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悪魔の囁き

「すぐ外すよ。死なずによく頑張った。」


 ローザの後、ノエルが追いつき、二人でエヴァの手の鎖を叩き壊して猿轡をほどいてやった。


「はぁっ、ありがとう、ローザ、ノエル!こんなところまで来てくれて…」


「いいから、早く逃げよう!」


 ローザはエヴァのために持ってきた剣を渡す。

 以前のような強さはないが、護身用にないよりはマシだった。

 3人が立ち上がった瞬間、背後に気配があり、ヒュンッと剣が風を斬る音が聞こえた。

 ノエルが剣で受け止めたが、襲ってきたのはカインだった。


「カインさん!どうして!?」


 大男はいつの間にか姿を消し、エヴァはカインに手首を掴まれていた。

 カインは目が虚ろで、呼びかけても反応がない。


「悪魔に心を支配されているのか!」


(この男、見たことがある…。未来視で星水晶に手を出そうとしていた神殿の騎士ね!)


 エヴァは、先程ローザから受け取った剣の鞘をカインの手に思い切り当てにいったが、カインの剣に止められてしまった。

 拘束がゆるんだ隙に、エヴァは身をかわして離れた。


「良かったエヴァ!やれる?」


「ごめんなさい、事情があって前みたいには戦えないの。」


「まさか、何かされたの!?」


「怪我じゃないし、うまく説明できないんだけれど…」


「とにかく、相手はカインさん一人だ。皆で取り押さえよう。」


「そういえば、あの気味の悪い獣たちはどこに…?」


 いつの間にか廃屋の入口付近でセイラとアルベルトは人型の獣たちに囲まれていた。他の騎士は塊になった獣たちに阻まれ近づけず、手を出すことができなかった。


「近づくな!神の御名において命ずる!悪魔よ去れ!」


 アルベルトは流石に教皇の近衛に選ばれただけあって、悪魔の手下である獣たちに囲まれていても、気をしっかり保っていた。


 星水晶は獣たちが近づくにつれ、体は鉛のように重く、息を吸うのも苦しく、窒息しそうになっていった。もう立ち上がることもできない。

 耐えきれず倒れ伏すと、どこからか恐ろしい声が聞こえてくる。


「辛いか?これが守護霊の護りがない状態の本来のお前の体だ。

お前は肉体を持ったまま異世界に飛ばされた。元々の傷に加え、魂も傷ついた。お前は本来の寿命の半分も生きることができないだろう。」


(これが…体を起こすこともままならない…)


「セイラさん、しっかりしろ!悪魔の声に耳を貸すな。君が言ったんじゃないか、怖れるなと!」


(そう、死を怖れることはないんだわ。神様のもとへ行けるんだもの。

 例え体を動かせなくても、声が出なくても、神様を信じることはできるわ。)


「ヨウコは神の加護と引き換えにお前の命を救った。それでも、お前は簡単に死を受け入れるのか。ならば今すぐ死ぬがいい。神の御心のままに、なんだろう?」


(何ですって!?)


「神を疑ったので、ヨウコは天国には行けない。お前はヨウコとは二度と会えないのだ。」


 それを聞いて星水晶は初めて信仰が揺らいでしまった。


(お姉さまが地獄に堕ちるなら、私も同じ罪で裁きを受けます!)


 そう思った瞬間、悪魔の哄笑が響き渡り、星水晶は大きく体を痙攣させた後、動かなくなった。


「セイラは死んだ。守護霊も弱っている。これで神の力はわたしのものだ!」


 そう言いながら悪魔が姿を現した。白金色の髪に、金色の眼を持ち、背中には黒い翼が生えていた。


「セイラさん…?」


 アルベルトが星水晶に近づいて触れると、息をしていないことに気がついた。

胸に耳を当てると、心臓も止まっていた。


「何が起こったんだ…こんなことって!」


 アルベルトは星水晶の傍らに崩折れた。

 

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