第145夜 はい 一人で鈴鹿に居ます
7月24日 4耐&8耐ウィークが始まる
23日と24日の午前中に 袋井でYZFとFZRの計5台の最終チェック
FZR15が体感でもロガーデータでも速く 4耐用に選ばれる
YZFはどっちのマシンも甲乙つけがたく両方とも良い
YZFは2台ともソフト2セットにハード3セットのタイヤの皮は剥けた状態にして
鈴鹿へ移動する 16時過ぎに 鈴鹿のパドック入をした大円
パドックにバカでかいハウスが3台搬入される
リカール家✕2 スフォルツァ家✕1 30人ならホテル不要な状態
大円やらかしててサーキットホテルがダブル5部屋しか取れなかったので
お貴族様とハウスで寝ることになる 仏語が通じるので問題ないな と思いながら
17時になるが パドックで待っていても三河バイクのメンバーが来ない
「今日はイベント 明日からの一次予選はどうするんだ 真面目にやれ」
大円 激怒して内村さんに電話
「大円くん 三回は言ったし 一次予選はシードの参加受理書も見せたけど
1次予選 明日の25日が奇数組 26日が偶数組 157組 上位80台だけど
28′′の足切り 28″は切って予選に来て貰わないと38の能書きじゃないけど危ない
うちの二人と73も含めてGP250 地区戦の表彰台独占中だし
GP250だけど13″フラットに15″フラット 17′′を切って シード権を獲得してる
TT-F3だと18”を切れると1次予選をパスできるシードと教えたよね
三河バイクは本予選の27日からだよ 予定では26日の夕方に鈴鹿入りだけど
ひょっとして大円くん 今 一人で鈴鹿に居るの?」と返され
ダダ滑りを認識して「はい 一人で鈴鹿に居ます」としか言えない大円
どうりで西谷さんは後で追いかけると下を向き 春奈も誘っても来なかった訳だ
西谷さんが下を向いたのは 笑を噛み殺してるのがバレないためかぁ やられた
明奈達は八ヶ岳のトレッキング中 ポールとルイも付いていっている
仕方なく一人でダブルに泊まり 一次予選を ボッチでピットの屋上で見てる
レースモードで鈴鹿に入るから電話もロクに出れないと大きな事を言ってきた
留守を管理会社に頼んだから マンションにも戻れない ボッチ
そこへ由美子さんから電話
「大円くん スタンド側の地下道の入口に居る 今日はなにか通行証が要るらしい
大円くんがピット側にいて 持ってるなら迎えに来てくれないか」由美子さん
由美子さんでも ボッチの300倍はいい エントラントパスは3枚しか無いが
4耐に8耐関連でスポンサーパスもある 由美子さんのトコも2枚行ってるはずだが
「由美子さん 三河バイクから封筒は届いてませんでしたか?」
「あるぞ 持って来ている これをだせばいいのか」
係の人に封筒毎渡してスポンサーパスでパドック側に入ってくる
「どうして今日に?」大円
「家元業 意外と忙しい 時間を取れたのが今日明日 だがホテルがない
大円くんならホテルくらい取ってると踏んで クラウン飛ばしてきた」由美子さん
「ホテルもあるし この三台のハウスも使えますよ ボッチですが」下を向く大円
事情を聞いて 爆笑の由美子さん
「でも 居てくれて良かった ボッチでスタンドは結構辛かったからな
ピットを見て廻ろう チームの顔がきっと見える」由美子さん
パドック側からピットを見て廻る RT丘咲のピットの前で止まる由美子さん
「このチームはいいな 一本筋が通ってる 話が出来ると良いが この服では迷惑」
そりゃ 訪問着では迷惑候
大円 この日のために作ったチームゴロワーズのアドバイザーの名刺を持って
ピットにお邪魔する 監督の川本さんと話をして パドックの由美子さんの所へ
「忙しいところを申し訳ない 信濃流家元 由美子と申します」家元の名刺
川本さんも名刺を出して 名刺交換
ピットには入らず チームを見せて頂く 由美子さん
「川本氏の指導力もあるが あの彼だな 彼がこのチームの要だ」とボード
「役割と役目キチンとしている 浮かれポンチでは解らなかったが 今なら理解る
止めるだけ ではなくチームを纏めている 近所ならうちで茶を教えたいわ」
「丘咲だから意外と近いかも 決勝まで来たら誘いましょう」大円
「いまからでも」
「ダメです 彼は今 予選に行くことでイッパイ そして予選を通ること
それしか頭にない うちはシードで本予選から ここのチームは一次予選から
突破して本予選 それも突破しないといけない 聞いた持ちタイムが28″ ギリ
本番の気合で後1″が出れば 足切りはクリア だけど 本予選へは順位が要る
余計なことは不要」大円
「そうか 役目を熟す精一杯熟す やってる最中に横槍は無粋そのもの」由美子さん
涼風で二人でご飯を食べてピット屋上に向かってると電話
「大円くん 1台と5人 パドックに入れない」とひろしさん
「軍団にスポンサーパスが2枚着てたから 後三枚足りないんだ」強平さん
由美子さんをここで待て 動くなと放置して ハウスからスクーターを出して
パドック側ゲートへスポンサー特権のパドックパスを渡して一台と五人を入れる
パスを余分に貰うために100をパーク大円名義で4耐8耐のレーススポンサードしてる
リカール家も独自でスポンサード シャンパンを渡す役をやりたいらしい
車を停めて スクーターを押しながら 由美子さんのトコへ
ひげのおじさん、まっさおさん、ひろしさん、強平さん、屋形さん 五人
「どうしてまた 一次予選に うちシードで居ないんです 俺 ボッチを喰らった」
五人に爆笑され
「仕事の空きが今日明日 一次予選って死物狂いで走るって聞いてね
出来たら ピット屋上で見たくて 大円くんがピット屋上が最高って言ってたし
来てみて居なければ スタンド見てようと 無茶な計画」ひろしさんが宣う
落ち着いて 挨拶と交わす 俳優組と由美子さん
「由美子さん 矢田の説教が聞いたみたいで」大円
「ハリセン三発も効いてるぞ」由美子さん
7人揃って ピット屋上へ
「良いなぁ 最終コーナー立ち上がりからS字まで見える」5人が声を揃える
「ここ以上だと あそこ」大円
「あそこって コントロールタワー そこはいけないだろ」ひろしさん
「でもね 今日TVの取材クルーが居て ひろしさん達の肖像権に問題なければ
要は お腹が痛い人が居なければ タワー側はOK だそうで」大円
ひろしさんは東京で『また』お腹が痛かったらしいので 屋上で我慢
6人でタワーに登る 地方局TVの取材も受けて「4耐 一番の激戦はここ」と
ひげのおじさんが宣い「見るなら 今日明日だ」と力説して続ける
他の5人は、ひげのおじさんに任せて タワーから見えるS字から逆バンクに集中
「おお〜」 「おお〜」と声が出てるおじさん達
ひげのおじさん「おい お前らずるいぞ 皆して見て」このカットが放映で使われる
ついでにチーフがミーティングルームを案内してくれる
「ここで 地区戦からF1や4耐も8耐もWGPもドラミもライダーズミーティングも
行われます 今座って見える席に過去にWGPやF1のライダードライバーが座った
そう言う部屋です」チーフ
「まぁ ただの会議室ですが」続けるチーフ川島
「おお〜」おじさん達
「大円くんは 復帰したとは聞いてますが来ないですね」チーフ川島
「三河バイクなので内村さんが来てます」大円
「藤田さん ご不幸に ご冥福を祈るしか無いですが」チーフ川島
「あいつ 偶に化けてでて 皆にぶち抜かれてます 往生際が悪い」大円
「それじゃあ 銀色の四輪みたいな あの方も往生際が悪い」チーフ川島
「それって幽霊?」と5人
「そら 早朝に事故死して夜に訪ねて来られて最終戦の決勝 年間が掛かってます
とか 幽霊にカマされたんだ 持ちタイムで4″以上離してる 余裕でぶち抜いて
ついてこいをしたよ」大円
「藤田くんも喪章を持って最終戦に来ましたから そんなもんでしょ」チーフ川島
なんかハードな話だが 大円もチーフ川島も軽く流したしで、流す5人
「お腹の痛い ひろしさんが待ってる ピット屋上へ戻りますか」大円
戻ったら話を聞いたひろしさん 激沈み ミーティングルームに行きたかった
チーフ川島に会いたかった 愚痴溢しまくり
でも「お腹が痛いのはダメだわ」と四人に言われ「ここに居れるだけヨシ!」
「私の顔で良ければ 見てって下さい」チーフ川島 ピット屋上に来てくれた
「まぁ 大円くんの専有 営業は割増で受ける こっちは大変 でも面白い
ポストもノリノリだし滅多に旗も要らない 良いですよ」チーフ川島
「この方が F1でもコースチーフで説教を入れる チーフ川島様」ひろしさん
「はい??」 ひれ伏す芸能人組 訳が判らない由美子さん
何時も説教を喰らっていたので頭があがらない大円 三者三様
「大円くんの憧れの 表彰台がこれ 藤田くんが端っこに一回だけ乗った
まぁ大円くん 大喜びでね 年間シリーズ6位はミーティングルームで表彰
これも大喜びで 去年は68君の年間総合優勝と38君の3位はそこまでは
なぜですか」チーフ川島
「これ これに一回も乗ってない 今週末に一番高いトコに乗せる」大円
「そうですね 古い方は これですから でも もう来年からはスタンド側
今年の4耐で最後 F1とかは こっちですが下に特設表彰台です」チーフ川島
「間に合ったんだ 藤田と約束したピット屋上の表彰台の真ん中
あのバカ 事故に巻き込まれて死にやがって まぁいい 化けて出てこい
68と38で必ず乗せる 真ん中に立たせる その為の練習をしこたまやった」大円
「期待して待ってますよ それでは戻ります」タワーに戻っていくチーフ川島
「チーフ川島様と仲良し 大円様だな」ひろしさん
「そりゃ 2年も地区戦でチーム藤田って藤田と二人だけで戦ってきたんだ
毎回 チーフの説教は喰らう それに丸1日の専有を掛けるから7万とか10万を
一日でぶち込む チーフともコースの使い方で相談する 顔も出来るよ」大円
「7万 そんな安くはないはず 通貨単位は」由美子さん
「CHF 海外が長かったからね 信用出来る通貨はCHFだ」大円
「じゃぁ10万で5日間だと 5000万JPYかぁ ぶち込んでるな」ひげのおじさん
「三穂のD車 ナンバー付けて走ってる段階で50 切って完全D車にして更に
第一段階で10 その先も金は掛かる NAだって50は掛かってる
バイクはヤマハのサポートで格安 年間30+α で済んでる」大円
「その +α が怖いな」真っ青さん
「ヤマハには専有時の走行とYZFやYZR等の開発のテストライダーのバーター
ゴロワーズはリカール家が持ってくれてるから 俺は払っていない
資金力の化け物チームと言われてたけど 6日7日の合宿を清須Rに見せた結果
資金力で才能を開花させたチームと評価が変わった」
「あのハウスは?」
「あれは本体から海運から全部 リカール家持ち 助かるわ 今日はハウスで呑んで
ボッチをグダって 騒ぎますか お腹も痛くないようだし」大円
「お腹も治ったから 呑もうぜ」ひろしさん
「お酌をさせて頂きます」由美子さん
ひげのおじさん ド正直に
「おれ20代美人が良いんだけど 大円くん 明奈ちゃん呼べない」
「うーーん 純金組 八ヶ岳トレッキングの最終日 ヘロへロのハズ 無理」
「あの彼女は」ひろしさん
「あれ 売り込みの新人女優 俺の彼女設定で金予備で踏み台にだけど
スキーは国体クラスで巧いけど 演技は下手すぎてダメだった」
春奈に電話する大円
三河バイクの奥山20くんとのデートの邪魔をするな
ウマに蹴られて死んでしまえ と蹴られる
富美さんに電話するも圏外
渡辺先輩に電話すると新婚旅行でフランスとの事
「富美さんに 強平さんが鈴鹿に来てるとの電話はした 出ない富美さんが悪い」
「了解 伝えておくわ」渡辺先輩
「人間 諦めが肝心 おじさん 諦めよう」ひろしさん
今宵も深けたようで