3-42 必殺!煽り耐性0の馬鹿に挑発の言葉を投げ掛けるっ!!
霧が晴れてゆく……
このエリアを包んでいた白い靄が、空へと霧散してゆく。
ずっと此処を覆っていた遮るような視界が段々と澄み渡っていく。
横たわる巨体の野獣、ミストビートルの傍らで。
長い戦闘と毒に蝕まれた身体を、私は静かに佇ませる。
終わらせた戦いに、研いでいた感覚をゆっくりと緩ませていく。
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「まさか、本当に倒したぞっ!…… Eランクの、ソロのはずなのにっ!」
「有り得ない、こんなの…… 私たちでさえ、一人では挑むような敵じゃないっていうのに……っ!」
ルナさんたちが茫然自失とこちらを見ている。
目の前の光景に、信じられない気持ちで一杯といったかんじか。
だけど、今はまだそちらに構っている暇はない。
張り詰めた神経を再び繋ぎ直し、私は空を見上げた。
・・まだ、本当の勝負は今これからだ。
──Du siehst mich, oder? Dummer Gott.
──Das Spiel, das du gemacht hast, ist so dumm.
(見ているのだろう? 愚かなる神よ。お前の作ったゲームはこんなにもくだらない……)
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港街では、空の様子の変化に大騒ぎが起きていた。
森を包み覆っていた白い霧が、徐々に青空の向こうへ霧散してゆく。
「霧が晴れてゆくぞっ! 誰かがあそこのエリアボスを倒したんだっ!」
「一体誰がっ!? Bランクの奴等が人数でも集めて討伐に向かったか?」
「いや、Aランクの奴等が結託して打倒しに行ったのかもしれんぞ」
誰もが騒ぎ、視界の晴れた森の様子を遠くの彼方から窺おうとする。
ずっと靄の掛かっていた森の全景が、高台から確認すると綺麗に晴れているのが見える。
青空から差し込む陽の光が、毒霧と呼ばれたエリアの森を穏やかに照らしていた。
「討伐したのはきっと名のあるパーティーだぜ! あとでサイン貰おうかな?」
「馬鹿言え、あのボスが1パーティーだけで倒せるわけないだろ。討伐したのは10人掛かり以上だと俺は予想するねっ!」
「ギルドに売れば金貨30枚以上は固いな、山分けしたとしても一人頭で金貨数枚は確実か……」
誰もが予想する、討伐したメンバーの数、実力、そしてその報酬。
まさかEランクの冒険者がソロで倒してきたなどとは夢に思わない。
そしてその冒険者を一目見ようと、ギルドに野次馬が集まり始めようとしていた。
とあるBランクのメンバーたちは、その心当たりのある出来事に当惑していた。
(ははっ、まさかな…… いやいや、絶対ありえねーし!!)
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霧が晴れて、雲の隙間から一筋の明るい光が射し込んでくる。
薄暗く視界の遮られていた毒霧のエリアが、眩しく照らされてゆく。
その隙間から覗かれた青空に向かって、私は天空に手を伸ばした。
──Mit einem so verkorksten Spielsystem werde ich es bald erfassen?
(こんな陳腐なゲームシステムだと、私はすぐに攻略してしまうぞ?)
──Warum machen Sie es nicht zu einem komplexeren System oder entfernen Sie die Regeln?
(もっと複雑なシステムにするか、ルールを撤廃してみたらどうだ?)
この世界に、デバッグコマンドなんて物が存在するかどうかは分からない。
だけど、今この瞬間だけは私の声が絶対に届いているはずだ。
奴は今確実に、この瞬間を見ているはずなのだから。
何でも出来る素人で無能野郎な全能の神は、幼稚で酷く単純な存在だ。
煽り耐性も無さそうな存在に、私は思いっきり言葉で罵ってやる。
この手の類いは、こちらが挑発すれば予測の思い通りに動いてくれる。
そうだ、私はゲームシステムを十全に利用して戦闘してみせたように見えただろう?
そのシステムを撤廃すれば、私は戦闘でとても困るように映ったはずだろう?
私が勝てたのは、ゲームのシステムを上手く利用されてしまったから。
だからそう、そのシステムを撤廃すればいい。
そうすればこんな簡単に攻略されたりなんかするはずないのだから。
そう、見えたはずだ。
ゲームのシステムに縛られたこの世界を、解放するための第一歩。
世界を巻き添えに、自由を得るためのシステムの変革。
ターン制バトルなんてものをリアル世界に再現した馬鹿な神様相手に。
私は今ここで、一つの終止符を打つ。




