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異世界覇権は競馬で決まる!  作者: うまゆき
6/18

魔法使いはサリーでしょjk

ああ、もうだめかもしれない。

さすがにくたびれてきた。


(こうなったら、おとなしく捕まってしまおうか、んで隙を見て逃げだす…いや、現にこうして逃げ出した以上は、そうそう隙を見せないだろうな。)


その時、半ば諦めかけるところであった俺の耳に馬の足音が聞こえてきた。はじめは聞き間違いかと思ったが、だんだんその音はおおきくなる。


(一体、何だって馬の足音が建物の中から…いや、出口が近いのかもしれないな。)


目の前に角を曲がると、長い廊下が伸びており、その奥からこちらに暴れ馬もかくや、といった感じで一頭の黒い馬がこちらに向かってきた。危うくぶつかりそうだ。


俺は、瞬間的に判断し、馬に飛び乗った。普通ならそんな芸当は無理だったろうが、召喚ボーナスで運動能力が向上したおかげでなんとかなった。


俺は乗馬の経験はなかったが、運動能力向上には運動神経向上も含まれるらしく、振り落とされることもなかった。

不思議なことに俺を背中にのせた途端、何故か先ほどまでの激しい気性は収まり、驚くほど馬が大人しくなった。


(どうやらこっちの言うことは、きいてくれそうだな。よし。)


俺は今まで見てきた競馬のジョッキーをイメージしながら手綱を扱き馬に走れと合図を送った。黒い馬は、すぐに反応した。

俺は感動を覚えたが今はまだそれどころではない。

とにかく脱出しなくてはならない。


俺は手綱を操り方向転換し、馬が走ってきた方に向けて走るよう指示を出した。


その時には追っ手がすぐそこ来ていたが、ギリギリのところで馬が駆け出す方が早かった。


「何で馬がこんなところに…」


追っ手の若い兵士の声が僅かに聞こえたが、数秒後には、もう、差が広がり、なにも聞こえなかった。


(これなら逃げ切れるかもしれない。)

俺は希望を取り戻しかけた。


だが、一難去って、また一難とでもいうのだろうか。

この直後おれは出口ではなくとんでもないところに出てしまった。


外の光が見えたのでそっちに向かったのだか、どうやら中庭の様なところでで、そこには魔術師らしき数名が円陣を組んでおり、中心部には魔方陣が浮かび上がったいた。直感的にヤバいと思ったが車と馬は、急に止まれない。


俺は馬と一緒にその魔方陣のなかに、突っ込んでしまった。すると青白い光が、体を包み、召喚された時と同じように、視界が真っ白になった。


(くっそ、何なんだよ、いったい。)


俺は緩やかに、意識を失った。


→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→


転送魔法研究所サークルは、魔法研究所の若手有志によるサークルで、その名のとおり、転送魔法をテーマに研究、実験、打ち上げに飲み会という活動内容だった。


転送魔法は高度な魔術であり、若手の魔術師にとっては、憧れの的であり、目標のひとつなのだ。


そこで今回中庭で、個別魔術合算法式による単一高位術式発動法式、つまりは、複数による体制により、転送魔法を、発動させる実験を行ったのだった。


実験はほぼ成功だった。魔方陣が浮かび上がり発動の段階まで来ていた。最後に目的地を、設定する術式を詠唱する少女、つまりは、サリーが、行きつけの酒場「砂漠の煌めき」と唱えれば、実験成功だった。


しかし、突然、馬に乗った乱入者に驚き、詠唱は中断された。

そしてその状態で、転送魔法が完全に完成し、発動した。


サリーの詠唱は「砂漠」で止まってしまっていたことは、サリー本人すら気がついていなかった。


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