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第90夜 万物の理《ことわり》の声を聞けば 飛べる

上村さんが来る

「乙 ご一行様 板は無事 ペンション遠見に向けて出発しましたよ」

「乙と二人のトイレ経験者で出発しますか」


「奥様は?」


「今は茶のお稽古らしい 

 栄子ちゃんが滑りたいなら モンテビアンコでもティーニュでも

 どこでも行けばいい 


 レースは7戦 4月8日のワンデイで開幕 +四耐前の合宿だけ6月と7月頭にやる

 上村さん 内村さんと連絡とって 日程とコースの抑え よろしく」


「最悪 鈴鹿が取れなければ袋井も有りますから 力技で抑えます

 鈴鹿の3月27〜31日の5日間 5000万 7時間ノンストップ

 請求書は 大円さん処に 届きますからよろしく

 うちの全日本と耐久マシンも行きますから これもよろしく」


「OK 払っておく 鈴鹿が近くて一番いい

 どうしてもととなったら ポール・リカールでもいい

 クリスチャンに押さえさせる 空輸の手配頼んだ」


「やりたい放題 でも 順番は違うけどコーナーは似せてある袋井がいい

 開発拠点に近いし 対応も早く出来る」コースに自信アリな上村さん


「屋上の表彰台でシャンパンファイトは夢なんだ

 藤田と俺の二人だけのチーム藤田 鈴鹿に行く度に屋上へ見に行く 

 藤田といつか此の表彰台の真ん中に立ちたいって

 シャンパンは買ってやるって 約束したんだ 叶わなかったけどな」


「屋上?」


「そうピットの屋上 行く度に屋上で見る表彰台 昨シーズンはスタンド側ばっか

 屋上でやれよ あの表彰台がさ 物理的には近くに行けても絶望的に遠かった

 一回だけ三位でのった でも三位ではジャンパンファイトが出来ない

 持って帰って整備工場で二人でファイトしたら 社長に外でやれと怒られた」


「それが 16″2の頃と」


「藤田が伸びない 18″後半で止まる あせって公道で練習したら捕まった

 68と38に 藤田が果たせなかった あの屋上の表彰台の真ん中に立って貰う


 昔話は ここまで 乙は五竜に向け 出発 上村さんは?」


「四耐も話が付きましたし バイク営業 仕事頑張ってきます」仕事に戻る上村さん


鰺沢さんと真希さんは署に向かい 署長に仲人のお願いをしに行く


栄子ちゃんは、伊仏組と一緒に買った 訪問着を着ているが

帯は半幅帯で カルタ結び

乗せて貰っている時はお太鼓の帯枕は気にならなかったけど

いざ自分で運転となると帯枕が邪魔でしょうがない 背中が痛い


セルシオを運転して由美子さんの家へ

玄関に入り 道行きを脱ぐと


「珍しい長着と帯の結びの組み合わせ とうした」由美子さん


「免許を取ったので 車を買って貰ったのですがセルシオ」栄子ちゃん


「いい車を買って貰ったな」由美子さんの一言に


「大きくて 擦りそうで 小さいかわいい軽が良かったのですが

 鏡智が 此の車は カクカクシカジカな理由で ご説御もっとも

 ありがとうしか言えずで

 挙句 長着で運転してみたら 帯枕で背中が痛くて」栄子ちゃん


「大円くんの思いの詰まった車種選定だ それで カルタか

 確かに運転姿勢から行くと帯枕は背中が痛いし

 銀座 角出し は潰れて みっともない


 湯は沸かしてある 一服 私に」


点て勧めるが 「どうした まるで心がついて行っていない」


「由美子さんが帰った後で カクカクシカジカで  

 『心を開いて 聞けばいい 人気者になれば 皆 助けてくれる』

鏡智に至極簡単に言われて 迷いに迷っています」


「そりゃ 言う方は簡単だわ 万物のことわりの声が聞けるんだ

 それは人ではない 人は人の行けるトコを目指す

 栄子までそっちに行ったら 大円くんが現し世で帰る処が無くなる

 しばらく茶とは離れて 大円くんとスキーでも滑る 一緒に居ることが大事だ」


お茶は禁止と 由美子さんに諭され 

デカイスーパーの旅行センターへ 夜発の五竜行きのバスに向かう栄子ちゃん


栄子ちゃんと入れ違いで 紗弓さんが由美子さんの家に到着


「紗弓は頂いたんだろ どうだった」


「至極 簡単に なにも気負わず さらっと」


「そうだろうな 2日間一緒にいたが影がまるで見えない 人としておかしい

 人気者だ 万物が助けてくれる 行ってみたい境地ではある

 しかし そんなのは人の命がゴミクズの屍の山の上にしか無い

 くぐり続けた地獄の数だけ 命のやり取りの数だけ 声が聞こえる

 それが 仏様の世界 そんなのは無理だ」


「え?」


「五智如来様の居る天上界の下には地獄がある 地獄とは屍の山だろ

 廻りの明王様や四天王だって 戦う仏様だ 

 阿修羅様なんて帰依してすら 戦う仏様だ

 仏法に逆らうものを叩き伏せ 地獄に叩き込む


 そこに平然と通ったと 屍の山の地獄で仏様の教えを受けたと 

 現し世の命なんて そこから見れば輪廻の輪の途中 廻すだけ 軽いものだ

 現し世での悪行をとめ 閻魔太王の法廷に立たすのが救い との言い方も出来る


 その世界観を当たり前とし 尚且つ 平成日本の現し世の価値観を認める

 人として無理がある 世界観がバラバラになる 

 同時に 笑いの基準がズレた世界 地獄でウケても現し世ではスベる 逆もある


 スベるのは栄子も意外とスベってるから良いが

 世界観がバラバラになるまで 進めさせる訳には行かない

 矢田から生い立ちやら色々 聞き出しておいて 二日間見ておいて 良かった

 栄子を止める判断が出来た」


「また 矢田もエライ友達を連れてきて」


「矢田の友達 か 矢田が言うにはそっちの世界観の方が強いが

 栄子とスキーとかバイクで現し世の価値観と折り合いを付けていると

 世界最強の傭兵の一人らしい そっちの世界観なら出来る

 となると 是が非でも 栄子は 平成日本の現し世の価値観でいないといけない」


「また 重い荷物を 涼子か美沙が背負っていれば まだ気が楽なのに」


「涼子とか美沙なら 既に完成されていて その世界観を目指さないし

 荷物を背負わないから 心配が要らない

 永遠に未完成の栄子だから 行きたくなる世界観 

 私の境地までで我慢して貰うしか無い」


「はぁ 由美子さんの境地で我慢ですか」


「涼子までは行くと鍛えていたが上を見てしまった 仕方がない抑え込まないと」


「流派を構える 由美子さんがそこまで」


「そりゃそうだろ ど滑りで底抜けに明るい大円くんの仏様の茶に魅せられた

 仏様とは屍の山の地獄を当然とする存在 そこをくぐり抜け神に祝福された男だ

 栄子もある意味 怪物だ 鍛えただけ成長する 止めないと人から外れる」


「そう言う意味で行くと 栄子ちゃんも20で 由美子さんが止めに入るとか

 その基準で物を言われたら 傍から見るとスベってますね」 


その日の夕方 由美子さん一派の全員に 由美子さんからのお願いが発せられる


「大円くんと栄子夫婦のスキーに付き合ってやってほしい 

 デカイスーパーの旅行センターで予約していけば 費用は大円くん餅

 私が持ってもいい 他の一派も誘って とにかく一緒に五竜に居てやってほしい」


そんな事は知らない大円 今年はヤマハのメンバーに デカイスーパーの一派

色々が来て一緒に滑ってくれる 木に登って椰子の実がイッパイ取れる


難点はヤマハのメンバーはデータ解析とかで一緒に飲みに行けない

板もこれと言うのがまだ無い が 板に合せてコントロールすればどの板もいい

マッシモとジョルジェットは合う板があったみたいだ


第3仕様の”板の”フルパワーで滑れているとの報告が出来て

やっと ヤマハのメンバーと夕食後のペンションのリビングで呑み会が始まる

ボロボロになったOLINとは比較にならない位いいと話し合いが出来た2月末


コブで飛んでたら 後から来る 速い 譲ると 長野親父と友達三人 

直列で並んでる四人の最後尾について トレインかましてコブで飛んでいく

きれいなバックフリップとフロントサマーソルトで五人続いて技を決めていく


「よう 滑ってるか」長野親父


「色々 滑ってます でも スキーで滑るのがいい もう一発」大円


リフトで登ると マッシモとジョルジェットも待っていて

ジョルジェット先頭で 七人でトレイン 殿しんがりは長野親父

パンパン飛んで みなジョルジェットの技に合せて 技を入れていく


このバーンで七人でトレイン 四発の技を入れて 目立つ目立つ

バーンが空いてくる 下に人が集まってきた やっぱ長野親父 凄い

リフトで登っていると 肩のスピーカーマイクから矢田からの入感

バーンの下に到着して 栄子ちゃんと合流したらしい


「今から 長野親父達と七人でトレイン 技を入れて飛ぶよ」と波を飛ばす


「見てるわ」と帰ってきた所で リフト終点 コブの上に七人で並ぶとコースが空く


「拙者から」マッシモが先頭を切ってスタートして 続いていく四発目

マッシモ ダブるヘリコ ジョルジェット コサックと変えてきた

板の力を信じて 伸身のバックフリップに360度を入れていく 高く綺麗に決まる


俺から後の長野親父の友達の三人は チラとしか見えないが同じ技で続いてくる

殿しんがりの長野親父のだけは 下に降りて抜重でクルんと廻って見れた 

高く綺麗で切れがある 流石だ


固まって 今の2本の総評を長野親父達に訊く

「三人共 上手くなってると言うか 助けがあるな その板か」


思いっきり歪ゲージとGセンサー貼りまくりで 踵の後にデータロガー

音叉マークのシールは張ってあるが 白マジックで試作ナンバーの黒い板


ヤマハのメンバーも来て

「動画も撮影しましたから 解析が楽しみです」


矢田と池田と涼子さんと栄子ちゃんも集まって来てくれていて

「すっげぇな スキーで滑るのはOKだ」池田


「バックフリップだけでもアタオカなのに360度まで入れる」涼子さん


「万物のことわりの声を聞けば 飛べる 板も答えてくれる

 マッシモは聞きに行ってるが ジョルジェットは言うこと聞かそうとしている

 もっと 自然体で そうすれば高くキレイに飛べる」長野親父


ロガーの交換が終わり 7人でリフトに乗ると 後が来ない

7人でカッコつけて並んでゴーグルはオデコで立つ

長野親父先頭で 順にゴーグルを嵌めスタートをしてトレインでコブを蹴って行く

同じコブで同じ技 ジョルジェットだけは 技の難度が低いが それでも 飛ぶ

順番を入れ替わりながら ヘロヘロになるまで 飛ぶ


「今年は 去年のツケで 色々忙しい 明日が最終日だ 朝はポールな」


滑り降りながら消えていく 長野親父達 四人


今宵も深けたようで

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