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幻想残酷記(休載中)  作者: 夜桜デビル
異変解決宴会へ
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宴会の本番は夜でしょ!2

どうも皆様おはようございます。本を読み耽ていたらいつの間にか朝にはなっていた夜桜デビルです。

さて、今回は狂夜さんとフランちゃん視点になっております!因みにこのと次回の回が今後の物語に影響してくる可能性が高いのでしっかり内容を抑えておいてください!

それと、メインヒロインは未だ一人も上がっていないので、宜しければ活動報告にコメントお願いします!


それでは本編をどうぞ!!


※いち早く小説の情報を知りたい方はTwitterで@yozakura0417で検索です!小説更新時すぐにTLしますので即座に小説をご覧にいただけると思います!

「(いくら撫でても飽きないなぁ…)」


狂夜が眠りについてから早数十分、ずっと髪を撫でていたが飽きることはなく撫で続けていた。


「(今日はお月様大分欠けてる…)」


撫でている手はそのままで視線を上に向けると太陽は完全に沈み、代わりに満月とは掛け離れた欠けた月が姿を現していた。私は欠けた月が嫌いだ。まるで自分を表しているみたいだから…。黄色い光を放つ部分は私、黒く塗りつぶされた部分は私の狂気…。今は狂子が黒い部分になっているがまだどす黒い何かが私の中にいる感じがする。


「(狂子…まだ私の理性なかにいる?少し聞きたいことがあるの)」


『…えぇ、まだ外には出てないわ。それで聞きたいことは何かしら?』


少しの沈黙のあと少し高めの声が頭に届く。少し眠気が混じっていたので今までは眠っていたのだろう。


「(あのね…少し可笑しなことなんだけど…私の中の狂気は全部無くなったのかなって)」


『無くなってないわ。私が狂気なのもあるけど狂夜の話だと大部分は術式で封印、理性こころに縛り付けてあるそうよ』


「(理性こころに?)」


『そうよ。違和感があるのは体中に巡っていた狂気を一箇所に留めているからだと思うわ。まぁ、慣れるしかないわね』


「(そっか…)」


狂子の言っていることはなんとなくわかる。狂夜と一緒に寝たとき狂夜が言っていた…少しの間可笑しな気配を感じることがあるけど気にしなくていいよと。多分今感じている可笑しな気配が狂夜の言っていたものなのだろう。しかし、気分はあまり良くない。それはそうだろう常時あの気が狂うようなどす黒い気配を感じていなければならないのだから。


『話が変わってしまうけど。そこで寝てるのって狂夜よね?』


「(え?…あ、うんそうだよ)」


『…』


いきなりの指摘に驚きながらも何とか返答できた。しかし、狂子は狂夜を無言で見ているだけだ。


「(どうしたの?)」


『私が寝ている間に何でこうなったのか考えてただけよ』


「(えっとね…)」




-------------------------




「(ってことがあったの)」


『なるほどね…つまりコイツを殺せばいい訳ね』


「(なんでそうなるの!?)」


この状況になるまでの経緯を話したところ、狂子がいきなり殺意を剥き出しはじめた。本気だ…


『私の可愛いフランを座らせ続けているにも関わらず自分は抜け抜けと熟睡しているのは許せないわ!しかもフランの膝の上で!』


「(ちょっと狂子落ち着いて。熟睡しているのは私がゆっくり寝ていいよっていったからだから。狂夜は少しでいいって言ってたの)」


『…フランは優しいわね。こんな奴庇う必要なんてないわ』


『…それは酷い言われようだね』


『「(え?)」』


今にも実体化して狂夜を殺しそうな狂子を落ち着かせていると頭の中に狂子とは違う少し低い声が流れる。突然の事に私はもちろん驚く。狂子も突然の事で驚いているようだ。


『やっぱり驚くよね。僕だよ』


「(狂夜?)」


『そう、フランちゃん正解』


『何で貴方が話せているの…今もフランの膝の上で眠ってるはずじゃ…』


『僕の体はね。僕は少し前まで体と意識が別々の状態にあったんだよ。だから、体が寝ていても意識はちゃんとあるんだよ』


「(それって確か狂夜が現世にいた頃の話だよね?)」


少し前、私の中の狂気-狂子を倒した際に話してくれたこと。見た目からは全く想像できないが狂夜は私の約三倍以上の時を生きている。詳しくは良く分からないけど肉体と意識の歳が違うってことみたい。


『うん、そうだよ。それにしても狂子ちゃんにこんなに嫌われてるとは思わなかったですよ』


『自分を半殺しにした奴を嫌いにならない訳無いでしょ?』


『何だか前にも聞いたことあるような理由だね。まぁ、いいや。それより少し狂子ちゃんに聞きたいことがありまして、聞いてもらえますか?』


『話くらいなら聞くわよ。それとその繕ったような敬語やめてくれるかしら?気持ち悪くて寒気がするわ』


『…ごめんねどうも癖が抜けなくて。それじゃあ僕の理性こころに来てくれる?そこの方が話しやすいから。フランちゃん、悪いけど僕の体が起きるまで見ててくれる?意識を体に戻しても数時間は起きないと思うから』


「(うん、フランは全然構わないよ)」


『ありがとう。それじゃあよろしくね』






----------------------------





side change-狂子


「狂子ちゃん随分早いね」


「えぇ、何故かは知らないけど前より早く意識が理性ここに飛ぶようになったわ」


狂夜の理性こころに飛んでから数秒後目の前に狂夜が現れた。


「それについての仮説も話すから少しこっちに来てくれるかな?」



----------------------------



「これ、何だか分かりますか?」


「そうね…ただの黒ずんだ球体にしか見えないわ」


「やっぱりただの球体にしか見えませんよね。これは僕の理性こころですよ」


狂夜の後ろをついて歩いていくと不意に狂夜が少し奥を指をさす。少し距離があるため正確にはわからないが半分は黒く淀み半分は真っ黒に染まった少し大きめな球体だ。そしてその色を隠すようにして何重にも巻かれた鎖、その鎖には何枚かの札が貼ってあるのが見える。


「これが貴方の?それにしてもフランのとは大分違っているわね」


「えぇ、僕のは少し特殊ですから」


狂夜が指さしていたモノの目の前に立つと禍々しい気配が肌を刺すのがわかる。あまり長く近くにはいたくないわね


「それで、この黒ずんだ貴方の理性こころが何の話に繋がるのかしら?」


「その球体に巻き付いている一番右の鎖に触れてみてください」


「わかったわ」


言われるままゆっくりと一番右の鎖へと手を伸ばす。


「っ!?」


「どうですか?」


「この鎖にフランの狂気が流れてる…どういうこと答えなさい!」


触れた瞬間禍々しい力が指先を通り抜ける。反射的に手を引っ込めたがこの力を私は知っていた。狂気…私を受け入れたこの狂気の持ち主-フランドール・スカーレットのもの。しかし何故…


「そんなに大きな声を出さなくてもいいですよ。そのために理性ここに呼んだんですから。…簡単に説明しますとフランちゃんの狂気を僕が狂子ちゃんの狂気をフランちゃんがそれぞれの理性こころに封印しているということです」


「…どういうこと?なぜ貴方の理性こころにフランの狂気を?」


「…やっぱりわからないですよね?もう少し簡単に詳しく説明します」





--------------------------





「…っという事ですが理解できましたか?」


「…えぇ、何とか」


大量の情報を聞いたせいか頭の処理が追いつかない。話を聞くところによるとフランが元々持っていた狂気と今私が持っている狂気は性質や種類が全く異なるモノでフランの狂気は長い年月により増幅され性質も悪く危険な種類と判断し全て狂夜が自身の理性こころに封印し自身の力にしたと言う。そして私の狂気は元々の狂気と性質と種類が変わり問題視する程の危険はないと判断しフランの方に封印したのだそうだ。その封印はフラン自身の理性こころに掛けている為外に出ているときは私の狂気ちからは制限されないらしい。もちろん中にいる際は制限はされるが気にする程制限される訳ではないので困ることはない。


「難しく考えなくてもいいですよ。単純にフランちゃんから脅威が去って僕にその脅威が移ったということです」


「貴方に脅威が移った?どういうことかしら?」


「先程言ったようにフランちゃんの狂気は危険極まりない程性質が悪いんです。何千年も狂気を宿している僕からしてもです。極力フランちゃんの狂気は扱わないようにしないと僕が荒れ狂うフランちゃんのようになるということですね」


「そこまで危険なものだったのね…」


フランの狂気である私だが主導権を握っていたのはフラン自身の狂気であり、私はその一部にしかすぎなかった。要するに私とフランの狂気は同じところにはあるが別々のモノ、種類も性質も違う。


「そうです。しかし狂子ちゃんの存在があったことは不幸中の幸いでした」


「私の存在が?」


「はい。狂気を持つ人にとって悪影響でも体の一部、それを無理矢理引き剥がすとその部分にポッカリと穴が開くんです。それを埋めるには同じモノを入れるしかないんです。フランちゃんの場合は狂気だったので狂子ちゃんをその部分に縫い付けてしまえばその部分にあった狂気の代用ができるというわけです」


「なるほど…性質のいい狂気を入れれば理論的には元の体と同じってことね。でも、私があの時了承しなかったらどうしてたの?」


「…容赦なく殺してましたよ。暴走しないといってもほぼ植物人間、話すことも動くこともできないでも生きている…それではあまりにも可哀想ですからね」


「…」


私の疑問狂夜は少しだけ苦笑いじみた笑みを浮かべながら答えた。フランを殺すと聞いたのになぜか怒りは沸いてこない。その代わりに安堵と脱力感が体を襲った。あの時了承していなかったらと思うと体がブルリと振るえる。


「…話を少し戻しましょうか。説明した通り狂子ちゃんの狂気はフランちゃんに、フランちゃんの狂気は僕に封印してあります。それに乗じて僕はフランちゃんの、フランちゃんは僕の理性(こころ)に入ることができます。先程会話に入れたのはこのためですね。まぁ、あまり知られたくないことは心の奥のほうに思っていれば読み取ることはできませんからフランちゃんに伝えておいてください」


「分かったわ。それと私も貴方の理性(こころ)に入ることはできるの?」


「できますよ。僕とつながっている狂助と静夜の理性(こころ)にも入れますよ。もちろんその逆もできます」


「便利ね狂気の力って」


「デメリットがあるなら必ず相応のメリットもあるものですよ。この他にもたくさんありますけど効果が大きいのはもう一つありますよ。まだ秘密ですけどね」


デメリットは多分体にかかる負担と常時付き纏う不気味な気配のことだろう。それを考慮すればこれくらいのことはできなければつり合いが取れないんだろう。


「ふふ、そういうところ私は好きよ」


「あれ?僕のこと嫌ってませんでした?」


「別に嫌ってるわけじゃないわ。信用できるか、裏はないかを探ってるだけよ」


「相手を疑うのはいいことだと思いますがあまり疑いすぎるとなにも信用できなくなりますから気を付けてくださいね。それでは僕は体に戻りますね」


「えぇ、私も戻るわ」


「あ、ひとつ言い忘れてました」


「?」


後ろを振り向こうとした瞬間狂夜が静止の言葉を投げかける。不思議に思い振り返ると


「さっきの笑顔とても可愛かったですよ。それでは」


「…!?」


作り笑いのような笑みを浮かべ一言いうと狂夜はそのまま姿を消した。一瞬志向が止まったがすぐさま言われた言葉を考える「さっきの笑顔とても可愛かったですよ」。思い出した瞬間顔に熱が伝わるのが分かった。




-------------------




「(少しは落ち着いたかしら?)」


その場に座り数分顔の熱が引くのを感じ少し余裕はできた。いきなりもあったが人との関わりがなかった為可愛いなどと言われたことがなかった。それをあんな唐突に言われれば顔が赤くなるのは当然である。別にそれで狂夜を好きになったとかは全くない。しかし理解と信用はできた。あんなからかうようなことを言うのだ狂夜自身も少しは私のことを信用してくれてはいるだろう。


「(狂気自身も狂気を宿している人も大変ね)」


先程説明されたことを思い出しながらぽつりと言葉が漏れた。




-------------------



Side change-フランドール


「…」


狂子と狂夜の声が聞こえなくなってから既に一時間、私は飽きることなるサラサラとした感触を楽しみながら狂夜の髪を撫でていた。話の内容は多分私が感じているこの違和感についてだと思う。狂夜たちは理性(こころ)で会話している為私は聞くことができない。狂夜によると今の私は自分の意志で理性(こころ)に入ることができるみたいだけど私が入れるのは自分自身の理性(こころ)だけみたい(※今のフランは狂夜達の会話を聞いていない為自分の理性(こころ)にしか入れないと思っています)


「あらフランこんな所にいたのね」


「お姉様?どうしてここに?」


思考を巡らせていると後ろから私を呼ぶ声が聞こえてくる。その声は今は何とも思わないが少し前までは大嫌いだった声…私の姉‐レミリア・スカーレットの声。先程まで魔理沙たちとお酒を飲んでいたはずなのになぜここに?


「大した理由はないわよ。ただ少し落ち着ける場所を考えたら屋根の上が浮かんで来たってだけよ」


「お姉様も屋根の上が落ち着くの?」


「落ち着けそうってだけよ。それと私もってどういうこと?」


「狂夜もここが落ち着くんだって今も宴会なのに熟睡しちゃってるし。ほら」


「?」


体を少しずらしてお姉さまに向けて手招きする。少し首をかしげながらお姉さまが近づいてくる。


「あらあら~ふふ、ホントに熟睡してるわね。寝顔も案外可愛いし」


「でしょ?」


後ろから覗き込むようにして膝の上で眠る狂夜を見るお姉様。普段悪い笑顔ばかりのお姉様だが安心しきったように眠る狂夜を見る顔はまるで幼き頃の咲夜の寝顔を見た時と同じ微笑みを浮かべている。


「だけどフランに膝枕させて熟睡しているのは少し納得いかないわね…」


「それ狂子にも言われた~いいのフランがいっぱい寝ていいって言ったんだから」


「あら、フランも大胆になったわね。御姉ちゃん嬉しいわ~」


「もう、からかわないでよお姉様」


「ふふ、ごめんなさいフラン。でも、嬉しく思ってるのは本当よ」


「むぅ~」


くすくすと意地悪そうにお姉様が笑う。少しむっとしてしまうが狂夜の髪をなでる事でその不満を解消することにした。


「でも、お姉様が狂夜を認めるなんて思わなかったなぁ」


「今も完全には認めてないわよ?半分以上はフラン貴女を狂気の魔の手から救い出してくれたお礼みたいなものよ。それがなかったら今頃グングニルで串刺し待ったなしよ」


「そんなことしたらいくらお姉様でも許さないからね?狂夜は私にとって大切な人なんだから。それに」


「それに?なにかしら?」


「ううん、狂夜にもいろんな事情があるってこと」


軽く首を振り少し前に言われたことを思い出した。『理解したようなことをいわないで』少し前に狂夜が私に言った言葉。頭の悪い私でもわかる程にこの言葉に、あの時の殺気だった光を失ったような瞳が何かあったことを証明している。しかし、それを追及することはできない。なぜなら私にはそれを知る権利も勇気もないのだから。


「まぁ、深くはいかないことにするけど。その落ち込んだような顔は何とかしなさい。…宴会なんだからそんな顔をする場ではないわよ?」


「え?…あ、う、うん。ごめんなさいお姉様」


「やっぱりフランには笑顔が一番よ。それじゃ、私は魔理沙たちのところに戻るわね」


「うん。魔理沙たちにも後で行くって伝えておいて」


「わかったわ。それじゃあまたねフラン」


表情に出ていたようで苦笑い気味に指摘してきたお姉様に無理に作った笑顔を向ける。まだ苦笑い気味だったが私に軽く手を振ってお姉様は魔理沙たちがいるであろう方に飛んでいった。


「(表情を繕うのは難しいなぁ…)」


そんなことを考えながら未だ眠る狂夜の髪を撫でる作業へと戻った。


終わりが少し中途半端になった感が否めないですがこれは次会の始まりを書きやすくする為ですので御了承下さい。さてさて、何だか狂夜さんとフランちゃんに色々な事が起こり始めてきましたね~

これが今後どのような展開に影響してくるのか考えてみたら面白いんじゃないでしょうか?


さて、そろそろ締めさせて頂きます!


それでは次回も宜しくお願いします!!Twitterのフォローありがとうございます~!

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