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第159夜 チェシャ猫の小僧が迷子だ

翌日からは キアラも走行に加わり5人でコースの周回をし始める

ロレンツォ めっちゃ楽しそうに走ってる

暇になった大円 男四人でコースのタワーで見てる


オットーネとボルソと会話スタート ケンタは黙って聞いている

「第9落下傘強襲連隊 "COLMOSCHIN(コロネルモスキン)"の第5中隊の第5小隊 第1分隊

マルコ分隊長以下の8人を呼んで訓練をしよう 呼べない?」


「おれら空軍なんで 上通して聞いてみます」ボルソ


「大円さんが呼んでいる でいいですか」オットーネ


「それだと理解らない『チェシャ猫の小僧が迷子だ』これで」大円


「『不思議の国のアリス』のチェシャ猫 ですね 当たってみます」ボルソ


有線電話の秘匿回線の電話機に向かう二人


「はい? "COL.MOSCHIN(コロネルモスキン)"の551分隊 今は欠番だぞ

 アフガンで99.99%全滅の危機を乗り越えて帰ってきた分隊だ

 だれも名を継げない分隊No マルコ分隊長は現在第5中隊の中隊長で少佐だし

 今基地に居るから『チェシャ猫の小僧が迷子だ』これは伝える

 なにかの暗号だろう」

"COL.MOSCHIN"の担当者は 余分な事を考えず

サクッとマルコ少佐の元に向かう


ケンタが来て

「また懐かしい渾名で コードネームより通りはいい あっちはブロックだしな

 なんでまた イタリア軍に?」


「マックが詳しいけど おれ襲撃する基地間違えてさ 誰も来てくれなくボッチで

 基地に戻る時に迷子になってさ 彷徨ってたら マルコ分隊に会えたんだけど

 8対100位で囲まれてて弾切れ寸前だったらしく タコツボに伏せてて気の毒でさ

 俺は鹵獲したAK 2丁と予備弾倉10個持ってたからAKと三角ヤスリで全部無力化

 マルコ隊長達に飯を食わして貰って基地まで案内をして貰った


 泣きながら書いた報告書には 迷子になったとは書きたくないから書いてない

 マルコ分隊も地点がバレて囲まれて 通りすがりの迷子の小僧に救出されました

 これでは報告書が大変だし 俺が黙れば 頑張ったことに出来るから」大円


「お前の基準は 報告書が大変かどうかなんだよなぁ」呆れ返るケンタ


「そう言うケンタだって 美味しいものツアーで報告書誤魔化して謹慎だろ」大円


「報告書は嫌いだ」ハモるケンタと大円 この辺は美味しいものと気が合う二人


大円 ケンタはヌケサクと思っていたが 美味しいものでケンタに連敗

次郎のラーメンなんて TDRFの部隊ごとストーミーまでひれ伏す事態となり

大円も目の前であの呪文を使い熟されひれ伏し 今ではケンタを尊敬している


皆でお昼ご飯なのだけど 5人は別メニュー

とても美味しいものツアーに誘えない 男四人で ベランダからコースを見て


「マルコ分隊長、来るかなぁ ちゃんとレーション持ってくるか 期待してる

 来た時用の腕の徽章を出してくる」部屋に行く大円


空軍の二人 「????」


屋敷の部屋で 徽章をだして ご当主様と 通訳ありの密談 


「ロレンツォ めちゃ性格もいいし 真面目だし なんで嫁が」ドッ直球の大円


「3つある

 まずメディチ家 此処の嫁 家名が重い

 自転車 一緒に走って欲しい シティサイクルまでなら居るが

     ロードレーサーで しかも コース周回は居ない

 食事 体型維持でそれ用のメニューばかり これも伊女性には嫌われる

 困ったものだ」ご当主様


「食事は 日本食とかを食べれば 世界線が変わる 美穂も仕込んである

 ケンタからスペシャルメイドの包丁セットも贈られ使い熟して包丁の助けもある

 自転車は 美穂から乗りたいといい出したし周回の理由も意味も理解した

 二つはクリア

 メディチ家かぁ 重っい家名だ

 ご当主側の ハードルは?」大円


「うちからは色々有ったが そんなことを言ってはロレンツォが可愛そうになった

 ロレンツォは判断が出来る ロレンツォが良ければ それだけじゃ」ご当主様


うわぁぁぁ 今28 相当焦ってるな


「うちの三穂は嫁の行き先が日本だとかなり絶望的だ 若い男は車に乗る

 車に乗って速く走りたい この希望を叶える環境を作ったら 速くなりすぎた

 ツバを付け合って 大学の卒業までに 伊語を熟すように頑張らせる


 もう一人は?」大円


「典子さんは 仏語OKで伊語もそこそこ行けて 茶華も料理もマナーも

 スフォルツァ家のご当主夫妻も若夫婦も推し 彼女が家名を気にしなければ

 伊仏の家名問題で嫁が来ないところが手を上げる

 うちは三穂さんだが トリノのサヴォイア家が 動き出した」ご当主様


「よし こっちならモテてる ただ仏側の動き 伊ばかりではとの

 クレームが来たら堪らん ご当主に防波堤になって欲しい

 極秘情報を伝える 仏 リカール家のクリスチャン なんとかなりそうだ

 手をあげた18歳の娘が居る もちろん仏語OK 俺の仏語の先生の娘さんだ」


「それは 極秘で 能書き問題はウチまで聞こえてきた

 伊でも知ってる家が多い 能書き問題で辛いクリスチャン・リカールを

 救えるのか 伊の2名とでイーブンだ 防波堤を爺が頑張って

 クリスチャンの件は表に出たら 支援しよう」


「クリスチャン バイクチームにいたいが 能書き問題がある

 ロレンツォは、自分は出られないが自転車チームのチーム運営をしている

 ロレンツォにチーム運営のノウハウを教えて貰う名目で

 しばらく匿って欲しい 体力UPで自転車も乗せないといけないしな

 リカール家はその辺がヌケサクで」


「うちで匿うのか それはいいが コースはあるが自転車だぞ」ご当主


「あいつ 袋井PGのライディングスクールでのタイムが悲惨の一言

 ガチ勢の自転車のレースのタイムよりヘボい まず自転車と言い渡した」


執事の人が入ってきて

「陸軍の空挺部隊が 我が屋敷にて 降下訓練をしたいと」


「客人も居るが空軍だ 陸軍もくるのか 賑やかでいい」ご当主様


執事の人がOKの返事をしに出ていく


「それきっと 俺の客です お邪魔させるので よろしく」出ていく大円


「妹さんも謎が多いが それ以上に謎の多い男 情報部も喋らん

 さて どんな客が来るか 楽しみじゃ 見に行くぞ」ご当主様


低空飛行でフライパスをした C130ハーキュリー 旋回して戻ってきて

降下開始 コースの中庭の芝生を目指して降下してくる8人


「8人揃ってるな」

着地してパラユートを回収した隊員から 後ろを取り首の処に マッシモ作の

日の丸の小旗をテープで貼って廻る


「assemblea.(集合)

 Allinearsi.(整列)

 Identificarsi con il proprio cognome ufficiale.(官姓名を名乗れ)」大円


並ぶ空挺隊員 背中に日の丸の小旗付き


「Maggiore Marco, Comandante della 5ª Compagnia, "COL. MOSCHIN".

 Sono qui." 」

("COL.MOSCHIN" 第5中隊 中隊長 マルコ少佐 着任しました)


順に敬礼をして 官姓名を名乗っていく 敬礼をして受ける大円


「Sono nuovo dell'unità Cheshire Cat. チェシャ猫の小僧だ

 È da tanto che non ci vediamo, come stai? 久しぶり、元気にしてたか

 È un piacere rivederti. 再会できて嬉しい」

テニエルの挿絵版のチェシャ猫の顔が描かれたDIAのネーム入りの

チェシャ猫部隊の徽章を左腕に付けてデカイ態度で応対する大円


それも呑み込む空挺部隊員


「硬い挨拶はここまで 日の丸の小旗まで用意して 再会の演出は嬉しい」大円


やっと小旗に気がつく8人


「ご当主に挨拶に行こうだが 向こうから来た」


ご当主に マルコ少佐が

「チェシャ猫の小僧殿の指揮下に入り 8名が此処へ降下致しました

 "COL.MOSCHIN(コロネルモスキン)" 第5中隊 中隊長 マルコ少佐です」と挨拶


ご当主様 敬礼を受け 敬礼をし「我が屋敷 軍に協力出来て嬉しい」と返す


見ていたので チェシャ猫の小僧が大円とは理解るが

"COL.MOSCHIN(コロネルモスキン)" 第5中隊 中隊長が サクッと指揮下に入るとは謎だ


「ちょっと そこのワインディングを借りて 訓練をやろう

 俺が上に登って行って この旗を立てるのを防衛 するか

 マルコ少佐の隊が攻撃だと誰かが 旗を立てる


 背中の旗を取られたらダウンで どうだ」大円


「イジメはヤメましょう 背中に貼り付けられてる時点でダウンです」パオロ中尉


「じゃぁ この街に詳しい奴は?」大円


「俺地元なので 下町なら詳しいです」ジェミニアーノ中尉


「場末の飯屋と場末のBarに行こうぜ」大円


「それがいい 装備片付けて 行きましょう」リナルド中尉


「わしも」と言ったまでで 執事の人に睨まれる ご当主様


「護衛は 伝説の"COL.MOSCHIN"551分隊が再集結してくれた

 ご当主様の安全は確保だ ご一緒に

 ただ呑み過ぎは困るので執事の人も同行で」


大円の『ご一緒に』一喜して『執事の人も同行で』に一憂のご当主様 

結局 メディチ家のガードもついて 皆で行く事となった


地元民しか来ない下町の飯屋とBarで 旧交を温め

「そうか みんな生き残って 出世したんだ 生き残ることが何より

 こうして集まって飯も食えるし酒も呑める」大円


「チェシャ猫の部隊の方々は如何されていますか」フルヴィオ中尉


「去年 全員日本にきて大宴会に参加して

 アベル隊長は5月にも日本に来た みんな元気だったぞ」大円


「あの激戦区で元気とは 小僧であれですから そうでしょうが」ルキノ中尉

 

屋敷に戻ると 軍の回収トラックが待っていて


「原隊に 復帰します」と敬礼をして トラックに乗り込み帰っていく部隊


「なんだよ 後2日間 遊んで貰うつもりだったのに」大円


「それは無理 少佐で中隊長と直属の中尉の小隊長7人

 抜けたら中隊が停まります というか 良く抜け出せてこれたと

 感心しています」ボルソ


「そっかぁ 分隊じゃないんだね 時は進み年は取るだな 会えて良かったよ」


「どういったご関係で あのメンバーの言葉が丁寧だった」オットーネ


「昔 チェシャ猫の小僧が 迷子になった時に基地まで案内してくれた分隊だ

 恩人だよ」嘘は言ってない大円


ご当主と執事の人の密談


「なに、軍の記録には チェシャ猫の小僧との記載はなく 全くの不明と 

 551分隊の接触記録はないと どういう事だ SISMIにもか」


「どこにも そもそも伊軍との接触の記録も一切ありません

 ただチェシャ猫とは アフガンに居る DIA関連の外人部隊のコードネーム

 これはSISMIが掴んでいましたが 人員等については一切回答できないと

 そのチェシャ猫の顔が描かれた 徽章を左肩に付けておられました」執事の人


「偽物を付けてでは アフガンで伝説となった551分隊は 敬礼しない

 しかも ワンフレーズの伝言で 降下訓練と偽って呑みに誘う 謎すぎる

 だが551分隊が揃って敬礼した事実 嘘偽りは無い

 粗雑には扱えない男」ご当主


「ただの迷子の小僧ですよ 迷子になって彷徨っていたチェシャ猫の小僧に

 飯を食わして 迷子センターまで送ったのが551分隊

 SISMIもCIAもDIAもそう理解している」ケンタが居た


「そう思ったほうが 良さそうじゃ 詮索は打ち切る いいな」ご当主様


黙って 頭を下げて出ていく 執事の人


「ご理解が速くて 助かります」と 続いて出ていくケンタ


今宵も深けたようで

袋井PG


作者 このところTC=テストコース と書くのをヤメてます

なぜかと言うとTCだとコースのみ

PG=プロービンググラウンド 開発拠点の意味となります

一般的にはオシロのプローブの話になりますが作者のいた業界だと違って

アリゾナから来た墨の入った女性テクニシャンに仏語圏のケベックでメシマズ語で

説教されたのを思い出してPGに統一していきます

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