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村長の家での会話

 村長の家には複数人の冒険者。それから村長がいた。


「へっ……なんだ、兄ちゃん、冒険者か?」


「なんだよ……一人かよ。こんな奴役に立つのか?」


 冒険者達は俺をあざ笑った。


『むーーーーーーーーーーーー!』


 精霊達が露骨に騒めくのを感じた。


「まあ、いい。待て」


『けどご主人様』


「無駄に争いを起こすな」


『はい……ご主人様』


 精霊達は俺を第一に思う優しく可愛い連中だ。故に俺の言う事には基本的には従ってくれる。


「てめぇは、見た事あるぜっ」


「なんだ?」


「あの伝説的なSランクパーティー、勇者シドのパーティーメンバーじゃねぇか!」


「あの破竹の快進撃を続けてきた勇者シドのパーティーメンバーか!」


「な、なんだって! こいつはすげぇ大物が来たじゃねぇか!」


 先行してたどり着いていた冒険者パーティーが別の意味でざわめき始めた。しかし、そのざわめきはまた別の意味に切り替わる。期待から突如失望へと移り変わったのである。


「落ち着けって……こいつはよく見たらパーティーにいた腰巾着じゃねぇか」


 確かに、端から見れば俺の『精霊王の加護』は目には見えないものだ。だから、俺が何もしていないように見えても仕方がない。実際にパーティーメンバーでありながらその加護の恩恵を理解できていない勇者シドが異常だったというだけの事だ。


「腰巾着!?」


「ああ……何もしない腰巾着だよ。どうしたんだ? 坊主、もしかして役に立たなすぎてパーティーを追い出されたのか」


『むーーーーーーーーーーーーー!』


「落ち着けって……」


 俺は今にも見えない拳を作り、殴り掛かろうとする精霊達を宥める。


「まあ、そんなところですよ」


「キッケッケ。頼りないけど、足だけは引っ張るなよ」


「それより村長はどこに?」


 俺は聞いた。


「村長なら、ここにいます」


 目に光のない少女がいた。孫娘であろうか。年齢は俺と同じくらいか。10代の前半から半ばといったところである。


 本来は美しい少女なのであろう。だが、目に光も覇気がない為、魅力が損なわれていた。ただ無理もない、ゴブリンの被害により活力を奪われているのだ。


 彼女は今気力のない状態に追い込まれている。


「申し訳ありません。私は村長の娘であるカレンと申します」


「ええ。そして私が村長です」


 そう、髭を生やした老人が言った。威厳のある老人、いかにも村長らしい風貌を彼はしていた。


「皆さま、まずはお越し頂いてありがとうございます。新しい冒険者の方も集まってくれたようですし、皆さまを及びした理由を説明しましょうか」


「いえ、そんな事はゴブリン退治って事で冒険者ギルドからは承っているんでわかってはいるんです……」


 冒険者パーティーの一人は言う。赤いターバンを身に着けた男が言う。恐らくは冒険者パーティーのリーダーなのであろう。


「それよりゴブリンがどっちの方角から来たか大体でいいんで教えて欲しいんです」


「ゴブリンでしたら、どうやら北の洞窟から来たようです」


「へー……北からね。恐らくゴブリンは北にある洞窟か何かを根城としているんですよ。そこから異常発生して、この村を襲ってきたんです」


「そうなのですか」


「ゴブリン退治の基本ですよ……俺達もプロなんでね。慣れたものです。この冒険者パーティー『紅蓮』にお任せください!」


 そう、リーダー格の男が言う。


「おおっ。それは心強い。私達のような素人には何もわかりません。もう皆さまだけが頼りで。カレン、皆様にお食事を……それから寝所を案内しなさい」


「待ってください。食事前にいっちょ運動といかせてくださいよ」


「えっ?」


「腰巾着、てめぇのテストを行う」


 ターバン男は言ってきた。


「テスト!?」


「てめぇをこのゴブリン退治に参加させるかどうかのテストだよ」


「テストですか? なんでそんな。俺は冒険者ギルドからの許可を受けてこのクエストを受注しているんですよ」


「いいから黙って受けろよ。てめぇの為を思っていっているんだ。ゴブリンだって馬鹿じゃない。数が増えればそれなりに厄介な相手なんだ。それに場合によってはゴブリンキングの存在もある」


「ゴブリンキング!?」


「ああ。ゴブリンとは思えない厄介な相手なんだ。俺が認めた面子じゃなきゃ、命を落とすのが落ちだ。足手まといならいらねぇ。てめぇが本当は腰巾着じゃねぇっていうなら証明してみせろよ」


「……ええ。わかりました」


「よし……やってやろうじゃねぇか」


 こうして俺は、ターバン男と一緒に村長の家から外に出たのであった。


 決闘――もとい俺の腕試しであろう。



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