一日の、(幸福)
幸福、誰だって感じたい感情の一つである。そしてそれは人によって違ったハードルがあり、あっさり幸福だと思う人もいればどれだけ努力しても人を幸福にできない時もある
「んーこれぐらいの盛り付けでいいかな」
汁を飲んで味見をする、そしてその間に火にかけていた炒め物を皿に盛り付けドンドン用意する。そして直ぐにお客さんのところに持って行き自分が盛り付けた作品を人にドンドン出す。
この料理人が作るこのコース料理に味は他のコース料理と比べると味はそこまで良くなかった。しかも作る料理が毎回毎回ランダムで他人のアレルギー等を全く気にせずに作られる料理ばかりだ。なので彼の作るコース料理の注意書きには「※毎回毎回違う料理が来ます ※お客様のご都合は一切考えておりません」という従来の料理店と比べて本当に誰も頼まないだろうコース料理となっている。
しかし、このコース料理は実際そこそこ人気であり、味が酷い時があっても文句は言われても「注意書きを読んでから頼んでください」と言える、全てがイレギュラーなのがこのコース料理である。
又、これを作れる料理人もここには一人しかいない。まるで「客に試作品を食べさせるためのコース料理」なのに、それは簡単である。
このコース料理は全て、「食材を使った食べられる芸術作品」として出されるのである。
奴はドレッシングを嫌った、食材そのものの色を変えたくなかった。奴はデザートを嫌った、甘くするのに砂糖を使わなければならないと考えていたから。奴は既存の建築物等を作品で表したりしない、すでに認められてるものを作るのが嫌だから。奴は何でも食べられるよう加工する、食べられるのであれは自分の作品の一部に使えると考えているから。
「お待たせしました。「世界の縮図」でございます。」
そこには納豆と燻られて何とか食べられそうなアリ達がぐちゃぐちゃになって盛り付けられておりそれを踏みつぶすかのように人の形をした野菜の塊が3人ぐらい一緒になって虐め、それの周りを取り囲むように野菜の人達が並んでみてるだけになっていた。
「ごゆっくりお食べ下さい」
まるで「これを見てあなた方はどの人だと思いますか?」と言わんばかりに言った
「こんなもの食えるか!!」
当然の一言だ、虫がある料理なんてここでは出されてないしここの国では普通見ない
「先払いして、何が来るかと思えば、こんなもの食べられないではないか!最低限食べられるものと書いているではないか!」
「何をおっしゃるのですか?お客様、それらは全て、食べられますよ」
奴は面倒くさそうに何かを考えながら言った。
「ではそこの者、ここにはよく来るのだな?であればこれを食え!この虫を食えないだろ?」
「ぼ、僕ですか?虫入りなんて、食べたくない」
「食べたくないのであれば食べなくて結構ですよ?これを作ったということが既に僕にとって意味を持つのですから、ですが料理長曰く「食べて不味くないものでなければ作るのは禁止」と言われてますから食べられるように作ったのですが、」
それを聞いて男はニヤリと笑った。
「10000円払う、そこの者、食え。食って正直に不味いと言え。」
「不味いと言えって、確定してるみたいに言わないで下さいよ」
「確定しているのだ!さぁ、食うが良い、」
「....分かりました」
指定された客は人全てにドレッシングを掛け、まず人の方を食べ、
「野菜は何も手を入れられてない、家で食べるのと同じ、ですね」
「そんな事は分かっている!さぁ、その汚物を食べるのだ!」
彼は声を荒らげた。客は恐る恐るスプーンで納豆とアリの掛け合わせを少しだけ取り、目を瞑りながら、口の中に入れた!
「、、、?」
客はそれを食べつくし、こういった
「おかわり、ありますか?」
「別料金です。と言いたいのですが少々作りすぎたのでタダで」
「金は取れーー!」
「怒られてしまいましたね、では器いっぱいで100円で」
「ちょっと待て!味は?苦いのであろう??不味いのであろう??」
「そんなことは無いですよ。ちゃんと苦味もありませんし納豆が強すぎてそれどころじゃなさそうです。が、これ納豆より美味しいです」
周りはドン引きながら、彼は青ざめた。
「、、、このイカレレストランがああぁぁぁぁ!!!」
彼は出ていってしまった。お金はこういうことがしょっちゅうなので前払いにしてもらっているので全てアドである。
「、、、では皆様、食事を続けてもらってどうぞ。ん?この1万円を貰った彼をなぜみな見つめてるのですか?良ければみなさんも、試食という事で、奢りますよ、1人1口で、」
みんなそれどころではないし1人被害者が出た程度で店側は済んだが奴はそれを見て
「、、仕方ありませんね。その、食べさせられたお客さん?まだ彼の残したコースがあるのですが、1品だけ、出したいものがあるのでそれを食べてから残りを継続するかどうか、決めてもらっていいでしょうか?」
「、、分かりました、そうします、」
落胆したような客に奴は一品作った。それは、
「お待たせしました、「このレストランの日常」です、ごゆっくりお食べ下さい」
そこには、野菜で作られた机と椅子と皿に納豆1粒とアリを1匹、あたかも座っているようにレタスや人参で出来た人が、それを見てるようにカブトムシが殻を取られて調理されて、そしてそれを取り囲むように納豆とアリの付け合せがあった。
「あんなことで変な目で見る輩は気にしてはいけません。」
それを伝えたいかのような作品だ
「客を馬鹿にしてるのか?!」
今度は周りが怒鳴った。が、
「うるさい、いちいち、食事も出来やしない」
厳つそうなおじさんが怒鳴った。
「これはこれは、常連客の上原さんでは無いですか、いつもいつも私の料理を作品を見て下さり、ありがとうございます。」
「今回の料理、他人のも含めて見させてもらったが、相変わらず気色悪いのを使っているな、あと、あの作品だが、ひとつ間違えがあるな。」
「ええ、そのつもりですとも。ですが、あまりにも周りからの視線がそう見えたので、彼を励ましてあげようと」
「ああ、大丈夫。ここにそんなゴミカスみたいな納豆とアリの付け合せと同等かそれ未満の人はいないさ」
上原さんという人がそう言いながら笑った。周りは何も言えずに食事に戻った。
「では、私は料理に戻るので、どうされます?続けられますか?それとも個々で辞めますか?」奴はそう彼に聞いた。
「、、残りを持ってきて下さい」
「では残りの料理を作ってきます。もう少々お待ちください」
奴はそういうと調理場に戻った。
2作目ですねこのタイプは、前回は少し違ったタイトルで、確か「一日の日常(恨み)」ですかね、このタイプの短編を書いてこうと今回思いました、楽しめたなら良かったですつまらなかったら多分ここを読んでません。読んでいるのであればそんな人に一言、力量不足ですすみませんでした