第121夜 雨の鈴鹿名物 ストレートでの転倒
6月13日 信濃流家元邸 茶室
手前座に座る 由美子さん
出される 茶を頂く 大円 「苦い まだ ダメなの?」
返す言葉がない 由美子さん
「明日と明後日 鈴鹿の合宿 声は掛けた 来るか来ないかは仕事次第
でもなぁ この茶では 無理 浮かれポンチの方がマシでしょ 変わって」
庭から手折ってきた華を持ってきた花入れに活けて 持ってきた軸を飾る
手前座で 正式な茶を点て 勧める 椀が違う 歪んでいて
薬師如来の書 もろに正面がある
その真正面で 勧めてくる 少しズラシて頂きやすい飲み口で頂く
甘露
「いい椀でしょ ツッコミの薬師さんが ツッコめなかったからと詫びで
捏ねて書を入れて 焼き上げてくれた 薬師如来様の本気の椀」
「その書は」
「日光さんが書いてくれた書 こっちの月光さんのとで1対の横2連で本気
この古帛紗や帛紗に棗も茶筅も茶 杓に柄杓に風炉に棚や水差しまで
この辺の一式全部 薬師さんが揃えて はいって くれたやつだから普通に使って
じゃぁ 明日鈴鹿に来るか来ないかは お任せで おれは今から移動」
帰っていく大円 花入れも軸も椀も一式も置いていってしまう
ありがたい話だが 継がせる立場としては 更に背負うものが増えた
軸は横二連 繋がる仕組みの軸 日光様と月光様
椀はキチンと古帛紗を敷くと 栄えて来る
華も違和感なく 野に咲く花のように 美しい 今の自分では行けない境地
『なんなんだ あの化け物は 持ってくるものが天界のものばかり
スタート地点が違いすぎる』
「今週は火曜日で来てみたら スタート地点は遅いよ 努力の違いだ」妹
「はい?」
「今なら 私のほうが良い茶を点てれる 努力したからね
看板が 出来るはずという慢心が 足元をすくう
ジムカーナ ターマックのコース限定なら、私のほうが兄貴様より速い
でも一般公道とか少しでもμが不安定になると兄貴様が速い 視点が違う
そう 見ている視点の高さを上げて見える広さを広げないと追いつけない
そこを理解しないと重荷にしかならない道具たち 持ってみれば軽いよ
今日は無理ですね 帰ります (振り返り)帰るよ」
「三穂 いいのか」美久
「今日は兄貴様の なんでもありの教え鍛えを喰らって崩壊中だ
そっとしておこう」妹
「三穂の言う通り コメダに行きますか」7人
ニホンカワウソの名は ニホンカワウソ先輩とかぶり 三穂呼びになった妹
実は物凄く嬉しい三穂呼び やっと帰ってきた おじさんも三穂ちゃん呼びで嬉しい
「三穂すっごいナ 信濃流家元の由美子さんに向かって 私が上だって」由美香
「私が上に行ったわけじゃない 家元の由美子さんが叩き落とされただけ
あの軸に風炉に花入れに椀に帛紗とかの手前座にあった一式
あんなの東博の特別展示で並ぶか正倉院に秘蔵されてるか 国宝級なのが揃ってた
人間国宝とかでもなくて 全部 天界の如来様クラスからパチるか貰うかしてる
だいたい 茶を点てるのに 左腕の入れ墨 一人増えて六如来様が浮き出てた
兄貴様のなんでもありの世界線で茶を点てられる 理解る人ほどダメージはデカイ
しかも すっっっごい真面目な茶を点ててた よりダメージは深刻だよ」妹
「そんなのに2週間の教えを受けると 確かに世間から外れる
戻さないとね単位が危ない」リサ
「あれ現し世だと一日二時間だけど 私達は毎回三日間以上
それが10日で30日間以上のフルの教え ズレる 間違いなくズレる」妹
「はい??」
「時計をね スイスでお土産で貰った手巻きの機械式の懐中時計を持ってたのよ
三日は持つはずのゼンマイ 毎回ゼンマイ切れで 停まってた
兄貴様というかその後ろにいる宝生如来様かどなたかが 時空を捻じ曲げての
教え鍛えをしてくれてたのよね これは薬師様に確認をした」妹
「超有利なはずが 行き過ぎて一周廻って D評価とか落とし穴もいいとこ」優香
「そうでもない 今日の兄貴様 普通にやってた あれなら皆んな出来る
椀さえ歪んだ飲み口と正面のある その辺の売ってる椀にすれば対応出来る」妹
「そんな椀なら 家にいくらでもある それにしょう」典子
典子の家に集合して
現し世の普通の椀にして皆でやってみる が 何かがおかしい
湯の量や温度・粉の量などは ギチギチに正確に測ってみても正確に出来るが
袱紗なんて折れない 持てばいい 超適当になってしまう
常に『もっと自由に 万物の理の声を聞こう』が出てくる
「この部屋 兄貴様が手前座に座った 何かが変わっている可能性がある
他に 茶室のあるトコに移動して 素の一式 もうこの部屋も危険」妹
「なにも 変わっていないけどねぇ 私の道具ですし」典子母
「それなら 私のうちに 祖母の茶室がある」由美香
「即移動」家に電話してる由美香
由美香の家の茶室で 全部 祖母の道具で やってみる純金達
普通に袱紗もきちんと折れて棗や茶杓拭けるし 布巾も畳める
茶も正面をズラシて頂ける『もっと自由に』を抑えられる 皆見て相互確認
絵も書もない丸椀でも 手前座が正面とすれば 正面で 普通にズラシて頂ける
典子母も 由美香祖母も仲間も 純金達全員を 引き出し以上 と判定してくれた
「お兄さんトラップ あの椀以外にも仕込んでいたんだ
すると この長着もヤバイ 明日にでも 大須で中古の一式を買いに行こう
とにかく お兄様の 匂いを全部消さないとマズイ」美久
「了解 でも裄丈は短め 皆も言っている 先週の実習で長い娘がやらかした」優香
「私の若い頃の 長着で良ければ 婆仲間で集めておいたよ」由美香祖母
合わせてみて、着れる と言うか婆仲間集まっていて 着せてくれる
皆で 由美香祖母仲間に 茶を振る舞い「良いお茶で」と言って貰い安堵して
由美香「ビール」と言ってしまい祖母に叱られかけるが 純金全員が「ビール」続く
「なにがどうしたの」と異変に気がついた祖母仲間に訊かれ
「カクカクシカジカで 三穂のお兄様のトラップに なんとか躱せてと」由美香
「なので うちの茶室で 母の道具と椀で お試しを」典子
「あれ 兄貴様じゃない その後ろにいるお方達の悪戯だと思う
由美子さんのトコでも道具を持ち込んで交換して 叩き潰しに行った
道具も変えず 景色もそのままで変わってる いくら兄貴様でも無理」妹
「より たちが悪いわ」純金7人
純金達は 単位の目処が立ち 一安心して みなでビールを呑んで寝てしまう
でも、寝れずに 茶室からも出れずに悩んでる 由美子さん
『こんな 国宝もいいとこの一式軽いわけ無いだろ』
持ってみると 持ち上げられないほど重い椀
「え?」
天界で密談する仏様
「うふふ 苦しんで 嫁に壁 と言ったのが返ってきてるだけ」
「そこまで 現し世の人に 難しくないですか」
「でも 薬師さんの椀を重いと ただの人ではない どうですか」
「そんなヘマはしません ツッコミの件で懲りてますから」
「すこしお手伝いを うずうずなので 行ってきます」
「あ〜 芽があると 我慢が出来ない宝生さん」五仏の爆笑
が 大円が宝生さんの前を 塞ぐ
「明後日までは お待ち下さい 放り出して鈴鹿に来れれば
見える景色も違って来ます」大円
「そうですね 放り出して鈴鹿とやらに 行ければ 変わりますね」
撤収していく 宝生さん
「まったく 俺の時の勢いで 大日様に宝生さんにお仕置きをして貰わなと」
ブツブツいいながら 戻っていく大円
天界に戻ると 大日様のお仕置きの前に 四如来に爆笑される宝生さん
「あせるから 大円くんのトラップ じゃましちゃダメですよ」笑う阿閦さん
「仕方ないです 芽を見せといてのお預け」優しい薬師さん
「それは 薬師さん ツッコミの芽ですか」と四如来に爆笑される
そんな如来様の話は気が付かない 由美子さん 総てを放り出して寝てしまう
14日朝
由美子さん 総てを放り出して 小雨の中 クラウンを走らせ 鈴鹿へ向かう
同時刻
由美子家では純金8人の朝食会 爺婆父母も参加で賑やかだ
「拓也も起して呼んでこい こんな美人が7人も居るんだ 縁を結べ」由美香父
由美香が含み笑い あれはトラップをカマして泥沼に叩き落とす時の由美香の顔だ
残りの6人も笑ってるのがバレないように下を向いた
考える妹 帰りたい でもSELは典子の家 ここには明奈に乗せてきて貰った
入ってくる 拓也さん
「おはよう拓哉兄さん 美人7人との朝食をどうぞ」
「おはよう」妹の同級生とは言え 20前後の美人の7人 ニヤける
「シルビアが速いって自慢してたけど こないだの競技会
拓也兄さんは喋らないし お父さんは何か言葉を濁すし 結果が聞けてないけど
美人が7人も居るから 競技会の結果自慢で口説いてみたら」
『うっわぁ 恨みでもあるのかのトラップ 余程凹んで邪魔くさかったんだ』
5人の思いは 多少のズレはあってもほぼ同じだが
『クリスチャンさんは、これを春奈姉さんに喰らった アリス 後は任せた」明奈
『そのトラップの爆弾は私か もう諦めてひげのおじさんとの思い出に浸るわ』妹
答えが無いのが回答なのだけど
三穂が貰ってきていた公式リザルトを皆で見て解説も受けている純金一同
徐ろに公式リザルトを取り出し読み始める由美香
「ゼッケン34 拓也兄さん 一本目 DNF ってなに?」
「え? なんで順位表が 現場に居ないと貰えないハズ」拓也さん
隣の明奈が「この娘がマニアで詳しいから」 三穂に振ってくる
しかたなく「DNF ドントフィニッシュ 平たく言うと 途中棄権とかリタイヤ」
「そうなんだ 二本目 2′58′′2 総合67位/72台 かぁ これは速いの」悪魔の問
答えられない拓也さん さんざん速いと自慢した後でのこの結果
『クリスチャンさんと同じハメに 気の毒』と思ったつもりが声に出る明奈
「クリスチャンさんみたいに口説きに行って能書き垂れた訳でもなし
妹に能書き垂れただけ まだ傷は浅い」美久と優香コンビがハモる
下を向いてしまう 拓也さん どうも どこかで能書きを垂れた後の様だ
「初めてのジムカーナ インスペの仕方も走り方も知らない 街で速いはゴミ
キチンとしたクラブで先輩の指導を受けて 車も整備しないと上位は無理」
三穂 救助に向かう
「この娘に教えて貰ったら」煽る由美香
見事に乗せられ「なら お前は速いんか」と言ってしまう 拓也さん
「順位表ではなく レース委員長のサイン入りの公式リザルトに寄るとね
デモラン 参考タイム 大円三穂 四駆 D車両 1′47″ NA D車両 1′50”」
由美香に「順位表」も訂正されて 読み上げられる デモランのタイム
「拓也兄さんとは 1′以上の開きがある たった3′ これで1′以上の差
三穂が速いというより 拓也兄さんがしょぼいわよね」由美香
「はい?」拓也さん
「この娘が そのデモのドライバーの大円三穂なのよね」明奈
もうどうとでも成れで「凹んでないで 椎木の城南に入門」怒鳴る三穂
「敷居が高くて」拓也さん
「気にしたら負けで行ってくる 左奥のコーヒーが飲めれば頑張れる」三穂
「拓哉兄さん 頑張ってね」由美香 「頑張って下さい」と続くしか無い7人
「さて ご飯を食べて 大学へ」スッキリした 悪魔の笑顔の由美香
拓也さんが城南の門を叩きたいが敷居が高い 今の岡崎さくらんぼ と考えている頃
由美子さんも東名阪を降りて もうすぐ鈴鹿サーキット
『もういい ひろしさんに会える可能性に掛ける』と鈴鹿に到着するが遊園地側
普通はそうだ 道の案内板も遊園地側 いきなりパドック側のゲートには行かない
パドックへの案内看板など無く スタンドは入れるとのことなのでスタンドへ
遠くて見えない スタンドへの道を訊いた お土産売り場で買った望遠鏡で見てみる
あれが大円くん? 別人に見える真剣な顔 ピリピリ感が伝わって来る
押されて コースインしていくFZR13 ピットも次のバイクの用意
奥は見えないが、まるで雰囲気が違う
ピットインするFZR13
「スプーン付近 土砂降りだ こっちに雨が来る インター外してレインに
遅い レースなら1分で交換 ドライ・インター・レインの交換は許可されている
ライダーの血の滲むタイムをピットが無駄にするな 練習してきたろ 落ち着け」
次のFZR17はレインを履いて コースイン5周で戻り メカとセットを詰めて
コースイン 5周でピットイン
繰り返して 三台のFZR13 15 17 をチェックして ライダーに渡す
三台がつるんで コースイン 1時間走りッパで ポカリを貰ってチェアに座る
「西谷さん いいマシン ウエットでもコントロールが楽 リアのサス廻りがいい」
「任せて それでさ 気がついてる思うけど そこにねYZFがあるんだわ」西谷さん
「俺には 見えないけど」
「英雄さんとサロンが組んでいく チェンジが逆と順で揉めてるけど
まぁピットインでひっくり返せばいい」
「その話と 俺の関係が見えないのだけど」とぼける大円
「大円くん 逆チェンジも順チェンジも対応してるし」
「そりゃ 高校の時に RZ125に2年 TZと合せて乗ったし両対応だよ」
「サロンの説得と今日中のYZFのチェックを
甲の開発マシンは鈴鹿のピットにある
乙も鈴鹿のピット 開発に協力してくれると」
「とりあえず 一本終わって ミーティングしてからね 感想を訊かないと」
西谷さんとLapの表示されてるPCを見に行くと 20″キッチリで周回する三台
もう嬉しくてたまらない大円 ドライの5秒落ち
揃えれるってことは一発なら、もう2″は行ける もう教えることはない育った
後は練習環境とピットの練習 これもゴロワーズからジャックが来てくれいて
三十路美人の通訳兼仏語の先生が リカール家の手配できてくれている 任せる
雨の中 ピットウォールに出て 西谷さん達メカと 音を聴く
「いいねぇ ストレートはキッチリ開けてる 最終コーナー出口のヨーも
しっかり抜いてる あのヨーを抜けないとストレートでコケる」
「雨の鈴鹿名物 ストレートでの転倒 熟せてるね」西谷さん
と話していたら73が ストレートでタコ踊りしながら ラインに向かってくる
「まぁ やるでしょ でもよく堪えた」西谷さん
38はコケてスベってきた 赤を振られて 戻ってくる二台
ちょうど土砂降りになり コース閉鎖となっているので
レースなら自力復帰で 再走行だが
内村さんの強い要望で 回収車の出動をして貰い
ピットウォールから見える処で乗せられ 回収車でコース一周の刑
と無線で宣告される38
完全にお局様案件でのお仕置きだ 語れないほど酷かったんだ
三河バイクの一同で密談して 38は仕方がない となる
「ドクターも居るし メディカルチェックして貰おう」
ピットに戻ってきた38 筋肉女医28に パンイチにされ 触診と痛みのチェック
「いい筋肉だ うん ちょっとここの痛みが心配だ レントゲンに撮りに行こう」
パンイチのまま連れて行こうとする筋肉女医28
流石に服くらいは着せてあげようとすると 筋肉女医28は筋肉が見えないと不服
上村さんの車で鈴鹿極東病院へ向かう 服を着た38と真美ちゃんに筋肉女医28
「腕も目もいいんだけど すぐパンイチにしたがるんだよなぁ」西谷さん
「おれもスキーでパンイチにされた モグラのみなさんもパンイチに」大円
「怪我がどうこうじゃなくて すぐパンイチにする女医さん?」ひろ子ちゃん
「そうだぞ クリスチャンも診察でパンイチだった でも信頼は出来る
だから レントゲンは少し心配だ 骨に異常がなければいいが」大円
「まず無いはず コケ方も巧かったしスベってきたし ツナギもプロテクターが
しっかり入っている 小さな巨人の最新版だ」西谷さん
「それじゃぁ 手の空いてる誰かさ スタンドに残ってる二人の女性
あそこの和服とカッパの ピットに連れてきて 俺が行くとややこしい」
今宵も深けたようで
雨の鈴鹿のストレートでの転倒
作者は自身もライダーも雨の鈴鹿の経験がなく聞いた話なのですが
最終コーナー抜けて開けるポイントがヨーの残り具合で、ドライと雨でズレる
ドライならグリップ出来るけど、雨だと先にズラサないとRrがズルっと行く
堪えれればいいのですが 堪える限界がストレートに来て ストレートでコケる
あの出口あたりからの下りになっていてFrに荷重が行って Rr荷重抜けてるし です