現世での特技
どうも皆さんこんにちは夜桜デビルです。
今回は主人公である小路狂夜くんの特技に触れていきます。私も少しだけ狂夜くんの特技はできるのですがそこまで上手くないです…
「このくらいでいいかな?」
何匹目かになる兎を捕まえ足を木の弦で縛りベルトを通す所にくくり付ける。初めのうちは木に実っている木の実とかその辺に生えてる山菜で何とかしようと思ってたんだけど流石にお腹が膨れない。なので罠でも仕掛けて動物を捕まえようとしていた所タイミング良く?妖怪に襲われ動けないでいる村人?を発見。助けを求めてきたけど僕も人の心配をしていられる程裕福な生活を送っていないためその人が持っていたお金と護身用の小刀を頂戴し絶賛狩猟中となった訳で…ん?その人はどうなったかって?もし人里に無事帰って僕の事を話されたら面倒だから逝ってもらったよ。これも生き残るための術、弱肉強食ってことだよ。
「さて、今日の分の食料は手に入れたけど…やることないね」
今は僕の家…というよりも木の上に捕った兎や木の実を置き煙草を吹かしてる所。ん?どうやって木に登ったかだって?幻想郷に来てから空を飛べるようになってたからそれで登った?んだよ。この辺りの木は大きくてね僕のいる一番低い枝でも下から三mくらい上にあるから飛べるようになって良かったよ。本当に。
「ふぅ…ん?これは…」
煙を吹いているとヒラヒラと上から何枚かの葉っぱが落ちてくる。その葉っぱは昔僕が草笛を吹いていた時に使っていた葉っぱによく似ている。ちなみに僕が良く吹いていた葉っぱは桜の葉っぱとか後は団栗の葉っぱ、林檎の葉っぱに蜜柑の葉っぱなどまだまだたくさんある。
「久しぶりに吹いてみようかな?」
落ちていく葉っぱを空中で取り口元に持っていく。ほんのりと甘い香りが鼻腔を擽る。これは林檎の葉っぱかな?そんな事を思いながら軽く息を吸い込みゆっくり吐く。ゆったりとした綺麗な音が山全体へと響く。
「(この高さが出るならあの曲もできるかもしれない)」
期待を込めその音楽を演奏していく。ん?何を演奏しているかだって?【パッヘルベル カノン】って曲だよ。昔から大好きだったんだ。何回練習しても一部の高音がどの葉っぱでも出なかったから断念してたけど自然豊かな場所で育った木の葉っぱだからこんな高音もでるのかな?
草笛特有のゆったりとした音を辺りへと響かせる。辺りの木々に反響し綺麗な音は更に遠くへと響いていく。
------欝少年演奏中------
「ふぅ…久しぶり過ぎて鈍っちゃったかな」
息の吹きが上手くいかずいつもの音程よりも一つ低い音での演奏。折角いい葉っぱを持っていても吹けなければ宝の持ち腐れだと気付かされたよ。
「あれ?曲が止んじゃった!?」
いきなり声が聞こえた為枝の上から下を覗き見ると女の子が辺りを見回しながら耳をピクピクと動かしている。
その女の子は多分妖怪だ。雀色、白を基調とした服を着ていて服と同じ雀色の帽子を被っている。まだ見るからに少し幼いためか丸みが少し残っているが胸は普通くらいあると思う。そして背中には小さめの羽が生えている。お姉さんが頭の中に入れた情報によると彼女はミスティア・ローレライという夜雀の妖怪みたいだ。
「君どうしたの?何か探し物?」
「え?…貴方は誰?」
木の上から声をかけた為彼女は辺りを見渡しようやく木の上の僕に視線を向けた。
「僕は小路狂夜。ついさっき来た外来人の人間だよ。君はミスティア・ローレライであってるかな?」
「うん、あってるけど…どうして木の上にいるの?」
「生憎まだ家がないから生活しやすい木の上にいるだけだよ。それはそうと君はどうしてここに?」
「綺麗な曲が聞こえてきたから。それに珍しい草笛での曲が」
成程僕が吹いていた草笛が聞こえたからここまできたってことかな。他人に綺麗な曲って言われるのなんて何年ぶりだろう…まぁ、最近はずっと吹いてなかったからね…
「それ多分僕の草笛だよ。そんなに上手く吹けてないと思うけど?」
「ううん。凄く上手いよ!!それだけじゃなくて感情が凄い込められてたし」
「ありがとう。あんまり人に聴かせたことないから感想を言われるのなんて久しぶりで嬉しいよ」
ニコっと※作り笑い※を作りミスティアに笑いかける。
「そんな大層なことしてないよ。それよりもう一度吹いてくれる?間近で聴いてみたいの」
「僕の草笛で良ければ。でも、今日はこれで最後にしてね?」
「うん、わかった!!」
嬉しそうに笑うミスティアにまた※作り笑い※を返す。さて、次はどんな曲にしようかな…
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「〜~〜~〜~〜ふぅ…」
曲を演奏し終わり息を漏らす。僕が現代でも聴いていた曲【白鳥の湖 第2幕 情景】バレエ競技の時にも使われる有名なクラシック曲である。前にも吹いたことがあるがアッチの葉っぱでは響きが足りず綺麗に演奏することが出来なかった。ここの葉っぱが特別なんだろうか?
「……」
いつまでも反応のないミスティアの方を見るとキラキラと目を輝かせこちらを見ていた。
「感想聞いてもいい?ミスティア」
「あ、うん!! 綺麗以外の言葉がないよ。他に付け加えるなら美しくて幻想的な演奏」
「改善点とかないかな?まだまだ上手くないと思うけど?」
「これ以上上手くなるの!?でも、これ以上の演奏も聞いてみたいな~」
「毎日一回以上は吹いてるから暇ならまた来ていいよ。僕もやることがない訳じゃないけど基本的にここにいるよ。」
「うん、わかった。私が暇なときここに来るね」
褒められるのはやはり嬉しい。でも、褒められたくない自分もいる。意味がわからないかもしれないけど僕自身にも良くわかっていない。
「あ、それとこのことは広めないで欲しいんだ」
「え?どうして?」
「僕は静かな場所が好きなんだよ。折角こんなに静かな所なのに人が沢山来たら五月蝿くなっちゃうからね」
僕は自然の中で静かに過ごすことが大好きだ。前世でも学校が長期休みに入った時は昨日いた手入れされていない神社にずっといた。携帯食料と水、後は今回持ってきた物と同じものを持参してだ。
「そっか残念。でも私は来てもいいんだよね?」
「うん、ミスティアはいいよ。」
「それならいいかな?それじゃ私はチルノ達と遊ぶ約束があるからまた明日ね」
こちらの返事を待たずミスティアは木々の中へと掛けて行った。
「(さて、もう少し練習しようかな…)」
口元へと葉を持っていき息を吹きかける。少しの間山には幻想的で美しい草笛の音色が響き渡った。
さて、今回は山の中でのミスティアとの遭遇でした。
次回辺りから幻想郷の巫女ー博麗霊夢と普通の魔法使いー霧雨魔理沙に会いに行くお話になっていきます。
一応主人公は鈍感ではなく逆に早く気づく鋭感にしてあります。
それでは次回も宜しくお願いします