1-4 森での簡易トラップ設置作業
以前捕まえた1匹によって、罠のコツや改善点などは少し掴めてきた。
足を引っ掛けたホーンラビットが、勢いのまま輪に通したロープをそのまま引き絞ってしまう簡易トラップ。
少しでも知能があれば冷静にロープを緩め、紐解く事も容易なのだが、そこは所詮ただのウサギなのだ。
ホーンラビットは突進で角を突くのが最大の攻撃方法になる。
そのため、特性上それを生かすためにはある程度のダッシュが必要となる。
ロープで行動距離を阻まれ、勢いを付けられなくなった角で足元にあるロープを切るのは難しいみたいだ。
これが噛む生物ならば、あるいはその場でロープを噛み千切っていたかもしれない。
もしくは切断系の攻撃方法を持つ生物、または単純にパワーを保有していた場合。
それ以外にも多少の知恵や知能を持っているというだけで途端にその意味を為さなくなるだろう。
これはホーンラビットが突進という特性上たまたま有効であるトラップであり、同レベル帯ですら他の生物に効くかは怪しいもの。
もう少し上のレベルのモンスターになれば、こんなトラップなどは仕掛けるだけ全く無駄に終わるだろう。
その時は新たなトラップを考えるか、もしくは手間を掛けてもっとちゃんとしたトラップを作る必要がある。
そもそもトラップとは待ちの姿勢であり、時間が無駄に使える場合でのみ有効な戦術。
同じ場所で長期滞在し、同じ場所で狩りを続けるという条件下でそれは仕掛ける意味が出てくる。
例えば迷宮エリアで目的が奥へ探索に進む事、といった場合は罠を張ってその場で狩りなどしてても意味がない。
それにいつ掛かるか分からない罠を待ち続け、それを宛にするっていうのもどうであろうか。
敵が非常に強力であり、それを倒すためのトラップ等。
目的によっては必要になるかもしれないが、基本はやはりトラップ無しでも普通に戦える戦術がいるだろう。
それもまあ、今後の話であって、今の目下では依然として変わらずトラップ頼みしかないのだが……
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森に仕掛けた未作動の罠はそのままに、新たな罠を次々と増やしていく。
数を増やせば当たる、いわゆる物量作戦である。
今私が出来る、これ以上の作戦はないのだ。
自然に伸びている蔦など、使えそうな物は使っていく。
大事なのは数であって質ではない、相手は所詮ただのウサギなのだ。
罠に掛かったホーンラビットは角の範囲外から木の棒で一方的に叩いて仕留める。
叩いて仕留めるのだが、これが結構しんどかったりする。
たぶん、1ダメージずつしか入ってない……。
せめて振りやすい『ひのきのぼう』を買ってたら幾分かマシだったのかもしれない。
何も掛からずに終わる日もあれば、1日に2匹掛かってる日もある。
全体的な捕獲ペースは日に日に段々と上がって来ている。
いつもの薬草採取は、もちろん毎日欠かさずこなしている。
コツコツとした作業を繰り返す日々……
1匹、また1匹と仕留めていき、貯金を徐々に増やしていく。
そして、16匹目のホーンラビットを仕留める日をようやく迎えることができた。




