18雫目・二重螺旋の門番
一話完結です。
今回も、書き下ろしのお話です。
…ネタになった物の正体が分かった人、スゴイです…
浜辺に一人、佇む。そして、暗く遠くまで続く海を、ただ密やかに見つめる。
寄せて返す波は、仄暗い青に染まり、飛沫の白が泡沫の夢のように映る。
留まる事を知らずに形を変える波は、すぐ足下に寄せて、砂粒を攫って海に帰る。
繰り返される海の鼓動。
潮騒は、心音に似ていた。
海の底は循環している。血潮みたいに、水を流れに乗せて運ぶのだ。
まるで、命の営みのよう。
いや、海そのものが、命の営みか。
生命を産み、育み、時に喰らい、そして、生命の源に還る。長い時間を掛けて、魂の記憶を引き継ぎながら。
海は、門番だ。
一方通行の道程を守り、生命たちの魂の記憶を、次の世代へと繋げていく。
そして、人の中にも海がある。
言葉で伝えなくても、親から子へ、脈々と命は受け継がれてゆく。眠る記憶を手渡しながら。
過去の記憶を受け継ぎ、遥か先の未来まで、魂に刻み込まれた祈りを繋いでいけるように。
ありがとうございました。
…他の生物も、二重螺旋構造なのでしょうか…?←科学に疎い…((((;゜Д゜)))))))