告白
その日は休みで、朝から礼拝があった。
休みの日の礼拝は修道服ではなく、持っている中で一番いい服を着て行く。
星水晶がブルーのワンピースを着て待ち合わせ場所に行くと、既にカインは立って待っていた。約束の時間よりかなり早い。
カインは、周りに人がいないことを確認し、かなり小声で、床を見つめながら謝った。
「騎士にあるまじき不埒な行いをしてしまって申し訳ありません…。
そして…不可抗力で貴方の裸を見てしまったことも、謝罪します。」
それを聞いたセイラは、驚愕して目を見開いた。
程なくして、手に持っていた扇子をぱっと広げて言った。
『…えっち。』
カインは目を白黒させていて、一智佳様は扇子の向こうでニヤニヤしている。
『エッチ・スケッチ・ワンタッチや。まあタッチはされなかったからセーフやけどな』
異世界でこのギャグが通じるはずはないけど、最後らへんで大体意味は通じたようだ。
「結果的に、触れなかったので許していただける…ということでしょうか…」
『3対1で許さない判定や。
どないしてくれるん?』
ツンっと顔を背けて、一智佳様はカインの出方を待つ。
まるでヤクザの台詞である。
その頃、心の中の世界では…
(私の裸見たって、言う必要あります!?黙っていてくれれば私っ…こんな恥ずかしい思いしなくて済んだのに…
このこと、みんなあえて共有しなかったんですよね? ね?)
『そうねぇ。きっと全員一致だったからそこはブレーキがかかったのね。
リュカ大神官も護衛騎士も皆黙ってたのに…』
『正直に話して謝罪するのが正義とも限りませんわ。
大方、良心の呵責に耐えかねて、というところかしら。ついでに暴露して楽になろうなんて…。
女性を羞恥させるのが騎士道なのかしら!』
星水晶と文子様はプンプンしていて、美凪様は自分の裸を見られたわけじゃないし、キスに乗り気だったということもあり、怒る気はないようだった。
「禁じられているが、忘却魔法を…」 『あかんて』
文子様の読んだ本によると、忘却魔法は人格崩壊の危険性と、世界の法則が乱れる恐れがあるため、禁術とされている。
過去に魔法を発現した際に何が起こったかは検閲により削除されていた。
「では責任を取って結婚を…」 『あんた実はアホの子やろ』
こうして、一智佳様は何でも言うことを聞いてくれる下僕を手にいれた。
美凪様は、その後、一智佳様がカインを手玉に取るのを見て悔しがり、その手腕をどうにか盗んで真似したい…と言った。
星水晶が魔性の女みたいに言われるのは、大体が一智佳様のせいではないでしょうか…
「私、主人公なのに一智佳様よりキャラが立ってない気がするんですが…」
『なんか、足りないものがあるんちゃうかなぁ。
自分のキャラに何が足りひんか考えてみ。
あと、影が薄いとこも文子さんにそっくりや。』
『文子は影薄くなんてありませんわっ』
「出番は増やしてほしいけど、私がお姉さまを見つめる時間も一日24時間必要ですね。」
『星水晶さん…騎士から秋波を送られているのに、ときめくどころか耀子さんしか頭にないわね。』
『そういうのクレイジーサイコレズというらしいわよ』
最近、美凪様は、星水晶が読んだ漫画やアニメの知識を共有するのにはまっています。




