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第122夜 ホンダに持っていかれたら 俺 減俸もんだよ

最終コーナー出口付近にある 遊園地とパドックを結ぶ地下道を通って

パドックからピットに連れてこられる 由美子さんと春奈


「春奈は あの地下道を知ってるだろ 入ってこれば良かったのに」

皆に言われてる 春奈 準チーム員だ


「知ってはいたけど 通ったことがないの 

 遊園地側からだと何処に行くか 不明な地下道だし」春奈


「そういやそうか でも 鈴鹿のコース管理だってダメな日は封鎖するし

 今日は空いてたから 通行OKなんだよ」68


なんだかんだで春奈は相手がしてもらえるが 由美子さん相手がして貰えない

大円も西谷さんと ロガーデータとニラメッコ そこに68と73が加わり

メカも加わって 73のタコ踊りと 38のコケたのの違い 68との違いとか

データで見ていく タイム自体は20”で揃ってる 


「最終コーナーは 開けるポイントだな テグナーとかはRrブレーキの使い方だ

 68がRrブレーキの使い方が抜群に巧い この辺を73は見習え」大円


「俺 Rrが雑なんです Rrで寝かせるまで上手くいくんですが」73


「だから15”が切れない Rrブレーキで荷重をRrに残してコーナリングフォースを

 トラクションだけのコーナリングフォースだと入口で稼げない」68


「38も上手いが なんかあったのか コケる要素が見当たらないんだが」大円


「コース閉鎖だし 帰ってきたら 早目に涼風に行って お昼に訊きます」西谷さん


「あの」と出てくる真美ちゃん

「お父さんと喧嘩して」


「なして」と皆


「お父さんは全日本フル参戦しろと 店はいい 

 柳橋の組合でスポンサードもする と言われてるのですが

 スポンサード料が一桁少なく それも言えずで 悩んでて」


「柳橋は幾らだと」大円


「200万JPY」真美ちゃん


「あちゃぁ そんな感覚なんだろうな この2日間のコース代だけで2000万

 バイク代にも足りないって言ったら 倒れるな それは困った 出すのは簡単だが

 一緒に行ってやれないのがなぁ 白子レーシングはどうなん?」


「ウチでは全日本は厳しくて」工藤さん


「ウチなら でもなぁ こないだの お局様事件で 出禁」内村さん


「八方塞がり」73

「でも あれは38が悪い 120%38が悪い どう考えても38が悪い」


「その通り 73の言う通り」深く頷く68と大円 


「真美ちゃん その話何時から」68


「今年の正月で 昇格申請がまだ間に合う時期で」真美ちゃん


「そっから悩んで 放言か メンタルトレーニング行きだな」内村さん


「父の会社の系列の山崎レーシングが 全日本GP250のライダーを探しています

 スポンサーも居るそうで TZで勝てるライダーをと

 ホントは68さんが来てくれると嬉しいのですが 38さんでも」春奈


「38さんでも!!!でも!! 」真美ちゃん


「春奈は68の追っかけ 逆に言うと38は純粋にライダー 68だと寝取りたい男」


「俺?? そんなにイケメンでもないし なんで?」と素で訊く68


手を出すと 内村さんが巨大ハリセンを渡してくれる

バシぃぃぃ とハリセンが68に炸裂する 

73に渡すと やっぱりバシぃぃぃ と炸裂する


「これだから イケメンは ナチュラルに ブサメンをいじめる」73


「それほどのイケメンでは無いですが 73は私が選んだいい男ですよ」貴子23


73に思いっきりのハリセンをカマス大円 

「嫁に逃げられても すぐ次の20(ハタチ)の女子大生」とハモる68と73


連発のハリセンを喰らう大円 『逃げられても』ここでもでかと納得するしない


「そうだ 話を変える 先日 うちの妹の21の誕生日 すっかり忘れてて

 先輩がケーキを持って来た どうなったと思う? 直近の68に訊きたい」


「そんなの ケーキが爆弾で 即爆発するに決まってる 

 俺ならひろ子が20代に慣れる 2週間後くらいに 知り合いの洋食屋で」


「うんうん」とひろ子ちゃんと真美ちゃん


イケメンはしっかりしてると納得する大円


「だって20の誕生日でやらかしてますから 10代の看板を降ろす日ですよ

 もう蹴りが入って 大変でした」68


「あれ? 私は蹴りを入れていないけど」巨大な地雷を踏む68 叱られろ


「そりゃ 17の頃の彼女の話だし ひろ子は優しい 蹴られなくていい」68


サラッと躱せたかと思われたが 追撃にいくひろ子ちゃん


「そんなの 運命の女のひろ子と出逢う前の話だ」軽く躱していく68

「夏の4耐で ここの屋上で ひろ子と劇的な指輪交換をしてマルセイユへ」


「そうよね 68と38をウェディングドレスで ピットで待つから」二人


73と密談する大円と春奈

「イケメンってすっごいなァ」大円

「俺なんて足元にも でも貴子さんも綺麗で 負けてないので」73

「あれはジゴロクラスが年貢を収めてる女 勝てない」春奈


戻ってくる38 レントゲンで異常なし と筋肉女医28


雨が止まずで コースは閉鎖のまま


由美子さん やっと口を開くと

「大円くん このコース閉鎖で 何割かの返金はあるのか」


「そんなの無い コースを借りた 使えるか使えないかは天候次第

 ポストやマーシャルピット タワーに計時 回収車 全員 待機だ 

 目に見えるコースだけではない 見えない部分に金を払っている」


「仕事はしてないだろ」


「してるよ 待機という仕事だ 俺達だって73の待機の仕事を頼んでる

 いつコケて怪我するか不明だ だから73に出番のない練習をさせている

 チームで勝ちに行く 誰かが割りを食う 73だ でも38がダメなら降ろして

 73を走らせる 68が降りるかもしれない チームで勝つ このピットは一体だ


 そしてコースも雨がやんだら俺達を走らせようと この雨の中で待機だ

 今日と明日の鈴鹿は俺達のための全力だ 明後日はどこかの為に全力だ

 この意味が理解らないとあの椀は持てない 帰って 捨てたほうがいい」


チェアに座り込む 由美子さん 放置


「38さん うちの山崎レーシングが 全日本GP250のライダーを探しています

 オーディションを受けてみませんか スポンサードもあります

 私が出来るのは オーディションの推薦まで

 その先は38さんの実力で勝ち取って下さい 2年契約になります」春奈


「雨のうちに飯食いに行くぞ」と涼風に向かうメンバー


ご飯を食べて土砂降りの中 ピットに戻る


「ダメかなぁ 俺の予想だと午後には小雨 インターミディで走れるはずだが」


38と話し込む春奈 警戒してくっついてる真美ちゃん

そこへ「俺もオーディション受けてもいいかな 持ちタイム15”フラット」73


「来年 IB昇格が最低条件で 38さんは去年のシリーズ3位で昇格要件クリア

 73さんはシリーズ3位までが 最低条件」春奈


「頑張るわ」73


「って俺が勝つと悪者?」68


「だわねぇ パーフェクトウィンは捨てなさいね」ひろ子ちゃん


「仕方なし 去年の最終戦のチームオーダー 勝たせて貰った

 今年は38と73の援護に廻る お前らコケるなよ」68


小雨になってきた 「インターにチェンジで オープンに備えろ」


1コーナーの向こうに虹がかかってきて グリーン点灯

三台が押されて コースインしていく


「じゃ YZF 行きます」大円もコースイン でも すぐピットイン


「なにこれ 上が全然伸びない 雨だからではないと思う」大円


西谷さんとチェックが始まるヤマハワークス 解らなく2号車へチェンジ


押されて出ていく大円 58′の走行でピットインのピットボード

2′13″台で1時間 走ってきた


「大円くんが走ってくれれば勝てるのに 英雄を降ろしてサロンと組ます」上村さん


それを聞き逃さなかった 到着した英雄さん


「そうだねぇ ハーフウエットのインターで13″台 1時間走りきられたらね

 俺のドライのタイム ごめんなさい だわ」英雄さんが上村さんに語りかける


「だろ 速さだけならね しかもあのマシン 順チェンジ」開き直る 上村さん


「でもさぁ 英雄さん イケメンじゃん 俺ブサメン スポンサーも私生道

 スポンサー様のご意見で 英雄さんだよ」僻みの入ってる大円


「そんな事っ言って 愛人は嫁より若く 20の女子大生が売り込んできた愛人って

 もう真っ青さんからひげのおじさんから 電話ありまくりなんだけど

 俺 大円くんより年上で 11月に29歳 愛人どころか まだ独身なんだけど」

英雄さんに「どうぞ」とハリセンが渡され 三連発を喰らう大円


見てる由美子さん

『なんだ この落差 高低差が凄すぎる 先程の待機の人への配慮

 そしてハリセン これを熟せと 呆れ返るしか無い

 視点を高く 広く見ろ 妹さんの言葉 細かいことに拘るな か

 難しすぎるが このピットは一体で コースも一体 皆で進めている』


1545 全車 ピットイン

メカがマシンの片付けを終える 1625


「飯食いに行くぞ イタリアンだ ドカンで」大円


「それって藤田さんが寝落ちして 蹴り入れられた店」73


「そうだぞ あのバカ 食いながら寝やがって 今日は幽霊は出なかったな」


「ゼッケン48のTZが出ました スプーンでぶち抜きました」68


「俺は 130Rでぶち抜きました」38


みなで73を見る


「テグナーの1ッコ目でぶち抜きました」73


次は当然 英雄さんに視線が集まる


「銀の四輪と一緒に まっちゃんでぶち抜いた」英雄さん


「勝てないんだから 成仏しろよな」大円


「ひっどい言い草」と皆に言われる大円


55のバスがパドックに来る 皆で乗っていく


「由美子さんも 晩ごはん 行くよ」大円


由美子さん

乗ったはいいが さっきの話 なんだ

今日はゼッケン48のマシンは走っていないはず

でも皆 いてもOK ぶち抜いたと なんだ


3つ後ろの席の若い女性(春奈)の隣に行きに訊いてみる

「なんでも昔 大円さんとチーム藤田で走ってたライダーの方で

 去年の最終戦の予選の早朝に事故で亡くなり 夜に大円さんに化けて出て

 葬式よりも最終戦の決勝と説教をカマした方と でも遅いのでぶち抜かれ放題」


「遅いって言ってもシリーズ6位だし今の俺よりは上位 今年でひっくり返す」73


「気にせず ぶち抜けばいいらしいから」38


「でもさ 銀の四輪には気をつけろよ カマされたら偉いことだ」68


みな 野原さんを思い出して 「あれは嫌だ」となる


「大円くん 幽霊が居ても普通にぶち抜いて終わりなのか」


「そんなの ここはサーキット 男も女も幽霊も属性は関係ない

 タイムと順位が総てと そう思わないと大円さんとは付き合えません」

声が揃うバスの中の 由美子さん以外の全員


「理解ってきたやん そうここはサーキット レースDayは集中

 藤田だってICUに入った爺さんを放り出して 俺と一緒に

 喪章を用意してここに来て年間シリーズ6位をもぎ取った」


「覚悟が違う なにがそんなに」由美子さん


「それは バックで焼き付いて吹き飛んだら よくて重体

 そのセットを大円さんに全部預けてる 

 大円さんはセットして必ず自分で乗って確認して渡してくれる 

 命を預けれる 信頼関係ですよ」68


「そこなんだよなぁ 山崎レーシング 有名所で信用は出来る

 でも大円さんがいない 命をサクッと預けれないのが心配

 73だって そこを割り引くと タイムは落ちるだろ」38


「それは落ちます キャブセッターで乗ってくれての確認はない」73


「そこの殻を破らないとWGPには行けない 頑張れ」英雄さん


「あの俺ら全日本に WGPとは違うんで」38


「だって全日本のコースレコードより速いノービスだしWGPを見据えないと

 君らそう言う目で レース業界は見てるよ」英雄さん


「それは俺ら思いっきり 大円さんという下駄を履いてるし なぁ」38


「うんうん」68と73


「そこまで理解ってるからこそ 注目される 自力の実力と思ってたら全日本の

 声はないし GP500の声もかからない そうでしょ上村さん」英雄さん


「バレてるかぁ 73は 今年地区戦3位以内で来シーズン ヤマハワークスで

 全日本のGP250の契約を白子レーシングとしている

 68と38は 大円くんに見破られて囲い込めていない」上村さん


「それ!! 大円さんが サインしたかと訊いたのは それ!!!」73


「はい? 山崎レーシングではなく ヤマハ本体の思惑で38さん達を誘えと

 全日本の先のWGP含みで 山崎レーシングへ誘えと」春奈


「バレたらしょうがない 大円くんの下駄ってさ 教え鍛えなわけよ

 熟した三人をさ ヤマハとしては囲い込みたい 68は全日本の鈴鹿のみ

 これは、あの老舗の花板で仕方ない 73は白子の工藤さんにサインさせた

 38のお父さんが行けと言ってくれてる どうしてもね」上村さん


「思いっきり 陰謀論なみの策略が渦巻いてる」真美ちゃん


「そんなの幻のキャブセッターが教え鍛えた三人 しかもヤマハユーザー

 三人とも 内村さんと工藤さんの教えも受けてる キス以外は何処にでも出せる

 囲い込めなかったら ホンダに持っていかれたら 俺 減俸もんだよ」上村さん


「キスの件は出せないんだ」と一同


「営業的にはいいんだけど 女性ファン獲得的にね

 英雄さんに私生道が付くのは彼女が居ないから 女性層もなの」上村さん


「私生道かぁ、俺ら彼」で口を塞がれ 後ろの席に連れて行かれる68


「山崎レーシングのオーディションは何時?」英雄さんの顔を見て話を戻す 38


「来シーズンの全日本 戦って3位まででヤマハワークスでWGPへ」上村さん


「はい??」38と73


「行けるでしょ ヤマハワークスを信頼して頑張ろう」上村さん


「信用じゃなくて 信頼なんだ」73と38


「そう 信頼できるよ」英雄さん


今宵も深けたようで

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