第101夜 大円 初の『お』を使いこなす
4月3日の月曜日になっても クリスチャンからの連絡はない
流石に 夜に心配になって携帯に電話すると
「袋井でライディングスクールを今日も受講 6班で偶にイントラに前に
入られるけど イントラになんとか付いていける」
と嬉しそうなクリスチャン
「そうか 6班の仲間と頑張れ 何時までだ」
「金曜日までスクールに混ぜて貰えるそうだから 4班目標で頑張る」クリスチャン
「金曜日の夜は 焼き鳥に行こう 頑張れ」
「クリスチャンくんも頑張ってるのね」栄子ちゃん
渋い顔の大円
「あら その渋い顔は？」
「袋井の6班 一番遅い子グループで 遅れてイントラが前に入る＝脱落
安心して鈴鹿を走らせられない
まっちゃんからの登って下ってスプーンへとか 危ない
最低3班でキチンとついていく 出来ないと本コースは体験ツーリング」
「それって 仮免で落ちての状況 路上に出れない」栄子ちゃん
栄子ちゃん 苦労した自動車学校が染み込んでる
それには回答をせずに
「それより クリスチャンのデートブッチでサーキットをなんとかしないと
そう思って相談した執事の人は 日本で彼女を探せ とぶん投げて来てる
向こうで相当やらかしてるらしい
クリスチャンは治らないから サーキットに行く娘を探そうかと」
「それね かなり難しい 普通の家の男性ならいいのですが リカール家
ええだけのお貴族様 しかも嫡男 伊仏の領事館で訊いても 格が難しと
仏大使館の人と本国の人が来て 愚痴をコボされまくったわよ
格の合う女性とデートしてもサーキットやバイク
挙句に能書きの割にヘボいって」
「ヘボ ってヘボの甘辛煮は美味しいからいいけど 男で6班で脱落だしなぁ
レースの能書き垂れたらヘボ扱いだわ ツーリング好きですなら6班でもいいが」
「鏡智 えらく上から目線で」
「フランスの英雄クリスチャン・サロンのYZR500 を任されて
綺麗な英雄さん 本人からYZFのチェックを頼まれた
これ以上の上は無いから 上から見てもいいだろ」
「美しい英雄じゃなくて 綺麗な英雄？」
「あの映画で 真っ青さんのバイクを走らせたグランプリライダーだよ
俺も居てびっくりした」
「真っ青さんは 真っ青さんは来てなかったの」栄子ちゃん 真っ青さんの大ファン
「来てねえよ ライディングの合宿だよ 英雄さんは 友達らしいから
飯を誘えば 来てくれるかも」
「呼んで 必ず呼んで 真っ青さん お会いしたいの」
クリスチャンの話は何処かに行き 仕方なく 電話を始める大円
「英雄さん 真っ青さんと仲良し
土曜日の夜にフレンチのドカンで皆で食べるのに 呼べません？」
「いいよ 訊いてみる 映画でピットとかも好きになったしね
用事がなければ来るだろうから
来たら 日曜日に三河バイクのピットに入れてあげてね」
「助かった お願いします」
「いやいや YZRとYZFのセット出し こっちも凄く助かったし また電話する」
電話を終えて栄子ちゃんに向かい
「真っ青さんも ピットとか好きなんだって 仕事や用事がなかったら
土曜日の夜にフレンチのドカンで 日曜日は 三河バイクのピットにだって」
「真っ青さんが 真っ青さんが 来る 何着てけばいい」
「土曜日は 普通にちょいマタニティ ピットはいつもどおり耐火のスーツ」
「そうね そうする 真っ青さん 真っ青さんが来る」
「仕事と用事がなかったらだからね そこ理解ってる？」
「真っ青さんが 真っ青さんが来る
真っ青さんと会えるとか 今年のBest Lapよ そんな繋がりを持ってるとか
滑るだけじゃないのね うんうん 免許取るの頑張ったご褒美よ」
「いいけどさ 英雄さんもメッチャイケメンで 私生道のCMに出てるからね
そのレベルでイケメンだから キチンと挨拶してね 無視したりしたらダメだよ」
「え あのテクノロジーの人？」
「そう テクノロジーのイケメン ズルいくらいのイケメン
小さな巨人の爺さんが 矢田の後ろ姿を見て 英雄 来るなら連絡しろ
と間違えた 矢田もイケメンでズル」
「テクノロジーの英雄さんも来る もう鏡智のポールtoウィンよ
その小さな巨人さんのお店も 行かないと 連れて行ってね」
栄子ちゃんの中で クリスチャンの問題は完全に何処かに行った
英雄さんから折返しの電話で
「真っ青さんがね ひろしさんも行っていいかって
あの映画のW主役で あの映画だとSUGO お忍びで鈴鹿に行きたいって
ホテルとかは勝手に取るから 晩ごはん頼むね
ピットパスとかは上村さんが用意してくれるって」
「了解です 晩ごはんはフレンチのドカン こないだ化けて出た藤田と通った店
供養代わりに 宴会をしましょう」
「それじゃぁ 西谷さんからの伝言
土曜日の1300でサーキットホテルの第3パンケットね」
「了解 です」
電話が終わると 栄子ちゃんの目が少女漫画並みにキラキラしている
「真っ青さんとひろしさんで来るって あの映画のW主役でピットに来るって
土曜日の午後は 英雄さんも来てのミーティングだしね」
栄子ちゃん ソファに座り込んで「真っ青さん」と呟きながら動きが停まる
これは 今週の栄子ちゃんは 一切充てに出来ない と思ったほうがいいな
由美子さんに電話して 相談があるので行くのでよろしく と告げると
菓子くらいは用意する 教室が14時に終わるから その時間でと返事を貰い
「栄子ちゃん 由美子さんのトコに行ってくるけど」
返事もなく無く手を振られる
完全に 真っ青さんに心を持っていかれてる
ディープブルーにUmbroの地紋に肩に鷹 掴んでる蛇が下前から背中を通る長着に
パンチパーマに#3のアウトドアーズマンを掛けて NAをフルオープにして
由美子さんの家に向かう 教室もあるので 広めの駐車場にオープンのまま放り込み
レイバンを外してると
「どうした 如来様の弟子の大円くん」と声がかかり振り向くと由美子さん
「クリスチャンの彼女候補を探しに」
「ええだけの長着だな（笑 まぁ中に入って菓子でも食べながら」
（この長着も柄の作法を完全無視だな よく友禅作家が創ったわ）
由美子さんに
「カクカクシカジカでリカール家の御曹司の先含みの彼女は居ませんかね」
「無理 一言 無理 リカール家だろ ええだけのお貴族様
プロトコールが違いすぎる クリスチャンさん本人はいいだろうが廻りがな」
「欧州でやらかしすぎて お貴族様同士で ダメ判定とメディチ家情報なので」
「そうか 大円君は 欧州のお貴族様 三家とは繋がりがあるのか
それは なんとか紹介したいが 難しいな」由美子さん
「能書きさえ垂れなければなぁ しかも6班で付いていくのがやっとでは
栄子ちゃんは自動車学校で修正できたけど
クリスチャンは修正する前に能書きを垂れ尽くしたから」
「何だそれ」由美子さん
「栄子ちゃんの自動車学校が長引いたのは俺の運転を見て 真似て出来ると勘違い
それで 第一段階・第二段階はハンコの山 追加の紙まで貼ったそうで
クリスチャンは俺とサロンのポール・リカールのセット出しや
三河バイクのスーパーノービスの走りを見て 簡単と勘違いしてね」
「それは栄子が気の毒だ お茶は 河合くんの座り込みと 大円くんの茶を見て
そうそうこれこれ 河合くんと一緒に写った写真だ」と写真を見せる 由美子さん
写真を見てひれ伏す大円 「座り込みも ファンファーレも 完敗です」
「まだ 私の仏像の前で座り込みは出来ますよ」と天からの爆笑の阿弥陀様の声
「でも 河合くんの二番煎じ 先駆者の河合くんには三歩遅れます」
「あなたは運が悪かった パンチにしたら狩られましたからね その後は外国に
河合くんには楽しませて貰いました また 見に来ます」 消えていく声
声はすれど姿は見えず ただ、ものすごい有り難い声とは理解る 由美子さん
「どなただ？」
「その写真の 座り込んでる人気者の仏像のご本人」大円
「阿弥陀様の声を聞かせて頂いたと」
「ただのカマしでは済まず やりきって人気者となった河合くんが居る
由美子さんまで 人気者に会いに行ってる」思いっきり凹む大円
「栄子にも言ったが バスでの話を聞き 大円くんの茶を頂いたら どうしても
鎌倉に行きたくなった 突き動かされ向かった 人気者に呼ばれたのだな
そうは言っても 大円くんだって モグラの皆さんを突き動かし 五竜に集めた
座り込みとスキー 種目は違うが 人気者には変わりはない」
フラットな目線で 人気者の解釈をする 由美子さん
もうクリスチャンの事よりも 凹んだ自分が大事になってきた大円
「まぁ凹んでないで 菓子もある 茶でも飲んで落ち着くんだな」
手前座に座り 件の椀で 茶を点て 勧める 由美子さん
どこでもいいと自分で作り パンチの宝生さんが書を書いた椀で頂く
落ち着く茶だ 由美子さんも化け物だ 安心して此の椀を託せる
「どこまで此の椀の悪戯を見抜けました？」
「正面など無い どこでもいい もっと自由に とまでは」由美子さん
「由美子さんでも そこまでですか」
「作法通りに古帛紗を敷くと破綻するとか トラップな椀だ」
「もう一個仕込んであります 楽しんで下さい」大円
「まだ あるのか 楽しませて貰う
話を戻してクリスチャンくんの件だが 大円くんの友達だ
きっと神様も仏様も見ておられる そんなに心配しなくてもいい」
『まだトラップがあると 話を変えたく クリスチャンの件に戻す』由美子さん
大円的には神様は長野親父が基準 仏様はパンチの五人が基準 不安しか無い
そうだ まともそうな ツッコミの薬師さんが居る 頼ってみよう
「由美子さん 何があってもビビらないでね
ツッコミの薬師さん お願いがあります ツッコミの薬師さんにしか頼れません
現し世にお出で下さい」叫ぶ大円
なんだ そのツッコミの薬師さんって 薬師如来様が来たらチビる 由美子さん
「ほほほ 五智如来は頼りにならず 私に頼るとは 大円くんは理解っていますね」
と化現する薬師如来様
「カクカクシカジカでクリスチャンの彼女候補を薬師さんで」お願いをする大円
「チッ 大日様と宝生さんと不空成就さんが 既に道を創っています
心配せずに 滑っていなさい ツッコミに来ますから それでは」と消えていく
なんだ そのチッって 薬師如来様の口から出る事とは思えないが出たのは事実
大円くんは如来様を普通に呼び出すのか それで阿弥陀如来様や薬師如来様が
普通に現し世に化現されて会話をする 万物の理と会話するとかのレベルではない
如来様と普通に会話をしてたとか巨大杉る壁だ 栄子に今度話しておこう
「大円くん花を摘みに行ってくる」とチビる前にトイレに向かう由美子さん
花摘みから戻ってきた 由美子さん
「大円くん 呑みに行こう 呑まないとやっていられない
河合くんの座り込みで人が集まる 大円くんの滑りでモグラが集まる
あまりにもな話しばかりだ 渡りたいくらいだ
家元となって立場上 抑えていたが 細かい事に思えてきた」
「なら ここで 由美子さんを担いで送ってくるのはお断りです」
「そこか そこが問題か」爆笑する由美子さん 視点が違うわ
「妊婦の栄子ちゃんを放っておくのは どうしよう」
「そこは 誰かに行かせる 涼子と美沙は危ないから OGの経産婦の久美か
陽子に見て貰う それなら大円くんが居るより安心だろう」
「経産婦 経験者の指導 安心出来る さすが由美子さんだ 呑もう」
由美子さん
一派OGの経産婦の行けそうな人に電話をして パーク大円に向かって貰う
大円は栄子ちゃんに電話をして
由美子さんに誘われた断れない と擦り付けて
経産婦の先輩方が行くから よく話を訊くように と さも良い事のように伝える
栄子ちゃんも経験者の助言 有り難いと 真っ当に受け取る
これがまた漏れて 涼子さんと美沙さんやOGが揃って
陽子さん達 子供を預けてきたチームは偶にはねと
もう一杯 もうイッパイ もうちょっと と呑んで渡って寝てしまう
子連れの久美さんと呑めない栄子ちゃんは呆然
久美さんの「由美子さん一派だから」の呟きで 納得するしか無い栄子ちゃん
「鏡智はこれを読んで由美子さんのトコに逃げた？」栄子ちゃんが久美さんに訊くと
「呼びだして任せたのは由美子さん 経産婦の私が基準で栄子ちゃんの
面倒を任された私は、一滴も呑んでない」子を綾しながらの回答の久美さん
翌日
パーク大円に戻る大円 ペントハウスのリビングには呑み潰れた『お』が多数
由美子さんに即電話して状況説明をすると 『おばちゃん』の使用許可が出る
使用許可と言うより 『おばちゃん』と言って 叱れ との由美子さんの勅命
直接は怖いので管理室からリビングのスピーカーに繋げて ゴットファーザー三連発
「そこで 酔い潰れてる おばちゃん 栄子ちゃんの妊娠指導はどうなった」
とマイクに向かって 勢いを付けて怒鳴る 勢いがないと怖くて言えない
繋がっている電話がマイクに向かい「ばかタレ 何をしに行った」と由美子さんの声
栄子ちゃん『お』発言に青くなる暇もなく 由美子さんの説教が開始される
久美さんの「おばちゃん 仕方なしというか おばちゃんだよ」との言で一安心
大円 初の『お』を使いこなす
今宵も深けたようで
大円くん花を摘みに行ってくる
女性の花摘みに行く 聞かなくなりましたね
ちょっとの間 席を外す ドライブ中とかで
化粧直し（女性でメイクしてると鼻かむだけで崩れる）
メインはトイレに行く時に使われました
男性は 雉撃ちに行く＝トイレです
これは男性女性で別れています
