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幻想残酷記(休載中)  作者: 夜桜デビル
第一章 吸血鬼が住む館‐紅魔館
15/56

裏フラン戦

どうもこんばんは夜桜デビルです。今回で本当のフラン戦終了です。ちなみに今回が凄い書くのに苦労しました!

前書きはこの辺にして本編どうぞ!!

「危な!ちょ!まっ!」


キンッキンッとナイフと大剣が何度か擦れ合う。ナイフを構え斬りかかった瞬間いきなり裏のフランが猛攻を仕掛けてきた。両手で赤く燃えるレーヴァテインではなく禍々しく真っ黒に燃えるレーヴァテインを構えてだ。大剣である筈のレーヴァテインでの、ほぼノーモーションの動きには少しヒヤッとした。まぁ、慌ててもう一本のナイフも出して全部受けきったけどね。


「ふふふ、お兄さん強いね。それに私と同じ醜い力を感じるよ」


「君よりかはいいやつだと思うよ。まぁ、長年いるからかもしれないけどっ!」


上から叩きつけられるように振られたレーヴァテインを両手に持ったナイフを交差し受け止める。うっ!?流石に重い…


「あはは!隙ができたよお兄さん!!」


「ぐっ!」


完璧に受けきれず体勢を崩した僕の右横腹に蹴りが放たれ吹き飛ばされる。その際※狂力で作り出した数枚の紙をバラ撒く※


「はぁ…流石に霊力が無くなりそうだよ…そろそろ狂助助けてくれない?」


『出た瞬間お前死ぬと思うぞ?霊力が殆どない=動けず被弾=死って式が出来上がるがどうする?』


「(うん、やっぱりそうなるよね。表のフランの方もまだここに来て状況が把握できてないみたいだから把握できるまでの時間稼ぎが出来ればいいんだけど流石にキツいねっ!)」


表のフランを見てみると少し離れたところでボーっと立っている。まだ思考が定まっていないのだろう。キンッと甲高い音が鳴り響く。ギリギリと鍔迫り合いになった一瞬の間に裏のフランの顔を見ると余裕綽々という顔で歪んだ笑顔をこちらに向けてきた。全くハンデの付け過ぎだよ…


「(これって何て虐め?下手したらあれ使うからね?)」


『おいおいマジかよ。下手したら死ぬぞあれ?まぁ、お前がいいならいいが』


「(まだ、そこまで追い込まれてないからいいけど)【狂気】闇狂結界あんきょうけっかい!」


一旦後ろへと下がりスペルを宣言。直後先程バラ撒いた数枚の紙が黒い霧放ち裏のフランを囲みながら真っ黒な牢獄を形成していく。


「っ!?何これ出れない!!」


「そりゃ、狂力で作り出してるからね。さて、今の内に少しでも霊力を回復しないとね」


一度目を閉じ狂力を霊力へと変換する。ここで勘違いして欲しくないのは一気に変換することは出来ないということだ。そんなこと出来たら殆どチートだからね。


「ここから出せぇぇぇ!!!」


「大分暴れてるみたいだけどもう少しは持ちそうかな?」


『予想じゃ霊力が四分の一回復できるくらいの時間くらいだな』


「(それだけ回復できれば十分だよ…)」


一旦完全に警戒心や大五感と言ったものを消し去り、ナイフもしまう。そして意識を集中する。すると先程よりも若干ではあるが狂力が霊力に多く変換された。これなら四分の二まで回復できるかな?牢獄内でぎゃあぎゃあ騒いでいた裏のフランの声すらも聞こえないためゆっくりと回復に時間を費やす。




---------------------





「ふぅ…大分回復したね」


先程の計算通り四分の二まで霊力が回復し、代わりに狂力が三割弱失われた。これならまだ何とかなるかもしれないね


「アハハ、アハハハハ。フランを虐めるお兄さん何て壊れちゃえ!【狂忌きょうき】フォーオブアカインド!」


赤い目が濃い紅い目に代わり本気でこちらを殺そうと睨みながらフランはスペルを宣言する。


『ありゃ、完全にキレちゃってるぞ?更にフォーオブアカインド、厄介すぎるな』


「(全くその通りだよ…)【強化】霊力開放!【強化】無双心気!」


四分の二まで回復した霊力を霊力開放により倍以上にあげ、無双心気で身体能力と霊力を更に上げる。その為僕の体の周りには霊力を持たない人間ですら見える程の霊力が纏われている。


「(思い切って同時スペル使ったけど明日動けなくなるのはキツいかな…)」


『死ぬよりマシだろ?それにフランはもう戦ってるぞ?』


僕の中で視線を動かした狂助の視線の方向を見てみると分身の一人に表のフランがレーヴァテインを叩き込むところだった。


「(ふふ、やっと戦ってくれたんだ。…それじゃ、僕たちも行くよ)」


しまっていたナイフをナイフホルダーから抜き両手に構える。まずは分身を狙おうかな?ぱっと辺りを見渡すとフランにレーヴァテインを振るおうとする分身が目に入る。まずはあれかな?呟いた瞬間僕の姿はその場にはなかった。


「狂気の分身の割に遅いね」


ちょうど表のフランに斬りかかろうとしていた分身の一人の胸に右手に構えたナイフを突き刺し※作り笑い※をしながら引き抜く。分身は今何をされたか分からないようで目を白黒させていたがやがて煙のように消えた。


「少し遅めのお目覚めだねフランちゃん」


「ごめんなさい。ちょっと頭の整理が追いつかなかったの」


「ううん、大丈夫だよ」


少しシュンとしてしまったフランの頭を撫でつつ左手に持ったナイフを右側に投げる。僕の右腕が死角になったのか右側から斬りかかろうとしていた分身は避ける様子もなくナイフに直撃し悲鳴をあげる。


「さて、そろそろフランの狂気を倒さないとね。よいしょ」


フランの頭を撫でていた手を止め悲鳴をあげ未だ苦しんでいる分身に近寄り刺さっているナイフを抜き取る。その際飛び散った血が僕の顔や体にも飛び散る。またお風呂入らなきゃね。

ナイフを抜いた後その分身はまたもや煙のように消えた。さて、残るは本体のみだね。ゆっくりと本体の方を見ると先程よりも倍近くある真っ黒なレーヴァテインを構えていた。成程分身はあれを作り出すための時間稼ぎだったのか…まんまと引っ掛かっちゃったよ。


「随分と大きな剣を作り出したね。僕の身長よりも大きいんじゃない?」


僕の身長は大体百七十センチくらいだがそれよりも数十センチ程大きいだろう。更に纏っている黒い炎の量も大きさに比例して倍近くの量になっている。これは流石にやりすぎでしょ…


「アハハハハ、今度はこれでお兄さんを消し飛ばしてあげるよ!」


「残念だけどまだ死ぬ訳にはいかなくてね。代わりに…君に消えてもらうよ」


いつもの※作り笑い※を浮かべた僕に裏のフランは問答無用で斬りかかってくる。それもかなりのスピードで。


「ちょ、速いって!」


先程よりも速いスピードで接近されレーヴァテインが振られる。ナイフが折れる可能性も考えて避けようとしていた矢先だったのだが思っていたよりも速く、仕方なくナイフに霊力を纏い受け止める。


「よくそんな小さなナイフで受け止められるね~」


「モノは使い用ってやつだよ(くっ!やっぱりさっきより重い…ナイフもそろそろ限界かな?)」


逆手に構えたナイフ二本でレーヴァテインを受け止める。流石にデカさと重量が違い過ぎる。あ~手が痛いな…


数秒間競り合いをしていると不意にピキッピキッ!と言う何かにヒビが入ったような音が聞こえる。このタイミングでか…

ナイフを見てみるとレーヴァテインと接触している刃の部分に亀裂を見つける。


「狂夜!」


いきなりの事にまたフリーズしていたフランが現実に戻り裏のフランへとレーヴァテインを振るう。


「チッ!」


追い込んでいた状況を邪魔された為か舌打ちをしながら裏のフランは後ろに飛びレーヴァテインを回避する。


「ありがとうフランちゃん。さて、そろそろ決めるよ…」


能力でナイフを直した後、全身の霊力を脚に集める。


「【剣術】止まない斬撃の嵐!」


スペルを宣言すると同時にまたも僕は姿を消す。


「ぐっ!?」


裏のフランの目の前に現れ両手のナイフを振るう。少し浅めに入ってしまったがまだまだスペルは持続する。


「うぐ!」


今度は真後ろに回り込みナイフを振るう。今度は深々と二本の切り傷を負わせる。


「くっ!速過ぎて目で追いつけない」


「ははは、最高だね。もっと痛めつけてあげるよ」






----------------------






「おっとスペルブレイクかな?」


約十分間斬り続けスペルカードの制限時間によりスペルが解除された。途中で霊力が切れそうになったので狂力を霊力に変換していたが…制限時間には影響されないみたいだ。少し視線を右にずらすと荒い息をした裏のフランが目に入る。


「はぁ…はぁ…」


レーヴァテインを地面に突き刺し体を支えている。全身には浅い切り傷や深い切り傷が刻まれその傷からは大量の血液が流れ出ている。


「大したものだね。あれだけの攻撃を受けてまだ立っていられるなんて僕なんてもうフラフラだよ」


不意に足から力が抜け床に座り込む。ちょっと無理しすぎたみたいだ。そんな僕を見た裏のフラン酷く歪んだ笑顔を浮かべ一歩また一歩とレーヴァテインを杖替わり歩み寄ってくる。しかし僕は何もせずその光景を見詰める。だってもうこの戦いは終わっているのだから。


「ふふふ、…それじゃバイバイ!」


「うん、バイバイ狂気」


僕の目の前まで来た裏のフランはレーヴァテインを振り上げ斬りかかってくる。


「うぐっ!」


しかしレーヴァテインが後数センチというところで消え代わりに裏のフランの悲鳴が聞こえる。


「狂夜は殺させないよ」


視線の先にはレーヴァテインに貫かれている裏のフランの姿とそのレーヴァテインを握る表のフランが目に映る。


「貴様ああぁぁぁ!!」


レーヴァテインを引き抜こうと暴れ回る裏のフランだがレーヴァテインは抜けない。


「今の狂気じゃ抜けやしないよ。さて、話し合いと行こうか。フランちゃん、レーヴァテインを抜いてあげて」


「わかった」


フランはレーヴァテインを抜く。レーヴァテインが抜いた為か狂気の腹部にはポッカリと大きな穴が空いているが前の僕と同じように血は出ていない。


「何の真似…」


「話し合いをするっていったよね?それにもう勝敗はついてるからね」


僕は戦力外としてフランはまだ戦える状態だ。如何に狂気が強くても今は僕と殆ど変わらない程力を消費している状態、もう既に勝敗はついてると言ってもいいだろう。


「はぁ、それで話し合いって何を話すのよ…」


呆れながら床にヘタレこむ狂気。流石に疲れたのだろう。


「話し合いと言っても簡単な話。フランの力になって欲しいってことだけだから」


「…否定権は?」


「無いよ。死にたいのなら好きにすればいいけどね」


チラリとフランに視線を送りレーヴァテインを構えさせる。


「はぁ…わかった。彼女の力になってあげるわ」


「ふふ、良かったよ。もし、否定されたらどうしようかと思ってたから」


「そうさせないように脅しといてよく言うわよ…それじゃ、よろしくねフラン」


「よろしくね。えっと…」


「あぁ、私名前がなかったわね…どうしようかしら」


狂子きょうこでいんじゃないかな?今思いついただけだけど」


「案調な名前ね…まぁいいわ。それじゃ改めて、狂子よ。よろしくねフラン」


「うん!よろしく狂子!」





---------------------






「(ふぅ、今日は特に疲れたよ…)」


狂子にフランの力になるよう約束した(脅した)後フランの理性こころから先程いたベットの上に戻ってきた。理性こころの中だった為か体に傷はなかったが霊力、狂力共に殆ど空っぽの状態だ。


「(本当に疲れた…もう寝よう…)」


殆ど倒れるようにベットに横になり目を瞑る。


「お疲れ様狂夜。私の為にここまでしてくれてありがとう」


意識を手放す前にそんな声が聞こえた気がした。


狂気の力を制御できるようになったフランちゃん。これってほとんどチートですよね?ちゃんと意識を保ったままあの狂気の力をフランちゃんが使うんですよ?恐ろしすぎます(その倍以上可愛いですけど!!

次回はまだ何も考えていないのでここでは何とも言えませんね。


それでは次回もよろしくお願いします!!

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