3-24 束の間のパーティーとして
・皮の鎧 防御力5
物理攻撃を5ダメージ抑える。
オークからの攻撃を18→13ダメージに減らす。
・竜の鱗鎧 防御力50
物理攻撃を50ダメージ抑える。
オークからの攻撃を18→1ダメージに減らす。
・皮の盾 物理3割軽減
物理攻撃を受ける際の衝撃を3割軽減させる。
ただし、軽減できる最大限界は10ダメージまで。
・ダメージ計算式
敵の攻撃力×盾の軽減率-鎧の防御力-身の守り=実際のダメージ量
オークを相手に、皮の盾と皮の鎧を装備した場合
18ダメージ×3割軽減-防御力5-身の守り2=5.6ダメージ
防御を行った場合、最終的に受けるダメージ量を半減させる。
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森のオークの攻撃力は18ダメージ。
ゴブリンメイジの魔法攻撃も18ダメージ。
それぞれ鎧による防御力や、アクセサリーによる耐性%などでダメージを抑えられる。
皮の盾の許容限界値は10ダメージ、これは圧倒的な攻撃力の前では盾ごと吹き飛ばされてしまう。
例えば相手の攻撃力が50なら40ダメージまでしか軽減出来ない。
これが今私たちが所持している装備品の種類……
「お姉ちゃん、この鎧は受け取れないよっ!」
「いいから、前列で戦うならメルちゃんがそれを装備してて」
あれから、メルちゃんは結局前列で戦うと言い張ってきていた。
一緒に旅をする事は出来ないと伝えたのに、それなら今だけでも! と私と一緒にいる事を頑なに選ぼうとした。
それならと、私は毒炎の森にいる間だけの短い期間のパーティーの結成を約束した。
毒霧のエリアには連れていけない。あそこは毒無効と火耐性のアクセサリーが必須になってくる。
パーティーメンバーが増えればその分、装備代も掛かる。
それもまた、パーティーを組む時のデメリットといえるだろう。
メルちゃんがもしも毒霧のエリアに向かうとするなら、街にある魔道具店で毒無効の金貨8枚、火耐性で金貨11枚のアイテムを買ってくる必要がある。
魔女のお姉さんの所の商品は一品物であり、あれはもう売り切れてしまっているのだ。
仮にメルちゃんが私の居る場所に自力で辿り着こうとするなら、きっと多くの時間を費やす事になるだろう。
「この鎧を私に渡してしまったら、もしも私に何かあった場合はお姉ちゃんにまで迷惑が掛かってしまうよ?」
「メルちゃんが前衛をちゃんとやってくれるのなら、問題はないでしょ」
竜の鱗鎧を渡すという事は、メルちゃんが戦闘に失敗した時に私がオークからの物理攻撃に晒されるという事。
そんな自分が倒されて、失敗してしまった後の事をメルちゃんは心配している。
ならば失敗しなければいい、戦闘で死ななければいいだけの事だ。
これは私からの、メルちゃんを信用するという証明。
そしてメルちゃんに死んではいけないという、責任を持たせる為の手段。
「どうしても前列をやるというつもりなら、それを装備して。そして私の為に、倒れたりしたら駄目っ! わかった?」
「……うん、わかったよ。お姉ちゃんっ!」
毒無効アクセサリーも渡しながら、武器であるショートソードも託して。
メルちゃんに前を歩かせて、私は後列から弓を構えながらそれに続く。
今だけは、森の中で私たちはパーティーを組んでいる仲間同士だ。
束の間の、パーティーとしての。
これは私とメルちゃんが一緒に戦ったという、短い思い出の時間……
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その日の戦いが終わった後に、私たちは森から街へと帰還した。
2人でヘトヘトになりながらも、無事に街へ帰ってこれた事に安堵をする。
不意に私たちは顔を見合わせて、何処と無くお互いに笑い合っていた。
宿への帰り道、私はメルちゃんに小さな髪飾りを買ってプレゼントした。
一緒に戦ってくれた事の感謝と、今日私たちがパーティーを組んだ記念に。
メルちゃんは猫耳をピコピコと揺らしながら、とても喜んでそれを受け取っていた。
騒がしくなってゆく街中、日が暮れて賑やかになっていく街並みの中を、私たちは歩いていく。
一緒に手を繋いで、多くの人々が通り交う道の中を、2人で寄り添って歩いていく。
私たちが此の街にいる事を、そうやって証明するように。
宿に帰り、女将さんに挨拶をしてから私たちは部屋に一緒に着いた。
そして2人して装備を脱いで身を軽くして、お互いに一息を付いた。
この場所に、2人でこうして無事に帰ってきた事をより一層と実感してくる。
水とタオルを用意して、私は服を脱いでいった。
メルちゃんも恥ずかしがりながらも、私と一緒に服を脱いでいく。
私たちはお互いに汗と泥で身体がそれなりに汚れている。
それを拭き合い、怪我を労りながらお互いに丁寧に処置をしていく。
小さな身体に跡が残らないように、丹念に丁寧に……
途中で女将さんが食事を持って来て、部屋のテーブルに置いてくれた。
その時に私たちを見て振り向き、ニッコリ微笑みながら「ごゆっくり~」とか言ってきた。
なんだろう、何か誤解を与えてしまっている気がするな。
部屋に運ばれてきた料理は二人分だった。
テーブルを挟んで向かい合い、メルちゃんと一緒にその上に置かれた食事を摂っていく。
戦いが終わった後の穏やかな時間。
とても幸せに満ちた空間。
私はこの時間が好きだった。
毎日の終わりに訪れる、まるで作為の無い静かな時間。
それはきっと、メルちゃんが側に居てくれるからだろう。
ずっとこの時間が続くのならば、いっそそれでいいかとも思ってしまう程に……
食事が終わった後も、メルちゃんは部屋から一向に出ていこうとしなかった。
当たり前のように私の布団に潜り込み、何やらモゾモゾと身体を動かしている。
この子にとっては最早、私のベッドに潜り込むのは日課なのだろうか?
「ぐぅぐぅ……、今日はとても疲れてしまったのです。私はもう、ここでぐっすり寝てしまったのです……!」
わざとらしい狸寝入りと、わざとらしい寝言。
どうやら今日は、メルちゃんはこのままベッドから抜け出す気は無いらしい。
やれやれ、と私は食器などの片付けをしていく。
明日の用意と、寝る準備を終えた私はそのままメルちゃんのいるベッドへと潜り込んだ。
出ていってくれないのなら仕方ない、私も今日は一緒にここで寝るしかない。
少し布団は狭い気がするが、2人で引っ付けばまあなんとかなるだろう。
夜の訪れた部屋の中は暗く、窓からは月明かりが射し込んでいた。
音の止んだ静かな時間に、そして暖かな布団の温もり……
今日の寝床は何時もより温かい。
それに、柔らかい抱き枕もある。
その匂いと温もりを抱き締めながら、私はその日の夜の眠りへと就いていった。




