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モブキャラの暇潰し!!  作者: 空雪
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1.転校先には幼馴染とイケメン教師

 

 例外を除いて、どのゲームにも言えることがある。

 それは名もないキャラが出てくるということ。そのキャラは主人公やメインキャラに大した影響を与えることもあまりない、がいなくては話が進まないもの多数。


 ぶっちゃけ私はモブキャラだ、モブキャラに徹しなければいけない。

 理由は何個かあるが一番はモブキャラが楽だからだ。なんのしがらみもなく生きていける。


 モブキャラになるためだったらどんなことだってしてみせる。裏で暗躍するわけでもなく主人公と特別関わることもなくただひっそりと暮らしていたい。

 それを第一に考える。


「花崎歌です、これからよろしくお願いします」


 そして、この物語の主人公は今日私が在校している高校の二年A組に転校してきた彼女、花崎歌である。

 そこは揺るぎないので履き違えるのはNG。

 というか花崎歌って名前からして脳内花畑そう、醸し出している雰囲気もどことなくほわほわふわふわで例えるなら綿あめ。笑った顔はさそがしお花が周りに飛び散るだろう、安易に想像ができてしまう。


 私がそんなくだらないことを思っている数秒の間に、花崎歌の自己紹介に興奮気味に反応したのが私の斜め後ろの席の男だ。


「……歌!?」


 はい、きました!

 転校先にいるのはかつて仲良くて一緒に遊んでたりした近所の男の子キャラ。


 いきなりでましたよこのテンプレ。夏休み全てを恋愛シミュレーションゲームに費やした私が言う、この男は乙女ゲームでいう攻略対象キャラだ。

 彼の名は長谷良太、一年の時からバスケ部のレギュラーであり明るく爽やかでかなりのイケメンなこともあり男女問わず大人気。


「え、え……あ!もしかして良ちゃん、良ちゃんだよね!」


 花崎歌は恥ずかしそうに俯いていた顔を上げ、長谷良太を見る。


 ははは、良ちゃんだって、良ちゃん。身長180越えの爽やかだがゴツい男が良ちゃんとな、これには普段無表情を貫いている私も笑いを抑えるのが大変だ。

 絶対に良ちゃんってキャラじゃないよ長谷良太は。


 二人の再会?にクラスが一気にざわつく、まあ待て。今ざわついているやつのほとんどが名前ももらえないモブキャラだ。むしろここで興味なさそうにしてる奴がいたらそちらの方が名前をもらえる可能性高し。


 モブキャラとは常にその他大勢でいなければならない、よって私もここではざわついてみる。


「え、だれー?」

「長谷くんの知り合い?」

「どういう関係なの」

「いやー!」

「おお、マジかよ……」


 ふむ、この中で私の発言がどれであるかは分かるまい。これぞモブキャラ。


 はあ……疲れた、開始初っ端もう疲れてきました。


「そうそう!忘れられてなくてよかった」


「良ちゃんのこと忘れるわけないでしょ」


 二人の世界に入り込みお互い笑い合っている。そりゃあもうモブキャラなんて空気のようだ、いや空気なんだけどね、そうじゃなきゃ困るんだけど。


 それにしても一人目は長谷良太か、この会話の様子だと幼馴染とかかな。

 こういう幼馴染キャラってなぜか主人公に対してやけに冷たくなってるか、最初から高感度MAXのメインヒーローなことの二択だよね。でも最初からもう主人公好き好き状態なキャラって人気投票とかで最下位争いしてるイメージがある、やはり攻略する上で二面性がないから、所謂ギャップ萌えってやつが皆無だからからでしょう。


「二人が知り合いなことはよーくわかった。だけど今はHRの時間だ……とりあえず花崎は長谷の隣の席に座れ」


「あっ、はい。すみません、藍先生」


 担任の藍先生がようやく二人の世界に入り込み注意をする。

 我に返った花崎歌は最初以上に顔を真っ赤にして、指定された自分の席に座った。

 恥ずかしくなるなら最初からやらなければいいのに。


「なんだよ藍ちゃん、せっかくの再会を邪魔しちゃってさ」


「後でやれ、後で。花崎も何か分からないことがあったら長谷やクラスの誰かに聞くか、俺のところまできなさい」


「はい」


 おやおや?これはもしかしたら藍先生も攻略対象キャラなのでは。ってそうに決まってるよね!名前出てるから!もう名前が出てるとうことに加え若くてイケメンな時点でもう決定だね、知ってた。


 ああ残念だよ藍先生、厳しいけれど良い先生なのにきっと貴方は花崎歌によって懐柔されてしまう運命を辿るんだ。

 藍先生はそれはもう学校の先生の中で一、二を争うイケメンだし27歳。そしてとても規則に厳しい先生だ、だけど実はすごく優しいって噂の先生、これぞギャップ萌えなのかもしれない。いつもは厳しい先生……だけど実は優しくて可愛いところもあるよ!みたいな。


 ……という話は置いておき、こういう時って後で選択肢とかでてくるんじゃないかな。

良ちゃんに聞く

藍先生に聞く

 みたいな感じで。

 さてさて、一体花崎歌はどちらを選ぶのだろうね?見所だね?


 あ、そういえば私の自己紹介がまだでしたね。

 私の名前は女子生徒A、明日には変わってるかもしれないけど女子生徒A。


 本名なんてものはないです、所詮名前をもらえないモブキャラだから。真のモブキャラは語り手にすらなれないけどさ。


 この物語で私が語り手になっている理由?たまたま、偶然じゃないのかな。

 偶然じゃなきゃ困ります。今の私はモブキャラだ、これからもずっと。


 さて、花崎歌を軸した物語、九月一日の開幕早々攻略対象キャラが二人も出てきました。

 好調ですな。


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