキーやバイクと同じで桁違い

 しかも バックには 滑る神様も パンチの仏様も 控えてる

 順を踏むのがきっと正解 由美子さんを目指すと方向を変えよう

 あと河合くんと一度連絡を取らないと』


営業の栗原さんがオーナーと話をしてる

「明日から 女性2名追加でツイン あと部屋も追加で」


神田さんが「なに」と訊くと


「スポーツドクターが来たいって 一般のモグラの基礎体力とか測定したいって」


「あの人筋肉マニア 若い男の子の筋肉が見れると判断して 来るんだ」神田さん


ヤマハ組 爆笑して

「28の美人女医 でも筋肉マニア 誰も持ち帰らないし着いていかない」


「筋肉マニアの看護婦24さんも来るって」栗原さん


「最初に来て 呆れ返って速攻帰った 憧れのお局様がまた来るんだ 楽しみ

 でも俺には栄子ちゃんが居るからね」


憧れのお局様の案件は皆 知っている ここは長野だしと

由美子さんも爆笑 ヤマハも爆笑 


今宵も深けたようで

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