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第99夜 今日が19の誕生日の娘と腕を組んだ39

夕食後 GP250の全日本組の二人も参加してくる


エースの野牧さんが

「西谷さんのエンジン めっちゃ中間トルクがあって 乗りやすい

 その分 上で少し苦しいけど 許せる範囲」


2番の野原さんも

「袋井の逆走で 1コーナーの登りながらの右とかも トルクでガンガン前に行く

 流石に ストレートエンドの上りだと 廻しきってるから 辛い」


俺と英雄ひでおさんのイメージと真逆


西谷さんが来て いきなり土下座が始まった


「ごめん ピークパワーのエンジンが載ってた

 エンジン番号の読み込みミスが原因 今 袋井の技術センターから運んでる

 やらかした奴が 今晩載せ替える」


「レースじゃない 明日一日潰して完璧な作業で 壊れてコケるのは嫌だ」大円


サロンもゴロワーズの監督も 同意見で

「Proprio così.

 Voglio che sia revisionato correttamente entro la fine di domani.


「2日潰しても 3日間あるし 焦って壊してコケるはダメだ」英雄さん


ゴロワーズチームが密談会をして サロンが

「Il y a Daien-kun, qui a le même temps que moi au Paul Ricard.

 Il est meilleur que moi pour le réglage des carburateurs.

 Je laisse à Daen-kun le soin de régler le carburateur de la YZR500.

 Demain, je reprendrai la No88.」


大円 呆然 YZR500のキャブセットをフランス英雄えいゆうに投げつけられた


73がなんて言ってるんです? とクリスチャン・リカールに聞いている

「ポール・リカールでサロンと同等のタイムの大円くんが居る。

 彼は、キャブセットは私より巧い。

 YZR500のキャブセットは、大円くんに任せた。

 明日も、私はNo88に乗る。

 だそうだ 喜べ 73 明日もフランスの英雄えいゆうのご指導だ」


仲間のはずの73は姉さん女房な彼女がピットに居る

68も38も彼女がピットに来てくれる

自分の時は誘っても来てくれない女ばかり かなり棘のある最後になってる


大円でも読める 棘のある空気のクリスチャン

もう88は譲って クリスチャン・リカールをなんとかしないとマズイ

ひろ子ちゃんたちと密談開始

「一派全員 寿 玉が居ません」ひろ子ちゃん

「他派では リカール家 尻込みします」真美ちゃん


ピコーン 「純金ならどうだ?」

「純金? あ 山の上の大学の 純金ですか それなら家格もありますし

 クリスチャンさん次第ですね 68は 白子と寺泊とはいえデート時間は

 キチンと取ってくれましたし」ひろ子ちゃん


「小布施で栗鹿の子とお茶も 

 お正月も 五竜の街でデートしましたし」真美ちゃん


「放ったらかしでは やれることしかやれてないけど なぁ38」68


「柳橋美味しいものツアーも 好評だった」38


「あれは 38の案内があってこその 美味しいものツアー」と三人


「俺はお任せで付いて行って荷物持ち 大概似合うから似合うよ でいい」73


密談のハズが 68と38と73のデート自慢になっていて 全員が聞いていて


「73は楽勝で68と38はキチンとデートしてて」と上村さんが 全日本組を見る


クリスチャンと全日本組の二人が 揃って離れていく


「明日は パスしてもまだ3日間ある 今日は三人で呑んで」

とリカール家のアルマニャックなどを渡すが メシマズのスコッチを希望され


「ホテルのバーで潰れるまで呑んで 明後日から頑張ろう」とBarに送り出す


「デッカイ落とし穴だな」と明後日が19の誕生日の娘と腕を絡めた39のおっさん

「俺も気をつけるわ レイバンは外さないけどな」能書きを垂れて部屋に帰っていく


「凄いですね 大円さんの伝説のお局様を超えてる空気の読まなさ」ひろ子ちゃん


「浮かれポンチ でも39才まで見せつけられてきて やっとですから」真美ちゃん


もう88に乗りたいとか YZR500のキャブセットだとか 小さな事に見えて


「浮かれポンチの39才は仕方がない 明日も頑張ろう 寝る」と言うと

 皆も「寝よう」と部屋に帰っていくが


「部屋がシングル」と73

「フロントに行け 三河バイクでダブルを余分に取ってある」

「ゴロワーズチームでもダブルが余分にあるわよ」リカール家から来たクラリス


「有難うございます」と彼女が返事をして 連れて行かれる73


クラリスと「よかった3人が行ったあとで」と頷き合う


3月28日 火曜日 0630 朝食開始

三河バイクも白子レーシングもチームゴロワーズも居るが

GP250の全日本組のライダーが居ない クリスチャン・リカールも居ない


それでも タイムスケジュール通りトレーニングは進んでいく

ゴロワーズの通訳さんがサロンと68達の間に立ち トレーニングが始まっていく


こっちは ゴロワーズチームとYZR500のセットアップ

ポール・リカールよりストレートが短く テクニカルになる

より中間トルクが必要だが バックが意外と長いのでトップエンドも要る


競らなければ タイムだけなら俺のほうが速い 午後2時に 2′06′′2まで 

詰めてコースレコードまで叩き出した データロガーでデータも沢山採れた

同じキャブセットの英雄さんが8′′9でイッパイ


サロンと交代して 全日本組のTZ250Mのキャブセット

12”フラットを叩き出せたので 去年のデータもあるのしで完了


YZR500のサロンも7″8まで詰めて 満足して 修了


TZ組も 68と38は一発狙って13″フラット 安定して13″5

73が一発の狙いで16″フラット 安定して16″6まで 頑張った

73は素のTZ250 の去年型 去年の1のRSのタイムより速い

どうしてもなら 68達と同じ車両を用意すればいい


もう73の進化に大喜びで 68−38−73 表彰台独占!!!!

初戦からシャンパンファイトやろうぜ と盛り上がっていると 

幽鬼のごときクリスチャン・リカールがピットに来る


小さな巨人の爺さんが

「これを着て このメットを被って」とギア一式を渡す


西谷さんが

「いきなりのレーサーはキツイ 最初は市販車の扱いやすさも大事だ

 それでもレーサーレプリカ 2′45″は切れる 早くなればTZもある」

飛散防止がされた後方排気のサンマの No36 を渡す


上村さんが

「袋井からイントラを呼んだ キチンと基礎から教えて貰え」

とインストラクターの深谷さんを紹介する


チームヤマハで クリスチャン・リカールの対策を考えていてくれた 有り難い


夕食時に 深谷さんはクリスチャンを連れて離れての食事

なにか 色々話をしているみたいだ


こっちのタイムが出ているチームは

「とにかくハウスが有り難い 飲み物とかも温かいものも冷たいものも

 軽食も 座って 風もなく食べれるし 休憩で休まる」で一致している


ただ ハウスの主の リカール家のクリスチャンがあの惨状ではお礼も言えない

メカからTZのリフレッシュOK YZFとFZRのエンジン積み替え完了との報告がくる


3月29日 水曜日 合宿三日目 0630 朝食開始

クリスチャンは深谷さんと一緒に離れて食べてる 全日本組も同じテーブル

「今日のタイムテーブルは TT-F3のFZRのキャブセット 

 うまく行けば 午後から68と38で 俺の88の引張で20″まで行きたい

 73は単独で18″でキッチリ120周回 コースのシミまで覚え込んで

 YZFは英雄さんとサロンの試乗あと 不満のある所をキャブセットでいい?」


「FZRは3台ありますよ」と西谷さん


「はい? それじゃぁ3台チェックして FZRで並んで行きますか」


「違うって 73君が乗るの 7月末の4耐まで何があるかわからない

 突然の虫垂炎とか 去年の1君みたいな事もある

 悪いけど73君 スペアライダーで待機をお願い」上村さん


「大円くんが走ってくれればいいけど走らない 73君に頼むしか無い」内村さん


「チームとして耐久に勝ちに行く ただ待つのが仕事のライダーが必要

 スプリントとは違った 要素なんだ」西谷さん


「はい??」って一番ビックリしてるのが73


「73君だって素のTZでベストが16″フラット ヤマハとして応援対象」西谷さん


「明日68と同等のTZが届くから 今日の午前はTZで60周

 午後はFZRで 60周 昨日も120周行けたんだ 行ける」上村さん


73を連れて 離れて

「73 上村さんに何か 書類にサインしろとか 言われてないよな」


「なにも ないです」73


「絶対サインをするなよ 約束手形の裏書き並みにヤバイからな

 出来る営業 契約書にデッカイ字でトラップを仕込んでくる」


「大円さん ひっどい言い草 白子レーシングさんとは契約済だし」上村さん


「がんばれ 73」手遅れだった 工藤さん・・・・・もう応援するしか無い


ピットに移動しながら 68 38 73 と話をする 

「そうか 73は 全日本に行けるんだ 俺達家業で MINEにSUGOが行けないから

 今年で引退 結婚もするしな 三人でパーフェクトウィンを目指そう」38


「ノービスでGP250のコースレコードホルダー カッコいい 4耐も勝って引退」68


「そんな話、初耳なんですが」73


「工藤さんがサインしちゃったらしいから 頑張れ 応援はする

 スポンサーも探すよ リカール家も居るし きっと探せる」


FZRの13チェックからスタート 68達は73を引っ張ってコースイン


一昨日と全然違う 中間トルクが分厚くてそのくせ上までトルクが痩せない

キャブセットもベンチのシャシダイで相当追い込んでる

サスセットが微妙なので ピットインしてメカと相談 Frの縮み側を少し柔らかく

20″ 18″ 16″ 15″ 15″ をキープして5周回 ピットイン

次のFZRの16も同じ よく調整されてる 15″のキープが出来る

三台目のFZRの17 これもよく仕上げられて 15″のキープが楽勝


「ライダーは聞いてくれ 4耐で優勝周回を96周とすると Lapは2′30″

 これにはライダー交代 燃料補給が入っていないので 2′19″が狙いタイム

 タイヤ交換が出来ないレギュレーションなのでエンジンタイヤの消耗も考えて

 2′19″でLapを刻んで 逃げる

 

 ただ相手も居る 過去のデータだけでは 測れない

 4耐で100周回を想定 ライダー交代のピットインのピットロードのロスタイム

 燃料補給 1回5分のロスだと三回で計15分も掛かる ライダーは2′15″が要る

 トレーニングでは55分間 2′15′′で周回を重ねる 出来れば勝てる

 マシンは持ちます うちの自信作です」西谷さん


「今日の午後は 2′30″スタートで 2′20″までにするわ 55分3本 88で引っ張る」


ハウスで揃ってご飯にしようとパドックを見るとクリスチャンが

バイクを押して 取り回しの練習をしてる


上村さんによると バイクに乗せて 深谷さんはスピーカーマイクのPTTを

握って指示を出し ジムカーナをやれせてみたのだが コケて危ないので

インカム付けて無線のチャンネルCでガシガシ指示を受けながら

必死こいて取り回しの練習中

アレだけ必死こいて練習してれば嫌なことは忘れる


ただ彼女が来ただけで 裏切り者扱いの73が気の毒なので さっさとご飯にする


「午後は ピットスタートの55分チェッカーのピットイン 4耐仕様だ

 過去の練習だと40分でチェッカー 15分が魔の15分になる 車重も30kg重い

 絶対にこじるな 素直に乗ればタイムは出る トルクがしっかりあって伸びる

 

 ワークにも寛容だ 早目のアクセルONでもツイてくるというか早目がいい

 TZよりワンテンポ早目に開ける そのエンジンのツキを今日中に覚える

 まず2′30″ 55′耐久 行ってみよう マシンを信じればいい」


ピットスタートでゴロワーズのメカにも協力して貰い 耐久本番でさながらで

コースインしていく4台 88で引っ張っていく行く大円 

2′30″の55′となると ピットボードが4枚ともP-INに変わる


ピットイン


大円以外の3台はボードで止められ サクッと燃料補給の体制になる 

さすがゴロワーズとヤマハワークス 耐久でも上位に行くチームだ

三河バイクも白子レーシングも混じって 教えを受けている

今日は初の練習 コボして燃えるのは困るので 4耐組は体制のみだが

8耐組は英雄さんが降りたら 即 クイックチャージャーで燃料補給をして

タイヤ交換をしてサロンが乗って押されてコースに復帰していく


ハウスに休憩に行くと ゴロワーズの監督と英雄ひでおさんも来て

「鈴鹿本コースの7時間ノンストップは有り難い

 三河バイクに白子レーシングに 教えれる事は教える」と言ってくれる


そんなこんなで タイムスケジュールを頑張って 皆で熟して

73も2′20″の55′をキッチリ熟し ハウスの奥の部屋で彼女の膝で寝オチしている

ハウスにてペリエを飲んで 食事までの休憩というか 若いチームは皆居眠り

膝がある73 68 38 は目の毒だと 1号ハウスの奥の部屋へ行けと隔離の刑に処される


「あんなん クリスチャンじゃなくても怒るよね」

過去の自分は思いっきり棚に上げての言動の大円 心の棚は広大だ


「73君だって若いんだ 許してやれよ」

今日が19の誕生日の娘と腕を組んだ39の沢井さんが広くなった心を見せに来る

サクッとGP250の全日本組に蹴りを入れられ「出でけ」とハウスから追い出される


クリスチャンが心配だが深谷さんが 必死こいて教えているのでお任せする


今宵も深けたようでも

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