第149夜 内村さんも諦めて「行きたい奴は行け」
大円 考える
『今は明奈が居る 栄子ちゃんに逃げられたままなら
もっと前 チーム藤田の時なら 確実にハリセンだ
英雄さんだってイケメンすぎて30まで立直で彼女なし
ハリセンならいい方で蹴りが入る』
また声に出てて
「私の有り難みが理解ったようで」明奈
「でも敏江28さんは熱烈な英雄さんファン 机の上に写真が飾ってある
敏江28さんとも何度もミートしてるし 美人で料理も上手 くっつけば」春奈
「優香ちゃん情報では 見合いの口をって 上村さんに頼んだとか フェイントか
潜航して いきなり結婚報告を狙ってるのか お楽しみで放置しよう」大円
「見合いの口探しの情報は 開発にも来てる コズルイ保険か破局したのか
見定めが必要 もうすぐ 敏江28さんも来る」西谷さん
68達を呼んで大円から通達
「表彰台での指輪交換とかは 大会役員の許可が降りない
カクカクシカジカで 三河バイクWith軍団&信濃流だって 奥山以外の若いのは
ケリを入れる可能性がある そう言う理由だ 諦めてマルセイユでやれ」
「だいたい お前ら グリッドのキスにピット前のキス よく蹴られなかった
廻りのチームの自制心に感謝しろ」工藤さん
「あれは あまりにもあんまりで あっけにとられて ド叱るのも忘れるほど
スタンドも味方について盛り上がったし オータバイ誌にも何度も載った
おかげて俺は会合のたびに いいですね だそ
でも地区戦でもパラソルがチラホラ 盛り上がってきてるから許す」
三河バイクと言うより 地区戦役員の顔で話す内村さん
1420 8耐 B組 予選走行チェッカー 英雄さん14″0で帰ってくる
敏江28さんも到着するがくっつかない 皆注意してみてると
パドックで父母叔父叔母と普通に仏語で挨拶して会話してる敏江28さん
「敏江28さん フラれたんだ 英雄さん 仏語症候群 優香達は 私と同じゼミ
きっと仏語を話すようになる という理由でお断りされた」明奈
「敏江28さん 仏語が話せるばかりに気の毒だ」と皆で見てると
ゴロワーズのハウスに行き ハウスの前で待っていたジャック30とハグして
ジャックにエスコートされてハウスの中に入っていく
「まぁいいか」と皆で放置決定
上村さん到着 ジュラルミンのゴツいアタッシュケースを持ってる
「どうしたんです そのアタッシュケース?」と皆で不思議がると
「英雄の見合い相手の 釣書と写真だ 頑丈なケースが要る」
上村さん 鈴鹿-袋井をノンストップで往復してたようだ
「だいぶ疲れた 英雄に渡したら ちょっと寝る」
アタッシュケースを英雄さんに渡して ハウスで居眠り開始の上村さん
予選通過は確実だしマシンは順調 見合いの口が来た でもこのピットは仏語圏
吉村のピットに行って 吉村の皆で見合いの話をしながら 愚痴を垂れる英雄さん
吉村は主戦場がAMA アメリカなので米語 仏語は出てこない
親父さんには、ライダーは、みな一度は世話になってる お礼兼なんだが愚痴が多い
親父さんに「とっとと見合いして決めてこいと」ピットを蹴り出される英雄さん
見てた皆
「30立直で見合いの相談でも惚気と取られ蹴りが入った 21で指輪はダメだわ」68
「流石 4耐の大会役員 読みが深い 浮かれポンチの俺達とは違う」38
「そうか やばかったなぁ」と皆で納得してると 8耐組も片付けが終わる
「飯食うぞ デリバリーで届く フレンチだ」大円
酒も呑まず ハウスとホテルに別れ 就寝していく
7月29日(土曜日)
ノービスの一番熱い日が始まる
駐輪場には 続々とバイクが集まってきて スタンドが埋まっていく
サーキットホテルでの朝食会場 そこらじゅうで監督の訓示
内村さんも
「無理して競ってコケてが一番無駄だ パッシングポイントは昨日確認してる
そこで抜け 持ちタイムならブッチだ 自信を持って 調子コカずに
前がコケてもサクッと躱せるように 淡々と走れ
フリープラクティスは何時もどおり マシンとコースのチェックだ
忘れるな マシンとコースのチェックだ」
タイムスケジュールに乗っかり 皆スタートを切っていく
0900 4耐 フリープラクティス スタート
1000 4耐 フリープラクティス終了
1030 8耐 フリープラクティス スタート
1130 8耐 フリープラクティス終了
1215 4耐 第一ライダーコースイン
1230 4耐 本戦 スタート
1630 4耐 チェッカー
三河バイクWith軍団&信濃流 0855までマシンはピットの中
0855ピット前の作業エリアへ
リアタイヤをあげスターターでエンジン始動 暖気開始
真美ちゃんパラソル シグナルグリーン 38のライドでスタート
6周で戻ってくる 2′15″5を1周きっちり叩き出してきた
ライダーチェンジ 68スタート
68もきっちり2′15″5を叩き出して6周で戻ってくる
ピット内にマシンは仕舞われ上げられ メカのチェックを受ける
清須レーシングの一同 メインスタンドのチケットを取りスタンドで見てる
「ピットに鯉 決勝のピットで待ってる しかもPP カッコいいのだけど
本気でやられると 差がありすぎて凹む」裕太
「フリープラクティス 二人共6周だから計測は4周 TT-F3のレコード並を
揃えてきてるし 30分で引っ込むとか 俺らなら目一杯走る」心太
「才能を努力で開花させたチームだな ええだけの資金力もだが
チームがついていった 清須も頑張ろう」口数が減った竹内さん
リカール家のご当主様も到着
父母叔父叔母に状況を聞いて 完全レースモードに突入中のチームを黙って見守る
三河バイクWith軍団&信濃流 最終のチェック チェックリストに従い
ダブルチェック プラグもオイルも交換済 タイヤ空気圧 などは7日の朝にやった
調子のいい場所は触らない チェックとかで触って崩すのは愚策
フリープラクティスでのライダーのマシンチェックもOK
燃料も満タンにした
1210 スターターでエンジンスタート 跨る38 真美ちゃんのパラソル
1215 シグナルグリーン 38 最後尾でゆっくりとコースイン
他車がグリッドに付けていくなか
最後尾から 三河バイクWith軍団&信濃流カラーのFZRを
ゆっくりと ゆっくりと 進めて一番前のPPのグリッドへ付ける
待っている 68 マシンを受け取る
「かっこいい」と皆でみてて
1230 4耐本戦 スタート
38が焦ってコケ掛けてバイクにたどり着くのは最後尾
「あいつ狙ってないだろうな」が三河バイクの意見
「あああ、勿体ない」が清須レーシングの意見
その後キチンきちんとパッシングポイントで追い抜きを掛けて2′16″ペースで
トップに返り咲き 後続を引き離して 25周でピットイン
ボードに止められ 燃料補給中に68へ
「60台 思った以上に前が塞がる パッシングポイントまでは我慢だ」38
「燃料OK 68 乗れ」
「行ってくる 押して」と押して貰いエンジンを掛けて コースインする68
ピットのスタンドから見える処で正座の38
「狙った理由は68への伝言で理解った
でもFMと場内アナウンスの三河バイクWith軍団&信濃流の 38 38 の
絶叫狙いもあったはずだ その後のトップ復帰まで FMと場内アナウンスは
三河バイクWith軍団&信濃流の38を絶叫し続けた
録音してて証拠も保全してある 5分の正座」大円
オーロラビジョンに映り スタンドからも38の正座が見える
困惑の清須レーシングの三人
「大円さんだって滑りまくるのに 38さんが気の毒」裕太
「でも あのスタート FMと場内放送のアナウンサーさん絶叫で38さんを
連呼したし録音してるなら 目立てる 狙ったから正座かも」心太
「それでも 4耐の本戦のレース中に正座は無いだろ それも見えるトコで
オータバイ誌も含めて 何人ものカメラマンが撮りに行ったし
話題が沢山の有名チームだ 三河バイク」常識人でついて行けない竹内さん
68はいい感じで前を塞がれす2′14″5ペースで26周してピットイン
ボードに止められ 燃料補給中に
「俺はほぼクリアラップ 普段の行いのおかげだ」68
「チッ 頑張ってくる」38
「燃料OK 行け 38」
「押しがけよろしく」と押されてコースインしていく38
2′14″5〜2′15″5で25周して戻ってくる38
ボードで止められ燃料補給
「エンジンもタイヤも温存できてる このまま温存で勝てる」38
「了解 調子コクと正座だしな」68
「燃料OK 68 チェッカーまで行け」
「押して」 コースインしていく68
スタンドの清須レーシング
「ブッチギリ このペースで行くと101周で過去最高
今現在で 2位を3周以上 2位でも過去最高の96周ペース
6日と7日の4耐模擬の再現だ まるでペースが落ちない」心太
1620過ぎ
68のペースが上がっていく14″フラット TT-F3の全日本を含めてのレコード更新
14″フラット 14″フラット 14″フラット レコードで周回していく
16時29分58秒
68ライン通過 102周回めに突入 直後にチェッカー
後続はウイニングラン でも68はレース中 が ペースを落とす
前との間が18″以上空いていて逆バンクを過ぎているので
マーシャルは引き出されて オールフラッグを始めてしまった
ウイニングラン中は追い抜きはしない マナーだ
オールフラッグの中 68が先頭で生き残りの48台を引き連れて周回していく
後続はピットロードに入っていくが 68の1台だけが最終コーナーを抜け
ストレートのライン手前でウイリーしての チェッカーフラッグ
チェッカー担当者はギリ通過を見てたので 待っていてくれた
1台だけのウイニングラン マーシャルはタワーからの通知でオールフラッグ継続
三河バイクWith軍団&信濃流 のピットの中
「あいつ 絶対狙ったよな 29分58秒通過」大円
「Lapで見ても明らか ラスト詰めに行った 俺が説教をカマス
ピット前で正座15分の刑 反対意見はあるか」内村さん
「異議なし」とピットは揃う
「だよなぁ 2′16″で勝てるのに削りに行ってリスクを犯した 正座仕方なし」73
戻ってくる68 地方局と衛星のTVクルーと 場内FMのアナウンサーも来る
マシンは入賞後の車検のため38とメカで持っていく
68 メットは脱いでもいいがピットには入れず ピットロードの作業エリアで
正座
ひろ子ちゃんSWで計測開始 国内外のプレスが一斉に集まってくる
「コースレコードの14″ よくやったとか 言われると思うか
追いかけるなら要る が 逃げてて 余裕が山盛り 16″できちんと廻る
そうすれば16時30分4〜8秒 でチェッカーだ ウイニングランも先頭
一人だけのウイニングランとか狙って調子こいた
調子こいたバツで 正座15分の刑 ピットに反対意見はなかった
15分はひろ子ちゃんが計測中だ 誰かポカリくらいは飲ませてやれ 以上」
内村さんの説教 アナウンサーはマイクを向けたまま FMと場内放送に全部流れる
どころか衛星の生中継ににも流れる 流石に録画系は Pの判断待ちになる
場内FMのアナウンサー 4耐優勝枠の8耐招待を言いたいが ライダーは正座中
清須レーシング
「俺もコースレコードを出したライダーを叱るとか 言ってみたいわ
裕太 心太 言わせてくれ」竹内さん
「誘われて ヤマハに移籍しなくて良かった あんなのと比べられるって悲惨
心太 お前 三河バイクに移籍して 鍛えて貰え」裕太
「鍛える前に倒れる こないだの6日の模擬 俺ら倒れてるのに奴ら練習
7日なんて YZFとFZRにぶち抜かれ放題 差が有りすぎる
今日だって 4耐のレース中に正座 最後も正座 無理」心太
場内FMは 今四耐の記録が上がってきたとメモを見て ピット前でアナウンス
「TT-F3 全日本を含めての これまでのコースレコードが 15″2
三河バイクwith軍団&信濃流 最初に正座した 38くんが14″5のレコード
今現在 正座中の68くん 14″フラット 鈴鹿のTT-F3で一番早い二人です」
メモの追加
「三河バイクwith軍団&信濃流の38くんと68くん GP250 でも13″フラット
これも地区 全日本 通してのコースレコードホルダー」
「最後が有耶無耶ですが102周回は過去最高の勝者 でも調子こいたと叱られ正座中
2位の浜松SCのピットへ 三河バイクwith軍団&信濃流には正座が終わった頃に」
「38 シャンパン進呈もファイトも無しになった 指輪の交換もなし
普通の表彰式だ それでも 俺の憧れの表彰台の真ん中だ よくやった」
「大円さん 指輪は理解した シャンパンがない その意味は?」38
「68の正座が終われば理解る」大円
「公式通知 出ました ゼッケン68 三河バイクWith軍団&信濃流
優勝 周回数 102周回 これ公式のリザルト」奥山くん
喜びが爆発する 三河バイクWith軍団&信濃流のピット でも68はまだ正座中
「長くないか」大円
「長いっすね」ピットの全員
「ひろ子 どうして」真美ちゃん
「この紙のトップに立つために 皆で頑張った 調子こいたのはうちの旦那
私基準で15分の正座 SWは14分58秒で止まったまま」ひろ子ちゃん
チームでピットから出てパドックへ移動すると
由美子さんが前に出る
「新婚の夫婦喧嘩 犬も食わないし猫もまたぐ 68くんに酒と肴は用意するから
信濃流の私の家に呑みに来る様に言ってくれ 38くんも73くんもチームの皆もな
夫婦喧嘩での愚痴くらいは聞く 聞くだけだが おばさんの役目だ」
「男だけですか?」真美ちゃん
「女が女の愚痴を聞くと 賛同してしまって加熱する 内村さんや工藤さん
上村さんが居る 聞いて貰え 回答はないぞ 聞くだけだ
見合いの斡旋 成婚に仲人までしてれば 仲裁できるが 君ら自力で成婚
釣書すら見ていない であれば 聞くのが精一杯だ」由美子さん
「見合いって そんな特典が」英雄さんが居た
「それは お互いに釣書を見て 洗いを掛けて 推せる まとめるを仲人がやる
新婚だろうが犬も食わない猫も跨ぐ喧嘩だろうが 笑い飛ばしにいくのが仲人だ
その覚悟を持って 写真と釣書を渡す」由美子さん
「任せな 仲人はやってやるよ いい娘だぞ 浮気は締め上げるけどな」上村さん
顔が明るくなる英雄さん 仏語汚染が気にならなくレベルで明るい
「はい 正座終了」の声が聞こえて 見ると 思いっきりのキスシーン
そこスタンドから丸見え 居たTV局を含むプレス全体が呆然で 放送事故
パドックからは見えないが オーロラビジョンにドアップにされてるらしい
ドアップで映ってる件は 裕太から春奈に緊急連絡で来た
流石 10万人の前で 指輪の交換をする予定だった二人 揺るぎもしない
ピットのチームも放置一択 と放置決定
「ついでだ 38と真美ちゃんもキスしてこい」とか 「奥山 春奈さんと」
もう行くトコまで行くチームメンバー
内村さんも諦めて「行きたい奴は行け」投げる で 行っちゃう38と真美ちゃん
海外も含めたプレスのカメラの前で キスをする二組
廻りのチームから 68と38に蹴りが入ってキスは終了となる
英雄さんも蹴りに行っていた
「4耐大会役員の予想通りの展開だ 朝 そうなると言ったろうが」ピット一同
三河バイクWith軍団&信濃流 知名度は瀑上げ 優勝より瀑上げ
翌月のオータバイ誌 4耐特集で色々と色々と4耐史上初の連発
震源地は『また』三河バイクWith軍団&信濃流
オータバイ誌 68と38が英雄さんにケリを入れられるシーンが巻頭カラー
今宵も深けたようで
公式通知を見ないとね 喜べないんです
公式のレース委員長のサイン入りの確定順位
ラリーみたいに、先にフィニッシュが優勝では無い競技は尚更
なんぞ、味噌があってレース後の車検で発覚とか
ショボい事やってて、ペナルティ喰らってるとか
チェッカー後に公式通知まで 結構不安なんです