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モブキャラの暇潰し!!  作者: 空雪
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3.天使はワケあり不良に微笑むか?

 

 花崎歌と古城兄によるリア充攻撃を受けた次の日の放課後……なんと花崎歌は古城兄にあれだけ仲良くしたいとか嫉妬したとか言っておきながら早速浮気していた。

 そのお相手とは、イケメン教師の藍先生である。


 そうそうすっかり忘れてた、花崎歌が転校してきた日に藍先生は“何か分からないことがあったら長谷やクラスの誰かに聞くか、俺のところまできなさい”とおっしゃっていた。

 そのフラグ(かどうかは分からないけど)をご丁寧に花崎歌は回収した、さすが。


「すみません、もう転校してきてから一週間以上経っているのにこんなことを頼んでしまって」


 で、花崎歌は現在藍先生に校内を案内されている。

 きっと彼女の脳内で昨日あたりに、あれ?家庭科室ってどこだっけ?そういえばこの学校の地理全然知らない……みたいなことを考えたのだろう、それで選択肢が発生する。

 この場合、誰に校内の案内を頼むか……というところにある。

 良ちゃん

 隼人さん

 勇人さん

 藍先生

 瑞穂ちゃん

 といったところだろうか。こうして見ると美男美女しかいねぇ、さすが主人公様だわ。


「別にかまわない。今日はちょうど小テストの採点もなかったから」


「まだ二学期が始まったばかりなのに、小テストあるんですね……ビックリしました」


「ああ、復習も兼ねているがな。花崎には辛いかもしれないが頑張ってくれ」


「はい!」


 なんの面白味も感じられない会話をしながら二人は廊下を進んでいく。


 なんかこう、コメントに困るというか……すごく平和だ。これは花崎歌が真面目な性格だからってところにもあるかもしれない。

 本当に嫌味を全く感じない周りからしたら無味無臭の薬みたいなもの。効力は人によって違うから分からないけど、いつの間にか効いていて魅了されて中毒になっていく。


 花崎歌を見ていると、ここが本当にゲームの世界なんじゃないかと感じてしまう……そんな馬鹿なことあるはずがないんだけどね。


「次は保健室だな」


「はい」


「保健室を案内するにあたって、ひとつ注意すべきことがある」


「え?」


 藍先生はほんの少し悩む素振りをして、真剣な瞳で花崎歌を見る。


 あれかなぁ今の花崎歌の心情は、すごく真剣な顔……ちょっとかっこいいかもみたいな感じ?頬が若干紅潮しているし。

 誰に対しても気がありすぎじゃあないですかね、いいぞもっとやれ。


「保健室にはサボリ魔が住んでいるんだ」


「そうなんですか……はい?」


「保健の教師は生徒には砂糖菓子のように甘いからな、サボりを許容しているどころかよく話し相手にもなっている」


「あの、話がよく見えないのですが」


「まあそのサボリ魔には気をつけた方がいいってことだ、なぜなら……」




「藍先生、生徒のことをサボリ魔だなんて言っちゃダメですよぉ~」


 藍先生の声は花崎歌以上にふにゃふにゃした甘ったるい声でかき消された。


 あ、でた……この特徴的な声は保健室の美魔女と呼ばれてる白川アリス先生。アラサーらしいけどそれを感じさせない若々しい肌、地毛らしい金色の髪は綺麗に巻いてあり、極めつけは碧眼。ついでに胸も大きい。要するに、すごく目立つ。


「……!?」


 白川先生は保健室から一歩出て二人を見て優しく微笑んだ。


 あらまー、予想通りだけど花崎歌は目を見開いて白川先生を見ている……が数秒後目のやり場に困ったらしく視線を藍先生に移した。そりゃそうか、私だって目をそらしたくなるもの。

 藍先生はこれこれは大きなため息をついて白川先生を軽く睨んだ。あー……この二人、あんまり仲が良くないことで有名だった気がする。


「ふふふ、あらあら、可愛い子がいるわねー」


「えっ、あの」


「あなたお名前は?わたしは白川アリス、保健室にいるわ。アリス先生って呼んでね」


「は、花崎歌です……よろしくお願いします」


「名前まで可愛いのね~、よろしく」


 白川先生の語尾にいちいちハートマークがつきそうなほど甘い、甘い甘い甘い声にたじろぐ花崎歌。

 うっかりしてた、危うくこんな重要な人物を忘れるところでした、はい。もう一人、脇役のご登場ですね。


 花崎歌は可愛いと言われて照れたのか顔がとても赤くなっている、いやもしかしたらあまりにもその妖艶な姿をして恥ずかしくなったから……というのもありえるかな。


「はあ……あまり生徒をからかわないでください。それに、俺は事実を言ったまでですが」


「藍先生ってば相変わらずお固いのねぇ、生徒たちはみんな可愛いの。可愛い子たちを保護するのは当たり前でしょう?」


「可愛いからって不真面目なのを許容するのもおかしい話」


「それは香坂くんのことかしら?彼はとても真面目な子だと思いますよぉ」


 香坂……ああ、校内一の不良でチャラ男って有名な三年生、香坂馨のことかな。私のイケメンかっこ笑いカッコ閉じデータだとコイツはかなり顔の造形が良い、今までのナンパの成功率100%らしい、ああわれながらなんて無駄な情報。

 私の予想、香坂馨は攻略対象キャラである、当たる確率、100%!


「やけに騒がしいと思ってたら、藍先生がいたんだ」


 ほらきた。


「香坂、また授業をサボってたな」


「うーん今日は学校には来てるんだから、褒めてよ?」


「意味が分からないな」


 香坂馨さんのご登場。銀髪の男子にしては長い髪を軽くかきながらいかにもチャラ男っぽくへらへらと笑いながら保健室から身を出す。だらしなく全開にしたシャツの下にはよくわからない犬のキャラのTシャツが見え隠れしている、なんだかちょっとださい。


「……あれ、藍先生可愛い女の子連れてるね?」


 香坂馨は若干空気になりつつあった主人公に気付き、これまた必殺イケメンスマイルで殺しにかかってきた。くそぅ、認めたくないけど、カッコイイ。

 それに対し花崎歌は攻撃を真に受け、別の意味でどんどん頬が赤くなったようだ、顔赤くなってばっかだな今回。そんなんじゃこの先待ち受けているだろう甘い甘いハッピーエンドに到達した時溶けるんじゃなかろうか。


「お前には関係ないだろう」


「そういえば風の噂で二年生に転校生が来るとか聞いたなぁ、彼女かーこれはなかなか、天使みたいな可愛らしさだね」


「見ない顔だと思ったら、転校生だったのね~」


「ありすちゃん先生なのに知らなかったのかよー。さて、俺はもう一回寝るかな」


「おい待てもう放課後だぞ」


「うーん?知らないな。またね藍先生。天使ちゃん」


 返事を与える隙もないまま香坂馨は保健室にまた入っていき扉を閉めた。さほど今は花崎歌に興味はないようだ。寝なおすのか、そういえば保健室の住民と化してるんだっけ、仮にも受験生なのに。

 っていうか天使ってもしかして花崎歌のことか?この学校センスない奴多すぎない?大丈夫?


「あ、えっと……今のって」


「香坂馨、三年生だから花崎とは関わることはあまりないだろうが、というよりも関わらない方がいいな。不真面目だし」


「香坂先輩、ですか。なんだか」


 発言はそこでピタリとそこで止まって、少し言い淀んでる雰囲気がでてる。なに、選択肢でもでたかな?

怖い人ですね

事情がありそうな人ですね

カッコいい人ですね

 とか?さぁてどれを選ぶ?


「失礼だけど……怖い人ですね」


「大丈夫、お前のその感覚は至って普通だよ」


「もう!藍先生ってば、香坂くんは怖そうだけど悪い子じゃないのよ?誤解しないであげてね?」


 ホッとしたような藍先生と、少し拗ねている白川先生。この選択肢はあれかなぁ、かなり藍先生寄りかそれともどちらでもないか、判断しかねる。


「は、はい……」


「それじゃあもうそろそろ次行くか」


「ふふふ、体でも心でも体調が悪くなったら保健室にきてね」


 全然キャラがブレない白川先生もまた、保健室に戻って行った。この人の立ち位置は脇役の中でもどこなのだろう、一応教師だから生徒を好きになるなんてことはないと思うので恋のライバルだったら藍先生以外はありえないけど。

 それとも誰かのルートのキーになる人なのかな?藍先生とか、香坂馨とかの。


「……なんだかすごい人たちでした」


「この学校は癖のある奴が多いから、花崎も気をつけないとダメだぞ」


「そうなんですか?私はもっと色々な人と関わってみたいとも思いました」


「そうか……そういうものか」


「ところで先生、次はどこを案内するのですか?」


「ああ、次はな」


 攻略対象にはやっぱり、何かしらの属性があり攻略の難易度も様々。好感度を上げるだけじゃ攻略できないキャラもいる。大体そういう人は性格に難がある人か立場上無理なことが多い……はず。

 藍先生の攻略には割と手こずりそう、なーんて。


 その後の二人は一応尾行したけど特に得られるものがなかったので省略。

 続々と新キャラでてきますね!順調なのは良いことだ。

 次は一体どんなイベントがあるのかな?



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