【ゴブリンキング視点】ゴブリンの巣での出来事
ゴブリンは洞窟に巣を作っていた。場所はカイネ村から北へしばらく行ったところにある洞窟である。
ゴブリンはオークと同じように雌を持たない種族である。その為繁殖には他種族の雌を拉致し、連れてくるのではあるが。連れてこられるのは基本的には非力な人間種の女性である。
エルフは個体数の問題。獣人は戦闘能力の問題で都合が悪い事が多い。そうなると数が多く、非力な存在も多い人間の雌がゴブリンにとっては格好のターゲットである。
そこで行われている行為というのは女性にとっては筆舌し難い行為であった。
言うまでもない。その場はこの世の地獄であった。ゴブリンの嬲りものにされ、孕まされる。そして出産させられる。異形の子を。
それは人間であったのならば哀れみのあまりできない、鬼畜の所業なのではあるが。ゴブリンたちはまさしく鬼なのである。
だから平然とそのような行いをする事ができた。今日も洞窟の中では攫ってきた村娘たちの悲鳴が響き渡り、ゴブリンたちの歓喜の声が響き渡り、そしてまた。
悲鳴と絶叫と共に産声を上げるのであった。
そんな中、何人もの少女を侍らせている大型のゴブリンがいた。身長は人間よりも大きい。2メートルを超えている。人間でいうならば大男である。
頭に冠をし、魔術師用のロッドを構えたゴブリン。
見ればすぐにわかる。ゴブリン達の王。ゴブリンキングだ。
ゴブリンキングは目に光のない少女達を統べている。玉座についたゴブリンキングは接待を受け、人間のようにステーキを口に運び、そして一口で食べ終えた。
「……ぐふふっ。順調、順調、全ては順調だ」
ゴブリンキングは笑みを浮かべる。計画は順調であった。村を襲い、娘と食糧を強奪する。そして巣で新しい兵を作らせる。
ゴブリンの子は一か月ほどで出産され、そして成長する。その成長速度は一か月ほどだ。人間の子の10倍以上、発育速度が早い。その為、すぐに戦力として数えられるようになるのだ。
そうやって圧倒的な繁殖力を元にゴブリンキングはその勢力を拡大していくつもりなのである。
「キング」
ゴブリンキングの前に、下っ端ゴブリンのまとめ役ゴブリンリーダーが姿を現す。ゴブリンリーダーはいわば中間管理職のような、そういう役割の存在である。
「次の行動はどうしましょうか?」
「うむ……そうだな」
やはりまだまだ母体は欲しい。そしてその分、食糧を必要とした。まだまだ奪い足りない。略奪し、手に入れなければならない。人間の娘を。そして食糧を。あの村にはまだ娘たちが存在していた。その上に食糧も。
奪いつくす。人間たちにはゴブリン達の贄となって貰う。そう、心に誓った。
「深夜、人間が寝静まっている時に村を襲え。前の村だ。あの村には手練れの人間はあまりいなかった」
「へい。わかりやした。兵をまとめて略奪に出かけます」
「うむ。行ってくるがよい」
こうして、再三行われてきたゴブリン達による略奪行為が再び行われるのであった。