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忍び寄る脅威5

色々忙しくて投稿が遅くなりました。

 カレオラが見えた、が、毎度の事ながら俺が直接向かう事は出来ない。少しでも早く薬を持っていってあげたいが、事前情報無しでドラゴンが近付いたら間違いなく戦闘になるだろう。せっかく持ってきた薬も壊されてしまっては意味がない。

 事前に打ち合わせていた通り、街から少し離れた丘の裏に着地し、マーカスに先行してもらう。街に行って、お偉いさんに話を通してもらうためだ。

 薬が必要なのだからすぐに入れるだろう、とマーカスは言っていたが、あまり期待はしていない。いくら非常事態(病の流行)とはいえ、ドラゴンを街に近寄らせる事など、そんなに簡単に決められはしないだろうからだ。

 そう思って待っていたのに、思っていたよりもかなり早く合図の狼煙(のろし)が上がったのが見えた。マーカスが出発した時間を考えると、まだ到着してさほど時間は経っていないはずだ。事態は想像以上に悪いのかもしれないな。

 合図が来た以上、近寄っても大丈夫なのだろう。俺は急いでカレオラに向かった。


 それほど離れた場所にいたわけでもないので、数分でカレオラの入口に近付いたが、どうも様子がおかしい。いくら話が通っているとはいっても、フィーゲルの街に最初に入った時に騎士団に迎えられたように、何かしらの武力を持った集団に迎えられると思っていたのだが、出迎えたのはマーカスを含む数人の集団だった。

 不思議な事に、よく見ると薬が届いたというのに皆、諦観というか絶望感というか、とにかく諦めの感情を浮かべているのが見てとれる。

 俺(ドラゴン)が来たからという訳でも無さそうだし、やけに早く呼ばれたのもその辺りに理由が有るのかもしれないな。何はともあれ、話を聞こう。


「マーカス、どうやら様子がおかしいが何があった?」

「詳しい話はこの街の領主であるピアソン男爵様から聞いてくれ。男爵様、こいつが先程お話しした冒険者であるアークです」

「初めましてピアソン男爵、こんな見た目だが冒険者をしているアークと言う。薬を持ってきたのだが、何かあったのか?」

「フィーゲルから薬の搬送には礼を言う。だが今この街で蔓延している病は、症状こそ枯木病に似ているが、枯木病ではないようなのだ」


 マーカスに紹介されてピアソン男爵とやらに挨拶すると、ピアソン男爵はとんでもない事を言い出した。


「待て、俺達は枯木病の特効薬を持ってきてほしいと依頼を受けて持ってきたのだが?」

「我々も初めは枯木病だと思っていた。少量だが特効薬が残っていたので、発症した病人に投与したのだが、一時的に症状は治まっても直ぐにぶり返してしまった。枯木病は特効薬さえあれば直ぐに治る病気だ。薬が効かなかったので枯木病ではないと判断した。


 薬も効かなかったので、すでにこの街の多くの住民がこの病気に感染している。感染した患者は隔離しているが、感染の拡大を止められていない状況だ。

 現在は他の町に感染を拡げないように、この街からの出入りを禁止している。薬を持ってきてもらって申し訳ないが、君達もこの病が治まるまでカレオラに留まっていてもらう」

「待ってくれ!そんな話聞いてないぞ!?」

「帰らせる訳にはいかないと判断した。持ってきた薬は君達で使って構わないので、この病気が治まるまではこの街にいてもらう。君だってフィーゲルに感染を拡げたくはないだろう?」

「そんな……」


 崩れ落ち膝を着くマーカス。街から帰れないと聞いて激昂していたが、説明をしてもらえていなかったんだな。


「すまないアーク、こんな事になるなら狼煙を上げるんじゃなかった」

「構わない、狼煙が上がらなかったとしても、あまりに時間がかかるようだったら様子を見に来ていた。それにドラゴンが病気になるとも思えん。

 ピアソン男爵、薬以外に症状を抑える方法は何かないのか?」

「他の方法か。……回復魔法である治療(キュア)を使えば症状を抑える事が出来るようだが、治るまでかけ続ける必要がある上、治っても周囲に患者がいると再発してしまう可能性もある。第一それほどまでに連続で治療(キュア)を使える者などおらんから意味がない」

「待て、意味ならあるぞ。俺は先日治療(キュア)を覚えた。魔力量も人間に比べると遥かに多い。この街全員にかけ続ける事も出来るかもしれない」


 悲観的な説明を続けるピアソン男爵の発言を途中で止める。人間には出来ない事でも俺なら出来そうだ。続けてマーカスに確認をとる。


「マーカス、以前俺の治癒(ヒール)を受けた時に、いつもより効果が高かったと言っていたな。俺が治療(キュア)を使ったら、同じように高い効果が得られると思わないか?」

「そう言えばそうだったな。ピアソン男爵様、ひょっとしたら出来るかもしれませんよ」

「そうなのか!?出来るのならば頼む、この街を救ってくれ」


 急に見えてきた希望に、先程までの絶望にまみれた表情が明るくなる。


「発症している人間を全員集めてくれ。その人間全員に治療(キュア)をかけよう。それで1週間の間様子を見て、再発したら再度治療(キュア)をかけるようにしよう。発症者が1週間出なくなれば完治したと考えていいだろう」


 大体の方針を決めて行動に移る。うまくいってほしいものだ。

誤字脱字等ありましたら連絡をお願いします。

お読みいただきありがとうございます。

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