第12夜 昭和中期の宿 6畳の畳の一室
「ねえ鏡智 こんなのが続くの」
「俺も知らん アイツラが勝手呼んだ 後で叱っておく」
「イタリアとフランスの外交官だよね 偉い人じゃ」
「気にしたら負けで 栄子ちゃんは、栄子ちゃんでいればいい」
「大円 なにがどうなってる」矢田
「俺が知らないうちに 本国からの二人が外交官を引き連れてきた
それでこの民宿を希望 嫌がらせで矢田も巻き込んだ」
マッシモが
「違う こっちで鈴鹿最高 刺し身は船 と自慢したら
飛んできて 大使館大迷惑 諦めて 刺身食べてる」
「矢田 俺はもう草臥れて感覚がおかしい 真っ当なお前に訊くが
かなりおかしな状況で この二人を何処かのホテルに放り込むのが一番だよな」
「いや、大使館で手配で 大使館に投げるのが一番だ 手を出さないほうが良い」
「流石 矢田だ 面倒を見ようとするからハマる 大使館に任せればいいか
今日はもう疲れた 明日そう話す 助かった」
とりあえず大浴場に皆で入って また伊仏組が盛り上がってる
ジョルジェットとマッシモが
「レーサーは疲れてる ゆっくり寝る」と母国語で言ってくれて
落ち着いてくれて栄子ちゃんと寝れる
朝ごはん前 男連中は、座敷に集まっているが 女性陣は洗顔スキンケアの最中
待ち時間 かなり微妙な日本語が飛び交ってる 無視して座ると また矢田が正座
「どうした正座して」
「恵子ちゃんの尻を触らなったから 正座」
「そんなん この宿なら当たり前だろ マッシモも俺も触っていない 崩せ崩せ」
女性陣登場で 食事開始
「恵子ちゃん この宿では普通に尻は触らん ペラな壁 廻りに迷惑
マッシモも触ってないし それでジョルジェットも怒らない
俺んちみたいに20cmの鉄筋コンクリート隔壁+防火+防音材の仕様じゃない」
「はい?? それって原子炉の容器並?」
「そう頼んだ カッコイイだろ 壁が隔壁って +防火材+防音材だ
ドアだって厚さ30cm 声は漏れない 油圧で動かしてるから 自家発もあるぞ」
「はい??」と朱鷺を見る目になった恵子ちゃん
「うちのマンション 地べたの割に部屋数が少ないのは 壁が全部隔壁で20cm以上
外壁と要所は35cm 剛体で震度7に耐える設計になってるからだからだ
内覧でたいてい微妙な顔されるらしい でも部屋の広さは内寸だから普通だ
余裕で東海地震も耐えるし 浸水1.5mでも1階も無傷な設計
車いすやストレッチャー用のスロープも油圧リフトも完備
エレベータは油圧でストレッチャーも乗る
油圧なら油圧ポンプさえ無事なら 浸水しても動くからな
地下と立駐にある二つの自家発で6日は持つ
年に4回 全戸に協力して貰って自家発の訓練 予告なしもやる
これは入居条件に書いてあるから逆らえない
全戸分の2L✕3本/日で3日分の水と非常食も 地下にある
これも自家発の訓練と合わせて年1回持っていって貰う」
「戦争でも耐えれそう」
「そりゃ、店子さんやお客さんや栄子ちゃんに安心してきて貰えるように万全
あの土地の東側や駅は 19号で沈んだしな その時で水深70cm
そこよりは地べたで2m高いから ここまでやって沈んだら諦める
それに1階は総て飲食店 俺が飯を食うために揃えた
家賃も安くする代わりに 良い食材で普通の値段 と握っている
最悪でも人の住んでいる場所は浸水しない
後は火事だけど ドアは基本 耐火の10cm 閉めちゃえば燃えても一部屋だけ
一階と二階の間は30cmの隔壁+15cmの断熱防火材で上には被害が出ないように
バックドラフトが怖いから〆たら諦める 約束になってる
屋上のタンクに30tの水があって各部屋の玄関に50φの配管が行ってるから
子供とかいて〆れない場合は自己消火で結構行けるはずだ
一部屋を訓練用に空にしてある 入居時にやる
天ぷら火災用の消火器もデカイのがキッチンに備え付けてある
追加の消火訓練は 夏に人気らしい 6月から家族で水遊び気分だって」
「そりゃ 暑い盛りに 思いっきりの放水でしょ 楽しいわよ
それで家賃が8万の5LDK 人気だわ 元は引けるの」
「元なんてバブルの泡銭 普通のマンションの三倍掛かってるが気にしない
そもそも 無駄に向かいの土地も俺が買って 食品スーパーを誘致した」
「あのお向かいの うちの系列の食品スーパー いきなり出来て びっくりな店舗」
「地代ベタ安 その代わり夜9時までの営業でお願いしてある
マンションの立地条件バク上げ 流石に陸橋は無理だった」
呆れ返る 恵子ちゃん
「さて ご飯も食べたし マッシモたちはどうする?」
「キョウチの部屋」と二人
「突発の二人は 大使館の管理で良い」 お願いそうであって
「大円さんの部屋に送るようにと」と伊も仏も口を揃える
「青いナンバーで送ってくるVIPだろ 大使館で面倒てよ」お願いそう言って
「大使館より安全なマンション お任せします」
うっわあぁぁぁ 大失敗 余計な事を言ってしまった
矢田が「大円の完全なやらかし」と冷たく言ってくる
もう吉田先輩とか涼子さんも巻き込んで呑むしか無い
んん 車がない これを言い訳に
「アンドレさん 俺の車は俺と栄子ちゃん用の2シーター
4人乗りは借り物で この矢田の車 返さないといけない
マッシモ達だけでも困ってる タクシーでも4人まで 呑むしな」
アンドレさん達大使館員密談中
マッシモも大迷惑と言っていたが車が無くては面倒が見きれん
「我が国にはフィアットという企業がありまして 多少壊れますが
バスも作っており 14人乗りのバスが名古屋領事館にありますので
東京大使館から名古屋領事館に引き継ぎます あと15分ほどで到着します」
「俺のマンションが安全とか、全然関係なくて 名古屋領事館にぶん投げた?」
大使館員 二人して 「そう言う言い方もできます」と流暢な日本語
「伊仏の名古屋領事館も車の一台と運転手で済むならと くじ引きをして
ナカノさんがハズレを引きました」
「鏡智 ハズレだって 私達はクジも引かなくて強制的にハズレなの」
「マッシモ ジョルジェット どうなんだ ハズレなのか」
「大使館的には ハズレ でも鏡智達には当たり NZに詳しいし 友達山ほど」
ジョルジェット 日本語が進化してるし
「もう、チャーチの選定に入ってる ホテルもリサーチ開始 其の打ち合わせ」
「はい??」と日本人組
「俺達の希望は?」
「100人くらいのちさなチャーチ スキー場の近く ホテルにベタ近」
「一昨日、私が言った 小さなチャーチ」
「言ってないが スキー場に近いはドンピシャ」
「ちょっと横槍が入ってる」マッシモ
「まぁいい とりあえず 帰る 着替えて バスを待て」
矢田はクラウンに恵子ちゃんを乗せて早々に出発
430で「付き合いきれん 頑張れ」 「頑張ってね」と言うだけ言って返事なし
中野さんのバスが到着して 前後青いナンバーの車で一路名古屋を目指す
少し遅れてバスは俺のマンションに到着して 青いナンバーのセダンは帰ってく
ペントハウスに入ると
キアラが「ヤ キ ト リ」と叫んでる
「サ イ ゼ リ ヤ」と叫ぶクリスチャン
「昼はサイゼリヤ 夜は焼き鳥 決まった」 よし店を考えなく済んだ
落ち着く伊仏組 座ってると、サエコのエスプレッソマシンでコーヒーを入れ
配ってくれる この行動 不安しか無い
お貴族様が自らコーヒーを配る 裏があるとしか思えない
ナカノさんが諦めた顔で「見に行きますか」とナカノさんの宿を見に行く
思いっきりの昭和中期の宿 6畳の畳の一室 食事は朝のみで食堂
令和まで行けば 歴史のある宿 だが まだ平成初期 ただの古い宿
「一番近くて 歩いてこれる宿がここで 寄ったら 四人とも盛り上がって」
「ナカノさんと一緒に泊まるんですよね いいじゃないですか」
投げたい俺は領事館の人と泊まる 責任は伊領事館 グッド!!!!
「マッシモ いまから 宿の人に頼んでくる 行くぞ」
四人して大喜びで付いてくる
カクカク云々と説明して大人二人はほぼ日本語OK 其の二人が若いのを教える
伊領事館の人も泊まる 苦情は伊領事館に 投げまくる
マッシモに「ここも壁が薄い Hはダメだぞ」
「了解だ こう言う宿 しかたない でも 拙者は泊まってみたい」
マッシモも微妙な日本語の進化
でもこれなら、ゲストルームはふた部屋とも空く
速攻でデカイスーパーの涼子さんの店に電話
「先日の公権力の先輩二人が 涼子さんと是非呑みたいと 美沙さんとも
それと 本国から二人増えまして 応援が欲しいので 焼鳥と生中
あとは件のBarとうちのワインで握れませんか」と話す
「公権力 って先日の警察官の二人? 運転とかは」結構カッコよかった
「それは 交通機動隊には落ちてますが 其の辺の一般よりはダンチ」
「美沙も誘っておくわ」と電話が切れる
ヨシ!!
次は署に電話して 居なかったので
「吉田先輩と渡辺先輩に先含みの合コンです 緊急で今晩なので無線で連絡を」
と思いっきり受付のお姉様に言ってしまう
お姉様には二人とも相手にされて無くてまでは、情報は得ている
署内 両先輩が先含みの合コン=見合いとの話で一色になる
パトロールから戻る両先輩 署内の異様な空気に気がつくが目が自分とは思わず
「なんだ この空気」と言ってしまうと
署のお局様の冨美29さんから
「今晩お見合いだそうで よろしいこと」
と詰められる
思い当たるフシは大円 あの美人 そこまで行っているならと
「明日 有給申請です 帰らない予定で頑張ります」
と上司に報告
「うまく行ったら 明後日報告しろ ダメだったら明後日までの有給
そこまでで 切り替えろ 吉田 渡辺 頑張ってこい 今日は上がってよし」
まだお昼前なのだが 話の理解る上司 というか この二人がヤバイと思ってる
片付けたい上司 と 片付きたい部下 思惑は一致する
速攻「大円へ電話して服とか相談だ」と電話するが
「先輩 俺 ファッションが全然ダメだって知ってるでしょ 嫌がらせ1ポイント
この番号に電話して 訊いて 05*-***-**** メモできました?
涼子さんとデートと言えばきっと答えてくれます
18時 俺のマンションの1Fの焼き鳥屋で では」
「そうだよな あいつアメリカン通販専門 無理だよな どうする渡辺」
「其の番号に 電話 でっかい地雷のつもりで踏んで見るしか
それもだけど 涼子さんも美沙さんも美人 お前どっちだ 吉田」
「それが 選べん どっちも美人 優しそうだし 渡辺は」
「同じく 選べない 向こうに選んでもらえれば まずは話さないと」
「だよなぁ 美人とかより性格とか話さないと それから選び選ばれだな
とりあえず服 矢田の店に電話してみる」
出るのは矢田 話し込んで
「大円が 案内した番号へ」
とで切れる
「その電話番号へ」と掛けると出るのは 涼子さん
美人とのお見合いデート 焼き鳥屋 Barは駅前とペントハウス かなり焦ってる
訊き出す涼子さん ああ、大円くんの公権力とのセットお相手
「それなら チノパンとポロシャツがよろしいかと」答える涼子さん
「え、スーツとかは」と焦る吉田先輩
「いえ、普段着が一番よろしいかと それでは」と電話を切る涼子さん
美沙さんと社員食堂で、密談を開始する
「矢田の友達が 色々ピンチ 本国から青いナンバーに乗って 二人来てると
助けて欲しいらしくて 私達を巻き込んで 見合いまでセット 美沙どうする」
「とりあえず 矢田の意見は」
矢田 何故か床に正座してる
「まず 訊きたいのが 正座の理由ですが」
「そんなの 涼子さんの尻を触らなかった罪状よ」とあっさり答える美沙さん
矢田 頭の中でアラート全開 完全に地雷原で逃げれない と判断
「其の二人は バイク乗ってる時に 強烈に公道では速くて
ただそれが、足かせで サーキットではタイムでずな二人です」
「おかしくない 公道で速ければ サーキットでも速いはず」涼子さん
「そこが違うのです 大円が言うには公道の制約の中で速いのとサーキットは違う
安全マージンの削り方違う 無意識のマージン この枠を外さないとダメ
大円でもタイムでは勝ててもレースで競ったらライダーに負けると」
「はぁ 高度な話ね 矢田はそこまで行ったの」美沙さん
「無理 俺は一般市民 混ぜないで下さい」
「ところで何で正座してるの イスに座りなさいよ」美沙さん
さっきの事はもう忘れてる
そこで、文句を言うほど無能ではない矢田 流していく
今宵も深けたようで