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忍び寄る脅威9

 ピアソン男爵の提案である冒険者ギルドを経由する事によって、俺にどんな利益があるのかというと、一番の利益は冒険者ギルドからの評価である。

 ピアソン男爵から直接依頼を受けても、報酬の金品は貰う事が出来るが、その依頼をいくら達成しても冒険者の星が上がる事はない。

 以前俺が星を上げたいと言っていたのを聞いていたらしく、これなら俺の助けになるのでは、と思い付いたそうだ。個人的には正直金品よりもギルドの評価の方がありがたいので、その申し出を受ける事にした。



 その後、冒険者ギルドで依頼を受けた俺は、カレオラの街の西部にある山地に向かっていた。冒険者ギルドで聞いた話によると、この山地にはオークが生息しているらしい。

 オークという魔物がどのような魔物かというと、一言でいうと二足歩行する豚なんだそうだ。

 それだけ聞くと非常に弱そうに思ったのだが、最弱の魔物と名高いゴブリンと比べると、その強さには天と地ほどの差があるらしい。

 体格からして大きな差があり、ゴブリンは子供くらいの大きさだが、オークは2mを超えるサイズが一般的であり、その体格に見合った怪力とスタミナを誇る。

 ゴブリンならば成人男性1人で討伐できるが、オークは冒険者が数人がかりで討伐をするそうだ。



 オークの生息域にたどり着いた俺は、上空からオークを探し始めた。

 オークの生息域となっている山は、地面や岩肌のむき出しになっている場所が多く、木々はあちこちに点在している程度にしか生えていない。そのお陰で視界は開けているので、直ぐにオークを見つけることが出来たが、ここで以前にもあった問題が再発した。

 オークであってもゴブリンと同じく、俺の姿を認めた途端、逃げ出してしまうのである。ゴブリンよりも遥かに強いとの事だったので、姿を見せたら戦闘になるかと思っていたのだが、完全に当てが外れてしまった。

 しかも山の洞窟を住みかにしているらしく、追いかけても直ぐに巣穴に逃げ込まれてしまう。当然ながら洞窟のサイズは俺が中に入れる程大きくないため、洞窟に逃げ込まれるとそれ以上追いかける事も出来なくなった。


 以前の俺だったら討伐を諦めていたかもしれないが、ゴブリン討伐の経験が役に立った。

 一度上空に飛び上がり、オークの姿を探す。オークを見つけたら直ぐ脇の地面に向かって一気に降下した。

 着地の際の衝撃波で吹き飛ぶのはゴブリンもオークも変わらないが、吹き飛ばされただけで死んでしまうゴブリンとは違い、オークは吹き飛ばされてもそれだけでは死ななかった。

 もっともかなりのダメージを受けたみたいで、ろくに動く事も出来なくなっていたので、その間に近づいて首を落とした。

 同じことを5回繰り返し、5体のオークを討伐した。どこが食用になるのか聞いていなかったが、首を落としただけなので、全身きれいに残っているから問題はないだろう。


 さて、これから5体のオークを持ち帰るのだが、その為に準備した籠がある、実はこれはカレオラに薬を運ぶのに使用した籠を再利用したものだ。

 各所に補強を入れ、重量物でも運べるようにした上、俺一人でも体に取り付けられるようにした優れものだ。今回の依頼を受ける上で、運搬の方法について相談したら、大急ぎで作ってくれたのだ。

 準備を終えて飛び上がると、薬を運んでいた時よりも大きな負荷を感じる。飛ぶのには支障はないが、補強していなかったら籠はもたなかったかもしれない。



 流石に行きよりも時間がかかってしまったが、特に問題もなくカレオラに帰りついた。今回は許可をもらっているため、直接冒険者ギルドの前に降り立った。

 帰ってきた事に気がついていたのか、降り立つと同時にギルドの職員が出てきて、籠ごとオークを運んでいった。

 

「お疲れ様でした。オークの討伐依頼はこれで達成となります。お陰様でこの街の食料事情にも少しは余裕が出来るでしょう」


 オークが運ばれていくのを見送っていると声をかけられた。声のした方に顔を向けると、そこにいたのはカレオラの街の冒険者ギルドのギルドマスターだった。


「余裕が出来る、という事はまだ食料不足は解消されていないんだな?」

「ええ、そうですね。この街はそれほど大きな街ではないとはいえ街1つ分の食料を確保するのは難しいです。冒険者を含め、動かせる者を総動員していますが中々問題解消と言えるような所まではいけません」

「そうか。……だったらこんなアイデアがあるんだが、どう思う?」


 問題解決に向けて難しい顔をしているギルドマスターに、俺の考えていた案を説明する。俺の言葉に耳を傾けていたギルドマスターだったが、全てを聞き終わると俺の案に対する問題点を指摘してくれた。


「この点とこの点はこうすればいいかと。こんな感じにすれば実施できるのではないでしょうか」

「成る程、これはそちらに頼みたい。……そうだな、これならいけるだろう。準備と手配をよろしく頼む」


 ギルドマスターのお陰でどうにか実行出来そうだ。準備も翌日には済みそうという話だったので、明日が楽しみだ。





誤字脱字等ありましたら連絡をお願いします。

お読みいただきありがとうございます。

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