第13夜 携帯電話の電源 落としたほうが良い?
「その相手って 署の二人ですよね いい先輩です ちょっとファッションがダメ
普段制服なので、仕方ない スキーも2級 街も警ら隊で廻って知ってます
普通に良い先輩です 大円を基準にしたら ダメです」
涼子さんと美沙さんの打算機がオーバークロックで計算中で黙る
「そうよね 逃した魚は諦めないとお局様になっちゃうし」美沙さん
「ちょっと 酷くない」
「でも、今晩決めれば 二人して離脱可能 しかも公務員だしね」美沙さん
「吉田先輩からの情報では 二人共綺麗で選べない そっちで選んで と
ただ」
「矢田 よくやった 良い情報だ 素直な男とも取れる」涼子さん
「ただ??」美沙さん
「大円の妹 19の純金 大円に似ず 美人で滑らず 出てくる可能性がります」
「なにそれ 兄貴を知った上で 受け入れる可能性があるの」美沙さん
「吉田先輩たち そもそも俺と大円の先輩
貧乏してた大円の面倒を物凄く見てた
大円が海外に行く時に 吉田先輩達に土下座で妹みてくれと頼んで旅立った
吉田先輩たちは 警らで安否確認とPCが巡回してるぞのアピールで廻ってました
インフルとか胃腸風邪で寝込んでるのを何回かPCで病院へ搬送してるので
妹も吉田先輩たちとは顔見知りだし 二人には恩を感じてる
二人共いい男ですが署内では籠手で手が臭いと 兄貴に比べれば問題なし」
「はい?? 19の純金って 山の上のお嬢様女子大の純金がライバル?」美沙さん
「出てくるる前に 決めないと」涼子さん
「大円からは ゲストルーム二部屋空けた 20cmの隔壁+防火防音で30cmのドア」
矢田 此れだけ煽っておけば 妹 いい当て馬になって貰おう
この日の夜 焼き鳥屋は盛況で Barも良い雰囲気で進んでいく
マッシモ達も口説いてるのが解り 応援に廻っているので 意外と静か
二組のカップルが出来上がり 部屋に移動
大円のペントハウスの屋外のBarカウンターには
ワインが7本とコニャックとグラッパを並べておいてある
「吉田先輩 完全防音のゲストルーム二部屋 シャワーも完備 使って下さい」
「大円 お前 良い後輩だよ 俺達も年貢を収めれる」と両先輩
「よかった お局様も嫁に行く 先輩も片付く」と油断してリビングに入る大円
矢田も俺達もペリエにして 酒を抜いて行く
矢田が異変に気が付き屋外のBarカウンターへダッシュしていく
「涼子さん 美沙さん ストップ ペリエに」
遅かった
矢田は正座して 渡ってグダを巻き出す二人 倒れるワインの空瓶
何度も寝ましょうと 説得しながら 付き合う警察官二人
でかいスーパー業会のお局様では常識レベルではあるが
世間では完全に非常識なグダ
最後寝落ち
「大円 申し訳ない ちょっと無理 矢田に正座させるとかな」
涼子さんたちをゲストルームに放り込んで 帰っていく先輩二人
「矢田 栄子ちゃん どうしよう 両方片付く予定が 爆弾だけ残った」
「あの二人は明日の朝 叱ります」栄子ちゃん 嫁になると強い
「矢田も頑張ったし 俺も頑張ったよな
吉田・渡辺の両先輩 世間で見て いい男だよな」
「いい男です 多少ファッションがダサいですが それは流通業界から見て
世間では標準です そこで渡ってグダるのは ダメです」栄子ちゃん
「そこではグダってはなかった 呑み過ぎでグダって渡って更に呑んだ
あれはダメだわ 止めたのが遅かったかもしれんが ただの呑みすぎお局」
矢田も呆れ返っていて お局 様も付かない
三人で屋外のカウンターに行くと ワインの空瓶が6本
「先輩たち 運転できるレベル と言うことは二人でワイン1本位か
涼子さん達で5本 焼き鳥屋もBarも呑んでたし
矢田も止めに入ってくれたのに正座させられて
あれでは俺も近づけなくて 矢田 悪かった」
「ただ酒でのオーバードリンカー 助けようがない 大円が来ても正座なだけで
更に印象が悪くなるだけだ 俺だけで済ますのが正解だ」冷静な矢田
「ですね 呑みすぎ 殿方とのお見合い 去られます」栄子ちゃん 強い
「好きに呑んでがダメだったのか でも招待して金取るのもおかしい 出さないと」
「ちなみにさ そのワイン いくらするの」これまた冷静な矢田
「そんなん 知らん 空輸できた お貴族様のワインだ 7本セットの奴だ」
「大円 どうせ日本で普通に買うと、かなり高いワインだろ 目が眩んだんだな」
「それほどないはず 高いって書いてあったのは 別のワインセラーに隠してある
其の辺のはオープンワインセラーだ 好きに呑んでだよ でも渡るのはなぁ」
「大円 テーブルが違う 普通にBarで呑んだらかなり高いワイン 美味かった
屋外のカウンター 満天の星空に夜景 男よりワイン 渡る」矢田の冷静な分析
「2本まで と制限しておくべきでしたね」栄子ちゃん
件のBarのマスターが来てくれて ワインの品定め 店で出した幾らと訊いてみる
「うちの店は若い子向けの店 値段的に出せないワインですね
シャブリのグランクリュ それも一五年もの
ブランショ、ブーグロ、レ・クロ、グルヌイユ、レ・プルーズ
ヴァルミュール、ヴォーデジール 七つの畑全部とか
仕入れの1.5倍で ワイン一本1万超えとかは、うちの店に置けません
予約で利益削っても6本で6万は貰わないと」 商売人の冷静な判断
「ありがと 奥の鍵の着いたワインセラーに行って好きなの2本持ってきて
呑もう 呑まないとやってられない」と鍵を渡す
二本の赤ワインを持ってきて
「ちょっと待ってくださいね 落ち着かせます」
チーズを準備して 時間をおいて デキャンタに移して
サーブしてくれる 「鴨の燻製もある マスターも呑んでよ」と勧める
三人で二本呑んで 解散と宣言する栄子ちゃん
栄子ちゃんに送って貰って帰るマスター と 矢田 歩きながらの会話
「こないだのグラッパに続き 今度はワイン 呑んでよ じゃないよ」
「7本セットと最後の赤 金払えば 買えるワインなんですか」
「7本セットは金さえ払えば 在庫があれば買えますが 在庫が少ないから
ラスの二本 なにか其の筋の強力なバックアップが無いと無理
二本好きなのとか言われても手がすくむのしかなかった お貴族様? はぁ〜」
「マスターがそう言うんだ じゃ俺ここで右なので」と別れて家路につく矢田
マスターの思うお貴族様は 6畳一間の畳部屋の昭和の宿で 布団で就寝中
翌朝 矢田は居ない 怖いが ゲストルームを開ける
完全にオーバードリンカーの二人 栄子ちゃんにド叱られる 強い
年下だが 婚姻については先輩 そうなんだ 栄子ちゃんは俺の婚約者だ
左手の薬指には Chaumet の計10ctのダイヤのリングを嵌めている
ジョルジェットが話をしてくれ 本店で 特急で作ってくれたリングなんだ
デザインが 手間取るとのことなのでジョルジェットと色違いの同じデザイン
リビングに移動してコーヒーを呑みながら
「涼子さんも美沙さんも目の前のワインに釣られて これを見落とした」
左手の薬指にハマったエンゲージリングを見せびらかす
栄子ちゃんも Chaumet の計10ctの威力を知らずに 説教をしてる
「なにそれ」と二人でリングを見る
「婚約指輪だ 他所の男に取られない様に嵌めて貰ってる
ジョルジェットのと同じ店で 同じデザインだ ダイヤだぞ」と口を挟む
「はい??」
「俺もよく知らんが パリのなんとか広場のなんとか言う店で頼んだ
男にはよくわからん世界だから ジョルジェットに任した」
「それって お仏のお貴族様 御用達の店でお貴族様と同じ物?」
「よく解らんから任した ジョルジェットが同じデザインでピンクダイヤ
栄子ちゃんのが時間が無くて無色のダイヤ 何処行っても恥ずかしくない」
チャイムが鳴りデカイスーパーの女の娘が何人か来てる 栄子ちゃんが迎えに行く
「涼子さん達が やっと やっと 落ち着くと お聞きして朝一番にお祝いに」
恵美さんと恵子ちゃん
そういや、Barで電話があって カップルが二組 一安心と言ってしまっていた
いきなりの狙撃 もう俺は黙る 栄子ちゃん任せた
「それがね 向こうの殿方は ほぼOKだったの
でもね目の前のこの7本セットの シャブリ グランクリュ
これに目が眩んで 渡ってグダッた 殿方は無理とお帰りに」
ワインの空瓶が転がっている屋外のカウンターへ連れて行く栄子ちゃん
「いくら いいワインでもね 渡ってはいけない時があるの
それを忘れて 渡ってグダった そして リングは来ない 仕方ない」
見せびらかすChaumet のリング
宝飾店勤務の娘 千佳22さん 見せてもらい 刻印を確認して
「Chaumet 本店 マジ 日本にあるんだ しかも8ctはあるダイヤ」
引いていく
「なんか計10ctの無色ダイヤらしいぞ 内訳は知らんが」と口を挟む
「うちの店では扱えない リングなのですが」千佳22さん
「知らん 栄子ちゃんが恥ずかしくないリングだ」
また 軽く言ってる矢田の友達
あの日の朝 あのオープンのナビに座れば あの指輪は私の指に
帰りも 憧れのお局様の涼子さんと帰りたい と言っていた
かなり カチンとくる言い方だけど
失敗をしない人生は退屈なだけ? 巫山戯た書家ね 甘ちゃんよ
リカバリできない失敗をした後は後悔しか無いわよ と二人
そして 昨夜の二人も 堅実な公務員で そこそこイケメンで真っ当な人だった
それを眼の前のワインで渡ってしまった
矢田が止めてくれた それを振り払って次のボトルへ そこまでは覚えている
「俺の先輩 結構いい男 警察官だから公務員 出世も順調 ただし傷心中」
昨日の焼き鳥屋とかBarとかでのポラを女の娘達に見せる
「いい男 年は」と三人 「俺らより2つ上の28 焦ってる」
「じゃ、水曜日に合コン 矢田さんも入れて 33で」梨花23さん
「ちょっと」涼子さんと美沙さん
「先輩たちが渡ってグダっても 寝落ちするまで面倒を見た忍耐力
そしてキチンとベットに寝かす優しさも 実績付き 行かないと」梨花20さん
「私もクリスマス 実績付きの男性 大円くん セット お願い」
1コーナーなのに クリスマスと 鯖を読む 恵美25さん
「でも、栄子ちゃんの例で行くと 下から売れていくかも 先輩すいません」恵子20さん
バトル 完全に女のバトル 先輩後輩関係無しで始まっている
しかも 矢田が居ない
「はい」も「いいえ」も言えず 沈黙する
察した恵美さん「さぁ 仕事行きますよ」と仕事に向かう一派
とりあえず署に電話すると
「えらい美人を紹介したらしいですね」とお姉様
「はい やらかしたので 失地回復 失敗のリカバリ 今度は20〜25
先輩の失敗を無駄にはしませんな 娘を三人用意しました
水曜日にうちのマンションの1階の和食 久海へ と伝言お願いし〼」
お姉様に言ってしまう
「私の顔は知ってるわよね」お姉様
「吉田先輩に 叱られた時に受付に居た美人さんですよね」
「うふ それほどでも」
「何ででしょうね 涼子さんも美沙さんもお姉様も
綺麗で優しいお局様 俺から見たら 憧れのお局様 何で残るのでしょうか」
何も考えずに 素直な感想を言ってしまう
「すこし 脇を緩めて 滑ってみるとか 親しみやすさを出してみるとか
それをやりすぎて やらかしたのが 涼子さんたちですけど」
沈黙の中 売れ残ってるからお局様 順番が逆よ と思うが
どうにも 引っかかる 言い方 裏があると踏んで 吉田に訊こうと決めて
「吉田くん達には 水曜日の夜の件 伝えておくわ またね」と切れる
「あなた 今 思いっきりの地雷踏んだわよ 吉田さん達が気の毒」栄子ちゃん
「???」
「そこが、まぁ あなたの良い処であるのですけど
今日の お昼も サイゼリヤ さぁ 準備しましょう」
「ひょっとして 携帯電話の電源 落としたほうが良い?」
「ひょっとしなくても」
今宵も深けたようで