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幻想残酷記(休載中)  作者: 夜桜デビル
第二.五章 暴れだす狂気
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荒れ狂う少女2

どうも皆さんお久しぶりです。夜桜デビルと申す者です。今回も狂気を解放したフランちゃんとの戦闘です。狂気を相手にしている狂夜さんですが全く負ける雰囲気がないですね…


さて、そんなことは置いておいて今回もまた狂夜さん視点です。それではどうぞ!!

「威力は高いけど小型の弾幕ばかりだね。それに速度も大したことないし密度もそこまで濃くないかな?なら【逆転】大鎌」


降り注ぐ大量の弾幕を躱しながら思いっ切り後ろへと飛び退き、薙刀を能力【薙刀を大鎌に変えられないを変えられるに逆転】で一般的な大鎌へと変化させる。


「(この距離ならギリギリ…)」


変化させた大鎌を両腕に持ち直し限界まで身体を捻る。そしてその体勢で霊力を大鎌へと送り込んでいく。すると大鎌に赤いオーラのようなモノが纏いついていく。


「アハハハ、トマッチャッタラアタッチャウヨ?」


「ふふ、大丈夫だよ。そろそろ霊力も溜まったから…」


僕の動きが止まった為かまたケタケタと笑いながら全ての弾幕をこちらに向けて放ち始める。こちらに向かってきている弾幕を無視しながらスペル一枚出現させ宣言する。


「【連符】大旋風だいせんぷう鎌鼬かまいたちぃぃ!!」


フランが放った弾幕がすぐそこまで来たことを確認し捻っていた身体を元に戻しながら大鎌を振り抜く。すると纏っていた霊力が巨大な斬撃波となりフランへと飛んでいく。先程放った【斬撃】鎌鼬と違う所は斬撃波の大きさとその切れ味、そして斬撃波の速さ…鎌鼬とは比べ物にならない程の轟音が木霊するがその音を放っている斬撃波がない…いや、ないのではなく見えないのだ。

【連符】大旋風・鎌鼬‐【斬撃】鎌鼬を使用した後でしか発動できない特殊なスペル。武器に霊力を纏わせて巨大な斬撃波を弾幕として飛ばし攻撃するスペル。体を捻る必要はないが遠心力による重さや斬撃波の速さを上げることができる為僕の場合は捩じっている。そしてこのスペルの最大の特徴は霊力を放つために使用した武器の面積の大きさで斬撃の大きさが決まる所だ。スペルを宣言する際、薙刀から大鎌に変えたのはこの為だったりする。薙刀の場合は威力よりも数、相手の逃げ場を制限したり、相手に隙を作る為の大量の斬撃を放つのに特化している。それと対をなすのが今使っている大鎌である。薙刀とは本当に真逆で数より威力、相手を圧倒したり、当たれば確実に相手に多大なダメージを与える為の高威力の斬撃を放つのに特化している。今回大鎌でこのスペルを使った理由二つ。まず、確実に深手を負わせる事、次に薙刀の斬撃では分が悪い事…。先程レーヴァテインと共に斬り飛ばしたフランの右腕を覚えているだろうか?吸血鬼の再生力といえど片腕を丸々無くなれば完治するまでに一週間、早くても三日は時間を有するのだが既にフランの右腕は完治といってもいい程治ってしまい、先程切り落とした左腕は既に完治してしまっている。このことから薙刀での斬撃はダメージにならない、それに左右の腕を吹き飛ばせたのもフラン自身に躱すという意思がなかった為であり、その意思を持ってしまえばあのスピードのフランに当てるということ自体が難しくなってくる。なら、その意思を持つ前に確実にダメージを与えられる大技を当てるのが得策であると判断し大鎌での斬撃に切り替えたという訳。


「今度の斬撃は腕一本じゃすまないよ?」


「アハハハ【狂忌】レーヴァテイン」


斬撃が迫る中フランは再度黒い炎を纏ったレーヴァテインを出現させる。まさか!?


「コンナモノコワシテアゲル!!!」


刹那奇声と共に甲高い音が理性こころ内に木霊する。


「(ほんとにレーヴァテインで対抗してくるなんてね…)」


目の前で起こった光景に少し驚く。巨大な斬撃に対しレーヴァテインを両手に持ち、振り下ろすように斬撃と対峙するフラン。しかし前に注意が向いてしまっている為背中ががら空きだ。だけど、僕は動かない…いや、動けない。


「(威力が高いのは良いけどこの反動はどうにかしてほしいものだよね…)」


カランっという音と共に手に持っていた大鎌が手から滑り落ちると共に膝を着いてしまう。どうやら力が抜ける程の反動だったみたいだ。しかし脚にはすぐに力が戻り立ち上がることができた。腕の方も少し力を籠めにくいが力は入る。反動は数秒間身体に力が入らないくらいかな?前は数秒間動けなかった筈だったんだけど…霊力の量が多くなったからかな?


「まぁ、考え事はフランちゃんを倒してからにしないとね。まずは…【逆転】双刀」


力の戻ってきた手で大鎌を拾い上げ能力【大鎌を双刀に変えられないを変えられるに逆転】を発動し大鎌を双刀に変える。ん?何で双剣にしないかだって?簡単に言うと理由は二つ、まずはリーチが短すぎるから。今の状態のフランは何をしてくるか分からないから少しでも距離を空けておいた方が対処がしやすいんだよ。次に双剣と同じくらい双刀が使えるから。距離をとって戦うならリーチの長い薙刀や刃渡りが長い大鎌を選ぶのが得策だが、今回は狂気が暴走したフランが相手の為得意な双刀を選んだわけだ。勿論薙刀も大鎌も苦手な武器という訳ではないが得意と言う程使いこなせる訳ではない。もちろん双刀の扱いも双剣に比べると全体的に劣ってしまう。


大鎌が双刀に変わったことを確認しそのまま双刀を地面に突き刺し脚に霊力を集め一気にフランの後ろへと移動する。


「ちゃんと後ろにも注意を払わないとだめだよフランちゃん?【衝撃インパクト!】」


「!?」


後ろからの衝撃に反応できなかったのか斬撃と共に地面に向かって吹き飛んでいく。


「(あの斬撃でもレーヴァテインが折れないなんてね。流石は狂気で作られているだけあるよ)」


「アハハ、アナタトッテモツヨイネ」


立ち込める煙の中何事もなかったかのようにフランは歪んだ笑顔を浮かべ、立ち上がる。傍らに落ちているレーヴァテインは無傷のようで未だに黒々と燃えている。


「僕が強いんじゃなくて君が弱いだけだよ。…そろそろ僕も少し本気を出すよ【異変】狂気の芽生え、【異変】強まる狂気」


「ワタシトオンナジケハイ?」


「僕も君と同じ狂気なんだよ、今は抑えているけどね。だから今度は君の番だよフランちゃん」


連続して狂気を解放するスペルを宣言。すると僕の身体から黒いオーラが出現する。今はまだ第三段階目までしか狂力を解放していない為身体に纏わり付いてくることはない。なんだか物足りない…。ん?何で二枚の解放スペルを使ったのかって?う~ん今はまだ内緒。


「ドウシテワタシノナマエヲシテイルノ?」


「ふふ、どうしてだろうね」


呑まれている意識が少し戻ったのだろう、自分の名を何故知っているのかを問うフラン。しかし、それに答えるのは無意味だ。


「さて、お喋りはここまでにして…始めようか」


先程地面に刺した双刀の場所に移動し引き抜く。珍しい鋼で作られた刀は他の刀と比べてやはり重いが握りやすい。偶には重いのもいいかもね





---------------------





「守ってるばかりじゃ面白くないよフランちゃん」


「アナタモサッキカワシテバカリダッタヨ?」


「あはは、それを言われたら何も言えないや」


先程まで被弾を気にしていなかったフランだが今は後退しながらレーヴァテインで攻撃を受け流している。多分だが先程の攻撃で今までの攻撃とは違うと判断したのだろう。なら…


「【居合】一心斬」


一旦後ろに下がりスペル宣言。そして双刀を腰辺りに構え直しタンッタンッと足でリズムをとり始める。


「一つ言っておくよ。この勝負僕の勝ちだよ」


「アハハ、ホントウニオモシロイネアナタ。ワタシガアナタニマケル?ソンナコト「残念だけど本当の事だよ」エ?…」


笑っていたフランの顔に戸惑いが伺える。それもそうだろう先程まで離れていた筈の僕が今目の前に、それもレーヴァテインを片方の刀で上に跳ね上げ、もう片方の刀は深々とフランの腹部に突き刺さっているのだから。


「ほら、僕の言った通りでしょ?」


「ウッ…ゲホッゲホッ」


意識が痛みに向いてしまった為か激しく咳込み始め、口から赤い血を吐き出す。狂気を纏わせているから再生はしない筈だ


「…これで気絶してくれないのか…仕方ない…」


「ナニヲ…ガアアアァァァァ!!!!!!」


突き刺さっている刀に圧縮した霊力を流し込む。すると今までの奇声よりも大きな悲鳴が響き渡る。何故、こんなにフランが痛がっているのか、それは無理矢理僕の霊力をフランの狂力に混ぜ合わせたことにある。霊力、狂力は決して交わることがない対をなす力である為無理矢理混ぜ合わせようとすると身体の中で拒絶反応が起こり身体全体に激痛が走る。しかも霊力、狂力のどちらか片方が完全に身体から無くなるまで激痛は収まらない。ちなみに僕もこの痛みを体験したことがあるが正直笑えない程の痛みである。


「…」


「やっと気を失ってくれたね…」


数秒程悲鳴が響いた後急に悲鳴が聞こえなくなりフランが倒れそうになった為素早く腹部から刀を引き抜き抱き留める。身体に流した霊力が無くなったのだろう。


「さて、今の内に…」


抱き留めたフランをゆっくりと床に寝かせ再度ブラウスを捲り上げた。


さてさて、ようやっとフラン戦が終わりました…疲れた…

さて、そんなことはどうでもよくて、次回の事を話そうと思います。次回は狂夜さんがフランちゃんの背中に書いた術式のことが分かります。まぁ、これ以上はネタバレになりそうなので次回までお待ちくださいw


それでは次回もよろしくお願いします!!

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