蕾
はっきり何時とは思い出せないが、学生の頃だった。つい眺めてしまう女性がいた。落とした消しゴムを拾おうと屈み込む姿、髪をかきあげる仕草、静かな笑顔に、どうしてここまで胸が騒ぐのか。どれだけ盗み見ても、理由は分からなかった。
ある日、彼女は突然美しくなった。春が来て、蕾が開いたように。自分以外はその変化に気がついていなさそうで、少し嬉しかった。
前夜に、彼女が処女を失っていたと知ったのは、しばらく経ってからのことだった。
はっきり何時とは思い出せないが、学生の頃だった。つい眺めてしまう女性がいた。落とした消しゴムを拾おうと屈み込む姿、髪をかきあげる仕草、静かな笑顔に、どうしてここまで胸が騒ぐのか。どれだけ盗み見ても、理由は分からなかった。
ある日、彼女は突然美しくなった。春が来て、蕾が開いたように。自分以外はその変化に気がついていなさそうで、少し嬉しかった。
前夜に、彼女が処女を失っていたと知ったのは、しばらく経ってからのことだった。
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