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第128夜 生まれた時から大円くんの妹

離れの水屋と言うより炊事場で ガスコンロで湯を沸かし

座卓と座布団を出して設置して 紅茶を入れてポットとカップ一式を持って

席に就く大円 二人分の 紅茶を注ぎて クッキーの缶を開けて


「宝生さんから見たらマダマダでしょうが 頑張って現し世の仲間のみで

 ここまで来ました 介入せず見守って下さい」大円


「それは良いのですが なぜ この紅いお茶に」宝生さんが化現してくる


「そんなの 普通のお抹茶 面白みも何もないし 教え鍛えはパスしたい

 同じお茶の木の葉を発酵させて作った紅茶と言うのを買ってきました

 こんなのを出すのは俺くらい どうせ滑るなら 目先を変えたくて」


五智如来の宝生如来様に紅茶とクッキー どうせ滑るならと 滑りに行った大円


紅茶を頂く宝生如来様 


「ふむ 奥底おくそこには 茶の木の葉 作りが変わると こうも 面白い」


大円 左手を上げて握りしめる ガッツポーズ


「クッキーという菓子もどうぞ」と言って 先に自分が一つ摘んで食べる


「お待ちを」と止めて 缶の蓋を見てみると 賞味期限が2年も前に切れている


「しまった 2年以上前に熊山さんの所で貰ったお菓子 お腹壊すかも」


「如来の力 時空くらい捻じ曲げますよ 味見を」


「美味しくなってる どうぞ」


しばらくクッキーを食べて紅茶を飲んで雑談をして 消えていく宝生さん 

大円もカップとかクッキーの残っている缶を出しっぱなしで消えていく


天界に戻った宝生さん

「ふむ 滑るのも面白い 賞味期限切れとのオチも良いですね」宝生さん


「あれを 面白いと流す 私だと叱ってツッコんで巻き込まれて滑落」薬師さん


「クッキーはキチンと毒味を自分でして引っ込めた チョンボのリカバリはしている

 あの紅いお茶は 海外で頂いて なにか別の滑るネタを持っている感じのトラップ

 叱りツッコむのは無謀 なかなか 進んでいますね」三如来


「薬師さん 心を平穏に流す 良いですね 明王に四天王に神将」大日様


薬師さんと明王さん達19人は 移動して密談開始

「あのお抹茶候の離れで 宝生さんに座卓にカップで紅いお茶 普通はド滑り

 しかし相手は大円くん 自制して流さないと巻き込まれ滑落します

 心と精神の鍛錬の相手と思い みなさんも 頑張りましょう」薬師さん


「帝釈天は逃げたか」広目天


「まぬけ 帝釈天殿は 大円くんの妹さん 三穂さんの護衛という名の

 修練に行っている 生まれた時から大円くんの妹 動かない事実を熟す三穂さん

 護衛に就いて側にいて見て聞くだけで 修練になる」不動さん


「生まれた時から妹、気の毒としか・・ あれ 多聞天と持国天も居ない」広目天


「多聞天殿は逃げられてはいるが まだ大円くん嫁の栄子さん

 持国天殿は今の彼女の明奈さん

 帝釈天殿と同じく 大円くんのド滑りを躱し流す二人の護衛という名の

 修練に向かったわ 広目天と増長天はマヌケと言われても仕方がないな」不動さん


「行きますよ 待たせるのは失礼になる」降三世さん


「行くか 二人は須弥山の警備な」宮毘羅さん


行き先を言わず消えていく 明王さん達と神将さん達

取り残される広目天さんと増長天さん しかたなく主業務の須弥山の警備に戻る

不動さんのあの煽りの意味 絶対監視されていて、ここで愚痴を垂れれば

即バレるとの認識はある二人 黙って、警備業務を遂行していると


「うふふ 成長しましたね」

との声は聞こえたが、これに反応するのも無能と判断して業務を続ける二人


一方 由美子さん ビデオの件は若い娘に 契約の件は法務に 任せ 離れに来る

離れに行くと縁側側の戸は開けっ放し 座卓も色々も使いっぱなし

部屋に入らず母屋に戻る


「飲んで使って出しっぱなしで 片付けもせずの紅茶の道具に

 食べ差しのクッキー缶 だれだ」


出しっぱなしにお怒りになるが警報装置の履歴を見ても何もない


「ここの警報装置は先日潰され最新を入れたばかり

 大円くんなら掻い潜れるだろうが となると相手は誰だ?」


母屋の警戒管制室で内弟子を呼ぶ 由美子さん 

「初香26さん ご自慢の警報装置 突破されてるぞ 現場の確認に行こう」


「はい?? 畳の下にひずみゲージとロードセルの山 廊下の床板にはGセンサー

 外周にも内部にもレーザーセンサーで二重で囲ってある 物理的に突破は無理」

ブツブツ言いながらデータロガーの生データも確認して見る初香26さん

防犯ビデオも 当然の様に誰も写っていない

工学部の物理計測で論文博士での博士さん 飽きて茶の湯の世界へ飛び込んだ才女


「全く反応していない 見に行きましょう 家元のフカシかも」


見に行く二人


「え、思いっきり侵入されて 紅茶を飲まれてる 無人仕様で対泥棒用のセットが」

縁側にあがると 赤ランプが点灯し警報音が鳴り響く

ダッシュで警戒管制室に行く初香26さん 最新データだと座卓がある

センサーの類は生きている 断線もしていない

拡声器のチャンネルを離れに スイッチを入れ PTTを握る


「家元 離れの茶室に 入って下さい」反応はどうだ?


普通に縁側に上がるとレーザーが遮断され侵入を検知

縁側の廊下を歩くと振動をGセンサーが感知し歩いているのが理解る

畳の上のには荷重が掛かり歪みゲージとロードセルで歩いている 止まった 理解る

室内のレーザーセンサーもキチンと反応している ビデオにも写っている

設備に異常はない 頭が痛くなってきた 初香26さん

トボトボと歩いて 離れに行くと


「何時も検分で茶を点ててばかり 偶には私の淹れた紅茶でもどうだ

 座卓で対面で飲んでみるのも 乙だろ」由美子さん


諦めて座卓の前にある座布団に座って 座卓を見ると 紙が1枚 


C'est un système d'alarme bien conçu.

Désolé d'être entré par effraction.


même.

Pour les détecteurs de porte, il est recommandé d'utiliser du fil de soie,

qui peut être déterminé physiquement par la façon dont il se casse.

Des technologies plus anciennes peuvent également être utilisées.


Houjyou-san m'a convaincu avec le thé et les biscuits.

Bonne chance en compagnie de la génération actuelle.

Kyouchi


Je m'appelle Houjyou, et j'ai ignoré les lois de la physique.

Houjyou Nyorai


「家元このメモ紙ありましたか? 私が先程見た時には無かったような

 しかも 仏語フランスご 嫌がらせ 理系工学部は日英独なの」


「私も見てないぞ 紅茶は入れた そのクッキー食べれそうか?」

紙が湧いてきていても気にしない 由美子さん 気にしたら負けを実践中


「賞味期限が 2年前に終わってますから ゲロマズでお腹壊します」


食べてみる 由美子さん

「美味しいぞ 出来たてみたいだ 初香の物理警報装置を無視するんだ

 時空を圧し曲げるのもありだな」


紅茶とクッキーを美味しく頂く 初香26さんと由美子さん


「さっきのハリセンの彼だ 何でもありだ 気に病むな」由美子さん


「お二人が私の警報装置を突破してるんですよ 彼はキョウチ 上の段を書いている

 下の段が ホウジョウニョライって仏様 仏様ほとけさまだから仏語ふつご

 ド滑りもいいとこ 仏様ほとけさま仏語ほとけごではなく仏語ふらんすご どうしたらいいです」


「その仏語ほとけご仏語ふつご仏語ふらんすご どれだ?

 彼ならフランス語だ 翻訳を頼まないと」


「フランス語でしょう 今日はあがって家元のツケで飲みに行きますから

 そこに フランス語が出来るのを呼びます」


「ここに呼べ いい酒を山ほど買ってある 矢田が呑まずに嫁に連れて帰られた」


炊事場の酒を確認して 電話をして呼び出す 初香26さん


「炊事とかは家元で こうも見事に突破されてはヘタれてますから出来ません

 肴だけは 乾き物や塩辛 漬物 山ほどありますから ここの冷蔵庫から

 そもそも あのハリセンの時の侵入経路すら検出できずで このザマ」


初香26さん

奥にあった定冠詞の30の封を開けてギネスの冷えてないのをチェイサーに呑みだす

グダも巻かず 持ってきた紙とペンで警報装置の再確認をしている


30分で飛んできた フランス語が読み書き会話が出来る ご学友の郁美26さん

定冠詞の30とギネスを渡す前に 翻訳をさせる 呑んだらダメはお互い理解してる

サクッと翻訳完了


よく出来た警報装置だよ

乱入してごめんな


でも

ドアセンサーには、切れ方で物理的に判断できる絹糸がいい

古い技術でも十分に活用できる


宝生さんには、紅茶とクッキーの奉納で納得頂いた

現し世の仲間で頑張れ

キョウチ


宝生と申します、物理法則は無視させて頂きました

宝生如来


「なにこの宝生如来とのローマ字でのサインありえない 如来様のサイン

 しかも 本文 フランス語」ご学友の郁美さん


「フランス語と思うから 日本語でフランス語は仏語ふつごだろ 仏様ほとけさまだし」由美子さん

ここまでなんでもありかとは思うが あるから仕方がない 万物のことわりと受け入れる


「上の段の人は、初香の警報装置を突破しといて『よく出来た』とか褒めていく

 下の段の人は、『物理法則を無視させて頂きました』

 勝てない 物理法則を無視されたら勝てない」呑み始めた核分裂専攻の郁美さん


「初香 肴は?」


「そこの水屋に棚と冷蔵庫がある ガスレンジもある 好きなのを炙って食べよう」


「え 水屋に冷蔵庫にガスレンジ?」それくらいの疑問は出る 外見の離れ


『世間が評価はうっっとおしい』と宝生様並みに自由な 旦那さんが離れの設計をしてる

『部屋が有って 場所を作れば 冷蔵庫と棚と火力は必需品 燗も肴も炙れるる』

この離れの もう一つ奥の離れは 更に好き勝手に設計して自分専用

こちらの離れは 皆の共用なので 一見 広めの茶室だけど 宴会でも使われる 

惚れているのと ロジックの組み立てで それを認めざるを得ない由美子さん


普段は動くが 指でペンを遊び紙を前に髪いじる そこに没頭して動かなくなる

知ってるよ サクッ切り替えて立ち上がり「家元 頂きます」と棚と冷蔵庫を漁り

干物を炙って持ってくる ならぶ肴達 ピスタッチオもクルミもならんで

鯵とキンメの干物の炙ったのが出来上がる


定冠詞は置いて 再度冷蔵庫に行き ポン酒「女城主」を持ってくる郁美26さん


「ささ家元 どうぞ 家主が呑まずでは 呑みにくい」


女三人 グビグビ呑んで そのまま雑魚寝になりかけるが 由美子さんだけは

40目前の自分まで それはいかんでしょと  脱走し 部屋の布団で就寝していく



今宵も深けたようで

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