魔法学校に入学したけど地味さは変わらないようです
「ワタル、今日から学校だね」
アニーは楽しそうに話す。
「俺が学校に行くって知ったのは昨日だけどね」
「へー、そうなんだー」
なんというか、この村の人達は基本的に呑気な気がする。
「なぁ、アニー。俺たちもう1時間くらい歩いてる気がするんだけど学校ってまだかな?」
「やだなぁ、学校は都会だよ。2時間は歩かないと」
なんだと、そんなこときいてないぞ。
「はぁ、はぁ、や、やっと着いた」
「いやー。いい運動になるねぇ」
なんでアニーは平気なんだ。
てか、毎日こんなの辛すぎる。
な、なんか他の移動手段はないのか。
とりあえず、僕らは学校に入った。
「ワタル、私たち同じクラスだよ」
俺の名前はケニー・ラブル・ワタルと表記されていた
こっちの俺のフルネームはケニー・ラブルなのか…変な名前
「さ、早くクラスにいこう」
僕は疲れきって重くなった足をすすめながら、アニーの後を追った。
俺はクラスに入った、だいたい30人ほどだろうか。
現代の学校とかわんねーな。
はぁ、何してんだろ。こんなんなら現代にいた方がましだったんじゃねぇか?
そんなことを考えていると先生と思わしき人が入ってきた。
「やあやあ、ここのクラスを受け持つアサトウだ。よろしく頼むぞ」
先生は声がでかくてめんどくさそうなやつだった。
「さっそくだけど、自己紹介と今使える魔法を披露してくれ」
教室がざわつく。
やっぱりめんどくさいやつだった。
「ああ、もちろん使えないやつは使えませんで何も問題ないからな」
この先公なんて無茶振りをするんだ。自己紹介だけでもだるいのに魔法を披露しろだと。
俺にはそんなのない。
まぁざわついてるところをみると俺と同じようなやつはいっぱいいそうだ。
しかし、俺の考えは甘かったのだ…
俺の予想と反してクラスメイトは次々と魔法を披露していく。
おいおい、きいてないぞ。
やばい、あと少しで俺の順番だ。
あ、その前にアニーの番だ。
あいつは俺と同じ村の出身だから魔法は使えないだろう。
ほっと胸を撫で下ろすはずだった…
アニーは雷を起こす魔法を出した。
な、なんだとー。アニーそんなのいつ覚えたんだよ。
そして、俺の番になった。
「えっと、ワタルです。魔法は使えません」
クスクスと笑い声が聞こえる。
ちくしょう、異世界転生ってこんなんじゃないだろう。
こうなったらこの学校で魔法を覚えて見返してやる。
俺を笑ったことを後悔させてやる。
俺はやる気に満ち溢れていたが、才能というのは残酷だということを後々思い知らされることになる。
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