第164夜 そうなんだ 弱点が強みに
三穂と大円と明奈とキアラを連れて 離れてピットに移動するロレンツォ
キアラの通訳で密談開始
「典子さんの件はこれ以上触れずに うちの家としてバックアップはする
ただ ルイ 典型的な仏人」ロレンツォ
「あっ!典子の前で他の女を持ち上げる褒める でも、それロレンツォも同じ」三穂
「そんなもんだ マッシモも怒られてたし」女性を褒めるとか出来ない強気の大円
「鏡智 えらい強気で ってそう言えば その手のことはしないわね」明奈
「兄貴様 日本語でやると滑って滑落するだけだから その辺は潔白」三穂
みな そうなんだ 弱点が強みに 大貧民の革命みたいなものね と納得する
「そこは握れた 女を持ち上げる口説くのは伊人男性には おはようの挨拶と同じ
それより裕太くん達の1時間枠✕5枠は厳しくないか」躱すロレンツォ
「最高のコースとマシンと幽霊だけど最速の指導者までは用意した
後は、本人達の気力と努力で膨大な練習量を熟さないと最速には成れない」三穂
「おまえ 俺が千万町峠旧道の専有許可取った時の まんまを言ってるな
練習を続けてれば『スリム』だったのにサボるから『ぽっちゃり』だ」大円
「確かに ゼミで初めてあった時は『スリムビューティ』だった」明奈の事実確認
三穂 『ここで、その話題だすのは汚い』と思うが 一切の反論が出来ず下を向く
「俺は『ぽっちゃり』が好みだから大丈夫だ 話を裕太くん達に戻そう」ロレンツォ
『それはそれで結構エグッてる気がするけど 好みを言っただけだし』明奈とキアラ
「俺は三河バイク=YAMAHA側だ 清須レーシング=HONDAの二人には
妹と同じゼミの女性の弟とそのペアライダーとまでしか関知しない
YAMAHAでもHONDAでもないマシン Montjuichに乗っているうちは
彼らが頑張るのであれば応援するし 挫けるのであれば、それはそれとして認める
もうすぐルイの実家からマシンが出てくる そのマシン次第だな」大円
二人がギアに着替え終わり ピットに来る
「藤田 マシンがMontjuichのうちは引っ張っていいがHONDAなら手を引け
キチンと旗色を鮮明にしないと『ライバル』として認めていない事になる」大円
「仕方なし」藤田の幽霊
2台のセミスリックを履いたGSX-R400(GK73A)がトランポから降ろされて
押してくる3人 トゥルーズ家 ピエール当主 兄レーモンと妹ジャンヌ
レオン家 ローラン当主とルイは 2台のセミスリックを履いた VFR400(NC30)
アンドレア・ド・クルトネーはポールの弟のユーグともう一人の10代候で
セミスリックを履かせたZX-4(ZX400G)を2台押してくる
「間に合った」とマッシモとジョルジェットと73と貴子さんで
三河バイクWith軍団&信濃流カラーのFZRを2台押してくる
「とりあえず みなTT-F3のマシンでいいのか」藤田の幽霊
「Oui Fujita」と揃う
「4チームが揃った 30周のスプリントをやろう その前に初めてのコース
コースの解説を今から歩いて1時間行う 走るなら参考になるはずだ 付いてこい
その後 2′ と 1′55″ と 1′50′′ で各5周引っ張る 並んでツイて来い
1000から30分のフリープラクティス グリッドはくじ引きだ
初めてのコース イコールコンディションだ それが一番大事だ
その先はこれまでの練習量と努力の結果が待ってる それがリザルトだ」
演説をカマす幽霊 そしてコースを歩き始めると皆がついていく
「あ〜あ Montjuichの出番が無くなった 悪いなマルコ」大円
「仕方なし TT-F3対応の 400F3 は本国に在庫の個体がない」マルチェッロ
「トゥルーズ家は兄妹 レオン家は裕太達 クルトネー家も二人居る
ココまではいい マッシモは2台のFZR どうすんだ?」大円
「雷神様に声は掛けた 雷神様のお許し次第」ジョルジェット
「そうか それは正しい選択
みんなレースで俺が一番速い候の顔をしている 38が間に合えばいいが
まぁ73が居るだけでも 御曹司達も自分の立ち位置は理解るだろう」大円
「ジャスト 雷を落としたら いい観光が出来ました」真美ちゃん登場
「パリを1日にして こっちに 真美は優しい」38
「68さんはどうしたんです?」73
「店がな 68の不在でお客さんが 美味しいけど 苦情はないけど 悲しい顔
4耐の勝者の握る寿司 しかもバカウマ 流石に18日間もだとで帰った」38
「そればっかは お客さんの期待の寿司 現し世との折り合い 俺もこっそり
日本に行くから 68の寿司を」までで執事さんに耳をつままれるロレンツォ
「キチンと行くように手配しますから」と向こうの方で説教を喰らってる
「コース解説は行かなくていいのか」大円
「コース図を貰ってきた 大円さんにコース図で路面状況だけ教えて貰えば
来年のEWCはそう言う世界になる レースを走りながらのコース完熟走行」38
38と73を相手にコース図で荒れてるところの説明をして 二人の検討を聞く大円
「コーヒーorティーorカプチーノ?」ガエターナ
お願いすると イタリアンなお菓子のタワーと飲み物がテーブルに配膳される
「パリがね 名前ばかりで美味しくないの そのクセに上から目線でね
これは美味しいし 見た目もヨシ!!」真美ちゃん
『ガブリエル隊長の情報通りだ』と思う大円
「飯も旨いぞ 朝の海鮮の具の多いスープも良かった」大円
「ごはん ちまちま出してきて美味しくないの 1日で離脱よ
鈴鹿のフレンチは美味しいのに 大円さんの贔屓の店だけあるわ」真美ちゃん
黙って聞いてる38 貴子さんと73 ロレンツォも三穂と ルイは典子 3組で密談
お貴族様は ドカンと出すのが正解 と理解していく 執事の人と相談を開始
藤田の幽霊の引っ張りもパスして 30分のフリープラクティスだけ行く38と73
周回毎にじわじわと上げていき 1′45′′まで叩き出して帰ってくる二人
藤田の幽霊を含めて YAMAHA組で密談
「藤田さん もう2回位 1′50′′の引っ張りをしてあげて タイム差は怖い
この能書きを垂れて叱られたけど やっぱり怖いものは怖い」38
「そう 目の前でのブローからの失速とか 滅茶怖い 藤田さんの指導で」73
ピットロードからマイクを握って アナウンスをする幽霊
「今の状態でのレースは無理と判断した 2′から1′′/周づつ上げていく
50′′まで引っ張る これを2回やる 千切れそうなら即後ろに道を譲って欲しい」
藤田の幽霊と大円で タイムを見て相談して 並ぶ順番を決める
ジャンヌの先頭は即決まる 裕太心太10代候にユーグにレーモンと並ぶ
コースインしていく幽霊の乗ったゼッケン48のTZとTT-F3の6台
千切れ千切れて ついて行けたのがトゥルーズ家の妹ジャンヌだけ
残り5台は 後ろのマシンから千切れて行く まぁ大変
2回目も50′′までついて行けたのはジャンヌだけ まぁ大変
大円兄妹に38と73とロレンツォが密談開始
「すっごいかっこよくマシンを押して登場したけど あれは危ない」三穂
「タイム差10′′以上ある 俺ら40′′までは行くから 結構怖い」38
「いい方法がある 俺らDNSかスタート直後でDNFにして
そこにあるアドリア海のビーチに行こう 貴子さんの水着も見たい」73
「73さんの提案は普通なら即却下ですが ここでは正解な気がする」三穂
「三穂さんたちも水着で プロトレーナーとしてチェックを」貴子さん
『三穂のバカ 思いっきりの地雷を踏み抜いて巻き添えだ』明奈と典子
真っ青になるキアラ 隠していたけど かなり『ぽっちゃり』になっている
「そうは言っても彼らも8耐勝者と走りたいだろうから 73が走って俺DNF」38
「いやいや 4耐&8耐のW勝者の38と走りたいでしょうから 38が」73
二人共 前に突っ込むのが怖くて 押し付け合う
大円 女性関係のいろんな地雷が見えて 踏みたくないので黙ってる
「クオリファイをやろう 1′48′′で足切り 1′48′′を切るのが必須で
4チーム 各チーム2台マシンがある 25分づつのアタックで
言ってくる」ロレンツォが宣言に向かう
Kawasaki SuzukiI HONDA YAMAHA&Ducati の順で25分のアタック
トゥルーズ家の妹ジャンヌのGSX-Rだけが 50″を切る1′49′′6を叩き出すが
それでも足切りラインの後ろで 十代候と裕太と心太は53″台
御曹司の二人のタイムは 聞いては気の毒な状態となる
FZR組 先程のフリープラクティスでタイヤの皮も剥けてコースも覚えたので
1′50′′スタートで2台つるんでのコースを確かめつつ 1′′づつ詰めていき8周回目で
距離を空けて アタックを入れて1′38′′1 と 38″3まで詰めて時間と余裕を
余してピットイン
Ducati Montjuichの大円 FZRと入れ違いでコースイン
タイヤを温めての一発アタックで1′38′′4まで詰めて時間を余してピットイン
「御飯にしよう 御飯を食べて元気になろう」大円
「そうしよう 空気を読む気のない兄貴様の提案だ 従うのが正解」三穂
美味しいご飯を食べながら
「俺ら来て1時間だけでは 往復のが長い 2時間走らせて」38
「また そう言って3日間もポール・リカール・サーキットで」真実ちゃん
「そこは 私の車両も届く ケツカッチンだから大丈夫」三穂
お昼を食べて 1230 2台のFZRが ピットロードの作業エリアに置かれる
自分で燃料を補給して タイヤやマシンをチェックして シグナルのグリーンを待つ
ふと見ると 敏江28さんが居る ダッシュでピットウォールに隠れる大円
だが、38も73も普通に話してる
「あれ?」大円
見てると ジャックが来て腰に手を廻して引き寄せる クリスがジャックに蹴り
38と73 シグナルグリーンでコースイン 2台の距離を空けてタイヤを温めて加速
1′40″付近で たまに39′′に飛び込ませて20周回 ピットインしてクリスのボードに
止められるとジャックやマルコ達にサポートされてに即燃料補給をして貰い
クリスと大円に押し出されて行く73のFZR13 次の周回で38のFZR17が入り
同じパターンで押し出されていく
ここから 二人はタイムアタックではなくAveを上げる耐久で勝ちに行く
走行パターンに入り 38″台に飛び込ませて1時間弱で34周回を熟して ピットイン
大円 大喜びで2台を見てる と 後ろでV8のツインターボの音がする
73と38がピットロードからピットに引っ込むと 288GTOがピットロードへ
初めての車両に初めてのコース だが 歩いてのインスペと自転車で走ってる
車も祖先の308をカリッカリにした熊山スペシャル 三台目はエンジンも縦置き
ツインターボで400psにまでカリッカリにして千万町峠旧道を熟している
シグナルグリーン 三穂ドライブの288GTO コースイン
2′10′′で3周回 慣熟とタイヤの皮剥きを済ますと 1′50′′にジャンプ
以後2′′/周で詰めていく 1′38′′台まで詰めて維持をしていく この時点で20周回
加速してじわじわと詰めていき 26周回目に37′′3を叩き出す
27周回目のターン⑥からの加速時にブロー ヘロヘロとピットに戻ってくる
ロガーデータを確認するモデナのメカ達
「調子こいて踏みすぎたかも いい感じでターン⑥を抜けて4速全開で5速に
入る前でブロー でもいいシャシと足で吹き飛ばず」三穂
「ロガーデータでは6800rpmでブロー うちのベンチでは7300rpmでMaxの460PS
8200までは許容のエンジンです なにか部品とかでエラーかも」メカのマッテオ
「とりあえず 兄貴様のMontjuichとFZRは千切れた ヨシ!!」三穂
「すごい 俺の嫁は速い」無邪気に喜ぶ ロレンツォ
大円と38と73 負けているので悔しい
「でも ブローしたら耐久では終わりですから 英雄さんもそれで沈んだ」73
「そうだな ブローさせてはダメだ 後続が居ないから良かった」38
大円 言えないこと73と38が言ってくれたので 嬉しい
「三穂はトライアラーだ 後続も居ない 2分間を踏み切る女だ
こっちは耐久のレーサーだ 種目が違うからタイムも違って当然」大円
大円 ダートラをやっていたことや バイクでもスプリントメインな事は
心の棚に仕舞 耐久レーサーみたいな 能書きを垂れる
三穂 今現在3対1と数的に不利 応援もロレンツォのみ 打算機が計算し
「そう トライアラー 2分間の女 その2分間に総てを懸ける
もう少し長い コースもやるけどね でも40分以内だ 耐久は無理」三穂
ここで 伊仏のお貴族様も納得して ロレンツォの嫁は速い と終わるはずだった
三穂も大円も73も38も そう思っていた
後は呑んで食って アドリア海のビーチに行くだけと 確信していた
今宵も深けたようで