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立ち向かう赤髪少女  作者: 雪氷華
海辺の町
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1-32 陽だまりに咲く花々


鬱蒼と生い茂った樹木が海のように広がっている……


薄暗く、深々とした木々に遮れた太陽の光が届きにくい場所。

その一角、泥に埋まった沼地の一帯はそこに緑の隙間があるように樹木が育っていない。

ここにある泥では上手く木々が育たないのだろうか……


まるで、そこだけは樹海から切り離された別世界かのように。

樹木の迷路から抜け出した休憩場所かのように。

闇に覆われた沼地の中心…… そこでは、眩しい日射しが暖かい陽だまりを作っていた。



「これが、治療薬の花……」


水面にプカプカと浮かぶ花は、穏やかな光に包まれながら咲き誇っている。

それは病気を齎し、またその病気を治すための治療薬。

きっと多くの人がこの花に苦しみ、そしてこの花を探し求め続けてきたのだろう。


救いと希望の裏で、その元凶でもある二面性を持つ綺麗な花……


薄暗くて不気味な樹海の中、この場所だけは不思議な光が枝葉から差し込んでくる。

それは夢か現実なのか、区別が曖昧になってしまいそうな情景。

まるで花がこの景色の想いに応えてしまったのではないか──。


そんなはずは、ないのに……



**


「ほっほっほっ。よくやった、お嬢ちゃん!」


薬屋のお婆ちゃんが、樹海の治療薬を見ながら歓喜している。

この治療薬は在庫不足だったらしく、どうやら喉から手が出るほど欲しかった一品らしい。

持ってきて早速だけど、私は薬の作成を依頼する。


「すぐに調合するから、待ってておくれ!」

「あの、薬を作るためのお金は……」


薬草からポーションを作るのも手間賃が掛かっているのだ。

素材から調合して薬を作るのも、タダでは作れないはず。


「何を言っておる? お金なら逆に払うわい!」

「えっ……?」


どうやらこの町には治療薬を求めている人達が他にもいるらしい。

これで患者さん達にようやく薬を配れる、と。

お婆ちゃんはそう説明しながら嬉しそうに微笑んでいた。


「お嬢ちゃんには、こっちの方が良いかい?」


そう言って手渡してきたのは、ポーションの10個セット。

私にとっては銀貨10枚の価値がある、かなりの金額になる物だ。

今まで銀貨10枚なんて、もちろん一気に稼いだ事などない。


戸惑う私を他所に、お婆ちゃんは更に追撃を仕掛けてくる。


「お嬢ちゃんはお得意様だからね、これもサービスだよ!」


魔力回復ポーション…… それは1本あたり銀貨5枚する品だった。

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