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第189夜 鯉を食わしたか

10月20日 金曜日 0500

奥矢作の大円が買い取った山に向かう矢田と大円


昨夜も今朝の出かけにも 嫁さんの千佳から厳重注意があった

「いい 例のお店の案件 大円さんに此方から話してはダメよ

 引っ込んで居てくれてるのなら 有り難い話

 知らないのなら 知らせないことわりがある

 涼子さん曰く『総て正しい事でもトラップにする大円くん』よ

 何方にしても 大円さんから訊かれない限り知らん顔よ」


この意見については 過去からずっと大円が関わると

斜め上方向に飛んで行く or 滑って1000mの滑落

何方かの結果に成る事を経験している矢田も同意しか無い


「大円 今日の山のホントの目的は 栄子ちゃんの件だよな

 来週が予定日 信濃流はその体制に入った

『鏡智に見せる顔がない』と栄子ちゃんは凹んでるそうだ」


「凹まなくていいのに

 え!? 来週出産予定日? 3月末に 妊娠かもと病院に行って

 十月十日で 年末か年明けじゃないのか」


「それ 俺もそう思ってて よく訊いたら【当り】から40週らしい」矢田


「まずい 俺 明日からバス出して佐賀県産の毛皮を買いに行く予定だった

 三穂の会は山原先輩に任せればいい と言うか黙って座ってろ だからいい

 毛皮の専門店での買い物は ケンタに任すか この辺は任せれる」

2軒 電話をして「来なくていいぞ」と両方から言われて凹む大円


「一週間くらい前から 赤子が生まれるのを実感しだして

 父親が大円と思い出してきた 

 でも半年以上の放置も 覚えててと言うか 動画も静止画もあって

 認識するしか無い部屋だしな」矢田


「まぁ 山ほどの動画も静止画もあるだろうから 俺も撮ったし」


「それで 『赤子 赤子を丈夫に産めば大円くんは許す』と

 由美子さんが言ってるらしいのだけど そこは握れてるのか」矢田


「握れている 赤子の力は絶大だよ 母子とも健康に出産すればいい

 赤子の物も 栄子ちゃんの物も 信濃流の経産婦の『おばちゃん』が

 必要と判断した 赤子を産む前後で 欲しかったものは 

 栄子ちゃんに渡してあるアメックスで全部買ってと言ってある


 俺 役立たずだし 経産婦の久美さんと『おばちゃん』達に頼るしか無い」


「おい 『お』は禁句だ」


「由美子さんとこで泊まりで呑んでけ となった時に

 栄子ちゃんが妊娠してるし心配でさ その辺を話をしたら

 由美子さんが経産婦の先輩にを行かすから大丈夫と言われたんだ

 安心して呑んで朝帰ったら 呑んで渡ってもうイッパイ の残骸が多数

 由美子さんと電話を繋げたら

 『許す この件だけは 『お』を使え』との家元の勅命だった

 『この件だけ』は守る 他は封印 『掃除のおばちゃん』は自称だからヨシ!」


『おばちゃんの乱射はしないみたいだから 一安心』の矢田


峠を超えて三河に入り矢作川沿いを北上中に

川魚料理店の看板 鮎・鯉・松茸 あり〼 の文字が並んでいる


「そういやさ 栄子ちゃんが身ごもってから 鯉を食わしたか」矢田


「いや 妊娠前の長野の宴会と五竜のペンション遠見では食べてるけど

 妊娠が確定してから あれだったろ」大円


「止まれ Uターンだ 遅いかもしれんが鯉を食べさせないと

 身ごもった状態で鯉を食べると目が綺麗な子になる との言い伝えだ

 親父の実家 矢田の本家だが 鯉の養殖が盛んな地区でな 

 俺が結婚してから毎月 鯉は要るかと連絡がくる

 このシエラはノーマルだよな 運転変われ 田舎に向かう」

バードゲージは入っいて フルバケ+シュロス 確認しないと 矢田


「悪路用の車だ トルク重視のエンジンとボディ補強はやってある

 足も追従制重視で伸び側 ノンスリは締め上げてある」大円


「案内するから 運転は任せた」NAの再現は嫌な 矢田


 路肩に止めたシエラから 電話して話し込む矢田


「ちょっと待ちだ 手配をして貰っている

 親父の実家で太らせるのいいが どうにも泥臭いのが抜けきらない

 鮎掛けが出来る清流の水で1週間の泥抜きが要るそうで

 ちょうど今通った 川魚料理店が卸先らしい」矢田


「そうなんか 長野の鯉は全然泥臭くないのは そう言う理由なんだ」


矢田 着信 話し込む


「いい知らせだ 鯉こくとか 甘露煮 あらいまで調理済が一式揃う

 ついでに 落ち鮎最終盤の白子抱きと子持ちも あるって

 買いに行って それ持って信濃流に会いに行こう」


「そっか」詳しい矢田に任した大円


川魚料理屋で問題発生

どうも矢田本家の頭領の祖父 千佳ちゃんご懐妊と勘違いしてる

鯉のあらいだけで八匹を捌いていて 鯉こくや甘露煮も大量に有る

五人や六人で食べきれない量 子持ちに白子の鮎も計88匹包まれてる

ハを外さない様に 厳重に指示された量で 全部 矢田祖父持ちで

会計が済んでる との話をする料理店の店主


矢田 携帯の電池がヤバイの店の電話で 頭領の祖父に説明をしていく


「危なかった 後5分遅かったら 本家の頭領の爺さんから親父に

 連絡が行って いろいろ ややこしくなるトコだった」矢田


「ややこしくとは?」


「そんなの 本家の爺さんが先に聞いて 近所に住んでる親父が知らない

 千佳の実家方面も知らない 誰が知らせた しかも誤報 となる

 この手の慶事 親戚関係に連絡するにも順番があるからな

 しかも爺さんの勘違いで 本家が祝いの鯉の手配も全部済ませた

 後始末と怒られるのは俺だ 堪らん」矢田


「流石 親戚付き合いの出来る矢田だ

 勘違いの問題は解決したから金払って シエラに積み込んで

 信濃流へ行こうぜ あそこなら人数も居るし食いきれる

 人数がいなくても場所があるから呼べばいい

 これだけあると残しそうでな 勿体お化けが怖い」大円


「それがさ 本家の頭領の爺さんだろ 一回口から出た 払う をな

 引っ込めてくれなくて 諦めた

 今日の鯉や鮎は 矢田の本家からのお祝い で受けとっておいてくれ

 これも 無理すると拗れて ややこしくなる」矢田


「大変だなぁ ついでに松茸があれば買っていこう」完全他人事の大円


返礼の挨拶とかはこいつには無理だし どうしようと悩むが

やらせると滑るから 自分でやるしかない諦め 鯉と鮎を受取り

松茸もあるだけ買って 積み込んで 信濃流に向かう


奥の奥の離れに 産科の看護婦さんを三交代で二人づつ貼り付けて

24時間 即応体制の信濃流 資金は赤地に白十字のアメックス

ダンスケ銀行の無制限の与信 と 信濃流の看板 の力技


設備で買えるものは全部買おうと無駄にNICU用の保護ベッド一式まで

発注してしまったが それ要るのか 病院に搬送しないと医師も居ないし

医師は産科に麻酔科 新生児科 放射線科 など 全部の医師を

独占すると迷惑なので 産気ついたら病院に担ぎ込むと手筈になった


NICU用の保護ベット一式は信濃流に置かれることもなく

必要とする病院に寄付をして 寄贈 信濃流 の銘板で使われる


矢田と二人でと思ったらお腹の大きな涼子さんと美沙さんも来てくれて

手前の奥の離れで 門下も皆を集めて 食べようとなり

「栄子 大円くんと矢田が 鯉を持ってきてくれた

 赤子の目が綺麗になるように 皆で食べよう」涼子さんが呼びに行く


「矢田の本家からのお祝いの品 身ごもってる三人がメインで食べて」矢田


「栄子ちゃん 元気してた 矢田の本家からのお祝いの品だって

 なにやら 強烈にややこしくなりそうだったけど さすが矢田だ

 収めて ここに来れた 鯉を一緒に食べよう」

半年以上の真っ青さん事件はなかったように まぁ帰ってこればいいと

普通に会話する大円


「あ でも栄子ちゃんは三番目にね 涼子さん 美沙さん 栄子ちゃん

 栄子ちゃんが先に御目出度だけど 後に続いた30まで秒数の少ない順にね」

事実しか言っていないが完全に余分な事を日本語で言ってしまう大円


来てた 久美さんに耳を引っ張られてはなれの縁側に正座させられ

「お世話になった先輩を先にとか もう少し言い方があるでしょ」叱られる


見てた 三人の妊婦さん

「(鏡智|大円くん)らしい」と流して 涼子さんから箸をつけていく


「久美 大円くんだから まともに相手したら日が暮れるよ」美沙さん


「鏡智も食べて 矢田さんの本家のお祝いの品 皆で食べないと」

やらかしたのは自覚してるので 一緒に食べて欲しい 栄子ちゃん


大円と矢田も美久さんも由美子さんも門下生も一緒に食べ始めて

食べきれないと見てお弟子さんや極秘に通っている妹達も呼ぶ 

「こっちの鯉は太いな 五竜の鯉は佐久から運んでたからスリムだ」大円

「それな 好みで喧嘩になるから ヤメとけ」矢田


「ご相伴に預かってから訊くのもなんなんだけど

 なんで栄子ちゃんの御目出度に 矢田の本家からお祝いが届くの

 親父さんなら 大円くんを知ってるし まだ解るのだけど」涼子さん


「カクカクシカジカで爺さんも引っ込みが付かなくて 大変

 大円に親戚付き合いのお返しは無理だし 」矢田


「そう言うことか それなら私が信濃流の名で返礼状は出しておく

 うちの流派の御目出度達が頂いたし 私も頂いた」由美子さん


後から来てた陽子さん達一派も 安心して食べ始める

先の見えない問題が解決して肩の荷が降りてほっとする矢田

食べ切れる人数が集まって勿体ないお化けも出ないと安心する大円


「俺は今日からペントハウスで『病院に搬送した』との電話待ちをして

 廊下の椅子に立ったり座ったり ウロウロ歩いてみたり でいい?」大円


「鏡智の待機は来週からでいいわよ 頑張ると碌な事にならないし

 返って心配になるから 彼女さんとデートでもしてて」栄子ちゃん


「うんそうする」大円


「はい??」大円以外の一同 もう一回「はい??」


「そんなの私の目の前で 仏語で二晩の思い出を下さいとか

 愛人でいいんだよ とか あの娘が年下なら 鏡智の条件はクリア

 私は 真っ青さん真っ青さんとボケボケで 鏡智が来ても会わなかった

 由美子さんは由美子さんで「ひろしさん ひろしさん」と追い込みまで掛けて

 騒いだ挙句に「ヒゲのおじさんはかっこいい」とてのひらクルンだし

 誰かの膝枕がないと鏡智が可愛そう過ぎる」

栄子ちゃん お世話になっているのに 由美子さんを撃ち抜き沈ませる


「その通りだけど 都合 一番悪いのは由美子さん なの」涼子さん


「家元が一人で責任取らないと困る人が多くなります」栄子ちゃん


「そうよね 由美子さんが大円くんに我儘を言って『泊まりで呑んでけ』

 大円くんは身ごもった栄子が心配 経産婦を行かすからと言われ

 安心して由美子さんと呑んだ 翌朝 帰ってきた大円くんの眼前には

 呑んで渡ってもうイッパイの残骸が多数が広がってたし」久美26さん


栄子ちゃんの配慮も関係なく 面で制圧する多弾頭弾で砲撃する久美26さん

あの晩の陽子さんや涼子さん達に「余程」頭に着てた様だ

涼子&美沙さんも陽子さん達一派は直撃で被弾 その場で残骸になった


「それが『お』の使用許可事件か」矢田


「そうそう 経産婦のご指導と聞かされてて 帰ったらそれ

 久美さんのご指導で栄子ちゃんは 安産一直線」大円


大円にお礼と渡されたマーテルXOとリカールのパスティスとマザリン

家に帰ったら 爺婆が赤子を奪っていったので 今晩は旦那と二人♡

フレッシュを色々沢山絞って旦那さんを待ちながら 試飲をしてたら

本格的に呑み始めて 渡ってもうイッパイとマザリンを倒して寝てしまい

『お局様にはならなかったハズ』と旦那さんに言われた事は内緒な久美さん


「鏡智 携帯電話の予備電池だけは沢山持って居てね

 お医者様からは 3日ほど遅れそうだけど 超順調との事だから

 安心して彼女さんの膝で寝てて」栄子ちゃん


「そっか 予定日はいつ?」大円


「来週の金曜日 27日よ」


「明日は 東京の毛皮屋に行って 妹と妹の旦那とでSAGAの毛皮買って

 日と月は 三穂の会で千万町で伊仏のお貴族様の相手をしてくる」大円


「それなら 狐の襟巻きを一つお願いしていい 今のショールだと大きくて

 ミンクだと少し寒いの お任せで」

これに どう反応するか 少し心配な 栄子ちゃん


「いいよ お店の店長に金の佐賀県産の細身で いいのを選んで貰う

 あ、妹からの厳命で英雄さんのお嫁さん予定の彼女さんにも 金の佐賀県産

 オープンカー普及推進委員としては英雄さんのNA購入のお祝いをしないと」


「少し散歩して 横になられる時間です」看護婦Cさん


散歩に行く栄子ちゃん とは言っても信濃流の奥の奥から玄関までの敷地内

300mを6往復 時間を掛けて歩く


奥のはなれ 残った直撃弾から復活した一同


「私がお目出度前に 教えた純金の9人の内の一人?」涼子さん


「オレンジポール旗を出した 宝生様の直弟子の3人の内 一人だろ

 三人とも 単位が危なく留年の危機だ 大円くん何とか

 宝生様のトラップを収めてくれないか」由美子さん


「宝生さんのトラップって 仏語ふらんすごトラップ?」大円


「そう 茶釜や椀を前にすると『もっと自由に』と『仏語』になる」由美子さん


「そんなの簡単 薬師さんがハイッてくれた一式でやればいい

 袱紗も布巾も沢山ある 大学の講義もその一式でやれば 何とかなる

 薬師さんが一等まとも 配下の為に汚名を被れる方だ

 後でダンボールで持ってきたのはダメ 必ずトラップがある」大円


「今日の夕方にも 稽古に来る やらせてみる」由美子さん


「軸の飾り付けから 炭で湯を沸かすから そこを起点にすれば

 薬師さんの世界線に行ける きちんと日本語で袱紗も折れる」大円


「大円 それはそれでトラップがあるんじゃないのか」矢田


「今は宝生さんのトラップの克服をして 単位をとるのを優先

 薬師さんのトラップの事は後で考えよう 酷い事にはならん・・ハズ」大円


「その ・・ハズ 語尾が弱いが」由美子さん


「そんなの 如来様の品だよ 何があるかは本人が使ってみないと解らない

 なので 一番真面目 常識がある 薬師さんの一式でやるのが無難だよ

 宝生さんはNo2トラッパー ダンボール箱の中にはNo1のもきっと入ってる

 あの品達しなたちは 平常心と向上心と饗す心で使わないと やらかす

 まぁしょぼいと感じれないし よこしまな心だと持てないほど重くなるから

 そんな心配は要らないけどね」大円


ふと思う由美子さん

『阿弥陀様はパンチで座り込みと担いで 河合くんが実行して奈良もやりきった

 宝生様は仏語ふらんすご五智如来さまはトラップだらけ

 でも 薬師様も「ちっ」と言ってたし あれ? あのお墨付き

 宝生様が先頭で薬師三尊も続いてた』


「大円くん あの時の教え鍛え 宝生様と薬師三尊様でお墨付きが出てる

 薬師様もローマ字併記の署名 同じ枠では」由美子さん


「心配要らないよ 薬師様の配下の十二神将様はマトモだ 親分もきっとマトモ

 余ってるようなので私もご同伴に預かりますか」奥の奥の主の旦那さんが北


今宵も深けたようで

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