宴会の本番は夜でしょ!3
ギリギリ期限の二週間に間に合いました〜危ない危ない…。まぁこんなギリギリになってしまったのはいつも通りバイトの時間が長くなったと言うのが大半なんですが、今回は話はこの小説の核心となる話になっているので書
くのに時間がかかったのもありますねW
さて、前置きはこの辺にしてそろそろ本編に行きましょう
それではどうぞ!!
※活動報告の方でこの小説のメインヒロインを募集しております。話の内容に全く関係なさそうな子でも問題なく話に絡ませていくのでやってやるよという優しいお方はお手数ですが活動報告のコメントにお願いします。
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「ぅ…んぅ…」
「あ、おきた?」
身体に意識を戻してからいくらかの時間が経ち目が覚める。目を開け初めに映ったのは微笑を浮かべこちらを覗きこんでいるフランの顔。…あぁ、そう言えばフランちゃんの膝の上で寝ちゃったんだっけ…
「…おはよう、フランちゃん」
「うん!おはよう狂夜」
「ゴメンね。足痺れちゃったでしょ?」
「ううん、狂夜が思ってたよりも早く起きたから全然平気だよ」
ニッコリと笑顔で答えるフラン。それに※作り笑い※を返し、視線を空へと向ける。先程見た月は殆ど位置を変えていない為フランの言った通りそれほど長くは眠っていなかったみたいだ。
「ありがとうフランちゃん」
「どういたしまして」
視線をフランに戻してお礼を述べて体を起こす。固まった体の節々をポキポキと解し懐に入れてある煙草を取り出し火を着ける。
「折角の宴会なのに狂夜は交じらなくてもいいの?」
「ん?うーんそうだね。騒がしいのは苦手だから…もう少し落ち着いたら交じろうかなって思ってる」
もちろん嘘だ。態々自分から人混みに入るなんて馬鹿な真似はしない。交じるにしてももう少し静かになってからだね
「そっか狂夜は騒がしい所が苦手なんだ。うーん…あ、そうだ!」
「…ど、どうかしたのフランちゃん?」
うむむっと唸りながら考えていたフランがいきなり顔をあげこちらに笑顔を向ける。いきなりのこと過ぎて※作り笑い※を作るタイミングを失ってしまい若干吃りながらも何とか微笑を浮かべる。
「えいっ!」
「ちょ、フランちゃんいきなり引っ張らなうわぁ!?」
ニッコリと笑みを浮かべたフランは僕の腕を掴んだかと思うとそのまま自分の方に引き寄せた。いきなりの事に対応できず僕はバランスを崩し前のめりに倒れ込む。
「私が抱き着いてれば五月蠅くないでしょ?」
ポスッという音と共に柔らかな感触に顔が押し付けられる。頭を後ろから押さえ付けられているので上を向く事さえできない。でも…
「(あったかくていい匂い…)」
前に抱きしめた時と同じ暖かな体温が顔を、体からしているのかわからないが鼻で息を吸えば甘い果実のような香りが鼻腔を擽りながら肺一杯に充満していく。
「(…この香りどこかで嗅いだことがあるような…)」
匂いに覚えがありグイグイと押し付けるように顔を動かすとと先程よりも暖かな体温が顔を包む。匂いも先程よりも濃く鼻腔を擽る。う~ん思い出せないや…
「んぁ…もう、擽ったいからそんなに動かないで」
少し照れたような口調で話しながらフランの腕に少しだけ力が込められ更に顔が押し付けられる。今度はしっかりと固定されてしまい顔を動かすことは出来なくなってしまった。
「ねぇ、フランちゃん一つだけお願い聞いてくれる?」
「ん?なぁに?」
「…フランちゃんの知ってるものでいいから子守唄を歌って欲しい」
僕がフランにお願いしたのは子守唄を歌って欲しいという事。最近は続けて※あの日※のことを夢で見て、そろそろ気が滅入ってしまいそうなのだ。だから、少しでも落ち着けるようにとお願いしたのだ。
「…うん、いいよ」
「ありがとうフランちゃん」
顔は見えないが嬉しそうな口調である為嫌々ではないのがわかる。いつ始まるかはわからないのでお礼だけを口に出しゆっくりと瞳を閉じた。
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side change-フランドール
「(また寝ちゃった)」
狂夜からのお願いされた子守唄を歌い終わって数十分私の腕の中から規則正しい寝息が溢れ始めた。狂夜のお願いで子守唄を歌ったのはいいのだがあれは子守唄というよりもただ私が唯一覚えている歌。ゆったりとした落ち着いた歌ではあるが眠るときに聞くような歌ではない。凄く悲しくなってしまう歌だから逆に眠れなくなってしまう筈なのだが狂夜は胸に顔を埋めもたれ掛かるようにして眠ってしまっている。
「(宴会なのにずっと寝ちゃってたら意味ないのに…)」
そう、今日は宴会。人間だろうが妖怪だろうが神様だろうがはたまたこの世に居ないような下手物生物だろうがそんなもの関係なしに飲んで踊って騒ぎ倒す催し。今日の騒ぎ方は尋常ではないから一日では収まらないとは思うが記念すべき一回目の宴会がお酒も飲まず、騒ぎもしないでずっとただ眠っているというのはどうかとは思ってしまうが心地よい体温とふんわりと香る甘い花のような匂いを独り占めできているのは個人的にはとても嬉しい…のだが、
「(今動いたら起きちゃうよね…)」
魔理沙の所へと行こうと思い立ち上がろうとしたが前に狂夜が五感が鋭いと言っていたことを思い出した。それが本当なら至近距離での物音に敏感に反応して起きてしまうだろう。
「(…宴会は明日もあると思うし今は)」
魔理沙には悪いと思ったが包み込むように狂夜の頭に回している腕に少し力を強めギュッと抱き締める。抱き締めた拍子に揺れた髪から先程嗅いだ甘い花の匂いがまた鼻腔を擽る。良い匂い…
「積極的だなフラン」
「え!?狂すk」
「おいおい、そんな大声出したら狂夜が起きちまうぞ?」
いきなり後ろから聞こえた声に反射的に振り返り、自分が出そうとした声よりも大きくなっていたことに気づいた瞬間口元を手で覆われる。
「…寝てるやつを起こすのはあんまし好きじゃねぇんだ。無理矢理でもいい何とか落ち着け、できるな」
「…」
いつもと違う真剣な声に対応できず頷くことしかできなかったが狂助はよしとだけ言うと口元を覆っていた手を退けてくれた。取り敢えず深呼吸してみよう。
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「はぁ~ふぅ~」
「落ち着いたか?」
「な、何とか…」
何度目かの深呼吸を終え、何とか落ち着きを取り戻すことができた。大きく息を吐いたタイミングを狙ってか私の正面に移動した狂助が話しかけてきたが曖昧な返答になってしまった。私がこんなにも苦労しているというのに腕の中で眠る狂夜は規則正しい寝息を立てながら眠ったままだ。
「どうだ?自分が好意を抱いてる奴にここまで求められた感想は」
「どうって言われても…嬉しいとしか」
「…ふぅ、そうか。まぁ、嬉しいって感情があるだけ良いか」
「どういうこと?」
煙を吐き出しながら呟いた狂助の言葉に不思議と疑問を覚えた。今の狂助の言い方だとまるで誰かの嬉しいという感情がないという風に聞こえる。
「おっとつい声に出しちまったか…。まぁいい。なぁ…フランドール、お前は狂夜の事、どこまで知ってるんだ?」
「…」
いきなり狂助の目つきと声の高さが変わった。パッチリと開いていた瞼は睨みつけるように細められ、その覗く赤い瞳には殺気が込められたように鋭く、楽しそうな声の高さは冷え切ったように冷たく圧力がかかったように低くなった。その変わりようと殺気に背中がゾクリと振るえ、寒くもないのに体中が震え始める。
「…早く答えろ。返答できないような事を知っているのか?」
「…」
「だんまりか。なら…」
返答のない私に痺れを切らしたのか狂助はゆっくりと手を伸ばしてくる。その掌には目視できる程の黒い霊力のようなものが纏われている。反射的に離れようと試みたが金縛りにでもあったかのように体が動かない。それどころか口を動かすことも目を閉じることすらもできない。そんなことを考えている間にもどんどんと狂助の腕は私に近づいてくる。
「…大丈夫だよ」
「え…」
指が私の額に触れる瞬間耳元に小さく、優しい声が聞こえ、迫ってきていた指が目の前で止まる。いったい何が…
「…何やってるの?狂助」
「起きちまったか…」
「…ちゃんと質問に答えなよ」
やっと理解が追いついた。今目の前で狂助の腕を掴んでるのは私がさっきまで抱きしめていた狂夜だ。体も金縛りがとけたみたいで動くのだが、目の前の二人が放つ殺気に蹴落とらされてしまい口は動こうとしてくれない。
「はぁ…別に脅すつもりはなかったんだがどうも勝手に体が動いちまったんだよ…。悪かったなフラン」
「本当フランちゃん?」
「う、うん。大丈夫」
まるで先程の殺気が嘘のように消え、バツが悪そうに苦笑いを浮かべている狂助に心配そうに私の顔を覗き込んでくる狂夜に吃驚しながら何とか返答する。
「そっか。狂助も普通に聞けばいいんだよ。フランちゃんは僕のこともう大半は知ってるよ」
「そうなのか?なら、改めて聞く…フラン、お前は狂夜の事をどこまで知っている?」
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「なるほど、そこまで知ってるのか」
「うん、明確にはできてないけど」
私は吸血の際みた映像のことや狂夜の仕草が可笑しく見えることを中心に私が知っている狂夜のことを全て狂助に話した。話している途中何度か狂助から質問があったがもう先程の鋭い目つきや低い声ではなくいつもの表情と声に戻っていた。え?狂夜?まだ眠いって言ってまた寝ちゃったよ?
「んや、そんだけ知ってんならもう殆ど狂夜のことはわかっているって言っていい。ただ」
「ただ?」
「わかったことと理解したってことは全く違う。狂夜は他人を信用するのが苦手でな。相手が信用していたとしても狂夜はそれを信用しない。いや、信用できねぇんだ」
「信用できない?それは私の見た映像に関係してるの?」
「んや、関係してるじゃねぇ、核心だ。俺も全部知ってる訳じゃねぇがあの日は昔の狂夜を全て壊し…今の狂夜を作ったんだと思ってる。前に言ったと思うが狂夜は感情が全くと言っていい程無くなっちまってる。特に嬉しいとか楽しいっていう正の感情がな」
「感情が無くなったのも?」
「確信は持てねぇがその可能性が高いってことは確実だ。…だが、まだ昔の狂夜に戻せる希望はある」
「そんなことできるの?」
昔の狂夜に戻す。狂助の言った言葉は素直に信用できなかった。私も狂気に呑まれていたこともあり狂助が言いたいことは分かる。私の場合は原因である狂気を私の体から出したことにより気が振れることも、狂気が意識を支配することが無くなった。しかし、狂夜の場合は昔にあった出来事がトラウマとなり感情が無くなってしまっている。私の考えられる解決策は記憶を消すことくらいしか思いつかない。
「あぁ、そのカギは…フラン、お前だ」
「え?わ、私」
すっと狂助の人差し指が私を指す。狂夜の過去のことも断片的にしか知らない私が狂夜を救うカギ?
「そうだ、現に今一番狂夜の感情を引き出してるのはお前だ。前に狂夜がお前にキレたんだろ?」
「う、うん」
「それに狂夜は他人に近づかれるのを嫌ってる。だが、今はフランに抱き着かれてるのに寝てんだろ?これがフラン、お前を狂夜が信用し始めてる証拠だ。狂夜がお前に見せた感情は怒りと甘えの二つ、怒りはともかく甘えの感情は見たことなかったしな」
「…」
無言で狂夜を抱きしめている腕に力を込め、顔を狂夜の肩に埋める。
「おいおい、こんなとこで泣くんじゃねぇよ。また狂夜に怒られちまうだろ…」
「…」
理由は全くと言ってわからないが知らず知らす私は泣いていた。今声を出せばまた狂夜が起きてしまうと思い無言で狂助に泣き止むと意味を込めて二回ほど頷きを返す。
「さて、煙管も吸い終わった事だしそろそろ俺は宴会に戻るな。あ、それと霧雨が酔っぱらいながらお前のこと探してたぞ?どうするまだそのままがいいなら言っといてやるが」
「…まだこのままいる…」
「了解した。んじゃ、また狂夜が起きたら理性に声かけろっていっておいてくれ」
私の返答を待たずに足音が遠ざかっていく。それと共に止まっていたはずの涙が溢れ始める。なぜ泣いているのかは未だにわからないし上手く説明もできない、ただ、私の好きな人の私を救ってくれた人の役に立てていることが分かった途端ポロポロと流れ出てきたのだ。
「…」
嗚咽を殺すように口を紡ぎグイグイと肩に顔を埋める。折角甘えてくれている狂夜に涙を見せるわけにはいかない。口を紡んでも漏れだそうとする嗚咽を唇を噛んで無理矢理抑えながら私の大好きな人が起きるのを待つことにした
さて、なんだかフランちゃんがヒロインみたいになってきていますが安心してくださいメインヒロインが決まるまでは絡ませるだけで絶対にそれ以上になることはありませんからWもちろん狂助さんも静夜さんも誰かとくっ付く事はありませんのでご安心を。それではまた次回会いましょう
次回もよろしくお願いします!!




