第165夜 もういいぞ 自己紹介しとけ
「でもさぁ 三穂さん 実績で語ったよね
千万町で往復30km弱のトライアル 朝5時からMax18本を熟してるとか
鈴鹿の40分✕7枠で2′14″で18周回は私でも行けたから頑張ればいけるとか
下々の俺には想像もつかない世界を熟してる女
耐久レーサーだよ」裕太
「そうだね 四輪の耐久レーサーだね」73がサクッと同意する
「そっか」と38
大円 どうしようかと悩むと
「288GTOで耐久ですか ちょっと厳しい」モデナのマネージャーのルイージ
大円 ロレンツォに投げるを選択して「旦那の判断で決めてくれ」
「メディチの嫁に混走のレースは無理だ タイムアタックのトライアラーまでだ
俺も自転車では我慢している 嫁も少し我慢して貰う」ロレンツォ
巧い 回避をしてきた
「まぁいい サンマリノ・サーキットでは三穂に負けた
1500 ちょっと速いが 酒と肴と インストの音楽を掛けて 酒宴としよう
どうだ 反対意見があれば 1′40″を切ってから言ってくれ」大円
40′′を切っている大円の提案 自分のタイムを基準で切ってきている
三穂は酒宴に賛成 38も73も酒宴に賛成しないとと奥さんの顔を見て決める
40″の内容とは 丸く納めろと大円は言っている
「美味しいイタリアンで」真美ちゃん
「食べ過ぎは ダメよ」貴子さん
「そうよね 食べすぎないように」敏江28さん
この三人の意見で ひと波乱も起こさず 総て押し流して 酒宴の準備が始まる
「あれ？ レーモンとユーグが先頭で6人が来るな
ジャンヌと裕太と心太と10代候は渋い顔をしてる」YAMAHA組
「訊きたい 同じTT-F3のハズ 20′′以上も離された マシンの何が違う？」ユーグ
「Montjuichと同じタイムとか スリックだし マシンがズル」レーモン
この一言で妹のジャンヌと10代候の二人が一気に下を向く
裕太と心太 NC30もいいマシンで 53′′まで行けてMontjuichよりタイムが出てる
『止めたのに』との 物凄い渋い表情になってる四人
「どうすればいい」73と38
「FZRに乗らせて欲しい そのマシンならタイムも叩き出せる」レーモンとユーグ
「それは止めたほうがいい FZRはモロのライバルメーカのマシンだ 貸せない
うちのMontjuichも38”を出してる 3台持ち込んでいる これなら貸せる」マルコ
「いいぞ YAMAHAの営業活動だ 上村さんも許してくれる
このコースで耐久をやって38′′台をキープ出来るマシンとはこう言うマシンだと
顧客になれる御曹司のライダーに試乗をして貰い体験をして貰おう
日が落ちるまで2時間分のタイヤも残ってる 今のGSX-RとZXのタイムを」大円
今まで気の毒で誰も触れなかった タイムを自分で言わされるレーモンとユーグ
「2′03″2」レーモン
「2′01″9」ユーグ
「ジャックとクリスがポジションセットをしてくれる ピットへどうぞ」大円
ジャックとクリスと向かう二人
「あのマシン 耐久用で乗り易いとは言っても 比較対象がキャブセットは俺のTZ
パワーも足もいい が かなりシビア詰めてある ヘボが乗るとタイムが出ない
まだ市販車のMontjuichの方がタイムが出しやすい」大円
「NC30も仏向けフルパワー仕様の軽量化だけでセミスリック 狙いは」裕太
「海苔易さ優先でしょう 去年の開幕の時の俺みたいなヘボは
パワーよりも海苔易さがないとタイムが出なかった そこを乗り越えてパワーへ
タイヤだってスリックだとグリップしてるうちはいいけど
超すといきなり滑る セミスリックもその卦はあるけどまだズルっとがある
スリックだと、いきなりRrが滑る分にはアクセルを戻して抑え込むで対応できる
Frが滑ったらソレ以上にRrを振り出して辻褄を合わせる 対応できないとコケる」
かなり上からの 説明をする73
「クリスチャンというリカール家の御曹司が居てな 能書きは立派だけどタイム出ず
仲間が居なくて寂しい思いをしてるから あの二人に仲間になって貰らう」大円
しゃがみこんだジャンヌと10代候のジル
「どうしたの 大丈夫」明奈
「兄さん GSX-R750RのTT-F1 Yoshimura MOTUL Suzukiが
俺には似合うとの能書きを垂れ流して 流石に危ないと皆でとめて
ノーマルのGSX-R750R-SPを乗り熟してからと説得したら
ノーマルとかショボいとまた能書きを垂れた挙句に R750R-SPに跨って
うちのコースでチャレンジした結果 アクセルをまるで開けられず
TT-F3にクラスダウンしても 仏向けのフルパワー仕様のGSX-Rだと
パワーが扱えなくて MOTULの人が見ていられない 怪我をする前にと
本人には内緒で日本仕様の59psに変更してなんとか乗れている状態
同じ仕様の私より13″も遅く 2′を切れない」ジャンヌ
「うちの坊っちゃんも ほぼ同じコースをトレースしてます
マシンがZXR750R→ZXのフルパワー→ZXの日本仕様の違いだけです」ジル
裕太と心太 二人共 自分を振り返って「能書きは垂れたらダメだ」
「そうなの 明日も一日の専有 40分✕7枠 がある 練習すればいい
私はブローさせてマシンがないから この街をロレンツォと観光で歩く
38さんと73さんもね 奥さんと観光で歩こうね」三穂
「バラけたいけど 仏語しか キアラさんと一緒に」FZR組
キアラ大人気 結局キアラが 旗を持って 添乗員となる
「俺達もキアラさんと・・はい練習します」観光と言い掛けて練習になる裕太
「ジャンヌさんについて行けるように 頑張りなさい」典子
「そうそう 最高のマシンとコース 最速ではないけど目標のライダー
コース解説と引っ張りは 藤田さんの幽霊にしっかりやって貰った
練習環境は揃った 頑張れ 裕太くんに心太くん」ニッコリの三穂
「うちは バラけて二人で行くから」典子と明奈 伊語が行ける
大円もルイも「Tak」一択
ピットロードに出る 2台の三河バイクWith軍団＆信濃流カラーのFZRを見て
「コケてもいいけど 怪我だけはないように」73 皆思うことは同じ
「せっかくの今年の鈴鹿8耐優勝マシンのフルレプリカのFZR
兄さんコケないでね コケて傷つけたら申し訳が立たない」ジャンヌ
「もういいぞ 自己紹介しとけ」大円
「そういや 二人共 素性を隠したまま タイムを見てから自己紹介 慎重だ
あの警戒システムは俺らも採用しよう」心太
「しかも能書きは一切言わず 天上人 更に上を見てるから」裕太
「ジャンヌさん 反対だよ 8耐優勝のYZFが4耐優勝のFZRのレプリカ
三河バイクWith軍団＆信濃流カラーのFZR 同じ仕様を3台作って三人で練習して
一番いいのを4耐に投入して4耐を優勝してきた そのスペアマシンの2台」38
「はい？？ 本物？？ そのマシンを用意できて乗りこなすライダー？」ジャンヌ
「三河バイクWith軍団＆信濃流 第3ライダー 白子レーシングの73です」
「FZRで4耐の表彰台の天辺に立った 三河バイクWith軍団＆信濃流の38です」
「そんな貴重なマシン コケて兄さんの怪我はいいけどマシンに傷はダメ」ジャンヌ
「血が繋がっている妹だと やっぱり兄には厳しい対応になるんだ」裕太
「いいんじゃない 優勝した個体はコミュニケーションプラザに飾ってある
怪我さえしなけりゃいい」大円
「俺のギア一式も飾られてるらしい 真美 帰ったら見に行こう」38
「今日の食事のお礼にジャンヌさんを日本へご招待しますか
ミュニケーションプラザを案内して 飾ってあるギア一式とマシンを見て貰って
これが俺達が鈴鹿で優勝した時の奴 こっちがその年のパラソルのウエアと紹介
小布施で栗鹿の子と寺泊で魚の串焼きを食べて間瀬のコースを案内 どう？」
意識せずにジャック先生直伝の仏語で口説く事になっているが デートコースは
地区戦で行く間瀬サーキットへの道でしか無い 鈴鹿を外すと間瀬となる 73
「デートコースになっていない 自慢が多いしバイクばかり」と宣う大円
「73 デートコースも貴子さんにお任せ ツケが回ったな」38
『他人事みたいに上から言ってるけど、貴方もどんぐりだわ』と思う真美ちゃん
『奥さんの前で堂々と、心太父みたいだけど コースが酷い』裕太と心太
三穂と明奈は真美ちゃんにコースの意味を聞いて「ひっどいわ」となる
「ちょっとコース取りの再履修が要るな」ジャックが後ろに居て、落第判定を下す
一般の女性だとジャックの判定通りの即却下と日本人組は一致したなのだが
TT-F3で走っているジャンヌにはドンズバリのコース 仏人男性の口説きや褒めには
慣れてはいるけど 鈴鹿の4耐の優勝メンバーのお誘い 本気にしちゃうジャンヌ
でも誰もが、そんな事は無いと高をくくったまま 流れていく 機雷が流れ出す
「へぼの甘辛煮は美味しいが ヘボいライダーは怪我だけ無いように祈って
酒宴を始めようぜ 今年の鈴鹿4耐の優勝ライダーとスペアが来てくれたんだ
贔屓のメーカーはおいておいて 歓待しよう」大円
「あと30分待って デリバリーで店を出てこっちに向かってる」マッシモ
「うちも15待ちで」メディチ家の執事の人
「ギアを脱いで ラフな格好に 浴衣を用意して貰ってる 着替えを」大円
シャワーを借りて 日本人組とロレンツォは浴衣に着替えてパドックに戻ると
デリバリーのバンが到着して酒宴の準備中 お貴族様達は座って何かを見つめている
目線の先には 正座をしている二人 欧州でも正座が一般化したようだ
「今年の鈴鹿4耐の優勝マシンのスペア 世界に3台の貴重なマシンでコケて！！
傷だらけにして！！」ジャンヌにド叱られている レーモンとユーグ
二人共 コースイン直後のタイヤが温まる前に ターン③の出口でガバッと
開けすぎてRrから滑ってコケたのでスピードも乗っていなく打ち身程度で
酷い怪我はない マシンも擦り傷だけで済んだ
でもその擦り傷が 三河バイクWith軍団＆信濃流 のカラーリングについたのが
ジャンヌの逆鱗に触れているようで コンコンと説教が続く
「同じカラーリングの予備カウルもありますから そこまで怒らなくても
とにかくコケて酷い怪我がなくてよかった」仲裁に入る73
「73さんに言われては レーモン兄さんもユーグさんも ヘボいとのご自覚を
幽霊さんに聞きました格言では
『コース上は 男も女も幽霊も属性は関係ない タイムと順位が総て』との事
私のタイムより10″以上遅いタイム 私の説教を聞いて頂きます
この先は リカールのクリスチャンさんと同じ枠になります」ジャンヌ
それは嫌な二人だけど FZRに乗ればタイムは出せると能書きを垂れてしまった
FZRに乗ってもパワーを扱えなくタイムが出るどころか マトモに走る事すら出来ず
コケて終わった 能書きが先行してしまって 下を向くしか無い
「椅子に 頑張って走ってもブローもコースアウトもある そう言う世界だ」三穂
最速のタイムを叩き出した三穂に言われると黙って従う一同 ここまでは良かった
貴子さんー73ージャンヌ この並びで座った 機雷発覚
明奈 大円はこの処ずっと仏語 普通に仏語 日本語よりネイティブ
この場に座らさせておくと 仏語でも余分な事を言ってしまい滑落していき
巻き込まれての被害が見えて 大円を引き摺ってピットまで退避させて距離を取る
隣に38と真美ちゃんも居る
「俺の ポール・リカールはヌケサクだけど純粋にバイクだけだから」38
「73さん よりはマシ でも注意してね」真美ちゃん
『やっぱりね こう言う女が出てくる 明奈ちゃんだって 嫁が逃げたから今がある
私は姉さん女房 許すだけど せめて戦って貰わないと』貴子さんの思い
真美ちゃんに『まだボヤレベル 消火してきなさい』と言われ渋々戻った 38
「ジャンヌは鈴鹿8耐の表彰を見てないのか 衛星系で生放送したはずだが」
「ライブで見れなかったので 録画テープもレーモン兄さんの映画で潰され
三河バイクWith軍団＆信濃流カラーのYZFの走行シーンを見ただけで」ジャンヌ
「俺の8耐の表彰台の天辺でのインタビューを再現するな
『うちの相棒の73が グリッドのど真ん中で膝枕との大技
あの後で キスとの小枝をくり出してもショボい なのでナシ』
その暫定表彰のグリッドのど真ん中で膝を用意した女性が貴子さん
ジャンヌの隣の73が膝枕された映像が世界に配信された 以上」38
「はい？ 8耐？ 先程は4耐と FZRもTT-F3のマシン」ジャンヌ
「鈴鹿8耐 4耐優勝枠の特別推薦で8耐参戦 ゼッケン00のYZFを用意して貰って
202周回を先頭で廻って優勝してきての ご褒美の欧州旅行
来年からサロンさんと組んで 三人でEWCを戦うから 応援してね」73＆38
世界のバイクの4大メーカの地元の日本 時間は短いが意地がぶつかり合う鈴鹿8耐
今目の前に居る二人は8耐の勝者のペア 更に来年のEWCへの参戦を明言した
びっくりし過ぎて「はい 応援します」しか言えないジャンヌ
「脱走は酷くないですか」73
「そもそも ジャック先生の教えでの 何も考えず口説きに行った73が悪いんだし
大円さんはこの手の事は苦手だ 返って火に油の可能性が高い
73も仏語での自然すぎる口説き 気をつけろよ」38
「せめてこの夕食だけは この並びで」ジャンヌ
「どうぞ 頂きましょう」貴子さん
ピットの隅で見ていて 問題は解消されたと戻ってくる明奈と大円
「3チーム6台のライダーは酒を呑まない 明日に響く その他は自己判断で
それでは ルイの実家のワインで 乾杯だ 典子 任せた」三穂
「注がれましたか 私とルイの婚約に 乾杯」典子 サクッと入れてくる
伊仏の有力なお貴族様7家の前での 婚約の宣言の乾杯 事実上横槍は不可能
しかも大円鏡智＆三穂の超強力な兄妹と8耐優勝ペアが全面的に認めている
「もう一杯の乾杯を 私貴子と73の式は新年早々 祈念して 乾杯」貴子さん
「なに 今の乾杯は？」明奈には聞けないので38に訊く大円
「私の男の宣言 釘刺しです 73はナチュラルに口説く 出てくる女も居る」
「そうなんだ 俺はそんな経験がないし 73は大変だ」と宣う大円
「丸く収まったみたいなので 食事とお酒で」
大円さんパンチだし 一般の女性にはモテないけど 思う所はあるが 流す38
「そうだ クリスチャンの仲間を見つけれた」大円 立ち上がって
「クリスチャンの仲間になった二人に 乾杯」と大声で言ってしまう
『仏語でも滑り始めた けど春奈姉さんの砲撃で沈んだクリスチャンさん
姉のツケを妹の私が払うのか 三穂も妹だし ジャンヌも妹 三人で払おう』明奈
ワインを片手に 三人で密談を開始する 明奈と三穂とジャンヌ
今宵も深けたようで
