第127夜 NSKのHR 30203 J を入れた手首だ よく廻る
呑みだした二人 涼子さんは禁酒中 酒を見せるのは嫌がらせと
肴を持ってきてくれだけ 肴って 宴会で余った寿司刺し身と焼いた肉 だが
矢田 中学までのマムシ取りや山の幸をとり売り飛ばして自分と妹の給食費に
していたり、イジメの報復と本堂を燃やすまでは話していたが その中間の
高校時代のクソ坊主達の殲滅の話はしていなかったけど 涼子さんたちには
話をしたし聞き及んでるだろうから 由美子さんにも話してもいいと判断をして話す
「凄まじい経歴だな 約束は約束手形の裏書きありで だな」
「去年 親父さんが亡くなった時に 49日までで1000万も毟ろうとしたクソ坊主
一人再起不能で本山の奥へ 三人行方不明 これはきっと燃やしてシミにしてる
一人が50億位の賠償金の支払い」
「そんな金額 国税が乗り込んでくるだろ 宗教法人でも国税には勝てないぞ」
「あいつ中3のイジメの件以降 金融会社の弁護士や法務と組んでて
書類揃えまくりで問題があれば 自分から国税に乗り込む
勝負になれば あいつから納税の有無の訴訟を起して 司法の場で白黒をつける
負けても納税の見解の白黒 申告・預託してるから脱税じゃないし重加算税はない
勝ち目がないのはサクッと納税してるから 国税も諦めてる
大円は無駄と踏んだ国税 払った方のクソ坊主に査察が入ったと
脱税して溜め込んだ王道は 大円が取り上げた後だろうから空振りかな」
「王道？ なんだ？」
「脱税の王道 山中貴金属の1kgパック 10kgパック
大円に10kgパック2本貰ったけど、まぁ小さいのに重い 20kgもある」
「それは 10kgが2個だ 20kgだ 算数だぞ」
「それはね 持ってみると これが20kgもあるとは思えない大きさで」矢田
「そうだが 山中貴金属が10kgと裏書きしてるんだろ 正味で10kg間違いない
大円くんが持ち込んだ あのダンボールや ツッコミの薬師さんから頂いたという
椀なんか軽くなったり 持てないほど重くなったり 勘弁して欲しい」
「大円らしい 心の持ち様で重さの変わる道具 別途 ダンボール五箱もあるので
『家元』がんばって」強烈に他人事で 笑って応援する矢田
「その笑える心 鈴鹿のハリセンだな まぁ全部見せてくれてた訳だ
今思えば ホントにあのピットには総てが詰まっていた
たかがオートバイの練習と 甘く見すぎていた 慢心だな 家元との驕り
まぁええだけ叩き潰されて 肚も座るし 一歩も二歩も進めるだろう
まず立ち直る 矢田が一緒に呑んでくれるから 明日もな 頼むぞ」
「俺への報酬は？」
「王道のお礼だと 成婚までの見合い相手の紹介と仲人 夫婦喧嘩の仲裁まで
矢田は新婚だから王道ではなく 妾の紹介だが 涼子達にバレる どうする？」
「そのどうするって 妾の紹介を受けるかどうかですか 『今は』お断りです」
「そうか 私が家元のウチに これで握れ 嫁と妾との喧嘩の仲裁は付けておく」
「家元がヨボヨボの婆になった頃に 喧嘩の仲裁は『今から』効力発効で」
「搦手だらけだ 矢田は言葉で 大円くんは道具と実践で お手上げだ 頑張る」
「頑張って下さい 俺は 風呂を頂いて 寝ます」矢田 切り上げて風呂に向かう
「ええだけの二人だ 私も風呂が空いたら 入って寝よう」由美子さん
矢田 信濃流家元邸に泊まり続けるハメになりかけるが
木曜日の朝に 嫁の千佳ちゃんが怒鳴り込んできた
「うちは し・ん・こ・ん それも し・ん・きょ 皆さんお解りですか」
「喧嘩になる前に帰るわ 今日は休みだし おそろ の食器買いに行かないとな」
帰っていく矢田 お揃い食器を買って マンションに帰ると正座が待っていた
「火曜の午後に行ったきりで 木曜日の朝迎えに行くまで 涼子さんからの電話のみ
携帯も持ってるし 電話の一本位あっても いいではないですか」
「俺を引き留めた 夫婦喧嘩の仲裁の責任者に変わるわ」
由美子さんに電話をする矢田 「はい？ 仲裁は嫁と妾との揉め事のみ?」
「王道のお礼の場合は 見合い 仲人 夫婦喧嘩の仲裁まで との事例を示した
矢田は王道のお礼に該当しない 自力で嫁を見つけ 私は仲人をしていない
約は 私が家元のウチに妾を紹介する 嫁と妾との喧嘩の仲裁をする だぞ
どこにも 矢田と千佳の夫婦喧嘩の仲裁をするとの項目は入っていない
しかし効力は発効したから 矢田が何処かで彼女を作ってバレての
千佳と彼女との喧嘩は約束通り仲裁をする」由美子さん
横で聞いていた 千佳チャン
「大円さん並みのトラップ 由美子さん完全復活 でもあなたは反省の正座ね」
「だいだいにおいて 新婚2ヶ月の夫婦喧嘩 犬も食わないし 猫もまたぐ
また呑みに来い 酒と肴くらいは用意するから」電話を切る由美子さん
矢田 要件定義の大切さを身にしみて 正座を続ける
「大円は大円で さも栄子ちゃんに逃げられて 寂しい独り身の言い草して
しっかり 明奈ちゃんという 仏語が話せる嫁より年下の愛人作ってるわ
由美子さんも由美子さんで 今のだわ ひっどいわ」愚痴る矢田
「なにそれ聞きたい ソファへ復帰で」千佳チャン
ソファに移動したらビールが出てきて 枝豆が皿に盛られる
「大円さぁ 県警本部でお局様に イケメンですよって言われたんだけど
『やさしい憧れのお局様のイケメン 下駄どころか脚立に乗ってる
ブサメンには選ぶ権利はない 来てくれた栄子ちゃんには逃げられ
日本語だとスベって滑落されてと女子大生に言われ 仏語が必須だし
19の嫁との能書きを垂れた挙句に 愛人は嫁より若くとか大きな事を
言ってしまい 自分の首を〆てしまっている』
とか言って、思いっきり下を向いて沈みやがった
完全に地雷を踏んだと リカバリ考えてたらひろしさんから明奈ちゃん情報
条件は2つ 仏語が必須 嫁より若く 明奈ちゃん両方ともクリア」
「たぬきばかり それも大ダヌキ 爆笑なんだけど あなたは妾の紹介とかは」
「今はお断りした 由美子さんがヨボヨボの婆になってからと 癌があるからな
簡単に鬼籍に入ろうとしてたらから 生き延びて約束を果たして貰わないと」
「ふう〜ん 妾は作るんだ」
「その時は由美子さんの仲裁があるから大丈夫と妾を紹介して貰らう
予定だったんだけど由美子さんの仲裁は嫁と妾との喧嘩のみ
俺と千佳との喧嘩は範囲外との宣言
夫婦喧嘩の仲裁無しでの妾 前提条件が変わったから
約を果たさねばと頑張って元気なババアになって貰うだけだな」
「はい？ そんなの由美子さんのトラップ あなたでもそんなドハマり
もう 怒る気も無くなったわ お風呂入って寝ましょ」
「たぬきの化かし合いの世界に住んでるんだよなぁ」ボヤく たぬきの矢田
前提条件が変わったから と言っただけ、彼女を作らないとは言っていない
犬も食わず猫もまたぐ夫婦喧嘩が終わり夜も更けていく
金曜日のお昼
二つのチームは 各々お問題を抱えていた
純金21チーム
明日の 椎木の城南のパーティー 碌でもないタイトルとサブタイトル
どうやって熟そうかと 頭を悩ましていると
「え 明奈は来ないの いい兄貴様は？」
「先輩にいじられる 回避一択 車もスポンサーシールも用意して熊山さんに渡した
差し入れの手配もした 請求書も廻ってくる あとは頑張れ だって
なので 明日は二人で 白濁した大混浴露天風呂の温泉にいくの」明奈
「明奈に あと半年は20と言われないのはいい がばろう」ねね
考える妹
『いい兄貴様でも あそこの先輩には頭が上がらない 逃げるのが正解だ
呼んだとしても こちらの戦力として期待できないし 向こうに廻られてたら
廻る気がなくても そもそも空気を読む気がない 乱射されたら被弾する』
「ねね 美味しいバーベキューだ 楽しく行こう」妹 色々諦めて食い気に走る
純金21チーム いじられる問題の回避は諦め 流す方向に掌を返す
二人共手首には ベアリングが入っているから 掌返しの速度は速い
もう一方の 信濃流家元邸
お稽古に来てる弟子も含めて 一本のビデオテープを 眺めている
「家元 なんか分厚いのですが」
「βcam-SP Somyと書いてありますが うちもβですが 厚みも大きさも違う」
「うん VHSには 入らなかった」由美子さん
「こう言う時に 電気に強い若い男衆が居てくれれば」幹部の純子さん
『く このトラップ 幹部まで若い男性がだ 矢田も大円くんも 読み切って』
由美子さん 声に出てしまっていた
「あ！ 仕方がない 話す」と
若い男性を引き込まないと お茶の道界に未来はないと説教を喰らい 用意もされた
それが 火曜日の 三河バイクと軍団さんや真っ青さんたちとの宴会
三河バイクのスポンサーになって 4耐を戦って 若い男性の興味を引く計画と話す
「そんな コアぁな」と言う声が出るが
「私の弟 バイク好き 2年連続で4耐8耐に行ってる 15万人が集まる
お茶のお稽古先の家元が 4耐のチームスポンサー 自慢できる」と康恵24さん
「そう言う女性も居るのか 契約の詳細を詰めてる所だ漏れないように」由美子さん
「その関係で かっこいいライダーが5人も通ってくれれば」富子27さん
「ちょっと待てな 三者の協議中だ あせるな」由美子さん
「はい？ 三者って？？」みな 訊いてくる
「三河バイクと軍団と信濃流だ」
ぐっと 力が入る皆 今日来ているメンバーは基本火曜日は居なかった
「そんなイケメンイケメン って言ってると 貢がされてやり捨てられるだけだ
自分の身の丈を知って 身の丈に会う男と見合いしろ 見合いしろ」
と怒鳴りながら ハリセンをスパスパ入れていく大円が現れた 僻み全開
「ひろしさんを連呼した挙句 現物が並んだら ひげのおじさんはかっこいい
とか家元が吐かした 家元がだよ い・え・も・と がだよ
家元はもうババアだからいいけど 若い女性 気をつけな」消えていく大円
「なんですか 今のパンチのハリセンは？」
黙って椀と書かれたダンボールから 箱入りの椀を五個出して
「みな 並んで 椀を出して 拝見してみなさい」由美子さん
重くて持てない娘ばかり
バイク好きの弟の康恵24さんと何人かは 普通に持って拝見
4/23しか拝見出来なかった
「その重さが こころの重さだ
さっきのパンチのハリセンの彼の部屋に放置された椀に道具達らしい
この宝生如来様の椀は 彼の作の椀だ 心の邪さがそのまま茶の味になる
信濃流の心の出来は 道具に寄る精密判定になる 爆笑だろ」
「国宝どころの騒ぎじゃない」純子さん
「しかしそれを信じないものには 何も感じれない 心して稽古を積むように」
「それは凄いけど イケメンへの僻みも凄かった ねぇ」富子27さん
「それは 仕方がない この先は訊かないのが情けだ 気の毒だろ」由美子さん
「それって 家元の掌返しの ひげのおじさん事件」初香26さん
火曜日にも居た内弟子 声に出してだが 皆反応しない 流した
色々 想像して 触るのはやめよう流れ弾もあるし 家元が原因だし彼が気の毒だ
となり ビデオテープに話を戻さなとやってられない 椀を持てなかった19人
「Somy βcam-SPと書いてあります Somyが3軒向こうに 持って行ってきます」
23人で出かけていく
10分で戻ってきて
「どうもプロ用のβcam−SP という機材のテープらしい とまでは理解りました」
「このテープの再生には放送局並みの設備か 撮影したカメラが要ると」
「それで どうしたら見れるんだ 機材を買うしか無いのか」由美子さん
「その機材 200万〜で受注生産だそうで 街の電気屋では扱えないとの事
カメラも500万でレンズ別でスタートらしく」
「困った 矢田が大円くんのビデオカメラで 軍団やら真っ青さんやら
ひろしさんからのビデオレターを撮影したと言っていた
大円くんならカメラを持ってる位だ 機材も持っているだろうが
さっきのハリセンを三発も喰らっていては 彼も怒っているだろうし」
「あの掌返しは酷かった ビデオレターは見たいし なにか手は」初香26さん
「こんな無策の女が集まって悩んでも無駄 バイクの事は弟へ 動画のことは叔父へ
βcam-SPのVSHへダビング とっとと帰って 連絡してみます」康恵24さん
「そうよね 蛇の道は蛇 私も見合い相手に 相談してみます」富子27さん
「そうだ 役割分担だ 自分の出来ることをキチンとやろう
そして 仲間にしていこう 男性の仲間も大事だ」由美子さん
かなりの静寂が 茶室を包む
口火を切る 内弟子の初香26さん
「家元 うちは男子トイレが少ないからと 消極的だったのが 掌クルん
NSKのベアリングが手首に入っているとか 本当だったんですね」
「掌は返す為にある NSKのHR 30203 J を入れた手首だ よく廻る
男子トイレなぞ作ればいい 土地はある 資金もまだある」由美子さん
「大円くんや矢田に説教されまくって ここで掌を返さないと未来はないと
やっと理解できた 大円くんはブサメンで滑るが心意気のいい本物のいい男だ
矢田はイケメンな上に心意気もいい 不幸な事につるんだ涼子がお局様になった
ひろしさんもひげのおじさんもいい男だが やはりブラウン管の向こうの人
未婚組は 矢田の様な男を捕まえろ 私も剣道弓道柔道の道関係で探す」
「そうですね 矢田さんの様な男 いいですね」初香26さん
「うんうん 」と声が揃う
ハリセンしたあと帰らずに気配を消して覗き見をしていた大円
あれ？ イケメンへの僻み以降 いい男方向に行ったはずなのに
やっぱり 優しい憧れのお局様しか イケメンと言って貰えないんだ
「大円くん系は 余程肚決めるか勢いがないと 事実しか言わないけど
私は去年の正月に初対面でお局様を連発された でもケツは持ついい男
残念ながらあの日本語の方を捻じ曲げる根性がある程のいい男って
大円くん以外 居ないわよ」涼子さん
「キツイ 涼子さんの旦那さんのシモンさん系を探すわ」渡って歌う富子27さん
「渡って歌う富子には うちのカルロさん系も明るくて良いわよ
大円くんは 愛人は嫁より若く とか能書き垂れたから」美沙さん登場
大円 渡って歌うのは富美さんと美里さんだけでいいし ベーカムは頑張れだし
垂れた能書きの条件をクリアした明奈がいるしで 離れの茶室に移動していく
今宵も深けたようで
