シナモンを探して
カインは馬に乗って行くつもりだったが、二人乗りと聞いて星水晶は断固拒否。初めての外出は中止かと思われた。
『ねえねえ、星水晶ちゃん。ちょっとあたしに代わってほしいの』
(どうしたの?美凪様)
『だって、これってデートじゃない!あたし、馬なら乗れるわよ。』
星水晶はデートという言葉に嫌な予感を感じたものの、男性と密着する苦行と天秤にかけた結果、美凪様にお任せすることにした。
美凪様は、星水晶の体だと馬に乗りやすいと言ってご満悦だった。
南の森には一刻ほどで着いた。
ここを抜けると大陸の中央へ繋がるため、切り拓かれた道があり、馬が歩いて通ることができる。
『陽射しが気持ちいいですね。』
「残念ながら、私にはどれも同じような木に見える。
『このあたりは同じ種類の木ばかりですね。』
神殿よりは広葉樹が多いものの、それらしき木は見当たらなかった。
『シナモンの木の皮を剥がして、乾燥させるそうですわ。』
「お茶のように、木の皮もそうやって食べられるのか。」
森をしばらく歩いたが、それらしい木はなかった。
「かなり馬を歩かせたし、少し休憩してから帰ろう。」
水場で馬を休ませている間、美凪様は思った。
『これはときめきチャンスよ!』
美凪様の言うときめきチャンスとは。
意中の男性の好感度を上げたり、親密になる選択肢のことである。
最近、美凪様は暇なときに星水晶が持っていた漫画やゲームの知識を共有するのにはまっていた。
『スキンシップなんかしたら星水晶ちゃんが怒るだろうから…
ピンチになって守ってもらう…これよ!』
カインが馬の状態を見ている間に、美凪様が林の中へ入って行こうとしたので、それに気づいて止めた一智佳様と文子様、あとカインにめちゃくちゃ怒られていた。
『美凪、ちょっとそこへ座り。』
『全く…人の体を危ない目に合わせてはいけません!』
「この森は、ごく弱いがモンスターが現れる。なるべく俺から離れないほうがいい。」
見通しの良い道沿いにはあまり出ないし、カインが周囲を警戒しているので問題はないと思われた。
馬上から正座という低い視点に変わったことで新たな発見があった。
『ねぇ、あれシナモンの木じゃないかしら』
『俺が行って木の皮を剥がしてこよう。』
美凪様を叱っていたにもかかわらず、カインは少しの間だけ側を離れてしまった。
しかし、正座させられている間に、一匹のモンスターが近づいてきていた。
美凪様は、イヤーッ ボーン!!ていうのもやってみたいらしい。
次回、秘めたる力が開放される!…かもしれない。
読んでいただいてありがとうございます!
少しずつですが書き進めております。
星水晶やご先祖様たち、登場人物が少しでも気に入ってもらえましたら、ぜひブックマークや評価をお願いします!




