第56夜 見送りご苦労さまでした
サーキットホテルに戻り 栄子ちゃんはキアラと伊語の特訓と女子会
やることがないので 一人ポン酒呑んでいると 来客との電話
ロビーに行くと 藤田が居る
「大円さん お久しぶりです 三河バイクでやってるとの噂を聞いて
3連続12 大円さんの夢が叶いそうですね
年間優勝の掛かった最終戦 超重要なので のこのこ出てきました」
「68も38も頑張った ヤマハの応援も貰えたしな
藤田の時にヤマハワークスまで引っ張れれば 表彰台の真ん中に行けたかもだ」
「それは 俺のタイムでは無理ですよ
それでも大円さんおかげで年間シリーズ6位
端っこですが表彰台にも乗れましたし 美人のピットボードも」
「間瀬で呼んだ20代女性の二人か ピットで浮きまくって藤田はビックライダー
その後フラレたが」
小一時間 藤田と昔話をして
「バイクには乗れてるか?」
「まだ 独身なんで 署長との約束を守ってます」
「そっかぁ それはなぁ 約束だし」
「さて 戻って今から
長い旅に出るので 最終戦の応援は出来ませんが頑張って下さい」
「もう俺のキャブセッターとしての領分は完了したよ マシンは完璧だ
後は ライダーが頑張るのみ 信じて見守る」
「変わってないなぁ レース本番はライダー 昔のまんま
大円さんがピットに居る事が大事です 約束です これだけは守って下さい」
と消えていく
最後に会いに来てくれたんだ
表彰台の真ん中 立たせてやりたかったよなぁ
それより あいつ 最後に断れない約束をさせて 消えやがって
部屋に戻ると パンチの宝生さんが居る
「見送りご苦労さまでした 未練を断って 円魔王の法廷に向かいました」
「藤田は パンチの宝生さんの 手配でここへですか」
「多少のお手伝いをしただけです」
「そうか 藤田 よっぽど年間シリーズ6位と三位の表彰台が嬉しかったんだ
68と38で年間シリーズの13 明日は頑張って貰うしか無いな
パンチの宝生さんがサクッと閻魔太王の法廷へ送って頂けると思っていいですか」
「そこは 任せなさい 寄り道の案内をした責任上 キチンと送ります」
「よろしくお願いします」
「大円くん 貴方には二つの徽章がある
一つは現し世の正規軍の徽章 これは現し世の戦の証 私達は関与しない
私達の曼荼羅の徽章 これは『仏罰』を下し 地獄に叩き込みなさい
との下知との証」
「パンチの宝生さん それは知ってますけど なぜ俺?
現し世の僧籍が 妄語 邪見すぎるのは 身を持って体験しましたが」
「最初は閻魔王を使いに出して 地獄の責苦で 懲らしめようとしましたが
耐え抜き 滑って 教え鍛えを熟してますよね 私達の代理を任せれます
明王や阿修羅にしても 現し世で動く為には 現し世の人の意志が必要
私達は現し世には 間接的にしか関われない
現し世での悪行を止め 閻魔王の法廷に送る 救いを貴方にやって貰います」
「邑楽かなのかスボラなのか その割には邪見のクソ坊主には厳しい
パンチの後光の五人組 でもそこで サラッと「滑って」を入れるのは」
「それはね まず髪型 私達に憧れてのパンチ スキンヘッドが仏門とか巫山戯てる
仏門は頑張れるうちは パンチ アイパーでもロッドでもパンチ」
「滑っての件は 軽く無視しましたね 酷いけど仕方がない
パンチが頑張れなくなったら スキンヘッドですか 米田先生だ」
「そうそう 昔は出来なかったので 許していましたが 今は出来るのにやらない
米田さんも頑張った あれを見て 加藤さん達は仏力で髪を手助けしてます」
「はい??加藤先生と佐藤先生のパンチはそう言う裏が 鈴木先生は?」
「鈴木さんもちょっと手遅れで 細く薄いのです あの髪型が精一杯
もう パンチで頑張ってみえた 米田さんと鈴木さんには 申し訳がなく
大円くんの髪は阿弥陀さんの仏力で長い友達にしてありますのでパンチで行けます
此の件 他所の仏様にバレるとややこしいので 極秘ですよ」
「その極秘って なんでまた」
「そんなの 私達如来はパンチ まぁ螺髪ともいいますが 自陣営の勢力拡大
と言うか パンチが減ってきてるのです 仏像を拝んでは行く
でも 私達への敬いが減っています その証拠にパンチが減ってきている
五智如来への敬いがあれば 髪型はパンチになりますよね」
「俺は パンチの阿弥陀さんに鎌倉に連れて行かれて 人気者になりなさい との
教えを頂いたのですが まだ人気者になれていない」
「そこは 大丈夫 焦らずにやればいいんです
それより諸悪の根源 妄語・邪見のクソ坊主 そのうちもう一回掃除をしましょう
川崎のクソ坊主のトコは 先日 2回目の掃除を して頂いた
他も クソ坊主ばかりで 高僧になればなるほど自分のお金儲けばかり考えている
高級車のリアシートに乗ってふんぞり返り高級料亭へ 上りと勘違いしてる
あれでは信仰の力もなくなり 救える魂も救えない」
「こちらからは仕掛けませんが
仕掛けられて 曼荼羅の徽章が出れば行くとこまで 逝かせて貰います」
「そうです それで良いです」とニッコリするパンチの宝生さん
「あ」と思うが 既にパンチ四人組に囲まれいる
多少の仏力は使えるとは言え 相手は後光が差すパンチ 桁が違う
そんな四人に抑え込まれ 一番後光が強烈な 大日さんの処に連れて行かれる
「華をね ちょっとやってみなさい 声を聞けば何とかなります」パンチの大日さん
無理だとは思うが 華の声を聞き 花瓶の声を聞き 置かれる場所の声を聞き
サクサク 声の通り活けていく
「あ、意外と 華達に 助けて貰えば 格好がつく」
「うんうん なかなか声が聞けてます 次は椀を作りましょう」パンチの阿閦さん
ろくろ台の上に乗った 土と無駄話をしながら 3つ椀を仕上げて
裏に鏡と銘を入れると 爆笑する後光の差すパンチ五人組
「大円くん 此の悪戯椀は?」と訊ねてくるパンチの不空成就さん
「お茶もね 飲む所が難しくて どこでも良ければ 頂くのも楽が出来る
これは見える人は見える どこでもいい」
「あとは私達が ウケ狙いの書でも書いておきます」パンチの阿閦さん
「揃ったようですね」パンチの大日さん
不動明王さんの五人組と帝釈天さん組の五人と阿修羅さんが揃う
阿修羅さんだけは俺のネタで受けてくれた 他の15人は気の毒な子扱い
一番に阿修羅さんのトコへ向かい 挨拶をして
「スキーに行くのにフルオープンで行ったら 朱鷺を見る目で見られ
技をしたらニホンカワウソを見る目に」
と愚痴を溢すと
「オープンカーですよね 暑さと雨以外は 開けるのが基本
キチンとタイヤとか毛皮とかも準備されていて おかしいですね」
阿修羅さんは同意してくれて 色々 愚痴を聞いてくれる
廻りの15人は 気の毒な子 を見る目で見て 離れる
密談が開始され
不動明王「一発目があれでは 私如きでは メンタルが先にやられます」
帝釈天「不動さんと同じ意見です 関わりたくないです」
パンチの大日「そうは言っても 教え鍛えの 見極めは必要
私のお願いでもですか 明王も四天王も同じ意見ですか」
「同じです」と10人の声が揃う
阿弥陀「仕方なし 高校の校則で狩られましたが 私のパンチに憧れて
パンチにした大円くん 私がみます」
『如来様の髪型は パンチではなく螺髪 それは それでおかしい』
不動さん達10人は思うが五智如来様が揃ってパンチと言っているので
声には出さず見守る
10人の後ろから 12人が加わる
「宮毘羅さん どうされました」不動さん
「薬師様が私も如来 パンチなのに呼ばれないのは大日様の意地悪といい出して
乗り込みに行きまいすよ と連れてこられて」宮毘羅大将 強烈に迷惑な顔
「大日様 薬師様と薬師十二神将殿が見分の相手を申し出ました」
押し付ける不動明王と帝釈天
「うんうん 流石私の配下 大日様 五智如来ではありませんが
如来でパンチは同じ 仲間に混ぜて頂きますよ」パンチの薬師さんが現れる
「やっぱり如来様はパンチ!! パンチの薬師さんもカッコいい!!」大円が叫ぶ
パンチの薬師さんも ニヤッとして「私のかっこよさが理解るとは」
「違うって 螺髪なの」と声に出る十二神将の12人
黙って流す 不動明王組に帝釈天組の10人
「あれ 不動さんたちは 流しましたね」と因陀羅大将が尋ねる
「まぁこれからのお楽しみで」押し付け先の12人も来たし他人事になる11人
「それでは十二神将殿の検分を始めます 大円くん全力で行きなさい」
パンチの阿弥陀さんの言葉が終わると 左腕に五智如来の徽章が浮かび上がる
「毘羯羅大将 招住羅大将 怪我をさせないように」宮毘羅大将
『あ 舐めてる ネタでは滑るけど俺らが鍛え上げた 大円
実力はあるから吹き飛ばされるな』11人は離れて見てる
毘羯羅大将 招住羅大将 デコピンで吹き飛び瞬殺される
一斉に対応を変え10人で囲む 宮毘羅大将
真後ろのはずの波夷羅大将が吹き飛ぶ 動いた気配がない
「全力で」と因陀羅大将が叫ぶが その時点で立っているのが
宮毘羅大将と伐折羅大将と因陀羅大将の三人
三神将 一気に動くが わずかに遅れた伐折羅大将が吹き飛び
構わす撃を入れる因陀羅大将 撃を受け止めデコピンで吹き飛ばす
「はい??」となる宮毘羅大将の後ろに立ち 背中に指でトン
「一人は担いで帰る人を残さないと」大円
「ほほう これはこれは 良く鍛え上げた若者で」パンチの薬師さん
「世界観が 地獄に現し世に天界にとぐちゃぐちゃ
更に現し世でも 平和な世界から地獄の実家まで 色々でしてね
挙句に現し世で滑りを教えているのが長野親父さんとかぐちゃぐちゃ
天界では受けますが地獄と現し世では滑るとか 何処かで受けると
同じネタを他でもやって ド滑りとなる 気の毒な子なので
如来までの悟りが開ければ 流せますが 不動さんたちでは厳しい
薬師さんも如来 生暖かい目で 見てあげて下さいね」パンチの大日さん
「ちょっと あまりに滑られると 突っ込んでしまうので」パンチの薬師さん
『最初はそうだよ 突っ込むのに疲れるんだよ』不動さん達10人の思い
「薬師様のツッコミ 期待します」阿修羅
「任せなさい ツッコミの薬師 と言わせてみますよ」パンチの薬師さん
「ツッコミの薬師 カッコいい」大円
「薬師様 華麗なツッコミを見せて頂きたく」と声には出すが
『任そう 俺らは関わらずで行く 利害関係は一致した』と思う不動さん達10人
『まぁ 薬師さんも頑張れ』と思う五智如来一同
ニヤける 薬師如来様 凹んでなんとか戻ってきた十二神将
「今日の検分 薬師さんのマトメでお願いいます」パンチの大日さん
「うちの十二神将を見事に蹴散らしました
十二神将の油断もあったようですが それも相手に力量を見切られない技
よく鍛錬が出来ています」パンチの薬師さんのまとめ
「それでは 現し世に送っていきますね」パンチの阿閦さん
サーキットホテルに戻ると22時 民放のニュース風偏向バラエティ番組の時間だ
早朝に東名阪の下り四日市IC手前で12台が絡み8名死亡の大事故から始まる
藤田の名前もある
あいつ ここに向かっていたんだ
パンチの宝生さんに送られ 迷わずに閻魔太王の法廷に行ける お任せ出来る
やることはやった あすの決勝に全ブリだ
今宵も深けたようで




