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冒険者を圧倒し、実力を認められる

「……よし。腰巾着の兄ちゃん、名前は? 俺の名はルーネス。このCランクの冒険者パーティー『紅蓮』のリーダーをやっている」


 冒険者パーティーのリーダーであるルーネスが言う。


「アレクです」


 俺は答えた。


「そうか……それじゃあ、始めようか」


 ルーネスはナイフ使いだった。それも両刀使いだ。両手で鋭利なナイフを構える。


「へっ……馬鹿な野郎だぜ。兄貴に敵うわけねぇのによ。きっけっけ」


 取り巻きをしている冒険者連中が俺を嘲ってくる。


「まったくだぜ……、命知らずにも程がある」


「見てようぜ。始まるみたいだ」


 俺達はにらみ合う。


「……何か合図はないか?」


「ああ……それならこいつを開始の合図としようか」


 俺は精霊達に命じた。近くにあった、空き瓶をたたき割る。


 ガシャン!


 けたたましい音が鳴り響く。


「へっ……なんか不思議な術を使う兄ちゃんなんだな! いくぜ! おらああああああああああああああああっ!」


 ルーネスが俺に襲い掛かってくる。


『ご主人様が危ない!』


『ご主人様を守れ!』


「お、おい!」


 俺は精霊達を制しようとした。だが、時は既に遅かった。精霊達には俺が命じなくとも守ろうとする。そういった自己防衛機能が存在していた。


 精霊達は見えない拳を作り出し、ルーネスを殴った。


「ぐあっ!」


 ルーネスはカウンターを食らう。


「兄貴!」


「な、なんなんだ……兄ちゃん、一体。お前は」


 顎にカウンターを食らったルーネスは崩れ落ちる。


「兄貴……これは一体」


 取り巻きの冒険者たちが呆気に取られていた。


「はぁ……」


 俺はため息を吐いた。精霊達に俺を守らないように命令しておかないと、何となく決闘感がないんだよな。勝手に倒れてしまったようにしか見えなくて。


 だがまあいい。これで俺がゴブリン退治に出向く資格、その証明にはなった事だろう。


 ◇


「へー……兄ちゃんは精霊使いなのか」


 意識を取り戻したルーネスは村長の家で食事を取りつつ、俺と話をしている。


「……ええ。勇者によりパーティーを追い出されましたが」


 旨い。村長の孫娘であるカレンが作った手料理ではあるがどれも絶品であった。この村の特産物もふんだんに使用されているようだ。珍しく、色とりどりの料理がテーブルの上に所狭しと並んでいる。


「そりゃ、またなんで? 兄ちゃんみたいな凄腕の精霊術士をなんで追い出さなきゃならないんだ?」


 ルーネスは興味津々といった様子で聞いてくる。


「俺の精霊術の貢献は目には見えないんです。だから何もしてないと言われてパーティーを追い出されました」


「へぇ……そいつは馬鹿な勇者だな。兄ちゃんみたいな凄腕の精霊術士を追い出すなんてな。けど、助かるぜ。兄ちゃんがいれば何とかなりそうだ」


「何とかなりそう? ゴブリンが相手なんですよね。だとしたらさほど警戒する事も」


「通常のゴブリン相手ならそうだ。それにさっき、数が合わされば脅威になるって言っただろうが。その上に俺は今回、裏にはゴブリンキングの存在があると睨んでいる」


「ゴブリンキング」


 ゴブリンを統べる王だ。高い知能を持ち、多くの場合ゴブリンとは思えない程大きな体を持つ。それだけではない、強力な技スキルや魔法スキルを兼ね揃えている場合すらある。


 適格な戦略の元にゴブリンを指示するゴブリンキングがいる場合。ゴブリンたちはただの烏合の衆ではなくなる。

 人間でいうところの軍隊のような、統率された集団による脅威となりうるのだ。


「この村の略奪はかなり徹底していたらしい。主には就寝している深夜の襲撃だったし、女子供がいる家を事前に調べていたみたいだ。つまり連中の上には頭の回る存在がいる可能性が高い。それが恐らくはゴブリンの王――キングの存在だ」


 ルーネスは語る。


「今まで色々言ってすまなかったな。アレクの兄ちゃん。あんたがいれば百人力だ。だから俺達と力を合わせてゴブリンたちを倒しちまおうぜ! それでこの村――カイネ村の危機を救うんだ」


「ええ……そうしましょう。俺達の力で必ず」


 戦力として認められた俺はルーネスと握手をした。


 そして俺達は空き部屋に案内される。俺は一人部屋に案内された。


 しかし、俺はそこで思わぬ事態に遭遇する事となる。


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