第146夜 この時この場では不吉な存在
奇数組で1次予選を通らなかった組が 帰り始める
「ホントに凄い 28″を切れるか切れないか 切れなかったチームの落胆
切れたチームの喜び様 明暗がクッキリだ」由美子さん
「28″を切れたチームでも 上位73台しか本予選に行けない シードが7台
80台での本予選 上位の60台が決勝へ 道は始まったばかり 遠い
うちもそのハズがあいつらいつの間にか シード権取ってやがって
本予選からスタート 俺 ボッチを喰らった」大円
「帰っていくチームも居るね 1次予選でダメだったんだ」真っ青さん
「二人共 28″を切る必要がありますから
真面目な話 30″でも良いのですが 30″を速いと思ってこられると危ない
先日の清須Rとの合同練習で 32′′ 練習だから競らないとの約束ですが
まぁ 突っ込みそうになった と ブレーキポイントが違うし
出口の速度の海苔も違う うちの3人もいい練習になりました」
奇数組がピットから撤収し 明日の偶数組がパドックに入り街になっていく
多少涼しくなってきたので ハウスの前にチェアとテーブルを出して
デリバリーして貰ったフレンチを食べながらビール
真っ青さん達が居るがそんな事に構っていられない 明日の1次予選通過が第一命題
挨拶はしていくが それだけ で通過していく 4耐 一次予選組 集中している
「まぁ 俺らの芸能人としてもプライドはゴミ箱に 彼らの予選通過の意気込み」
強平さんが呟いていると
「オフで来られて リラックス中 すいませんが サイン良いですか」と五人
「いいよ 1次予選 大丈夫?」と強平さんが訊くと
「俺ら二人共 シードまでは行けないけど 持ちタイム19″6と19″9 余裕がある
整備も こっちのクルーが万全にしてくれて任せればいいので
(屋形さん|強平さん)のサイン入のツナギで予選通過祈念で」五人
ライダーの二人はツナギに クルーの三人は耐火の作業着にサイン希望
「おれは?」真っ青さん
「真っ青さんはヤマハ系 俺らスズキのGSX-R 屋形さんもスズキ
強平さんとのコンビでサインが貰えれば 今季の4耐 頑張れる」五人
「そうだろそうだろ 俺達のサインで2″縮めて 頑張れ」声を掛ける二人
自分達のサインで 頑張れるという 若いチームに ご機嫌になり
サインも名前を訊いて『〇〇君予選通過して本戦を頑張れ』メッセージ入り
サインの書き終わりに 強平さんの方から「頑張れと」握手 屋形さんも続く
チームで一列に並んで お礼のお辞儀と「頑張ります」で戻っていく
「うんうん 来た甲斐がある 若いガチの頑張るライダーの応援」強平さん
「若い子達 俺らのサインと握手で頑張って本戦に行けたらいいな」屋形さん
「屋形さんのバイク 撮影の現場では大変だけど このサインでチャラに」強平さん
「だろ 俺のありがたみを知れ」 二人でご機嫌に笑う コンビ
「俺らバイクレース映画のW主役 ヤマハ系でサインの列が出来るはず
なんて書くか 考えないと」真っ青&ひろしコンビ
掛ける言葉もあれこれと考えて練習してる二人
屋形&強平コンビにはサインを貰いにポツポツ来て握手までして感激して戻っていく
が
真っ青&ひろしコンビには誰も来ない 近くを通っても目も合わせない
真っ青&ひろしコンビ ヤマハ系のチームの付近を歩き出す 徘徊する芸能人
でも だれからもサインの求めがない どころか 見ないようにしてる
「おかしいだろ 屋形と強平はサインと握手で感激していく 俺達は無視とか」
真っ青&ひろしコンビ
昔なじみのヤマハ系のチームを見つけて 訊きに行く大円
「真っ青さん ダメだわ 例のバイクレース映画でコケてるでしょ 縁起が悪いって
映画だとコケても勝てたけど 明日の一次予選 コケたら終わりだし
ひろしさんもコケた仲間 映画の影響って凄いわ 見ないようにしてるって」大円
「あのクソ演出が 前にも本番レースではコケたら終わりって68君が言ってた
コケたせいで年間までひっくり返された1君 俺まで巻き添え」ひろしさん
そんな中でもスズキ系とカワサキ系のチームからは 屋形&強平コンビに
ポツポツとサインのお願いが続く ひげのおじさんはホンダ系がポツポツ
ご機嫌な三人 名前を訊いて「〇〇君 四耐頑張れ」と応援のメッセージ入りの
サインをツナギやメットに入れて 握手して「頑張れ」と応援してる
出来るチームは一列に並んで お礼のお辞儀と「頑張ります」で戻っていく
「うんうん あの整列してのお辞儀 チームでいいね 見習わないと」強平さん
「サインしたら 反対に教えられた 頑張ってサインをしよう」屋形さん
「だろだろ あの一丸でのお礼 出来るチームは予選通ると思うんだ」おじさん
「見てる視点をそこに置ける お三方 見習います」由美子さん
「はっきりしてるな 目標に一歩でも前へ 不吉な事は避ける」由美子さん
「俺らあの映画のせいで この時この場では不吉な存在」真っ青&ひろしコンビ
「三穂ちゃんが言ってたけど ジムカーナだとパイロンタッチで5″加算 絶望的に
タッチはコースアウトと同じ ミスってリカバリ 3″ロスってもタッチより良い
2輪 コケてのコースアウトはマシンは壊れるしその時点でアタック終了
明日なんか20′の一発勝負 そりゃ 真っ青は見えないフリだわ」ひげのおじさん
爆笑の 屋形&強平コンビとひげのおじさん
折角来て 凹んで帰られるのも でも1次予選組には迷惑は掛けれない
真っ青さんだけでも救出で ビデオカメラを出して
「由美子さん 真っ青さんとのツーショット
動画撮るから お土産にして 三人はサインで忙しい」大円
「俺は?」とひろしさん
「今朝 東京でお腹の痛かった人が 夜に鈴鹿に居るのは」大円
凹んでチェアに座る ひろしさん
由美子さんも残念ではあるが 大円の筋が通ってるので諦める
サクッと切り替えて チームスポンサーの信濃流の家元の扱いになって
真っ青さんが 由美子さんを紹介していく
三人も そろってお茶の家元が 4耐のチームスポンサーと紹介
さっきまでのチームへの頑張れに続いて バイクレーサーを応援する家元
こっちも続いて貰えると嬉しい 商売抜きのバイク好き 自然と笑顔になる
屋形さんが うちの軍団も同じチームをスポンサードと紹介
チーム名は 三河バイクWith軍団&信濃流 応援してね と四人で揃う
さすが俳優 打ち合わせなしでもこれくらいは目線で揃えてくる
「大円くん ひろしさんとツーショットを撮って 鈴鹿と解らない背景で
一緒に写りたい」由美子さん
「ダメです お腹の痛かった人が鈴鹿に居ては 後々問題になります」大円
「そりゃそうだ」と四人の俳優
「一発OKです けど 出演料どうしよう 1本でいい?」大円
「三穂ちゃんのナビ2回で だと俺 もう3回乗ってるし」おじさん
「じゃぁさ 2年ぶりにまた噂に出てきてる千万町の魔女のナビで
千万町峠でどう 大円くんなら地元だし 伝はあるでしょ」真っ青さん
「それがいい そうしよう」おじさん達
「それだと おじさんは、回数制限で乗れないけど いい?」大円
「なんで 魔女はアラサーの美女 三穂ちゃんとは関係がないよね」おじさん
「あの6人 12戦全敗したから19の小娘とは言えずに アラサーの美女とカマして
20の看板を降ろしたばかりなのに 憧れのお局様を通り越して『お』では
流石に気の毒だわ」空気を読まない大円でも『お』は厳重注意を受けて理解してる
「え? 三穂ちゃんが千万町の魔女なの」おじさん
「そう呼ばれていた時期もあります 俺はその時期海外に居たので聞いた話ですが
関連でええだけの請求書は処理しましたよ それで速くなったのでヨシ!」大円
「それは あの山の中の競技会や河川敷の勢いで 千万町峠を走る
俺 まだ1回しか乗ってないから 1回乗れる」真っ青さん
「俺達もOKのだ」スズキ組
「でも 妹は おじさんのファンだから おじさん特権で乗ればいいか」大円
「それは ズルすぎる」ひろしさん
タワーには行けないわ チームからは避けられるわ 動画は出れなくて
ナビの権利はないわで 踏んだり蹴ったりで拗ねてる
「でもさ ひろしって 今朝 東京で『お腹が痛かった』のだろ
前回の寿司も『お腹が痛かった』 俺は一度もお腹は痛くなってない」おじさん
「お腹が痛いのは しょうがない」過去 お腹が痛くなった四人組
「なんにしても、いくらほぼ通行のない 旧道と言えど地元との調整は要りますし
県警本部との道路専有使用許可の調整と封鎖の人員の手配で日程が決まるので
それに合わせれないと乗れないですね
昔みたいに地元の顔役を抱き込んで4回/月で握ってくれてる訳でも無いですし
山原先輩の顔も無いし 相手の6人の顔もない」大円
「そんなに大変なんだ どうやって顔役を抱き込んだの」強平さん
「小中学校の体育館がボロく困ってるとの情報で 顔役と役場と生徒と相談
音響のいい演奏・演劇舞台&控室&2階席付きのデカイ体育館とうかホールを
客席用の椅子とか 備品を含めて一式を寄付しました
山原先輩が正面に立ってくれて 春秋盆正月の祭りには必ず顔出して
御用聞きをして楽器を贈り続けたし 奉賛会にも入れて貰って神輿も担いだ
お祭り用の笛や太鼓等は新しく 神輿にお獅子も地元の職人さんと相談で修繕
そうそう 神社も修繕依頼したら 城南明神と大円明神との立派な額が
神社の拝殿に飾られてて 拝まれてて ビビった
山原先輩 吹部上がりのナビゲーター 楽器は詳しいし吹部仲間で先生も
千万町を音楽祭が盛り上がる街に向かわせて
資金力の力技で 基本地元にお金を廻す寄付をして地元の喜ぶ事をやりきった
城南メンバー勢ぞろいで体育館の杮落しの演奏発表会には行った
校庭に並ぶB車にラリー車 C車D車も積車で持っていく まぁ壮観だった
そう言う経緯もあっての 先日の2日間は山原先輩の顔で地元の協力」
「資金力の力技+誠意の賜物だな」ひげのおじさん
「ドラマだって屋形さんがノーヘルでスズキに乗ってる 道路専有使用許可で
公道から除外申請でやれるてるだけで 一般だと捕まる
ドラマ見てて申請・手続きが大変そうが 一番に来た
軍団は慣れてるし名前もあるし地元も協力的だしね
俺達だと無名の処からスタートだし 思い切って やることやらないと
旧道のそこら中に看板掲げて アタックは役場に申請してから と書いたしね
それで役場に行くと 最初は歩いてインスペ 次に低速でレッキ と説教w
妹だって往復30km近くを 何回も何回も歩いてインスペからスタートだし」大円
「それ面白いな でも真理だよね いきなり走ってパイロンなら倒してもいいけど
峠だと落ちて事故になる 歩いてインスペ低速でレッキ まさしくだ」真っ青さん
「そこまで やって 初めて 千万町の魔女 が誕生したんだ
申請・手続き・地元との親交と協力 大変だ」ひろしさん
「そっか それでかずみさん しょっちゅう県警本部に行ってるんだ
俺らも 連れられて 県警本部でサイン会してるし」屋形さん
「由美子さん ハリセン」とハリセンを受け取り屋形さんにハリセンを入れる大円
「このイケメン 県警本部の事務を取り仕切る 綺麗な憧れのお局様を籠絡して」
やっぱり イケメンには僻み全開の大円
「そのハリセンは仕方がない」ひろしさん だいぶ根に持ってる
「あ、三穂 8耐が終わったら 来週から伊仏への見合いツアーだ
向こうのお貴族様の敷地内峠でなら 許可も不要で飛ばせる
伊仏に来て貰えれば 乗れる」大円
「グッドウッドみたいな感じ?」おじさん
「そうそう グッドウッドは公募の参加だけど 完全プライベートの
招待制でやると思う 三穂が何処まで通じるか 楽しみ」大円
21時過ぎになり
「そろそろ パドックも静かになってきた ハウスで寝よう」強平さん
「寝ますか」と皆 揃ってチェアなどを片付けていると
真っ青さんたちが避けられてるとの情報をくれた ヤマハ系のチーム監督が来て
「大円君 相談があって」
大円との会話はするが 真っ青さんへのサインの求めではなく深刻な相談だった
監督の紹介で4人の若い子が来て ハウスのトランクに入れてあった
elf の20LのGas缶を受け取って 皆でお礼を言って帰っていく
「由美子さんはホテルへ 三河バイクで5部屋とってある」大円
「すこし 一人になりたいしな 有り難く使わせて貰う」ホテルへ向かう
ホテルの部屋でゆっくり思い返す ピットやタワー 大円くんとチーフ川島さんの話
矢田が来た意味 大円くんでは離れすぎて見えない世界観を矢田が翻訳してくれた
今日 見て聞いた 旗色を鮮明にして 遠い目標に向かって挑む若い子たち
揃わずダメなチームでも必死だ それは共通している 今日来てよかった
本予選や本戦では下位の敗退チームを見れなかった
栄子に見せたかったが身重だし なにより真っ青さんが居るし動画で自慢しよう
今宵も深けたようで
レース物語の定番の演出 やらかしても 主人公が頑張って
逆転優勝 そんなものはない やらかしたら終わり
作者がエントラントで出てた レースでもそうだった
よりシビアで やらかすと命が無くなる世界線だった