第134夜 拓也兄さんは なんで? ねぇ なんで?
典子の家に到着する7人
「Bienvenue, ma sœur.(おかえり お姉さん)」裕太
「Cela fait longtemps que je ne t'ai pas vu, Yuta.(久しぶり、裕太)」明奈
「Six belles femmes sont venues.(6人の美女がやってきた)」裕太
「Il devrait y avoir sept belles femmes.(7人の美女がいるはず)」典子
「Ma sœur est belle.Elle ne compte pas.(姉は美人だけど数には入らない)」裕太
「Du point de vue de mon frère, voici ce qui se passe.(弟から見るとね)」三穂
「日本語にしよう 裕太くん 英語は?」由美香
「メシマズ語は最低限の論文を辞書引きながら 中高遊び倒して苦労してます」裕太
「鈴鹿は?」三穂
「NSRで32″ RSを借りて乗ったけどタイムが出ない レーサーは難しい
大円さんの裏のレコードの12”は果てしなく遠いので」裕太
「4耐に行くの」明奈
「無理 一次予選を通過できない 三河バイクの二人みたいに GP250の戦績で
シードがある訳でもないし 予選にたどり着けない」裕太
「そうなの 兄貴様1次予選からの日程組んで張り切ってるわよ」三穂
「やっぱ勝ちに行くチームとライダーは準備が違うな うちもホンダでは名門だけど
三河バイクは勝ちに行く時の気合が違う」裕太
「鏡智ね ここのとこ四耐用ののFZRじゃなくて 8耐用のYZFしか乗せて
貰えないって愚痴ってたけど 四耐用のFZRは大丈夫かな」明奈
「大丈夫じゃないの 他人事だから言えるけど 68と38のコンビに73がスペア
マシンはワークスのFZR 鉄壁 これで勝てなきゃ 不幸と踊った」裕太
「本気で遊び倒して 本物をしってる 拓也兄さんとは月とすっぽん」由美香
「なにそれ」裕太
「カクカクシカジカで能書きばかりで」愚痴を垂れ流す由美香
「俺もだけどキチンとしたチームでレースをやれば能書きは垂れれない
68さんや38さんの公式コースレコード しかも レース最終ラップの13”フラット
俺 RSを借りて乗ったけど パワーを扱えなくて ベスト33′′4だし
返って自分のNSRの32″3の方が速い 同じ土俵に立てても居ない
でも少し上の先輩としてなら パドックで話をしてるし 横の繋がりはある
うちには全日本に行った去年の1さんも居るし その1さんよりも速い二人
そんなの相手に能書き垂れたら悲惨というか 地雷踏みに行くようなもんだよ
でも38さんが今年の初戦で調子こいて能書き垂れて 内村さんにド叱られた
流石 名門の三河バイク トップ独走のライダーをド叱る監督が居る
それよりも高校で生活指導室に2週間 まぁ為になったわ」裕太
「能書きの悲惨さを語る19才 と 知らずに垂れる26才
その生活指導室の2週間って?」由美香
「うちの高校 原付2種まで 自動二輪は任意保険が跳ね上がるし 無保険が出る
皆が保険に入って乗れる原付2種まで可 おれボンボンでNSRで捕まって無期停学
まぁ鈴木先生にド叱られて そもそもいきなりのNSR パワーは使い切れるのか
もうグーの根も出ないド正論のツッコミ 河川敷のミニサーキットに連れてかれて
『走ってみろ 昔、大円がRZ125で出した 1′28″2を切れたら停学はなしだ』
RZ125のタイムならNSRで楽勝で躱せると ニヤッとして20周走って
ヘロヘロになって ベストが1′33′′4 ごめんなさいだよ
ただ 後で気がついたのが そのタイムは全カテゴリーでのコースレコード」
「それは 四輪も含めてなの」三穂
「全カテゴリーとしか 聞いていないけど おそらく四輪も含めてだと思う
大円さんって高2で中免取って 即 TZ250 を買って鈴鹿の山田ガレージって
車メインのトコに置かして貰って走り始めて 卒業前で 18″ を切っていたと
挙句に 伝説\幻のキャブセッター 汚んたねぇぇぇぇ 勝てないトラップ
でも、そのトラップは有名だったらしくて みんなが大人しく125にしてる
理由だった 偶にチャレンジする奴もいたとか まぁヌケサクでした」
「兄貴様こんなトコでもトラップ仕込んで でもヌケサクでしたと認めれる
そこから 這い上がって 今は鈴鹿を走る 立派だよね」三穂
「タイムがないなら 仏語を話せたら許したる 無茶振りでマリーさん登場
2週間では無理で高2高3としばかれまくり NSRに乗るのは水波だけになって
話せるようになったら 中愛大の推薦は出してくれた
11月の推薦入試で面接だけで お正月もあったし その後も休みが多い
そこで仏旅行も行けたし 水波で合宿やってしこたま扱かれた」裕太
「キチンと基礎のミニサーキットで走って扱かれ鈴鹿に行ったんだ」三穂
「これ 母が知ったら また倒れる 裕太くん 訊かれても内緒ね」由美香
ドンと音がして見に行くと 由美香母が倒れてる
「どうしよう」美久
「こっちの和室に布団を引いて寝かそう」優香
「そうするしか無いね」と皆で運び寝かす
「典子さ 婿とって 裕太くんを自由に それで裕太くん 私の婿に来ない」優香
「お、美人にモテた でも姉ちゃんと同じゼミ どう考えても地雷だよなぁ
年上でも 73の貴子さんくらい優しかったら 考えるけどね」裕太
「優香 見抜かれてるぞ」と爆笑の5人 笑えない由美香
「拓也兄さんは 最低限このレベルが要求されるのか」由美香がポツリ
「姉ちゃん関係なら同じゼミでは無いけど 自由になったら春奈さんの婿ならだ
真面目だし 走ってるし 綺麗だし 優しいし」裕太
「はい?? 春奈姉さんとデートとかしてるの」明奈
「デートって言っても 鈴鹿のピットの往来で 涼風で飯を奢ってくれる
それ以上は家の事と春奈さん68さんの追っかけ 可愛い年下の先輩扱いだね」
「どこでひっくり返ったんだろう
漢字で名前が書ければ合格の三流私立の男子校だよ
水谷さんとか矢田さんとか先輩に居るけど
兄貴様の言うとおりなら 授業中に木刀でぶん殴ってOKなサバンナだよ
裕太くん その話知ってる?」三穂
「知ってるよ 授業中に後ろから 三人を木刀がへし折れるレベルでぶん殴って
一人の母親が謝らず 親爺婆従兄弟まで全部を一家離散するまで追い込み掛けて
潰したとか伝説だもん 廻りがヤメとけと注意したのに調子こいてたのが原因だね
イジメをするなら仕返しをされても仕方がない 仕返しが出来ないのはゴミだった
清流高校には、ほぼイジメないんだ イジメの仕返しであれば 後ろからの木刀が
許されるルールだからね 何年かに一度 ルールを知らない1年がやらかす
俺 ボンボンだし金持ってるしで 集りに何度も来たのが二人居て 金払わないと
嫌がらせしてくる 我慢して証言と証拠集めをして 冬になって揃ったトコで
上履きを長靴安全靴にしてSnap-onの3/8SQ 18inchのスピンナを持つようにした
クラスが違うのに授業中に来てバケツで 俺に泥水掛て笑ってる奴等に
3/8SQで頭をぶん殴ぐろうとしたら腕で庇って直撃で骨が折れて蹲って喚く
お前ら 人に殴る蹴るしといて自分は別かと 怒鳴って蹴り入れてたら
木刀が飛んできて『裕太 それ使え 折れたら終わりにしとけ』だったし
ボコボコに蹴った後だし あとの一人はビビって動けなから
故事に習い後ろから両肩に木刀のフルスイングを2発で木刀が折れた
木刀を投げて寄越したのは横着クラスのライオンで『潮時だぞ』
『木刀が折れた その辺にしとけ』『600円のお土産だとそんなもんだ』
スピンナのクロムパラジュウム鋼だと際限がないと止めてくれて
ライオンたちが二人とも真冬の廊下の 足洗い場に捨てて ホースで水掛けて放置
ルールは得物は105cm/850gまで 要はスヌケの木刀の大刀の長さ重さだね
材質は不問 銃器と刃物と薬品はダメ 目と金玉はダメ そんなサバンナだよ
加藤先生が来て 木刀とスピンナを点検して520gで18inc ルール上問題無しで
「その痛みの原因はお前ら自身だ 証言も揃ってる 反省文を書いて
書き上がったら 親を呼んでやるから」と原稿用紙と鉛筆渡してたな
まぁ昔話はここまで 美人も見たしレポート書きに戻るわ」自分の部屋に行く裕太
「お願い この事は母には内緒で また倒れる」由美香
「まぁ 兄貴様 伝説作りまくって 載っかてるわ裕太くん」三穂
「清須レーシングというキチンとしたクラブでの教え鍛えも」美久
「岡崎さくらんぼさんだって キチンとしたJAFのクラブだよ
ただ一条精密の孫受けに努めてる人が多い 由美香家は1次受け」三穂
「となると やっぱり組長と幹部だね」優香
「生活指導室の常連で その組長が匙を投げた 兄貴様とかも居るけど」三穂
「でも そこで仏語はマスターして 海外の大学へ行った」美久
「それと 15代以上前のOBが組長達のお願いで動いた 超絶指導力
件のダメ女事件 うちの裕太も お世話おばさんって何?からスタートで動いた
当然 動いてる他の同期とかとも連携して 先輩とも顔を合せの会合があって
出かけていった」典子
「それこそ 恩を感じて返す 真っ当な心意気 そこで先輩後輩の縦のライン
OB間の結束も固まる これも母には内緒で」由美香
「禁止のバイクに乗った横着小僧にサーキットで先輩のタイムに挑ませて
勝てたら停学免除とか 勝てない小僧はグーの根も出ない ド正論でド叱る」明奈
「となると 横着坊主には あの組長が必要と 私も助かったし
中高で遊び倒して組長の教え vs 中高勉強ばかりで大学デビューで遊んでる
組長の2週間の停学指導 それ一発で世の中の仕来りを理解できる」リサ
「どんなトラップよ 普通は勉強していい高校 いい大学 で真っ当に
河内さんも笹原さんも 真っ当 外れた裕太くんは組長の教えで救われた
拓也兄さんは なんで? ねぇ なんで?」由美香
今宵も深けたようで