第0話
よろしくお願いします。
だいたい2500字くらいです。
俺の名前は江上拓也17歳、中高一貫校の三相高等学院の二年生である(童貞)。何故こんな変なことを考えているかというと、告白をして緊張しているからであった。
相手は明野朱里といい、中学校一年から付き合いのある友達だ。まぁ、5年も
一緒だったんだ。断らないだろうけど…
「ごめんなさい」
「えっ」
「拓也君のことは好きだよ。好きだけど、恋愛感情じゃなくて、友達として好きなの。だから、それには答えられない」
そう言って彼女は去っていった。
「…………まじか」
「絶対成功すると思ってたのにな」
何がいけなかったのだろうか。5年の付き合いだ。良好な関係だったし、誰もいない夕方の教室。夕日が綺麗な日を選んだのに。
そんな感じで理由を考えながら帰り道を歩いていると、ヤバイ場面に遭遇した。
前の大きな信号を、うちの学校の制服を着た女生徒が歩いている。横には居眠り運転でもしているのだろう、赤信号なのに速度がおちていない、どころか上がっているトラック。彼女は気づいていない。歩きスマホ、しかもイヤフォンを付けている。
咄嗟だった。かばんを投げ捨て、女性徒を前に押した。時間が遅く感じた。これは、走馬灯ってやつなんだろう。自分の過去を見ていた。小学4年生なのに漏らした時のこと、中学校の定期試験で学年7位になったこと。そして、朱里に告白して、振られたこと。
童貞卒業できると思ったのにな~とか、俺の足なら引かれないと思ったのになんて考えているうちにトラックが突っ込んできた。
目覚めたら、一面白い場所だった。
「ここは…何処だ?」
「ここは、死んだ者が来る場所さ」
「っ、誰だ!」
気づかなかった…
「はじめましてだね、江上拓也君。僕の名前はネルメス、遊戯神ネルメスさ」
「遊戯…神?」
「そう、遊戯、つまり遊びとか娯楽とか、そういう感じのやつを司る神様さ」
胡散臭い神様を名乗る者が『ここは、死んだ者が来る場所さ。』と言った。胡散臭いとはいえ、記憶はトラックに引かれたまま途切れてる。死んだというのは本当のことなんだろう。
そうか、俺、死んだのか。まあ、なんだ、人を助けるために死ぬだなんて随分と立派じゃないか。
…自分で言ってて寂しくなるな。
「いやいや、確かに君は立派な人間さ。咄嗟にあそこまでできる人間なんて滅多にいないからそう落ち込む必要はないよ。ただ、神を名乗る者じゃなくて本物の神様さ」
「俺の心が読めるのか…」
「そうだよ、だから隠し事をしても無駄だよ。ま、しないと思うけどさ。」
そうか、本当に神様なのか。なら敬語の方がいいのか?
「いや、特に畏まる必要はないよ。本来なら、死者の魂は神に会わないで世界の輪廻の輪にすぐに返されるのだけどね。ちょっと外様の僕が『魂がいくつか欲しい』ってこの世界の神にお願いしたのさ。それでたまたま選ばれたのが君、拓也君。」
「…外様ということは違う世界の神様なんだ」
「…そこなんだ」
「まあ、畏まらなくていい理由だからな、気になるんだよ」
「…まあいっか。うん、そうだよ。それでね、僕が担当するのは“メルレバース”って世界なんだけどね、僕は神様であるけどまだ未熟なんだ」
「はあ」
「で、僕の他にも未熟なやつ、ていうか、僕と同時期に生まれた所謂兄弟ってやつ?と一緒に管理しているのだけれど…」
「だけれど?」
「正直に言って暇なんだよ。やる事は部下が基本的にやってるんだ。だからさ、兄弟たちをある賭け事に誘ったのさ」
賭け事か…なんか嫌な予感がする。
『魂がいくつか欲しい』と言って選ばれた俺、遊戯神がやる賭け事。つまり…
「賭け事の対象が俺たち…ていうことか」
「正解!」
「俺を、俺たちをいったいどうするんだ?」
「うんうん、賭け事の内容について知りたいだね」
そういうのはいいから普通に早く教えてほしい。
「分かった分かった。えっとね、選ばれたのは君も合わせて7人だね。なんやかんや条件があったけど満たしてる人間って結構いたから君めちゃくちゃ運がいいよ。ちなみに君は簡単にいうと怠惰な人って条件を満たしてた人だね。」
「俺が怠惰だって?」
「まあ、怠惰というよりかは無関心に近いのかな」
「無関心?」
「君、飽きっぽいでしょ?勉強とか、スポーツとか、ゲームとか。もっと何かしら頑張ってたら告白も上手くいったんじゃない?」
「笑みを浮かべながら言わないでくれよ。遮ったのは悪かったから続きを教えてくれ」
「そうせかせかしないの。でね、対象の7人が身分、場所、性別、種族などがランダムで決定しれて転生する。で、僕らがちょっとした思考誘導をすることで対象同士を争わせる。そして誰が勝つのか賭けをするってわけさ」
思考誘導なんてかなり物騒な単語が聞こえたんだけど…普通に怖い。
しかしこれ、あんま教えちゃ行けないところなのでは?
「いいよいいよ、対象が多少ルールを知っているのもまた一興さ。それじゃ、これからのことを説明するよ」
「わかった」
「先程言った通りランダム!以上!」
「詳しい説明をお願いします。」
思わず敬語を使っちゃったじゃないか。
「そうカッカしない。血圧上がるよ?」
「誰のせいだよ誰の。あぁ、ネルメス様のせいですね。」
「分かった分かった。詳しく説明するから。と言ってもね、本当に全部ランダムなんだよね」
「本当に?」
神様が何柱も関わっているのに?
「本当本当。ラノベみたいな世界だから、ステータスとかあるけど、ランダム、つまり運しだいなのさ。乱数の女神笑が微笑んでくれるといいね」
「ランダム…運か」
昔から運は良いからな~。いったいどうなるんだろう。
「じゃ、転生させるね」
「え、もう!?もうちょっと心の準備を…」
拓也君は…無事転生したね。
「よろしかったのですか?あのようや中途半端な説明で」
「あぁ、ファルネアか…ま、中途半端な説明で賭けの対象が生きていくのも、また一興だよ。ちゃんと説明した方が良かった?」
「いえ、ネルメス様がよいと言うのでしたら構いません」
「そう。」
拓也君の種族は適応竜、僕の祝福は言語翻訳。耐性は万物耐性。種族特性の万物適応。固有能力は…傲慢が拓也君を選んだか。怠惰だから選ばれたっていうのに、傲慢なのか。
まあいっか。
拓也君以外の6人も期待できる。
「こりゃ、遊戯が楽しくなるね。」