第173夜 最終戦は SUGOだし 映画みたいに
磐田への移動中の上村号の中
上村さんと密談をして彼女さんがアーチェリー開発部の人と再確認をする三穂
バッグから古いメモ帳を出して あちこちに何度も電話して番号を訊きながら
お目当ての女性の携帯に繋がり 話し込む
「英雄さん 大丈夫まかして 言い訳は私がするから」三穂
「そんな20代になったばかりの娘に」英雄さん
「私では約立たず 重々承知しています でも 応援を頼める繋がりがある
知ってる方の後輩だと思うので救援を求めて 応援も了解して貰いました」
アーチェリー開発部 兄貴様の高校三年間 いつも開発の人と来ていた女性が居た
その伊織さんに救援を求めてある
伊織さんから 後輩の玲奈さんも連絡して貰って来てくれるらしい
伊織さんも 玲奈さんも 兄貴様を知っているし 兄貴様より3倍はマシと握った
「アーチェリー開発部 歴代お局様 この縦の繋がりに頼りました
兄貴様が高校の頃 納品や引取に来てくれてた 伊織さん
12年前当時で成人式で振り袖を着たと言っていたから いま32から33
彼女さんともラップしてるはず 更に4つ下の玲奈さんも救援に着てくれると」
「そうか 大円のアーチェリー開発でも ワンオフの山らしいからな
どのみち大円以外 マシン以外誰も引けない弓だし 女性の納品引取が好印象
そこで 妹さんと繋がりが出来てたんだ」上村さん
「お世話になりっぱなしで またゴタゴタに巻き込んで
呑めれるなら このマーテルをと兄貴様の車から一箱パクってきました
VSOPですが 兄貴様のとっておきの酒は美味しいトラップで次の日が大変
美味しくても止めれるお酒で このクラスに変えてきてます」
掛かってくる電話
「はい 三穂です え、ワンオフでも何でもヤッて頂けると
はい有難うございます」
「38さんから 小さな巨人のお爺さんに フルバックアップの依頼をして
OKの連絡 仲直りが出来たら店でお揃いのを誂えると」
「英雄 三河バイクWith軍団&信濃流+リカールのフルバックアップだ
でも どうやって切り出そうか」上村さん
磐田ICを降りて 国一方面に南下して 喫茶店に入り伊織さん&玲奈さんと合流
「家に上げて貰えたら 正座で黙ってる 私達から話をします」伊織さん
配膳されたコーヒーを一気飲みして 2台で彼女さんの家に向かう
玄関の敷居を跨ぐのは 伊織さん&玲奈さん先頭で英雄さんはついていくが
玄関で正座と 伊織さんに申し付けられ 正座
扉が空いていて 正座の英雄さんの後ろ姿が見える
「兄貴様関係で 正座は見てきたけど 世界の英雄 私生道の英雄 の正座
めったに見れないものが今見れてますね」三穂
「そうでもないぞ YAMAHAに来る前は よく正座を喰らってたらしい」上村さん
また電話が掛かり 兄貴様だ
鈴鹿での検証実験によると 酷い有様で 彼女さんが帰って当然の結果だったと
しばらく見てると 立って奥に向かうが よろけてる
「あれは 精神的ダメージor足がしびれた どっちなのか」三穂
「両方だと思う 手招きされてる 俺達も行こう」上村さんと入っていく
「彼氏さんの方は この件 鈴鹿でしこたま説教されてるんでしょ
浮気とかでもないし もう一度 一緒にツーリングから」玲奈さん
「玲奈 それは無理 住んでるスピード領域が違いすぎる
彼氏さんのが乗ってるのはバイクではなくマシン 化け物マシン
風を感じてなら 四輪のオープンカーでドライブがいい」伊織さん
「それダメ 9月とは言えUVはバリ 肌が一気に逝く カバーしても漏れが出て
項の日焼けでの火傷とか目も当てられない 屋根のある車で」三穂
「はい???」アーチェリー三人組
「速い車が要る事情がありまして兄貴様に イカサマフルチューンのNAを借りて
この夏乗ってました 気がつけば この有様で」
シャツをはだけると白い肌 首の辺に段差がある
「これでもUVケアのアネッサ スキンケアもまだ21なのにリバイタルを
デイもナイトもパックも夜専用のクリームもフルセットで使っています」三穂
沈黙するアーチェリー三人組 特にお局様が視界入っている彼女さんは目が点
「兄貴様のご友人のスキンケア池田の池田代表の指導を受けてましたが
愚痴が酷く 足が遠のいて 市販品にして オープン
私からの言えることは 屋根のある車でエアコン」三穂
「そっか バイクだとフルフェイス 首周りも囲う
日焼けだけで行くと オープンのが酷いのか」玲奈さん
「アネッサを使ってても そんなに」伊織さん
「アネッサ 付いてるうちはいいです 汗をかく 濡れタオルで拭く
一撃でどっかに行きます そもそもアネッサ 2時間おきに塗布が必要
オープンでドライブ 楽しんでると 忘れてしまってこのザマ
兄貴様たちの結論はオープンの季節は 冬 そもそもUVが少ない
UVケアの乳液やアネッサでカバーが出来て それも何処にも行かない
寒さは服や毛皮の襟巻きとヒーターでなんとでもなる らしいです」三穂
「英雄 お前 車は?」上村さん
「ロードスターの納車待ち」英雄さん
「それは 横に置いて一人で乗る 兄貴様のとこにセドグロクラウン 山ほどある
1台持っていって 彼女さんとは 屋根のある車で 冬になったらオープンで
ギアは小さな巨人のお爺さん 兄貴様 オープン普及委員会所属 入門祝に
佐賀県産の最高品質の銀狐の襟巻きを贈らせます」三穂
もう オイルが飛んで とかの話は何処かに行き 女性陣三人 全員20代後半以上
21の三穂の日焼けの跡で背筋が凍りついてる
「朝香 彼氏さんには強力なバックアップ態勢がある やらかしてもリカバリ
この態勢を敷けている 友人関係が強力と見たほうがいい 女関係でやらかしたら
これが逆転する 本人もそれは理解っているし やらかす気もない いい男だし
ニ回や三回のやらかしは見逃して お付き合いが正解だと思う」玲奈さん
「今回のやらかしは女慣れしてないからだと思う
女慣れしたイケメンは手に負えない 素直に謝りに来たし 手を打て」伊織さん
「先輩方から見ても ド外しではないと」彼女さん 改め 朝香さん
「バックアップ態勢まで含めれば 大当たりだ」伊織&玲奈組
「一安心 朝香さん 英雄さんをよろしく
上村さん 磐田のトレーニングセンターの筋肉女医29さんのとこへ」三穂
「どうして?」アーチェリー三人組
「ぽっちゃり の解消です」言い残して 上村さんとセンターに向かう三穂
「あれでぽっちゃり? 他は 他のメンバーは 英雄さんは見てるんでしょ」朝香
「スリムビューティー 4耐でキスした二人に膝枕 あれが基準らしい」英雄さん
「あれと比べるのは自殺行為 動画と写真で見たけど節制と鍛錬の固まり」伊織さん
「英雄さんの基準は?」朝香さん
「朝香さんが ぽちゃ 俺の好みのド真ん中 美穂さんの基準とは違う」
『ぽちゃ』と言ってしまい 思いっきり地雷を踏んでるけど気が付かない英雄さん
お局様を卒業してる伊織さんと玲奈さん
『地雷踏んでるけど 気が付かない イケメンだけどフラレるわ』
「朝香 掘り出し物の大当たりだ 呑み込んでおけ」伊織さん
「私達は アテられる前に帰る 久しぶりなので昔の居酒屋でビールでも」玲奈さん
「行きますか 車は置かして貰えばいいしな」出ていく二人
玄関に 伊織さんと玲奈さんへ と書かれたダンボール箱
開けて見てみるとマーテルが半ダース入っている
「このマーテルも21の小娘が用意 してる訳じゃないわよね
サクッと用意できる 仲間が居るわけだ 朝香 いい婿になって貰え」玲奈さん
見送る朝香さん
『イケメンだし 次が来るから余裕であの2Stだと思ってたけど 反対だったんだ
あの2Stでフラれ続けて なんとかなりそうで ぽちゃ と言って仕舞う
挙句 車はロードスターを選ぶ ダメ男候 しかたがない私が引き受けるかぁ』
其の日は朝香さんの家に泊まる英雄さん 革ツナギで着てて 荷物は鈴鹿に
朝香さん ダッシュで下着とかを買ってきて 風呂に入れて 朝香父の浴衣を着せる
背が高いので身丈が足りずバカボン 朝香さんもワザと胸あたりで帯を巻く
朝香家の四人と バカボン浴衣で 朝香母の作る すき焼きを食べて
色々で 疲れ切って 酒も呑めずに 布団を引いて貰い寝てしまう英雄さん
朝食を頂いてる英雄さんに
「上村さんの 鈍い の意味を噛み締めました そこを織り込んでのお付き合いで
10月結納 GP500最終戦のSUGOで勝って 式 を目指しましょう」朝香さん
一応 GP500国内なら無敵 ヤバイのは38と73 大円が後ろにいる
ライセンス無理くり通して 最終戦に出てこられるとバトルになる
「頑張って 勝ってピットロードへ戻ってきます
ウエディングドレスで待ってて下さい」言い切った英雄さん
「お待ちします」朝香さん
上村さんが迎えに来て
「来週 きちんとした服で 屋根のある車で ご挨拶に着ますので」
かなりな発言をカマして 横で英雄さんが真下を向いて 朝香さん爆笑で
鈴鹿に向けて 出発していく
お昼すぎに鈴鹿到着 TT-F3組に不穏な空気
三河バイクには行きたくないので 岩田さんのRT幸田のピットへ行く英雄さん
RT幸田のメンバーは英雄さん!! と大歓迎でコーヒーとか出してくれる
ゆっくりしてると 午後のGP250の予選1組が終わる
三河バイク 68と38と73 12″9と13″0と13″0 四位の浜松SC 18″3
「GP250もか」岩田さん
「もかって?」
「前半戦から 三河バイクが離れすぎてて危ないって それもライセンをズル
昇格要件を満たしてるに 未申請で昇格せずで 4耐優勝に8耐優勝
いやもう 全日本に行け というのが 地区戦での声でな」岩田さん
タワーから放送がはいる
「TT-F3 GP250 緊急の監督会議を行います
監督登録された監督は全員参加でお願いします」
「あ〜68君がTT-F3のFZR 13″9 全日本のGP250 並だし
GP250だと三人とも全日本より速い 地区戦にエントリーは困るわ
会議に行ってくる 大円くんも呼んで行くぞ チーム藤田の監督だ」
中部地区 地区戦役員の竹内さんが前に立つ
「集まって貰ったのは 速すぎる子の件と ゼッケン48の幽霊の件
まず 簡単な方から 大円君 藤田くんの幽霊をなんとかするように
マーシャルは諦めたようだが コースに出る幽霊は銀の四輪だけでいい
筑波かMINEか何処かに 行って貰ってくれ」散々な言いようの竹内さん
「先月 イタリアに連れて行って その後 フランスに置いてきました
なので 半年は向こうですので 鈴鹿には出ません」
よかったぁぁぁ フランスに置いてきて ジャンヌ頑張れと思う 大円
「そうか 藤田くんもフランス語が行けたな 向こうでずっと頑張ってくれと
地区戦役員会から 電報打っとくから あとで送り先教えてな」
これまた 帰ってくるな と遠回しに言う 鈴田さん
「MFJからも 打ちますので」MFJの鬼頭さん ご隠居のお孫さん
「藤田くんの幽霊は大円くんが頑張って片付けてくれたが 問題児の三人について
地区戦役員会としては 満場一致で年度途中だけど 三人ともIA特別昇格の推薦
これは 全国 地区戦連合会で握っている 他地区も地区戦で来られても困るとな
ここのGP250とTT-F3の全エントラントでの承認が欲しい」竹内さん
「そんなの 全日本としても迷惑 GP500に着て貰っては困る」英雄さん
「はい?」全エントラント 「なぜに?」
「今年は勝たないといけない いまの全日本のエントラントメンバーなら勝てる
勝って ピット前で待つウエディングドレスの花嫁の処に行くんだよ」
水を撃ったような静寂
「英雄くん 30まで立直 奥さん予定もお局様まで立直」上村さん
「理解りました どうせ来年はEWC YZFもある TT-F1の全日本へ」西谷さん
「38と73はそれでいい 店がある68がかわいそうだ 走れない」大円
「そうでもない TT-F1の後半戦は 鈴鹿とSUGOと筑波の三戦
交通の便はいい スポーツ走行のないEWCと思ってフリープラクティスから
これなら金曜の夜出て 日曜の夜帰ってこれる SUGOなんて朝イチの飛行機で
間に合う便の良さだ」 どうしてもTT-F1へ行かせたいとの思いが出る英雄さん
「そこは理解りましたが 明日の決勝は? 出場OKしかいいたくない」大円
「いいです 10″以上の差がある 突っ込むのも怖いのでDNCで」38
「しかたないです ズルしたのもありますし でも73だけは走らせたい」68
「そうです 73 地区戦の全戦参戦すら出来ていない」38
「あれ 一応 予選落ちを含めて昨シーズン全戦エントリーしてるよ」竹内さん
「ちっ リザルトは向こうが持ってる」68
「いきなりのIAでのGP500の全日本 不安があるのですが」73が行った瞬間
英雄さんの蹴りが73に入る 連発で38にも入る
「お前ら今年は絶対に全日本GP500には来るな 俺の結婚が掛かってる」
鬼迫の英雄さん
「かなり複雑な状況 西谷さんYZFは3台用意出来ますか それ次第でTT-F1へ」68
「用意する その為の 節制と鍛錬 任せろ」西谷さん
一番喜んだのは 英雄さん
「以上で会議は修了です 三人はタワーのMFJの事務局で特別推薦の書類に
サインして 必ずサインしてピットに戻るように」地区戦役員の竹内さん
「俺がついていってサインさせるわ」内村さん
「久しぶりに来たら 偉いことに」OBの遠藤さん 去年の初戦以来の鈴鹿
ピットに戻ると 内村さんからピットのメンバー全員に 状況説明
「しかたないって 無理くり8耐に出て勝ったんだし」73
「そうかもな 8耐の暫定表彰で膝枕で寝たやつが居るし」68
「挙句に表彰台の天辺で惚気けるし」38
「上村さん 英雄さんの結婚がどうのとは」話を変える73
「聞いた通り GP500の年間と最終戦のウイナーで 花嫁の待つピットへ
大見得を切ってきた」上村さん
ざわつくピット
「映画ならコケても優勝 でも現実はコケたら終わり ブローして終わった8耐」73
「GP500の最終戦は SUGOだし 映画みたいに」38
誰も話せない 言葉が出なくなる
今宵も深けたようで