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第106夜「去年のお前だ 覚えてないのか」と雷が落ちる

4月9日 0830 ピット

内村さんと工藤さんの話の前に 73が話をすると前に行く


「去年の俺 28″で予選に出てた しかも何回もコケかけてる

 偶々運良くコケなかったけど、コース上で大減速もした

 シーズン初め 俺みたいなのが居る それを忘れずに 

 前がコケても 躱せる様に」


内村さんも工藤さんも 頷いて

「言いたいことは 73 が言ってくれた

 フリープラクティス コースチェック マシンチェック タイヤの皮むき

 キッチリとやること 以上」


0900 シグナルグリーン フリープラクティス開始

三台が押されて コースインをしていく


真っ青さん達が横に来て

「映画の緊張感とは また別の張り詰めた空気がある いいねぇ」真っ青さん

「そうそう これを体験したくて 二人して仕事ずらしたし」ひろしさん

「はい? 此のためにわざわざ?」

「こっちのほうが思い白いし 演技の勉強になる 本物だし」二人


帰ってきて スタンドに上げられタイヤウォーマーセットがされる三台

「パワーはあるは ハンドリングは素直だわ 言うことない」と三人


23″から上げていき17″フラットでの周回をしてきている

言うことがない


1000 シグナルグリーン クオリファイ開始

計測周1周で15″9 16″ 16″6 を出して引っ込む三台


「怖いわ 最終戦まで行くと皆んな上手くなって競れるけど 今だと追突する」38


能書きを垂れた38に内村さんから 

「去年のお前だ 覚えてないのか」と雷が落ちる


「わざわざ 俺が身を挺して注意したのに」客商売の肉の卸と小売の三代目の73

「だよなぁ そう言う意味での朝の話だよな」客商売の寿司屋の四代目の68


「クリスチャン あの三人でもヘボい時期はあった 頑張れ」大円

返事はしても声は小さい


春奈ちゃんと栄子ちゃんはパドック側で座ってみてる


「ああ、やっぱり68はかっこいい 近くで見るともっとかっこいい

 タイムも抑えて15″9 憧れの10秒台」うっとりしてる春奈


「真っ青さんとひろしさん ピットボードを持ちますか?」と尋ねると

「お忍びだから」なにか歯切れが悪い 真っ青さん

「まさか お腹が痛いとかで 仕事を休んで来ていませんよね」大円

「俺『は』キチンと鈴鹿に行くと言って休んだ」ひろしさん

「その『は』はヤバすぎるから聞かない」大円


ピットの真ん中辺の 外から見えにくいところにディレクターズチェアを

二脚並べて 真っ青さんと栄子ちゃんを並べて座らせて 写真を撮って放置する


ひろしさんが 大円君 と近づいて来て腕を掴まれて隅へ

「真っ青さん・・・・大丈夫ですか」

「なんとかなるだろう」 かなりアバウトな回答をされる


真っ青さんも来たので

「いつでも来て頂いて 構わないので そのお腹が痛いは」

「そうなの 何時でもいいの 英雄ひでおにレースカレンダー貰って

 練習日とかも聞いて また来る ピットボードも持ちたいし

 真っ青は謹慎かもしれんけど」ひろしさん

「なんとかなるって」真っ青さん



1040 コースオープン グリッドへ並びに行く

真美ちゃん ひろ子ちゃん 貴子さん ベンチコートを脱ぎ捨ててピットウオールへ

グリッドにならぶマシンたち 68 38 73 で123を確保 前三台 パラソル

他もチラホラと パラソルが居る 盛り上がってきた地区戦


ライダー紹介のアナウンスが終わると

1050 パラソル・タイヤウオーマーバック


1055 エンジンを始動しての周回

   グリッドに整列していく


1105 シグナルグリーン クラッチスタート時代のシリーズが始まる

   さくっと三台で 逃げていき 余裕の123の予定が

   調子こいた38が テグナーでハイサイドで転倒寸前まで行く

   なんとか立て直すがタイムロスをして73に躱され

   68−73−38の並びで フィニッシュ


ピット内は 38への冷たい目 凹む38


「それでも 3位 チームで表彰台の独占は出来た お祝いだよ

 シャンパンの3本は持っきた ファイトしようぜ」クリスチャン


「クリスチャン 今日はやめよう 物語もなく ライバルとの死闘もなく

 これでやったら 金満チームだ」68


「なになに」と真っ青さんが栄子ちゃんに訊いているが栄子ちゃん喋れずで

68とひろ子ちゃんが代わりに説明してる


「そんなの映画のストーリー 絶対的に有利だった1がコケて 復帰して追い上げて

 12が優勝条件な最終戦で12カマして ひっくり返して68の年間のシリーズ優勝

 それは盛り上がるわ 見たかったなぁ」と栄子ちゃんに話してる


「映画だとコケた 1が 逆転するけどな」ひろしさん


「実際のレースではコケたら終わりですから」68


表彰式も大過なく済むかと思われたら 今度は38の口に祝福のキスをする

レースクイーン 激怒の真美ちゃん 今回は流石に ピット内で口直しのキス


「あれは映画でもなかった」と二人の俳優


「その今回の意味は? 以前もあったの?」真っ青さんが栄子ちゃんに話題を振るが

栄子ちゃん『話しかけられた』とまた浮かれポンチ


「今日は俺だけど 去年のラス前に68が・・・・」38が説明


「グリッドの真ん中でキスしたの? 映画のラストシーン」と二人の映画俳優


片付けをしてると 真っ青さんとひろしさんが 個人携帯の番号入りの名刺を配って

持ってる子の携帯の番号を訊いて回っている


「練習日とか だれか代表で 連絡してね 来れない場合が多いけど

 こんなドラマチックなピットは また来たいから」俳優の二人


俺は昨日のうちに訊かれて名刺も貰っている

栄子ちゃんは名刺を貰って番号を訊かれて ふわふわの浮かれポンチになっている


撤収準備完了で工藤さんからの挨拶

今日は38くんがしょぼいことをやった でもそう言う事があるのがレース

幾らタイム的に速くても コケて周回遅れになった奴に 前を塞がれて もある

38くんのハイサイド 他山の石として練習に励むように 以上


〆られて解散していくが マンションに帰らず 三河バイクに付いていくデリカ

三河バイクで 50のレース情報とミニサーキットの情報を仕入れる

作出と水波にミニサーキットがあり

近くだと河川敷に自動車学校跡があり そこで50の耐久レースもやっているとの事


まずクリスチャンに 在留資格を取らせて 原付きの免許を取らせないと

と言う話をデリカでしながら マンションに帰る


春奈ちゃんは

「申し訳ないですけど あの能書きで 鈴鹿どころか

 袋井の6班で脱落する男はお断りです せめて3班になってから再チャレンジで」


皆が濁してきたお断りの理由を ハッキリクッキリ面と向かって本人に!!

クリスチャンにハードルは3班昇格!と現実を突きつけて帰っていく


クリスチャンはフラれた理由がハッキリクッキリ、凹みまくって俯いてる

栄子ちゃんは三人の名刺を見ながら、ふわふわの浮かれポンチ

両極端な二人


4月10 月曜日になっても

凹んでるのと浮かれポンチの二人

下の喫茶店でモーニングを食べてると 管理会社から人が行くと連絡がある


管理会社の江崎さんが4部屋の改修完了 弓場の改装も完了してると報告してくれて

二人で 最終確認を済ますと 予約待ちの四家に連絡を入れてくれるとの事

有り難い あの二人の面倒を見るのだけで 手一杯だ


江崎さんに愚痴ると

「そんなの 道場も弓場も 自前である 剣道とか柔道とか弓道でもやらせる

 奥さんお目出度なら茶道とか香道とか動かなくていい系」


「そうか 先生が出来る三家が引っ越してくるし 先生を探してやらせよう 

 栄子ちゃんは由美子さんか富美さんトコに預けて 収まるのを待つ」


「大円さん 先生は出来ないの?」


「俺は選手の方しか 先生は無理」


とりあえず 柔道場にクリスチャンを正座させて 精神修養と厳命して

栄子ちゃんを 由美子さんのトコに預けに行く

由美子さんのトコならお弟子さんに産婦人科の女医さんや看護婦さんも居ると聞くし

真っ当な経産婦の方も多数も居るハズだ デカイスーパーの涼子さん一派とは違う

浮かれポンチが収まるまで お願いしようと 連れて行って 


「カクカクシカジカで 浮かれポンチ 収まるまでお願いします」と頼むと


「ひろしさんが来てたのに 私を呼ばない理由は?」と問い詰められる


あれ? 嫁を放り出すのかとの詰問には 真っ当な経産婦が居る由美子さんのトコ

回答を用意してきたけど 違う方角から責められる

予測外の詰問に対して回答に窮していると


「私を呼ばない理由は?」を 三回 繰り返されて 地雷を踏んだと認識する


「知らなかった この一点 次回は鈴鹿に来たら連絡します」突っぱねるしかない


「次回 次回があるのか」由美子さんの食いつきが凄い


「ここに ひろしさん達の個人携帯の電話番号入りの身内用の名刺があって

 俺のこの携帯の番号入りの名刺も二人に渡してあります

 仕事の都合をつけて 来るそうなので次回は鈴鹿に来たら呼びますから

 今日はこの浮かれポンチをお願いします」


「むう 言ってなかったしな 仕方がない 浮かれポンチも理解った」由美子さん


「浮かれポンチの面倒をよろしくお願いします」と帰ろうとすると呼び止められ


「次回 ひろしさんが来るときには必ず連絡をな」繰り返し詰められる


もう思いっきり地雷を踏んだどころの騒ぎではなく榴弾砲の雨を食らった

連絡を忘れて「今鈴鹿に来てる」との逃げ道も潰され「来る」で連絡必須になった


「ひろしさんが鈴鹿に来ると連絡があった時には 必ず連絡します」言うしか無い


とっとと逃走を謀って マンションにもどる


マンションに戻ると もう一個の地雷 クリスチャンが凹んでいる

しかも正座が保てていなく 体育座りにすら無理で 半分倒れている

6班で脱落って よほどの事がないとない フィジカルに問題があるかもと

筋肉女医28さん を思い出して スキー営業の栗原さんに電話して

フィジカルチェックをお願いすると 調整してくれて 折返しの電話で

「筋肉女医28さんの枠を抑えた 明日のお昼すぎに 袋井の本社へ来て」と回答


「クリスチャン フィジカルにハンディがあるかもしれない

 午後から眼科に行って目の検査 明日から体力測定だ まず現状を知ろう」


クリスチャンを眼科に連れて行って、フルコースで検査

通常視力・深視力・動体視力も色覚も 眼圧なども検査

まぁ酷い 日常生活がよく送れていたなのレベルで酷い

色覚はなんとか正常だが 視力が悪すぎる


眼科の検査用の仮眼鏡で補正しても高速走行は、かなりキツイとの眼科医の診断

それでもメガネでなんとかしないと危なくて日常生活すら危ない

メガネの処方箋も書いて貰って 速攻で 眼鏡屋に向かう

今の今で出来るのを特急料金で3倍掛かるが それでも知ったからには1個を頼む

オプション色々の良いやつを2個 通常納期2wで頼む こっちの方が安い


晩飯を居酒屋で食べながら

「クリスチャン 視力が悪いとの検査結果だ 

 此の眼鏡で視力は、かなりの補正は出来たはずだ どうだ?」


「物凄くハッキリ見える ボヤケているのが普通だと思ってた」


「そら あの検査結果だと 40km/h以上だと怖いと思うぞ 

 冷たいようだが 補正してもレース領域の高速度は無理だ 自分で走るのは諦めろ

 でも レースは走るばかりではない 多人数で役割分担をして チームで戦う

 お前 金があるからチームオーナーで チーム運営で戦ってみるのもある」


返事はないが


「明日は フィジカルチェックだ 早めに寝て 備えよう」


と居酒屋をあとにして ペントハウスに戻る

リカール家の執事さんに電話して「視力検査くらいやっておけ」と苦情を言っておく


今宵も深けたようで

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