第125夜 えらい能書きを垂れさせて お前がやれよ
デカイスーパーの裏の テラスのある喫茶店へ移動する ここ最近出来たらしい
「それで 俺に何をやらしたい」矢田
「3つ 頼みがある
1つ 濃尾地区シムカーナ選手権 D車両のスポンサー
プロショップ矢田のデカイスッテカーとこのくらいの刺繍の徽章
レーシングスーツに貼り付けるやつが欲しい 金はいい
2つ 栄子ちゃんの密偵 俺が行っても会ってもくれん 健康ならいい
3つ 由美子さんに助言を
カクカクシカジカでチームだと担当を決めて役割分担をして勝ちに行く
耐久だと特にそうだ 4耐向けの模擬レースまで見せたけど理解していない
俺からだと余計に混乱する
2と3の礼に 明日は錦で寿司だ おそらく俺も奢りで食うから人の金と」
「1はステッカーも刺繍のワッペンもあるから直ぐ出せるけど スポンサーなら
金も出さないといけないが」
「金じゃないんだな 矢田に応援されてる 矢田の店の看板を背負って走ってる
このプレッシャーに勝てないとな お楽しみだわ」大円
「誰が走る? お前じゃないのか 誰だ? まぁ言わないトコ見ると隠し玉
2は見に行くけど 3がなぁ 俺で貫目が足りるか?」
「今の由美子さん相手なら お釣りが来るよ 俺と山に入った時も役割分担してるし
店に人を入れて育てた 当たり前のことを当たり前に考えればいい 人を大事にだ
池田はダメだけどな」大円
「あいつ 水谷のベアリング理論で 虻のベアリング沼にハマって
元々 魚は釣れないヘボなのに 女の子を釣るための琵琶湖で能書き垂れて
女も魚もノーバイト沼に落ちてるんだが」矢田
「それは仕方がない 愛が哀に切り替わっただけだ」僻み全開の大円
「しかたないか ダブルヘッダーだし 俺なんか涼子さんとツルンだのが運の尽き
お前と岐阜に通ったし あの時は ゴチ」矢田
「琵琶湖にこそっと行ってたのは?」
「店に飾ってある写真を見てないのか 琵琶湖で上げた 自慢の40cmUP 45cmUP」
「ホントに魚釣りだったんだ てっきり琵琶湖かと」大円
「1回行ったけど 1日釣って 魚臭いし汗臭いしで 出禁になるトコだった
黒服の人が気づいて お姉さんに魚釣りの後と言ってくれて 洗髪からに
それ以降は 琵琶湖は魚釣りと割り切ってる 臭いとか 迷惑だしな
結婚してからは 魚釣りに行って 石鹸の匂いで帰るのは まずいしな」
「そうなんだ お姉さんも魚釣りでも有名な琵琶湖だし 対応してくれるんだ
お互いの思いやりだな 琵琶湖の黒服さんもお姉さんも思いやりに溢れてるな
思いやりもなく給食費まで毟り 私利私欲に走ったくせに阿羅漢とか能書き垂れた
6宗派のクソ坊主は閻魔太王の法廷に行かしたけどな 残りはそのうちだ」
「解った 帰りにステッカーとワッペンを持っていってくれ
明日の午後に 二人に任して 由美子さんのトコ行って 錦な」
「錦のデカイビルに入ってる 喫茶アルプスの真向かいの寿司屋
喫茶アルプスから電話してくれ 明奈に迎えに行って貰う
それと、由美子さん家の玄関にダンボールが積んであったら
奥の控室に片しといて あれも運べないようでは困るんだけどね」
二人で プロショップ矢田に戻り ステッカーなどを受け取る
ついでに 生田くんの真正面からほっぺに プニ
「お試しは これくらいでいいか 明日よろしく」帰っていく大円
「せっかく詮索を打ち切ったのに 大円さん 生田くんをいじめて」千佳チャン
「見えていた 見えていたはずなのに 意識の外から ぷに って来た」生田くん
「そう言う 化け物も居るから お客さんだ 生田くんお願い」矢田
頑張って 見守られながら 接客を熟す生田くん 及第点と矢田
「今日は うなぎ 駅前なら呑んでも生田くんも歩いて帰れるだろ」矢田
「それって」千佳ちゃん
「そんなの うちの従業員に プニ うなぎ位は奢らせる いこうか」
とか言いながら 生田くんのほっぺにプニをする矢田
凍りつく生田くん
連隊では数少ないレンジャー徽章も付け 特務部隊に居た
「まだ 現役に通じるか 鈍ってないな 大円の頼み 頑張ろう」矢田
「勘弁して欲しい 普通のアウトドアショップの求人だったのに」
愚痴を垂れる生田くん
「うなぎを食べて 復活してね」千佳チャン
三人はパーク大円の飲食店街のうなぎ屋に向かい 呑み食いしてツケは大円へ
21日 午後 信濃流 家元邸
矢田が玄関を開けると 積んであるダンボール
「これか 大円の言ってた ダンボール 5箱もある」サクッと持って奥へ運ぶ
栄子ちゃんに会いに来たと 入っていくと お腹の目立ってきた栄子ちゃん
「栄子ちゃん そんなに拗ねてて 機嫌直しな」となだめても
「バカ鏡智のバカ 真っ青さんと密談までして鈍感鏡智」とお怒りは収まっていない
『あちゃぁ 大円のど滑りだ どうしようもない』
「そんな事 言ってると また鈴鹿に真っ青さんが来た時に会えないぞ」
「それは でも でも 真っ青さんが眼の前だと話せなくて 鏡智は鈍感でバカ」
そのまま奥へ引っ込んでしまう栄子ちゃん
涼子さんが来て「矢田 あの箱をどうやって動かしたの」と訊いてくる
「普通に 持って5往復 意外と軽かったよ」矢田
「ホントに? 由美子さんが 重くて危険と絶対に持つなと」涼子さん
「ん? 持ってみた?」
「由美子さんの重くて危険との指示に従っているから」涼子さん
「試しても居ないと 重症だな 由美子さんは?」
「奥の裏庭にある 離れに籠もってる 結界を張って食事も運べない」
見に行く矢田 注連縄で張ってある結界
「ポカリある? 持ってきて」矢田
ポカリを貰って 注連縄を越していく 離れの引き戸を開けて
「まず ポカリ 飲んで下さい 話はそれから」
かなり驚く由美子さん
「結界ってね 山では侵入を防ぐんじゃないんだ 感知して対応する為に張る
中学生で大円と二人で山に入って 帰れなくなって結界張って交代で見張った
何度もやった 親父は見逃してくれたけど お袋は連絡しなさい 無理だから」
「しかし 流派の者は皆 弾き返されて 入ってこれずだったが」
「それは 由美子さんの暗示に引っ掛かってるだけ 見破れれば入れる
俺らはもっと厳しい 猿の群れや猪を相手にしてきた
こんな人相手の暗示レベルの結界 柔道のインハイでも上の方なんか騙し合いだ」
「矢田に『も』効かないか 来れる晩は大円くんが来て 御結びを置いていく
私のことを化け物とか 言っておいて酷くないか」
「その苦情は却下 俺も大円も 一度も言っていない
今日来たのは大円に頼まれてね 大円の役割ではないので矢田に頼むと
この辺で理解してくれると 楽が出来ますが ダメ?」
「ダメだ 矢田の口から聞きたい」
「しょうがない 先輩に説教になるから やりたくないけど 寿司が掛かってるから
人にはね 役割がある 俺が高3の時に加藤先生に言われた
『主将として引っ張っていけ 皆の心を一つに 5人で勝ちに行くわけではない
ポカリを渡す奴 氷を準備する奴 皆んな柔道部だ 37人全員をまとめろ』
これの役目を 鈴鹿のピットでは 監督がやって 模擬レースをやった
ただボードを持ってバイクを止めるだけの奴も居たはずだ
止めるのは基本4回 でも 緊急ピットインに対応できるように待機
なにも仕事をしてないように見えても 待機という仕事をしている 役割だね
待機してるから ずっと緊張感が続く 大変な役割だ
信濃流 待機じゃない 指示待ちで何もしてない 前に出さないと
由美子さんの役割は人を育てる
大丈夫 鈴鹿の本番とかと違って 怪我もなければ 次回が無いとかでもない
今のチームでは4耐は今年が最後 次回はない 更に68と38は結婚式が掛かってる
万が一に備えて73は出れる見込みもないが、練習を繰り返してる 一丸だ
この辺でいい」
「それは 理解るが 大円くんの持ち込んだ 道具 重くて持てない」
「簡単 俺はダンボールを奥の部屋に運べた
栄子ちゃんも 涼子さんも 流派の若い子も 皆育てよう 任せよう
そこに一生懸命になればいい 重い荷物でも一人で運ばずチームで運ぶ
チームで運べば なんでも無い ただの道具
使い倒して 皆を育てる 俺が言うのも何なのですが 頑張れ
そうすればひろしさんも きっと来てくれる 出来なければ 大円は呼ばない
能書きを垂れたから、俺も生田くんを育てないと 帰ります」
信濃流の玄関を出ると NAがフルオープンで横付け
「えらい能書きを垂れさせて お前がやれよ」矢田
「寿司食いに行くぞ 乗れよ」大円
「どうした NAで タクシーじゃないのか」
「我儘なおっさん達がな もう一回乗ってみたい 一回乗ってみたい もう大変
今 純金達がSELの五台とセンチュリーの車列で
河川敷にある自動車学校跡地へ向かっているわ 良かったよ借りれて」
「この車 飛ばそうとすると真っ直ぐ行って曲がらない 酷い目にあった車だしなぁ
ナビなら 運転は断る」矢田
インカム付けて走りだして
「由美子さんも あれで解ってくれるといいけど 毎度御結びを作るはめんどい」
電話がなり 車を停めて 話し込む大円
信濃流に電話をして涼子さんに
「天宇受売命の代わりに純金を呼んで宴会だよ ストリップもなければ
手力雄様も戸隠だが 19時には集まる 庭を開けとくように」
「珍しく強引だな」
「68達のスポンサーに軍団が付いた 今の電話で決まった 軍団のトレーラーも
ロケ車も借りれてネームバリューで 他も引っ張ってくる
今年の四耐優勝とシリーズ123で 来年 全日本に行く その先もある
ついでに 信濃流も巻き込みたいんだよな だからお披露目」
「めちゃくちゃ 嬉しそうだな」
「そりゃそうだ 藤田と俺で出来なかった事を 68達がやってくれた
俺の金で行かすのは簡単だ それじゃぁ片肺だ 軍団の社長と呑んだ甲斐がある」
「信濃流を巻き込みたい理由はなんだ」
「女性の若年層の人口激減中 男性人口は変わらす ここで若年男子にアピールして
引き込めないとジリ貧だ 30年先は爺婆の娯楽に転落する
由美子さんの代はいい 次の代の栄子ちゃんには俺の金がある その先がない
信濃流は年間総額事前表示を徹底させた明朗会計だし まだ金がある
しかも スポンサーのコラボが軍団だ 自動的に社長他とひろしさん付」
「真っ当なコンサルで現状と対策を示してるのか 極悪コンサルなのか」
「極悪コンサルトしては 信濃流に軍団を入門させて 茶会には軍団の誰か
どうだ 極悪コンサルのえげつない悪知恵は」大円
そんな 極悪コンサルな話をしながら 河川敷の自動車学校跡地へ
「ええだけ 高級車がならんで 軍団も揃ってるし 固定ポールも健在だ」矢田
『あれ、大円の妹のドライブで 軍団がナビ?? はい?? あの車で曲げていく?
ええだけスムーズでええだけ速い 軍団も満足して交代していくのか
真っ青さんもひろしさんも居る 後でサインを貰わないと』矢田の思い
「どうだ ジムカーナ濃尾地区シリーズを追いかける 大円三穂選手のデモランは
前のダート車をD車にしてデビューだ ボンネットには『プロショップ矢田』だ」
矢田 大円を掴んで 離れる
「お前 消える気じゃないだろうな
事を成して満足して地獄に行くとか無いだろうな」
「まだだ 子の三人は欲しいし その三人の子 孫もみたい
それに 38のWGPの追っかけもしないとな 現し世で忙しい」大円
「それならいい 後二人か 栄子ちゃんがなぁ バカ鏡智のバカ だしな
頑張ってはみる デカイスーパーの残存の一派への救援要請もしとくが
署長情報だと県警本部でイケメンと言われたんだろ 次も考えろ」
「やさしい憧れのお局様のイケメン 下駄どころか脚立に乗ってる
ブサメンには選ぶ権利はない 来てくれた栄子ちゃんには逃げられ
日本語だとスベって滑落されてと女子大生に言われ
仏語が話せないとフラれるのは必須だし
19の嫁との能書きを垂れた挙句に 愛人は嫁より若くとか大きな事を
言ってしまい 自分の首を絞めてしまっている」
思いっきり下を向き沈む大円
「すまん 余計なことを言った」謝るしか無い矢田
今宵も深けたようで
琵琶湖は魚釣りか自転車だよね
びわ湖温泉ホテル紅葉の唄がCMで流れてた頃
琵琶湖一周サイクルマラソンの前泊で チームの皆でホテル紅葉に泊まって
夜に何処かへ行った〇〇くん達 スタート前に腰が痛いとか言ってたけど
元気ですか?